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第2章
意地悪なおばさんには天罰を
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メアリーがいるであろう部屋を探して必死にロゼッタは駆けたり出会った人、一人ずつに聞いたりとしてみたが一向にメアリーを見つけられずにいた。
「ぜぇ…ふー、全然いない…!どこなんだろ!何人か聞いたけどみんな知らないって言うし、メアリー様大丈夫かなっ!?早く行ってあげなきゃいけない気がするっ!」
全力でかけようとした時、曲がり角が視覚になってしまいドンッと勢いよく誰かとぶつかってしまった。
「ぐあっ!ご、ごめんなさいっ!…あれ?痛くない?」
倒れかけたロゼッタを抱き寄せそのまま抱き上げてくれたのはバージルだった。
「ええ!?バージル様っ!?」
ふわりと優しくお姫様抱っこされてしまいバージルに恥ずかしさと申し訳なさで頭がいっぱいになったが、すぐにメアリーの居所を聞き出した。
「あ?メアリーと一緒じゃねぇのか!?良くない状況だな…早く探さねえっと。悪りぃけどこのまま行くぞ!」
「え?えー!!このまま行くんですかー!?」
バージルはロゼッタを抱き上げたまま思い当たる部屋へと階段を登り進み全力で駆けた。
(バージルさんのこの焦り方って良くないって事だよね!メアリーさん…!)
ーーーバンッ。
扉を勢いよく足で乱暴に蹴り上げたバージル、中の光景にロゼッタは声を失い絶句した。
汚く汚れた床に這いつくばってメアリーは汚いボロ布で床を拭き、椅子には座りくすくすと笑いながら見下しているミケーラがいた。
「こ、これはこれは…!バージル様ではありませんか!どうして…!今日はいらっしゃらないと…!お前ね、ロゼッタといったかしら?貴女が告げ口したのね!!!」
ミケーラは椅子からすぐに立ち上がりバージルに焦りと恐怖を感じながらもロゼッタに対しては憎悪の塊を込めた目でギロリと睨みつけた。
「バージル様これはメアリー様のためを想ってさせているのですわ。メアリー様の態度、中身があまりにも醜く汚い泥水のような有様なので自分でその汚れを落とすためにと床掃除をさせて頂いたのですわっ!!!悪いのはメアリー様、ですから…どうかこの場はお引き取りください。」
「バージル様、下ろして頂けますか?すみません、ありがとうございます。」
抱き上げられた状態から床へ下ろさせて貰ったロゼッタはズカズカと大股に歩みメアリーを背に庇いながらミケーラの前へと立ち塞がった。
(こんな人には天罰が必要だ。)
怒りが溢れ過ぎて返って冷静になったロゼッタはミケーラを軽く睨みつけ手を前へと出し自分の意思で手に力を込め魔力を使った。
生み出したのは水がたっぷりと入った大きな木製のバケツである。
「ロ、ロゼッタさん…?そ、そのお水をまさかこの高貴なわたくしに、なんて思っていませんでしょうね!?貴女わかってるの!?わたくしは貴女より上位貴族なのよ!?」
顔色を悪くしながら一歩、また一歩と後ずさるミケーラにロゼッタは笑顔でニコニコとバケツを持ちながら近づいて行く。
「はい。勿論わかっています。貴女様は上位貴族のそうですねー、泥水…いえ、それ以下ですね。なのでこれでも浴びて少しぐらい綺麗になって下さい。」
ビシャッ!!
ロゼッタは一切何の躊躇いもなくミケーラへ水をぶちかけた。
ロゼッタの勇ましい行動にバージル、メアリーも目を点にして声も出せないでいた。
放心状態の二人の間から一人女性が入ってきた。
真っ赤に煌めく腰ほどまでの長い髪にぱっちりとした青い瞳。
おっとりとした雰囲気を醸し出しながらロゼッタとミケーラを交互に見やる。
「あらあら~?これはどうゆう状況なのかしら?」
手に顔を当てながら疑問を浮かべ辺りを見渡している女性にミケーラはずぶ濡れの状態ですかさず跪き懇願した。
「メアリーゼ様…!?こ、この者がわたくしに水をかけたのですっ!!!どうかこのわたくしをお助け下さいっ…!」
「あらら~?おかしいわね。貴女が何故メアリーの側にいるの~?金輪際会わないようにと言ったはずだけど~?ミケーラ、貴女私の命令を無視したのね。」
ロゼッタさえもゾッと恐怖を感じた。
メアリーゼといわれた女性はほんわかした雰囲気だが威圧感があり、恐ろしさもあった。
「ひっ…!こ、こ、れは違うのです!!わたくしはメアリー様を想ってやったことです…!!それよりもあの女!あの小娘がこのわたくしに水を…!!」
ミケーラはロゼッタへ指差し悪人に仕立てようとしていた、バージルは焦って否定しようと行動したがそれよりも早くメアリーゼが口を開いた。
(私怒られちゃう…?でもそれでも構わない。だってメアリーさんを侮辱したんだしっ!)
「ふふふふ、そう~。このロゼッタちゃんがねぇ~。ロゼッタちゃん良くやったわ~。もっと汚いお水でもよかったのよ?」
近づいてきてロゼッタの頬を優しく撫で、頭もわしゃわしゃと優しく撫でてくれた。
「え?えー!?メ、メアリーゼ様…?どうゆうことですか!?私怒られてもおかしくない事した気もしますが!それよりなんで私の名前知っていらっしゃるのですか!?」
さすがのロゼッタも動揺を隠しきれずにいた。
意地悪なミケーラでも上位貴族だ、その彼女に水をかけたとなったらただ事じゃ済まないだろう。
「うふふふ、知ってるわよ~。バージルとメアリーちゃんと仲良くしてくれたようだしね~。さぁて、ミケーラは地下牢に一度行ってもらいましょうか~?騎士さん達頼みましたよ~。」
メアリーゼの後ろに控えていた騎士へ指示を出しミケーラは取り押さえられてしまう。
「なっ…!!!メアリーゼ様!?何故ですか!?わたくし悪いことなどしていないではありませんか!?」
絶望のあまり泣き叫ぶミケーラにメアリーゼは見向きもせず存在すらもう認識をしていない様子だった。
◇◇◇
ミケーラは地下牢へと連行されメアリーとメアリーゼとは一度離れる形となった。
バージルはロゼッタへ気分を変えようと連れ出し中庭にある庭園へ移動した。
二人でガゼボ(あまずや)へと腰掛け周りで咲き乱れる花達を愛でた。
「それにしてもロゼッタには驚いたぜ、まさかあんな容赦なくあいつに水をぶちかけるなんてよ。」
ケラケラと隣で笑うバージルにロゼッタは焦りでいっぱいだった。
上位貴族相手に喧嘩以上の物をふっかけるようなものだ、命知らずの人間がやる事を平然とやってのけるロゼッタにバージルは度肝を抜かれたらしい。
「うぅ…言わないで下さいー…。あぁー!よくよく考えたら私やばい事しましたよね!?死刑にでもなったらどうしましょ…!?でもあの人の言動は許せないしー!」
後悔は一切ないがやらかしたことが重大過ぎてロゼッタは頭を抱えた。
「んなことねぇよ。ロゼッタはメアリーために行動したんだ、それを悪く言うやつがいたら俺がゆるさねぇ。そういや、今日ここにダンスを教えるために招いたが悪りぃな、こんな事に巻き込んでしまってよ。」
「バージル様…!そのお言葉だけで私の心が浄化されますっ!いえ、ダンスはまた後日でも大丈夫ですよ!それよりも私はメアリー様が心配です…ミケーラ様と会ってから酷く怯えて顔色も優れないご様子でしたし…。」
「メアリーは…そうだな、話した方がいいか。幼かった頃のメアリーにあいつは躾だとか抜かして髪を切っちまったんだよ。だから今もメアリーは髪が首ほどまでにしかなくてな。」
(酷い…。メアリーさんのあの綺麗な髪を容赦なく切るなんてっ!そんな事する人には水なんかじゃ足りなかったっ!!メアリーさん大丈夫かな…?)
沸々と怒りが込み上がりこの気持ちをぶつけるつもりでウロウロと歩き出すロゼッタ。
バージルはメアリーの元へ行ってやってくれ、と伝えロゼッタは全力でその場から駆けた。
「あの!!また後でお会いしましょう!バージル様っ!ちょっとメアリー様が心配なので行ってきます!!!」
「ロゼッタと一緒にいると飽きねぇなー。あの上位貴族のババアにさえ歯向かう姿が頭から離れねぇや。ふっ、あんな勇ましい女初めてだな。今度はどんな行動をしてくるか楽しみだな。」
一人ガゼボ(あまずや)にもたれ掛かりながら消えていったロゼッタへ少しだけ執着した。
「ぜぇ…ふー、全然いない…!どこなんだろ!何人か聞いたけどみんな知らないって言うし、メアリー様大丈夫かなっ!?早く行ってあげなきゃいけない気がするっ!」
全力でかけようとした時、曲がり角が視覚になってしまいドンッと勢いよく誰かとぶつかってしまった。
「ぐあっ!ご、ごめんなさいっ!…あれ?痛くない?」
倒れかけたロゼッタを抱き寄せそのまま抱き上げてくれたのはバージルだった。
「ええ!?バージル様っ!?」
ふわりと優しくお姫様抱っこされてしまいバージルに恥ずかしさと申し訳なさで頭がいっぱいになったが、すぐにメアリーの居所を聞き出した。
「あ?メアリーと一緒じゃねぇのか!?良くない状況だな…早く探さねえっと。悪りぃけどこのまま行くぞ!」
「え?えー!!このまま行くんですかー!?」
バージルはロゼッタを抱き上げたまま思い当たる部屋へと階段を登り進み全力で駆けた。
(バージルさんのこの焦り方って良くないって事だよね!メアリーさん…!)
ーーーバンッ。
扉を勢いよく足で乱暴に蹴り上げたバージル、中の光景にロゼッタは声を失い絶句した。
汚く汚れた床に這いつくばってメアリーは汚いボロ布で床を拭き、椅子には座りくすくすと笑いながら見下しているミケーラがいた。
「こ、これはこれは…!バージル様ではありませんか!どうして…!今日はいらっしゃらないと…!お前ね、ロゼッタといったかしら?貴女が告げ口したのね!!!」
ミケーラは椅子からすぐに立ち上がりバージルに焦りと恐怖を感じながらもロゼッタに対しては憎悪の塊を込めた目でギロリと睨みつけた。
「バージル様これはメアリー様のためを想ってさせているのですわ。メアリー様の態度、中身があまりにも醜く汚い泥水のような有様なので自分でその汚れを落とすためにと床掃除をさせて頂いたのですわっ!!!悪いのはメアリー様、ですから…どうかこの場はお引き取りください。」
「バージル様、下ろして頂けますか?すみません、ありがとうございます。」
抱き上げられた状態から床へ下ろさせて貰ったロゼッタはズカズカと大股に歩みメアリーを背に庇いながらミケーラの前へと立ち塞がった。
(こんな人には天罰が必要だ。)
怒りが溢れ過ぎて返って冷静になったロゼッタはミケーラを軽く睨みつけ手を前へと出し自分の意思で手に力を込め魔力を使った。
生み出したのは水がたっぷりと入った大きな木製のバケツである。
「ロ、ロゼッタさん…?そ、そのお水をまさかこの高貴なわたくしに、なんて思っていませんでしょうね!?貴女わかってるの!?わたくしは貴女より上位貴族なのよ!?」
顔色を悪くしながら一歩、また一歩と後ずさるミケーラにロゼッタは笑顔でニコニコとバケツを持ちながら近づいて行く。
「はい。勿論わかっています。貴女様は上位貴族のそうですねー、泥水…いえ、それ以下ですね。なのでこれでも浴びて少しぐらい綺麗になって下さい。」
ビシャッ!!
ロゼッタは一切何の躊躇いもなくミケーラへ水をぶちかけた。
ロゼッタの勇ましい行動にバージル、メアリーも目を点にして声も出せないでいた。
放心状態の二人の間から一人女性が入ってきた。
真っ赤に煌めく腰ほどまでの長い髪にぱっちりとした青い瞳。
おっとりとした雰囲気を醸し出しながらロゼッタとミケーラを交互に見やる。
「あらあら~?これはどうゆう状況なのかしら?」
手に顔を当てながら疑問を浮かべ辺りを見渡している女性にミケーラはずぶ濡れの状態ですかさず跪き懇願した。
「メアリーゼ様…!?こ、この者がわたくしに水をかけたのですっ!!!どうかこのわたくしをお助け下さいっ…!」
「あらら~?おかしいわね。貴女が何故メアリーの側にいるの~?金輪際会わないようにと言ったはずだけど~?ミケーラ、貴女私の命令を無視したのね。」
ロゼッタさえもゾッと恐怖を感じた。
メアリーゼといわれた女性はほんわかした雰囲気だが威圧感があり、恐ろしさもあった。
「ひっ…!こ、こ、れは違うのです!!わたくしはメアリー様を想ってやったことです…!!それよりもあの女!あの小娘がこのわたくしに水を…!!」
ミケーラはロゼッタへ指差し悪人に仕立てようとしていた、バージルは焦って否定しようと行動したがそれよりも早くメアリーゼが口を開いた。
(私怒られちゃう…?でもそれでも構わない。だってメアリーさんを侮辱したんだしっ!)
「ふふふふ、そう~。このロゼッタちゃんがねぇ~。ロゼッタちゃん良くやったわ~。もっと汚いお水でもよかったのよ?」
近づいてきてロゼッタの頬を優しく撫で、頭もわしゃわしゃと優しく撫でてくれた。
「え?えー!?メ、メアリーゼ様…?どうゆうことですか!?私怒られてもおかしくない事した気もしますが!それよりなんで私の名前知っていらっしゃるのですか!?」
さすがのロゼッタも動揺を隠しきれずにいた。
意地悪なミケーラでも上位貴族だ、その彼女に水をかけたとなったらただ事じゃ済まないだろう。
「うふふふ、知ってるわよ~。バージルとメアリーちゃんと仲良くしてくれたようだしね~。さぁて、ミケーラは地下牢に一度行ってもらいましょうか~?騎士さん達頼みましたよ~。」
メアリーゼの後ろに控えていた騎士へ指示を出しミケーラは取り押さえられてしまう。
「なっ…!!!メアリーゼ様!?何故ですか!?わたくし悪いことなどしていないではありませんか!?」
絶望のあまり泣き叫ぶミケーラにメアリーゼは見向きもせず存在すらもう認識をしていない様子だった。
◇◇◇
ミケーラは地下牢へと連行されメアリーとメアリーゼとは一度離れる形となった。
バージルはロゼッタへ気分を変えようと連れ出し中庭にある庭園へ移動した。
二人でガゼボ(あまずや)へと腰掛け周りで咲き乱れる花達を愛でた。
「それにしてもロゼッタには驚いたぜ、まさかあんな容赦なくあいつに水をぶちかけるなんてよ。」
ケラケラと隣で笑うバージルにロゼッタは焦りでいっぱいだった。
上位貴族相手に喧嘩以上の物をふっかけるようなものだ、命知らずの人間がやる事を平然とやってのけるロゼッタにバージルは度肝を抜かれたらしい。
「うぅ…言わないで下さいー…。あぁー!よくよく考えたら私やばい事しましたよね!?死刑にでもなったらどうしましょ…!?でもあの人の言動は許せないしー!」
後悔は一切ないがやらかしたことが重大過ぎてロゼッタは頭を抱えた。
「んなことねぇよ。ロゼッタはメアリーために行動したんだ、それを悪く言うやつがいたら俺がゆるさねぇ。そういや、今日ここにダンスを教えるために招いたが悪りぃな、こんな事に巻き込んでしまってよ。」
「バージル様…!そのお言葉だけで私の心が浄化されますっ!いえ、ダンスはまた後日でも大丈夫ですよ!それよりも私はメアリー様が心配です…ミケーラ様と会ってから酷く怯えて顔色も優れないご様子でしたし…。」
「メアリーは…そうだな、話した方がいいか。幼かった頃のメアリーにあいつは躾だとか抜かして髪を切っちまったんだよ。だから今もメアリーは髪が首ほどまでにしかなくてな。」
(酷い…。メアリーさんのあの綺麗な髪を容赦なく切るなんてっ!そんな事する人には水なんかじゃ足りなかったっ!!メアリーさん大丈夫かな…?)
沸々と怒りが込み上がりこの気持ちをぶつけるつもりでウロウロと歩き出すロゼッタ。
バージルはメアリーの元へ行ってやってくれ、と伝えロゼッタは全力でその場から駆けた。
「あの!!また後でお会いしましょう!バージル様っ!ちょっとメアリー様が心配なので行ってきます!!!」
「ロゼッタと一緒にいると飽きねぇなー。あの上位貴族のババアにさえ歯向かう姿が頭から離れねぇや。ふっ、あんな勇ましい女初めてだな。今度はどんな行動をしてくるか楽しみだな。」
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