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知らない時間
75:曖昧な記憶
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ドゥ伯爵との接点、ひらめいたわ!
「ほら、私のマナーはドゥ伯爵夫人が教えて下さったでしょう?そして夫人と雑談をした時に、私が大衆紙が好きだと言う話をしたのです」
「そう言えば皇女様とお会いした際にドゥ伯爵夫人もご一緒でしたわね。ーー大衆紙ですか?」
「はい。あまり大声で言ってはいけないようなのでここだけの話にしてくださいね。私は『ムンドゥス』という大衆紙の連載小説やコラムが好きでして、それを夫人がドゥ伯爵にお伝えしたところ、伯爵はお仕事柄バックナンバーを持っていらっしゃると私に貸して下さって交流ができたところです」
「まぁぁ・・・そうでしたの。実は私も時折読みますのよ!ムンドゥスの今回のコラムは皇女様のことを書いていましたが、あの筆者にしたら好意的な書き方と思いましたわ!」
「あれでですか?ーーそれにしても凄い情報網と感心していたところだったのです。」
嘘と本当を織り交ぜた話をすると、セールビエンスは引かないでいてくれるどころか彼女も読者であると教えてくれた。これは話が早い。
「コラムにもありましたが、お断りされたと言うのは本当ですか?」
「さすがにそこは尾ひれです。連絡の行き違いがあり、皆さんの集まりに行けなかったので救民祭での催しをどうしようかと思っている所です」
「行き違いがあるなんて、連絡係はどなただったのでしょうね?エッセ侯爵家の所にもそのような謝罪のお手紙が届いておりましたわ」
「ではセールビエンス様もお一人なのですか?」
「ええ、親戚筋の令嬢を誘おうかとも思っていましたが、何をするかも決まっていませんしね」
「でしたら私とご一緒になにかしませんか?」
「!よろしいのですか!!勿論です!!ああ、でも2人ではあまり大掛かりなことは出来ませんねぇ、とりあえず私の親戚に2名参加資格のある令嬢がいますので、声をかけてみましょうか。…私以上に表に出るのが嫌いな子ですから、あまりお役に立てないかもしれませんが…」
エッセ侯爵家の令嬢であるセールビエンスや、その親戚までもが目立つことが嫌いなんて、高位貴族の令嬢がこれほど引っ込み思案になる理由があっても良さそうね。こんな状況だから、サラ達の新興貴族組が勢力を伸ばせているんじゃないかしら。
都合良すぎるような気もするけど、今はそれを考えている暇はなさそうね。
「とんでもないです!私独りでどうしようと思っていた所ですので…ですが、セールビエンス様のご親戚は私のような者と一緒なことを嫌がりませんか?」
「それこそとんでもございませんよ!嫌がるなんて!」
「私は『あまり評判がよろしくない』でしょう?」
「ああ、その点は私どもの家門では一切心配ございませんよ。それに親戚は自分が見たことしか信じないタイプなので」
「良かった。では何をするかの候補だけでも考えましょうか?」
そう言うと、セールビエンスは困ったような顔をして悩み始めてしまう。
「私も昨年初めて催しをしたのであまり慣れてはいないのです…それに親戚は今年初めてなので、ルサルカ様のお役に立てるか…」
ああ、そういうこと。それなら大丈夫よ。私は今回が10回目だから!!
でも確かに初めて参加する時とか初めは緊張したっけ。そういえば、1回目の救民祭って…大騒ぎがあった記憶があるわ。
完全に忘れていたけど、私あの時も命を狙われかけたじゃない!
何で忘れていたのかしら。
「・・・ルサルカ様?やはり私では力不足でしょうか?」
「いえいえ!きっと大丈夫よ!やってみましょう。ちなみに昨年は何をされたのですか?」
「救国の聖女の格好をしたサラ様に花吹雪を降らせる係をいたしました」
「…それだけ?」
「ええ、私はあまり要領が良くなくて、ダンスも皆さんに合わせられなかったので…」
「だからといってーー、いいわ。過ぎたことを言っても仕方がないですよね。ではダンスは止めましょう!歌は先日の陛下のパーティでやってしまいましたし、楽器というのも似たようで面白みがないですよね」
出来るならついでに自分の身を守れるようなことがベストね。
「セールビエンス様、催しでやってはいけないことってありますの?」
「やってはいけないこと?ないと思います」
「ちなみに運動はお得意ですか?」
「え、はい。昨年のダンスでは皆さんと合わせられませんでしたけど、体を動かすことは好きです!」
「ご親戚の方は?」
「クイエテは…、ああ、親戚はクイエテ・デークィスともうしまして辺境伯の家の出身です。ですから狩り等は得意ですよ!」
「素晴らしいです!では是非デークィス辺境伯令嬢にもお誘いをお願いします!」
「何をするおつもりですか?」
「馬に乗りましょう!!」
「ほら、私のマナーはドゥ伯爵夫人が教えて下さったでしょう?そして夫人と雑談をした時に、私が大衆紙が好きだと言う話をしたのです」
「そう言えば皇女様とお会いした際にドゥ伯爵夫人もご一緒でしたわね。ーー大衆紙ですか?」
「はい。あまり大声で言ってはいけないようなのでここだけの話にしてくださいね。私は『ムンドゥス』という大衆紙の連載小説やコラムが好きでして、それを夫人がドゥ伯爵にお伝えしたところ、伯爵はお仕事柄バックナンバーを持っていらっしゃると私に貸して下さって交流ができたところです」
「まぁぁ・・・そうでしたの。実は私も時折読みますのよ!ムンドゥスの今回のコラムは皇女様のことを書いていましたが、あの筆者にしたら好意的な書き方と思いましたわ!」
「あれでですか?ーーそれにしても凄い情報網と感心していたところだったのです。」
嘘と本当を織り交ぜた話をすると、セールビエンスは引かないでいてくれるどころか彼女も読者であると教えてくれた。これは話が早い。
「コラムにもありましたが、お断りされたと言うのは本当ですか?」
「さすがにそこは尾ひれです。連絡の行き違いがあり、皆さんの集まりに行けなかったので救民祭での催しをどうしようかと思っている所です」
「行き違いがあるなんて、連絡係はどなただったのでしょうね?エッセ侯爵家の所にもそのような謝罪のお手紙が届いておりましたわ」
「ではセールビエンス様もお一人なのですか?」
「ええ、親戚筋の令嬢を誘おうかとも思っていましたが、何をするかも決まっていませんしね」
「でしたら私とご一緒になにかしませんか?」
「!よろしいのですか!!勿論です!!ああ、でも2人ではあまり大掛かりなことは出来ませんねぇ、とりあえず私の親戚に2名参加資格のある令嬢がいますので、声をかけてみましょうか。…私以上に表に出るのが嫌いな子ですから、あまりお役に立てないかもしれませんが…」
エッセ侯爵家の令嬢であるセールビエンスや、その親戚までもが目立つことが嫌いなんて、高位貴族の令嬢がこれほど引っ込み思案になる理由があっても良さそうね。こんな状況だから、サラ達の新興貴族組が勢力を伸ばせているんじゃないかしら。
都合良すぎるような気もするけど、今はそれを考えている暇はなさそうね。
「とんでもないです!私独りでどうしようと思っていた所ですので…ですが、セールビエンス様のご親戚は私のような者と一緒なことを嫌がりませんか?」
「それこそとんでもございませんよ!嫌がるなんて!」
「私は『あまり評判がよろしくない』でしょう?」
「ああ、その点は私どもの家門では一切心配ございませんよ。それに親戚は自分が見たことしか信じないタイプなので」
「良かった。では何をするかの候補だけでも考えましょうか?」
そう言うと、セールビエンスは困ったような顔をして悩み始めてしまう。
「私も昨年初めて催しをしたのであまり慣れてはいないのです…それに親戚は今年初めてなので、ルサルカ様のお役に立てるか…」
ああ、そういうこと。それなら大丈夫よ。私は今回が10回目だから!!
でも確かに初めて参加する時とか初めは緊張したっけ。そういえば、1回目の救民祭って…大騒ぎがあった記憶があるわ。
完全に忘れていたけど、私あの時も命を狙われかけたじゃない!
何で忘れていたのかしら。
「・・・ルサルカ様?やはり私では力不足でしょうか?」
「いえいえ!きっと大丈夫よ!やってみましょう。ちなみに昨年は何をされたのですか?」
「救国の聖女の格好をしたサラ様に花吹雪を降らせる係をいたしました」
「…それだけ?」
「ええ、私はあまり要領が良くなくて、ダンスも皆さんに合わせられなかったので…」
「だからといってーー、いいわ。過ぎたことを言っても仕方がないですよね。ではダンスは止めましょう!歌は先日の陛下のパーティでやってしまいましたし、楽器というのも似たようで面白みがないですよね」
出来るならついでに自分の身を守れるようなことがベストね。
「セールビエンス様、催しでやってはいけないことってありますの?」
「やってはいけないこと?ないと思います」
「ちなみに運動はお得意ですか?」
「え、はい。昨年のダンスでは皆さんと合わせられませんでしたけど、体を動かすことは好きです!」
「ご親戚の方は?」
「クイエテは…、ああ、親戚はクイエテ・デークィスともうしまして辺境伯の家の出身です。ですから狩り等は得意ですよ!」
「素晴らしいです!では是非デークィス辺境伯令嬢にもお誘いをお願いします!」
「何をするおつもりですか?」
「馬に乗りましょう!!」
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