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あなたとの時間

111:見知らぬ援護射撃

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ナッリが案内してくれた部屋は、正直に言って素朴だった。
宮殿に用意されている部屋に比べれば十分の一もない広さで、金色や銀色といった色味もない。温かみのあるむき出しの木でできた家具が最低限置かれていた。

「皇女様が過ごすお部屋というには不相応なお部屋だと思いますが…」

恐縮しているナッリの姿に、過去の自分を想像する。
多分、過去の私はこの部屋を気に入らないだろう。豪華なものが好きというわけではないが、にあった調度品と比べて質素な家具であるこの部屋の机やタンスは見すぼらしくみえるからだ。
しかし牢屋生活をしたり、生まれ変わって色々な本を読んでいる今の私からすると、むしろ洗練されたようにみえるから、人間とは単純だ。

「いいえ、ナッリが丁寧に手入れをしてくれている部屋ですもの。素晴らしいと思います」
「まぁ!皇女様にそのようにおっしゃっていただけるなんて…!」

私の言葉にナッリはナビだを浮かべている。
この人が、過去の牢名主であったなんて、自分の目で見ていなければきっと信じられないだろう。こんなにも上品そうな女性が…
環境が人を作るって表現は本当なのかもしれない。
では、今の私はどうなのだろう。
…悪女ルサルカを少しでも返上できているかしら。

「ねぇ、ナッリ」
「なんでしょう?」
「あなたはフルクトス様が私と関わり合いになるのを嫌だと思いませんか?」

息子ともども心血を注いでここまで守ってきたフルクトス殿下に、悪女が近づくなんて私なら大声で拒否をしたい。近づくどころか、接点すら持ってほしくもないもの。
私がそう思って質問したことに、ナッリは風解瞬きをしてみせてから、不安定な声色で話し始めた。

「嫌…というのは?」
「近づいてほしくないとは思わないの?」
「近づいてほしくない?!……そんなはずございません!なぜ皇女様がそのようなことを考えられるのか、私には理解ができませんよ」
「あら、だって、私は良い評判がないでしょう?」

大げさなほどに肩をすくめて見せる。
巻き戻ってからの私の評判は以前に比べれば良いという噂であるけど、実際のところはわからない。へりくだる意味合いもかねて、過去と同じ程度の評判と考えてそう尋ねてみた。

「皇女様の評判が悪い?ーーとんでもございませんよ!皇女様は慣れない外国に嫁ぎ一生懸命だと、私含め民衆は理解しております。それどころか、宮殿でさまざまな嫌がらせを受けても、気丈にふるまわれているお姿に、私なぞは恐れ多くももらい泣きをしてしまったほどです」
「嫌がらせ?」

心当たりはいくらかあるけれども、外部の人間が知っているものなどあったのかと聞き返せば、ナッリは瓦版をどこからか持ってきてくれた。
それはノーメン・ネスキオの記事ではなかったが、もっと粗雑な噂話をまとめたようなチラシのような1枚の紙だった。

「これですよ。皇女様を陥れようとした宮廷のだれかが、他の方の装飾品をお部屋に隠したのでしょう?なんて腹黒いことをするもんだって、私たちですら呆れました」
「すごいわ…こんな事が皆さんに伝わっているなんて」
「この瓦版は庶民向けです。でも、信ぴょう性は確かって、もっぱらの評判なんですよ!」

渡された内容をみれば、確かにサラのカメオが亡くなった時の状況が寸分たがわず書かれていた。こんな細かな状況までもかけるのは、あの時そばにいた人間以外いない。
ーーいったい誰がそんなことができるのだろう。

「ナッリ、この瓦版は定期的に出ているの?」
「いいえ、不定期ですね」
「では次に出たときには私にも教えてくださる?」

心当たりは何人かいる。
けれども、確証はない。
過去にこんな記事が出ていたこともなかったはずだ。
何のためにこんなことをしているのか、流している人物を見つける必要があると頭の中で誰かが叫んでいた。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

兎月
2023.03.13 兎月

7話8話にて、誤字脱字が目立つようです。

解除
サボテン君
2022.05.18 サボテン君

作者様お邪魔してます
(。・ω・)ノ゙ コンチャ

更新一覧で出会ってしまった
( ゚д゚)ハッ!見つけてしまい、

一気読みしてしまぃました


面白く、そして
惹き付けられる作品ですね
もっと!読みたいっ
お気に入り登録致しました

更新楽しみです
お邪魔しました〜♪

   ∧_∧
  (_ _ ) ペコリ
   ヽ ノ)
      」」

どこどこ
2022.05.18 どこどこ

ご感想ありがとうございます!
読んでいただき大変嬉しく思います。
拙い作品ながら、ご感想をいただけたことが励みになります。
色々気になる箇所もあるかと思いますが、引き続き宜しくお願いいたします^^

解除

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