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4章 主人との生活
逆転生活
しおりを挟む地下の中で暮らしている以上、時間なんてわからない。
どれだけたったのかもわからない。
ただただ、ここ最近は寝て起きて食べるの繰り返しである。
2人は変わる変わる家事をしているらしいがそろそろ外に出てもいいころである。
外というのは峻矢にとっては地下の外という意味である。
長時間に亘って足を使わなかったせいか、自分が立てるのか不安になる。
隣ではマシロが寝ている。
昨日も長い間繋がっていたからだ。
ゆっくりとベッドから降りる。
足の裏に冷たい地下室の床の感触。
その場に立ち上がると自分の身体が重いことがよくわかる。
今は昼だろうか、夜だろうか。
一歩・・・足は少しふらふらで不安定だった。
一歩・・・足につられた体はゆらゆらと揺れる。
一歩・・・
一歩・・・
扉の前に来ると一旦自分がどれだけ歩いてきたのか振り返る。
短い距離しか歩いていない。
ベッドの上にはマシロが深く眠っている。
冷たい扉に手を当てギュッと力を入れる。
しかし扉はびくりともしない。
次に両手を扉に当て、体重を掛けるように押す。
扉はギギギギと聞きなれた音を立てて開いた。
明るい光が流れ込んだ。
ゆっくりと扉を開いていく。
ふと隣にはマシロが心配そうにこちらを見ていた。
「大丈夫・・・」
一歩・・・昔、ラナンと歩いたことを思い出していた。
一歩・・・昔、この後ろには人形がいた。
一歩・・・
一歩・・・
階段を上がることは想像よりずっと疲れる。
マシロはすぐ傍らでふらふらとしている峻矢を守るような顔向きで上がっている。
上がっていくごとに光が明るくなる。
しかし、その光を背にして待っている影があった。
「おはようございます、峻矢様」
「おはよう、ラナン」
「朝ごはんにしましょうか、3人で」
「・・・ああ、そうしようか、3人で」
隣を見ると、嬉しそうに微笑む白い少女がいた。
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