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やり直す時間
98:聞き覚えのある声
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国王は唐突に話を終わらせると、私たちの顔をろくに見もしないで部屋から出て行ってしまった。それはシドンが言ったことがよほど都合が悪いのだという証拠だ。
リビュアとカエオレウムだと今の時点ではまだリビュアの方が強大だったはずーー戻ってきてからあまり気にしていなかったけど、リビュアとカエオレウムの国力差があと数年でひっくり返るっていうのはこの毒が影響していると考えるのが自然ね。
毒が問題になった事件とかあったかしら。
「シドン、リビュア王にはこの件は報告しているの?」
「もちろんです」
「反応はどうだったの?」
「それは後でお話しましょう…しかし、ルカはまた謹慎させられてしまうとなると話もできませんね」
そうだった。
また謹慎、と思うとさすがに気が重い。アケロンったらゲートを閉じちゃったみたいだし…本当に部屋から出られないとすれば今までとは全然違うでしょうし…
とはいっても自室で過ごせるだけマシかしらね。過去では有無を言わさず投獄からの処刑だったから、それを回避できたと思えば100倍マシね。
なんて思っていると、私の横に戻ってきたアガタが囁く。
「アケロン様と、フルクトス様の魔力が感じられます」
「ここに来ているということ?」
「おそらく」
アガタの言葉を聞いてシドンの顔を見れば、変わらない微笑を浮かべているだけってことは教えてくれる気はないのね。予想するしかないけれど目の前にいるドクトリスこそアケロンなんじゃないかしら。うまく言えないけれど雰囲気とかが似ている気がするもの。でもフルクトスの気配もあるというのがにわかには信じがたいわね。
フルクトスの立場からすれば、王宮に入るなんてあり得ないはず。それなのにフルクトスの気配?
フルクトスが生きていると王宮の人にばれたら、今度こそ幽閉では済まされないじゃない。
「ルカ、入り口の衛兵を見てください」
「衛兵?」
シドンったら急に何なのかしら。私は今いろいろ考えているのにそんなことを言われても困るわ。
衛兵ってあの人よね。王の衛兵に顔見知りはいないから見ても、名前なんてわからないけど……
なんか違和感があるわね。
なんて悠長に思っていると、その衛兵が私の方へ向かってくるではないか。
急に近づいてくる知らない人に驚いて動けなくなっている私に、シドンも周囲の人もアガタでさえも気が付いていない。ほとんど走っているよな衛兵はすぐに私の目の前に来てしまっていた。
「あ、あの…」
「皇女様、失礼いたします」
その声は確かに聞き覚えのある声だわ。
「ふっ!?」
フルクトス様!?と叫びそうになる私をフルクトスはとっさに口をふさぎ、口元に一本指を立ててシィっと言ったのでそのままうなずいて見せる。
「あとはアケロンが何とかしてくれますから、ここから逃げますよ」
何が何だかわからないけれど、私の方を見ているアガタも頷いていて問題視していないようだし、シドンもそれにドクトリスもこっちを見て何か言っているのが見える。
つまり、これは私には知らされていない計画か何かに過ぎないのね。私が勝手を繰り返すから、皆も私に伝えないで実行し始めてしまっているってことね…。
フルクトスが差し出す手を取って私はこれまでの自分の行いを反省した。
リビュアとカエオレウムだと今の時点ではまだリビュアの方が強大だったはずーー戻ってきてからあまり気にしていなかったけど、リビュアとカエオレウムの国力差があと数年でひっくり返るっていうのはこの毒が影響していると考えるのが自然ね。
毒が問題になった事件とかあったかしら。
「シドン、リビュア王にはこの件は報告しているの?」
「もちろんです」
「反応はどうだったの?」
「それは後でお話しましょう…しかし、ルカはまた謹慎させられてしまうとなると話もできませんね」
そうだった。
また謹慎、と思うとさすがに気が重い。アケロンったらゲートを閉じちゃったみたいだし…本当に部屋から出られないとすれば今までとは全然違うでしょうし…
とはいっても自室で過ごせるだけマシかしらね。過去では有無を言わさず投獄からの処刑だったから、それを回避できたと思えば100倍マシね。
なんて思っていると、私の横に戻ってきたアガタが囁く。
「アケロン様と、フルクトス様の魔力が感じられます」
「ここに来ているということ?」
「おそらく」
アガタの言葉を聞いてシドンの顔を見れば、変わらない微笑を浮かべているだけってことは教えてくれる気はないのね。予想するしかないけれど目の前にいるドクトリスこそアケロンなんじゃないかしら。うまく言えないけれど雰囲気とかが似ている気がするもの。でもフルクトスの気配もあるというのがにわかには信じがたいわね。
フルクトスの立場からすれば、王宮に入るなんてあり得ないはず。それなのにフルクトスの気配?
フルクトスが生きていると王宮の人にばれたら、今度こそ幽閉では済まされないじゃない。
「ルカ、入り口の衛兵を見てください」
「衛兵?」
シドンったら急に何なのかしら。私は今いろいろ考えているのにそんなことを言われても困るわ。
衛兵ってあの人よね。王の衛兵に顔見知りはいないから見ても、名前なんてわからないけど……
なんか違和感があるわね。
なんて悠長に思っていると、その衛兵が私の方へ向かってくるではないか。
急に近づいてくる知らない人に驚いて動けなくなっている私に、シドンも周囲の人もアガタでさえも気が付いていない。ほとんど走っているよな衛兵はすぐに私の目の前に来てしまっていた。
「あ、あの…」
「皇女様、失礼いたします」
その声は確かに聞き覚えのある声だわ。
「ふっ!?」
フルクトス様!?と叫びそうになる私をフルクトスはとっさに口をふさぎ、口元に一本指を立ててシィっと言ったのでそのままうなずいて見せる。
「あとはアケロンが何とかしてくれますから、ここから逃げますよ」
何が何だかわからないけれど、私の方を見ているアガタも頷いていて問題視していないようだし、シドンもそれにドクトリスもこっちを見て何か言っているのが見える。
つまり、これは私には知らされていない計画か何かに過ぎないのね。私が勝手を繰り返すから、皆も私に伝えないで実行し始めてしまっているってことね…。
フルクトスが差し出す手を取って私はこれまでの自分の行いを反省した。
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