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やり直す時間
82:2人の女性
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指定された時間となり迎えがやって来るとコラーロが扉を開けて、わざとらしく声を上げた。
「まぁ、コンシンシェン卿?思いも寄らないお出迎えです」
「ーー返す言葉もございません。皇女様には恐縮ですが、私風情がお迎えに上がる無礼をお許しいただけますでしょうか?」
「皇女様はそのようなことでお怒りになる方ではございません。しかし、私としては不満です」
本来であれば迎えに来るべきオケアノスではないことをコラーロは遠回しに非難する。その発言に対し、ニックスは申し訳なさそうに頭を下げていた。実のところ、過去でも予定ではニックスが迎えにくるはずだったのだ。
オケアノスから前日に『明日はニックスのエスコートで開会式に来るように』と言われた私は、バカにされたと感じて抗議し、オケアノスの執務室に自分から乗り込んだ。
すると私には『多忙により迎えに行けない』と連絡してきたオケアノスはサラをエスコートしに行っており、私は誰のエスコートもなく会場に行くこととなったのだ。
そんなみっともない経験から比べれば、ニックスが一緒に行ってくれるだけでも100倍マシだ。むしろ、オケアノスよりもニックスの方が良いとも思える。
「お止めなさいコラーロ。ニックス様のせいではないでしょう?それにこんな祭日であれば、殿下はお忙しいのですよ。ニックス様もお忙しいでしょうに、お迎えいただきありがとうございます」
「とんでもございません。皇女様にはなんとも申し開きもできーー」
お辞儀から顔を上げながら言葉を発していたニックスは顔を上げて私の姿を見た瞬間、言葉を続けられなくなっていた。二三度、瞬きをして私の顔とドレスを何度か往復させると青ざめたような顔をしているではないか。
「皇女様、恐れ多くもお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ええ勿論です。なにか私の装いに不備がございましたか?」
「不備…ええ、不備ですね。皇女様のために本日の祭典用のドレスと装飾品が届いていたかと思いますが…気に入らなかったのでしょうか?」
「ドレスに装飾品…?」
「はい。国王陛下と王妃殿下がご用意された物がございます」
私がわざとらしく首を傾げていると、コラーロが代わりに声を発してくれた。
「コンシンシェン卿、恐れながら発言をお許しください。皇女様へ本日の装いに関するご連絡は私は受けておりません。ですので、皇女様はご自分でカエオレウムでの装いをお考えになり、またその境遇を不憫と思って下さった王太后陛下がご助言をくださった次第です」
「アガタ嬢…それは本当ですか?しかし陛下達は確かに手配を…いや、今そのことを考えても仕方がありませんね。王太后陛下のご助言があれば問題ないでしょう」
ニックスはそう言うと、私の姿を見て改めて口を開くと予定通り私をエスコートし始めた。
穏やかに晴れたお祭り日和の空の下で、私とニックス様、それにコラーロは馬車に乗った。それから会場に着くまで同乗した馬車の中で世間話をいくつかした。
「先ほどは失礼いたしました。余計なことを申し上げてしまいましたが、とても良くお似合いです」
「ありがとうございます。この服は催しで一緒になるセールビエンス様達と揃えておりますのよ」
「エッセ侯爵令嬢と?ーー何をされるのですか?」
「気になりますか?それはそうとニックス様はセールビエンス様と交流はあるのですか?」
「子供の頃はございましたね…私の家と家格も近いのでご一緒させていただくことも多かったのですが、ここ数年は目も合わせていただけなくなりまして…」
「そうなのですねぇ」
そんな会話を30分程続けていると、あっという間に目的地に到着した。すると馬車から先に降りたニックスは丁寧に私に手を差し伸べた。
私がその手を借りて馬車から降りた瞬間、周囲からざわめきの声が上がった。
その反応は当然だろう。皇国から嫁いで来た皇女が王太子ではなくその従者と、しかも紫のドレスを着て出て登場したのだから。
予想通りの言葉が聞こえている、と思っていると、所々で「何故…?」「「テンペスタス子爵令嬢が」と言った単語が聞こえてくる。先にサラ達が到着していたのだろう、と思ってその姿を見ようとすると王妃の叫びに近い声が聞こえた。
「一体どういうことです!!何故、皇女様があんな色を!?」
「オケアノス!!どういうことだ!!」
問題の声がする方へ視線を向ければ、過去と同じように最新の流行の青いドレスを身にまとったサラがいた。そしてオケアノスが彼女をかばうように国王と王妃の間に立って懸命に何かを話している姿が目に映った。想像でしかかないが、過去と同じであればオケアノスは『私が着たがらなかった』と陛下達に伝えているのだろう。
呆れながらも真実を陛下達に伝えられれば一番だけれど、それは無理な話。
何気なくニックスの方をみればニックスもその陛下達の方を嫌悪に満ちた表情で見つめていた。
「ニックス様?」
「皇女様は一度馬車にお戻りください。私が陛下へ状況を報告して参りますので…」
ニックスはそう言うと、私にもう一度手を貸してくれてから丁寧に馬車のドアを閉めてしまった。中に戻った私はコラーロと2人で、窓から見える修羅場を人ごとのように眺めることにした。
「皇女様、オケアノス殿下は頭が弱いのでしょうか?」
「どうかしらね?…それにしてもどうなるか気になるわね。まさか、ここでサラと服を交換しなさいとはならないと思うけど…」
「それは最悪ですね。人が一度袖を通した服を皇女様に着ろなんて言われたら、あの塔を見張っているアガタと私が2人でこの場を地獄の光景に変えます」
「…私もお断りよ。あら、後ろに馬車が来てしまっているわね」
「皇女様が乗っている馬車をどかせられる馬車は現状では限られていると思いますが…ああ、王太后様のようです」
「王太后様!!?過去では一度も開会式にお見えになっていないけど…どうしましょう…どかないと」
王太后様の馬車に立ちふさがったとなれば、また悪評が出てしまう。元の身分がどうであれ、国王よりも王太后の方が身分としては上になるのだから。
御者に急いで動いてもらうように指示を出そうとすると、王太后の馬車は問題ないと言うよう少し手前で止まり、それから御者が1人は王太后の馬車の前に、そしてもう1人は私の馬車の前にやって来たのである。
そして先に王太后が外に出ると、再び周囲にどよめきが起きたのだった。
「まぁ、コンシンシェン卿?思いも寄らないお出迎えです」
「ーー返す言葉もございません。皇女様には恐縮ですが、私風情がお迎えに上がる無礼をお許しいただけますでしょうか?」
「皇女様はそのようなことでお怒りになる方ではございません。しかし、私としては不満です」
本来であれば迎えに来るべきオケアノスではないことをコラーロは遠回しに非難する。その発言に対し、ニックスは申し訳なさそうに頭を下げていた。実のところ、過去でも予定ではニックスが迎えにくるはずだったのだ。
オケアノスから前日に『明日はニックスのエスコートで開会式に来るように』と言われた私は、バカにされたと感じて抗議し、オケアノスの執務室に自分から乗り込んだ。
すると私には『多忙により迎えに行けない』と連絡してきたオケアノスはサラをエスコートしに行っており、私は誰のエスコートもなく会場に行くこととなったのだ。
そんなみっともない経験から比べれば、ニックスが一緒に行ってくれるだけでも100倍マシだ。むしろ、オケアノスよりもニックスの方が良いとも思える。
「お止めなさいコラーロ。ニックス様のせいではないでしょう?それにこんな祭日であれば、殿下はお忙しいのですよ。ニックス様もお忙しいでしょうに、お迎えいただきありがとうございます」
「とんでもございません。皇女様にはなんとも申し開きもできーー」
お辞儀から顔を上げながら言葉を発していたニックスは顔を上げて私の姿を見た瞬間、言葉を続けられなくなっていた。二三度、瞬きをして私の顔とドレスを何度か往復させると青ざめたような顔をしているではないか。
「皇女様、恐れ多くもお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ええ勿論です。なにか私の装いに不備がございましたか?」
「不備…ええ、不備ですね。皇女様のために本日の祭典用のドレスと装飾品が届いていたかと思いますが…気に入らなかったのでしょうか?」
「ドレスに装飾品…?」
「はい。国王陛下と王妃殿下がご用意された物がございます」
私がわざとらしく首を傾げていると、コラーロが代わりに声を発してくれた。
「コンシンシェン卿、恐れながら発言をお許しください。皇女様へ本日の装いに関するご連絡は私は受けておりません。ですので、皇女様はご自分でカエオレウムでの装いをお考えになり、またその境遇を不憫と思って下さった王太后陛下がご助言をくださった次第です」
「アガタ嬢…それは本当ですか?しかし陛下達は確かに手配を…いや、今そのことを考えても仕方がありませんね。王太后陛下のご助言があれば問題ないでしょう」
ニックスはそう言うと、私の姿を見て改めて口を開くと予定通り私をエスコートし始めた。
穏やかに晴れたお祭り日和の空の下で、私とニックス様、それにコラーロは馬車に乗った。それから会場に着くまで同乗した馬車の中で世間話をいくつかした。
「先ほどは失礼いたしました。余計なことを申し上げてしまいましたが、とても良くお似合いです」
「ありがとうございます。この服は催しで一緒になるセールビエンス様達と揃えておりますのよ」
「エッセ侯爵令嬢と?ーー何をされるのですか?」
「気になりますか?それはそうとニックス様はセールビエンス様と交流はあるのですか?」
「子供の頃はございましたね…私の家と家格も近いのでご一緒させていただくことも多かったのですが、ここ数年は目も合わせていただけなくなりまして…」
「そうなのですねぇ」
そんな会話を30分程続けていると、あっという間に目的地に到着した。すると馬車から先に降りたニックスは丁寧に私に手を差し伸べた。
私がその手を借りて馬車から降りた瞬間、周囲からざわめきの声が上がった。
その反応は当然だろう。皇国から嫁いで来た皇女が王太子ではなくその従者と、しかも紫のドレスを着て出て登場したのだから。
予想通りの言葉が聞こえている、と思っていると、所々で「何故…?」「「テンペスタス子爵令嬢が」と言った単語が聞こえてくる。先にサラ達が到着していたのだろう、と思ってその姿を見ようとすると王妃の叫びに近い声が聞こえた。
「一体どういうことです!!何故、皇女様があんな色を!?」
「オケアノス!!どういうことだ!!」
問題の声がする方へ視線を向ければ、過去と同じように最新の流行の青いドレスを身にまとったサラがいた。そしてオケアノスが彼女をかばうように国王と王妃の間に立って懸命に何かを話している姿が目に映った。想像でしかかないが、過去と同じであればオケアノスは『私が着たがらなかった』と陛下達に伝えているのだろう。
呆れながらも真実を陛下達に伝えられれば一番だけれど、それは無理な話。
何気なくニックスの方をみればニックスもその陛下達の方を嫌悪に満ちた表情で見つめていた。
「ニックス様?」
「皇女様は一度馬車にお戻りください。私が陛下へ状況を報告して参りますので…」
ニックスはそう言うと、私にもう一度手を貸してくれてから丁寧に馬車のドアを閉めてしまった。中に戻った私はコラーロと2人で、窓から見える修羅場を人ごとのように眺めることにした。
「皇女様、オケアノス殿下は頭が弱いのでしょうか?」
「どうかしらね?…それにしてもどうなるか気になるわね。まさか、ここでサラと服を交換しなさいとはならないと思うけど…」
「それは最悪ですね。人が一度袖を通した服を皇女様に着ろなんて言われたら、あの塔を見張っているアガタと私が2人でこの場を地獄の光景に変えます」
「…私もお断りよ。あら、後ろに馬車が来てしまっているわね」
「皇女様が乗っている馬車をどかせられる馬車は現状では限られていると思いますが…ああ、王太后様のようです」
「王太后様!!?過去では一度も開会式にお見えになっていないけど…どうしましょう…どかないと」
王太后様の馬車に立ちふさがったとなれば、また悪評が出てしまう。元の身分がどうであれ、国王よりも王太后の方が身分としては上になるのだから。
御者に急いで動いてもらうように指示を出そうとすると、王太后の馬車は問題ないと言うよう少し手前で止まり、それから御者が1人は王太后の馬車の前に、そしてもう1人は私の馬車の前にやって来たのである。
そして先に王太后が外に出ると、再び周囲にどよめきが起きたのだった。
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