165 / 200
魔界奮闘
天馬挺防衛戦
しおりを挟む
しばらくすると、様子を見に行っていたアスターシアが戻ってきた。その顔は少し焦っているようにも見える。
「まずいですわ。ガーヴィルの大群に囲まれてしまっていますの。今、アズラヴィルとリリスが追い払ってますけど、数が多すぎて少し危険かもしれないですわ」
それを聞いたマゴイットが険しい顔で発言する。
「魔鳥ガーヴィルやて・・地上でなら問題ないかもしれへんけど、こんな空の上で大群に囲まれたらやばいんとちゃうか」
「そうですね・・このまま天馬挺を落とされたらたまりません。私たちも迎撃に参加しましょう」
そんなリンスの呼びかけで、俺たちもガーヴィルとの戦いに加わることになった。
「空飛べる者は、扉から外に出て参戦してください。それ以外は天井に登って遠距離攻撃で対応しましょう」
残りのメンバーで空を飛べるのは、アスターシアくらいと思っていたのだけど、カリスとアテナにも飛行能力が備わっているらしい。俺もフライを使えば飛べなくはないんだけど、飛べると言うより浮いているレベルなのでこの戦いでは役に立ちそうになかった。
扉を開いて、アスターシアとカリス、アテナが船外に飛び出す。天馬を操っているポーズと、回復要員であるメイルを除いた他のメンバーは、天井へと続く扉から上に上がっていった。
天馬挺の上は強風が吹き荒れていて、油断すると吹き飛ばされそうであった。みんな上に上がってくると出っ張りにつかまり、態勢を低くして、慎重に移動する。
上を見上げると、空を埋め尽くすくらいの大きな黒い鳥が飛行していた。それがガーヴィルの大群の姿であった。
上空では光や炎が所々で閃いている。おそらくアズラヴィルたちが戦っているのであろう。俺たちは、天馬挺に近づいてきたガーヴィルを遠距離攻撃で撃墜していく。油断すると、攻撃を放った時に、そのまま風で吹き飛ばされそうになるのでヒヤヒヤものである。
たしかにガーヴィルの数は多いが、こちらには強力な遠距離攻撃を打てるメンバーが揃っているので、黒鳥の群れを天馬挺に寄せ付けることはなかった。そんな時、上空で激しい爆発が起こった。その爆風を食らったガーヴィルが、パラパラと大量に落ちてくる。おそらくアズラヴィルかリリスの大技が炸裂したのであろう、一気に敵の数を射ち減らす。
しかし、その爆発は、思わぬピンチを招いた。爆発の音とエネルギーに誘われたのか、魔界に住む他の魔物も集まってきたのである。その中にはガーヴィルを大幅に上回る戦闘力の魔物も含まれていた。
「これは厄介じゃな、魔竜や邪飛凰《じゃひおう》も近寄ってきたぞ」
「う・・すまない・・僕の攻撃で引き寄せたみたいだね・・」
「気にしてても仕方いぞな、あれもまとめて片付ければよかろう」
「そうだね・・ちょっと本気で暴れてみようかな」
真剣な顔つきになったアズラヴィルは、魔力を集中する。その強烈なオーラに、さすがのリリスも身震いが走る。
「でっかいのが近づいてきたでぇ、アルティ、ええ感じのぶっ放してえや」
「わかったからちょっと離れなさいよ」
アルティにしがみ付いて離れないマゴイットに冷たくそう言う。
「うるさいわ。うちが高いとこダメなの知っとるやろう」
「じゃあ、どうして出てきたのよ。そんなのじゃ役に立たないから船内に戻ってよ」
「そんなんしたら、逃げてるみたいでかっこ悪いやんか」
「震えながら人にしがみ付いてる方がかっこ悪いでしょうが! それよりあんた飛行の魔法が使えなかったけ?」
「ウイングのことか? あれは低空しか飛べへんよ。この高さじゃ真っ逆さまや」
「・・・・何よそれ」
呆れたアルティはマゴイットを無視して攻撃魔法の詠唱に入った。
カリスは高速で飛行しながら敵を蹴りと拳で殲滅していった。彼女は自分ではそれほど戦闘を得意としているとは思っていなかった。しかし、実際にはその戦闘センスはかなりのもので、高水準のパワーとスピードよりも、その攻撃技術の方が遥かに高いものであった。彼女の後ろから高速飛行してきたモンスターの気配を素早く察知すると、最小限の動作でそれを避ける。そして少ないモーションで放たれた手刀で、そのモンスターの首を落とした。
「すまねえだ・・これもご主人様を守る為だ、成仏してくんろ」
カリスは首を落とされてクルクルと回りながら落ちていくモンスターにそう語りかけた。
アテナの手から放たれたレーザーは無数に分かれて、敵を追尾していく。そして正確に敵の胸を貫いて撃ち落としていた。魔力反応のない、その強力なエネルギーの攻撃に、魔界のモンスター達は為す術がなかった。さすがに得体の知れないその存在に恐怖を感じているのか、アテナの周りから離れていく。しかし、マスターの紋次郎からアテナへ与えられた任務は敵の一掃である、そんな逃げるモンスターも見逃すはずもなく、高速飛行で近づいては、強力なレーザーで無慈悲に殲滅していった。
「まずいですわ。ガーヴィルの大群に囲まれてしまっていますの。今、アズラヴィルとリリスが追い払ってますけど、数が多すぎて少し危険かもしれないですわ」
それを聞いたマゴイットが険しい顔で発言する。
「魔鳥ガーヴィルやて・・地上でなら問題ないかもしれへんけど、こんな空の上で大群に囲まれたらやばいんとちゃうか」
「そうですね・・このまま天馬挺を落とされたらたまりません。私たちも迎撃に参加しましょう」
そんなリンスの呼びかけで、俺たちもガーヴィルとの戦いに加わることになった。
「空飛べる者は、扉から外に出て参戦してください。それ以外は天井に登って遠距離攻撃で対応しましょう」
残りのメンバーで空を飛べるのは、アスターシアくらいと思っていたのだけど、カリスとアテナにも飛行能力が備わっているらしい。俺もフライを使えば飛べなくはないんだけど、飛べると言うより浮いているレベルなのでこの戦いでは役に立ちそうになかった。
扉を開いて、アスターシアとカリス、アテナが船外に飛び出す。天馬を操っているポーズと、回復要員であるメイルを除いた他のメンバーは、天井へと続く扉から上に上がっていった。
天馬挺の上は強風が吹き荒れていて、油断すると吹き飛ばされそうであった。みんな上に上がってくると出っ張りにつかまり、態勢を低くして、慎重に移動する。
上を見上げると、空を埋め尽くすくらいの大きな黒い鳥が飛行していた。それがガーヴィルの大群の姿であった。
上空では光や炎が所々で閃いている。おそらくアズラヴィルたちが戦っているのであろう。俺たちは、天馬挺に近づいてきたガーヴィルを遠距離攻撃で撃墜していく。油断すると、攻撃を放った時に、そのまま風で吹き飛ばされそうになるのでヒヤヒヤものである。
たしかにガーヴィルの数は多いが、こちらには強力な遠距離攻撃を打てるメンバーが揃っているので、黒鳥の群れを天馬挺に寄せ付けることはなかった。そんな時、上空で激しい爆発が起こった。その爆風を食らったガーヴィルが、パラパラと大量に落ちてくる。おそらくアズラヴィルかリリスの大技が炸裂したのであろう、一気に敵の数を射ち減らす。
しかし、その爆発は、思わぬピンチを招いた。爆発の音とエネルギーに誘われたのか、魔界に住む他の魔物も集まってきたのである。その中にはガーヴィルを大幅に上回る戦闘力の魔物も含まれていた。
「これは厄介じゃな、魔竜や邪飛凰《じゃひおう》も近寄ってきたぞ」
「う・・すまない・・僕の攻撃で引き寄せたみたいだね・・」
「気にしてても仕方いぞな、あれもまとめて片付ければよかろう」
「そうだね・・ちょっと本気で暴れてみようかな」
真剣な顔つきになったアズラヴィルは、魔力を集中する。その強烈なオーラに、さすがのリリスも身震いが走る。
「でっかいのが近づいてきたでぇ、アルティ、ええ感じのぶっ放してえや」
「わかったからちょっと離れなさいよ」
アルティにしがみ付いて離れないマゴイットに冷たくそう言う。
「うるさいわ。うちが高いとこダメなの知っとるやろう」
「じゃあ、どうして出てきたのよ。そんなのじゃ役に立たないから船内に戻ってよ」
「そんなんしたら、逃げてるみたいでかっこ悪いやんか」
「震えながら人にしがみ付いてる方がかっこ悪いでしょうが! それよりあんた飛行の魔法が使えなかったけ?」
「ウイングのことか? あれは低空しか飛べへんよ。この高さじゃ真っ逆さまや」
「・・・・何よそれ」
呆れたアルティはマゴイットを無視して攻撃魔法の詠唱に入った。
カリスは高速で飛行しながら敵を蹴りと拳で殲滅していった。彼女は自分ではそれほど戦闘を得意としているとは思っていなかった。しかし、実際にはその戦闘センスはかなりのもので、高水準のパワーとスピードよりも、その攻撃技術の方が遥かに高いものであった。彼女の後ろから高速飛行してきたモンスターの気配を素早く察知すると、最小限の動作でそれを避ける。そして少ないモーションで放たれた手刀で、そのモンスターの首を落とした。
「すまねえだ・・これもご主人様を守る為だ、成仏してくんろ」
カリスは首を落とされてクルクルと回りながら落ちていくモンスターにそう語りかけた。
アテナの手から放たれたレーザーは無数に分かれて、敵を追尾していく。そして正確に敵の胸を貫いて撃ち落としていた。魔力反応のない、その強力なエネルギーの攻撃に、魔界のモンスター達は為す術がなかった。さすがに得体の知れないその存在に恐怖を感じているのか、アテナの周りから離れていく。しかし、マスターの紋次郎からアテナへ与えられた任務は敵の一掃である、そんな逃げるモンスターも見逃すはずもなく、高速飛行で近づいては、強力なレーザーで無慈悲に殲滅していった。
0
お気に入りに追加
179
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる