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ダンジョンウォー
氷結龍と幼きドラゴン
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戦いが始まるとすぐに、ルチャダは得意の空間魔法を使用した。それはある人物をこの場から移動させるものであった。それは以前の戦いで、英雄級冒険者5名を含む精鋭パーティーを全滅させた者、幼き竜の少女を対象にしていた。またあの強力な召喚魔法を使われたら同じ轍を踏むことになる。
リュヴァの周りに黒い靄のような物が現れる、それは彼女にまとわりつき広がっていく。やがて全てを包み込むと、その靄ごと彼女の姿が消えた。
「リュヴァ!」
その声はもう彼女には届かなかった。彼女はそこから数キロ離れた場所に飛ばされていたのである。
黒いものに阻まれていて、視界が塞がれていたが、それが徐々に解けていく。完全に晴れたその視界の先には、巨大な龍が待ちかまえていた。リュヴァは知らないその龍に話しかける。
「おじさん・・誰?」
巨大なその龍は、幼き竜の子のその問いに答える。
「ふっ・・・龍神王の子か・・・わしはエミロ様の四天の一つ氷結龍・・・魔龍帝の眷属だ・・その意味がわかるな」
龍神王と双璧をなす、龍の王、それが魔龍帝であった。父と魔龍帝は敵である、お互いのその存在を認めることもなく、長年争いを続けていた。その眷属ということは自分にとってもこの者は敵ということであった。幼きリュヴァにもそれは理解できた。
リュヴァはすぐに竜の杖を物質化する。それを構えて龍王召喚を使用しようとした。だが、それは同族である氷結龍には通用しなかった。周りに何かしらのフィールドが展開する。それは空間系の魔法を封じるものであった。
「誰を呼ぼうとしたのだ、親父にでも泣き付こうとしたのか・・・まあ、そう焦るな、お前の首を取ったら、それを親父に送りつけてやるから、それで親子の再会を果たせば良い」
リュヴァは杖を振りかざして、虹色の衝撃波を放った。氷結龍は氷の塊を出現させ、それでその衝撃波を受ける。氷は砕け散るが、その衝撃波は氷結龍まで届かない。氷結龍は挨拶代わりか、冷気の波動を放つ、強い冷気がリュヴァを襲う。彼女は杖を前に構えて丸いシールドを出現させて、その攻撃を防いだ。シールドと冷気がぶつかり、細かい光の粒が飛び散る。
召喚が使えないとなると、リュヴァの攻撃パターンは多くはなかった。しかも、目の前の強敵に通用する攻撃となると、とっておきである一つの攻撃しか思いつかなかった。だが、この技には懸念点があった。それは命中精度が悪いことである。しかも技を放った後の隙が大きいことから、攻撃を外してしまうとそれは絶体絶命のピンチとなる。それでも現状はその攻撃に頼るしかないとリュヴァは思っていた。
リュヴァは衝撃波を繰り出しなが、大技である一撃を狙うタイミングを待った。素早く移動しながら細かく攻撃を繰り返す。氷結龍はそんなリュヴァの行動を、何か意図があると気がついていた。なので大きな攻撃をせずに、隙を作らなかった。
しばらく、お互いに強力な攻撃はせずに小競り合いが続いた。最初に痺れを切らしたのは氷結龍の方であった。氷結龍は息を大きく吸い込む、氷に覆われた体が白く輝き、そして一気に口から光る氷の結晶を吹き出す。それは氷結龍最大の大技であるダイヤモンドブレスであった。その冷気は触れる空気を凍らせながらリュヴァに襲いかかる。回避することによって、攻撃範囲の広いその技から逃れられるか微妙であった。リュヴァはシールドを前方に展開させて、それでダイヤモンドブレスを受けながら、横に移動して滑らせるように回避した。戦いの経験の浅い幼いドラゴンに、そんな戦い方ができるとは予想していなかった氷結龍は、少し驚いた。だが、経験値の高い成人の龍にも知恵はある。リュヴァの回避後の体勢が崩れているのを見ると、すぐに追撃の攻撃を繰り出した。それは大きな尻尾による物理攻撃であり、強力な攻撃力を持つ一撃であった。
リュヴァはこれを待っていた。実は体勢を崩しているよに見せていただけで、完全なる隙を生む攻撃を誘い込んだのである。尻尾の攻撃を高くジャンプして避ける。そして同時に捨て身の大技を準備していた。
「火炎龍爆撃飛攻《アグニドラゴン・スカイハイ》!!」
その瞬間、氷結龍はニヤリと笑みをこぼしていた。幼きドラゴンが、こちらの隙を作らそうとしていたのは読んでいた。だからこそ隙が見え見えの尻尾での攻撃などを繰り出したのである。すべてリュヴァがこの捨て身の攻撃をしてくるこの瞬間の為であった。威力は絶大であるが、直線的で、明らかに攻撃後が隙だらけとなるその攻撃を見て、氷結龍は勝利を確信していた。
リュヴァの周りに黒い靄のような物が現れる、それは彼女にまとわりつき広がっていく。やがて全てを包み込むと、その靄ごと彼女の姿が消えた。
「リュヴァ!」
その声はもう彼女には届かなかった。彼女はそこから数キロ離れた場所に飛ばされていたのである。
黒いものに阻まれていて、視界が塞がれていたが、それが徐々に解けていく。完全に晴れたその視界の先には、巨大な龍が待ちかまえていた。リュヴァは知らないその龍に話しかける。
「おじさん・・誰?」
巨大なその龍は、幼き竜の子のその問いに答える。
「ふっ・・・龍神王の子か・・・わしはエミロ様の四天の一つ氷結龍・・・魔龍帝の眷属だ・・その意味がわかるな」
龍神王と双璧をなす、龍の王、それが魔龍帝であった。父と魔龍帝は敵である、お互いのその存在を認めることもなく、長年争いを続けていた。その眷属ということは自分にとってもこの者は敵ということであった。幼きリュヴァにもそれは理解できた。
リュヴァはすぐに竜の杖を物質化する。それを構えて龍王召喚を使用しようとした。だが、それは同族である氷結龍には通用しなかった。周りに何かしらのフィールドが展開する。それは空間系の魔法を封じるものであった。
「誰を呼ぼうとしたのだ、親父にでも泣き付こうとしたのか・・・まあ、そう焦るな、お前の首を取ったら、それを親父に送りつけてやるから、それで親子の再会を果たせば良い」
リュヴァは杖を振りかざして、虹色の衝撃波を放った。氷結龍は氷の塊を出現させ、それでその衝撃波を受ける。氷は砕け散るが、その衝撃波は氷結龍まで届かない。氷結龍は挨拶代わりか、冷気の波動を放つ、強い冷気がリュヴァを襲う。彼女は杖を前に構えて丸いシールドを出現させて、その攻撃を防いだ。シールドと冷気がぶつかり、細かい光の粒が飛び散る。
召喚が使えないとなると、リュヴァの攻撃パターンは多くはなかった。しかも、目の前の強敵に通用する攻撃となると、とっておきである一つの攻撃しか思いつかなかった。だが、この技には懸念点があった。それは命中精度が悪いことである。しかも技を放った後の隙が大きいことから、攻撃を外してしまうとそれは絶体絶命のピンチとなる。それでも現状はその攻撃に頼るしかないとリュヴァは思っていた。
リュヴァは衝撃波を繰り出しなが、大技である一撃を狙うタイミングを待った。素早く移動しながら細かく攻撃を繰り返す。氷結龍はそんなリュヴァの行動を、何か意図があると気がついていた。なので大きな攻撃をせずに、隙を作らなかった。
しばらく、お互いに強力な攻撃はせずに小競り合いが続いた。最初に痺れを切らしたのは氷結龍の方であった。氷結龍は息を大きく吸い込む、氷に覆われた体が白く輝き、そして一気に口から光る氷の結晶を吹き出す。それは氷結龍最大の大技であるダイヤモンドブレスであった。その冷気は触れる空気を凍らせながらリュヴァに襲いかかる。回避することによって、攻撃範囲の広いその技から逃れられるか微妙であった。リュヴァはシールドを前方に展開させて、それでダイヤモンドブレスを受けながら、横に移動して滑らせるように回避した。戦いの経験の浅い幼いドラゴンに、そんな戦い方ができるとは予想していなかった氷結龍は、少し驚いた。だが、経験値の高い成人の龍にも知恵はある。リュヴァの回避後の体勢が崩れているのを見ると、すぐに追撃の攻撃を繰り出した。それは大きな尻尾による物理攻撃であり、強力な攻撃力を持つ一撃であった。
リュヴァはこれを待っていた。実は体勢を崩しているよに見せていただけで、完全なる隙を生む攻撃を誘い込んだのである。尻尾の攻撃を高くジャンプして避ける。そして同時に捨て身の大技を準備していた。
「火炎龍爆撃飛攻《アグニドラゴン・スカイハイ》!!」
その瞬間、氷結龍はニヤリと笑みをこぼしていた。幼きドラゴンが、こちらの隙を作らそうとしていたのは読んでいた。だからこそ隙が見え見えの尻尾での攻撃などを繰り出したのである。すべてリュヴァがこの捨て身の攻撃をしてくるこの瞬間の為であった。威力は絶大であるが、直線的で、明らかに攻撃後が隙だらけとなるその攻撃を見て、氷結龍は勝利を確信していた。
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