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ダンジョンウォー
戦争前夜
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とある街の広場に、大勢の冒険者が集まっていた。少し冒険者のことを知っている人間が見れば、そこに集まっている連中が尋常ではない面子であることに気がついただろう。その集まりの中で、一人の冒険者が自分の待遇について不満を漏らしていた。その深緑の軽装鎧に身を包んだ男が、漆黒のローブに身を包んだ男に、今の状況への不信感を語り始める。
「信じられんよ、レベル140の俺がパーティーリーダーにもなれんとは・・・何なんだこの面子は」
「あの千風のエルロイが下っ端扱いだからな、これは何かの笑い話か」
「炎手のガズンもだろう。見ろよ・・あそこに集まっている連中、雷王ベリヒト、風切りのルダナ、天眼のアゾルテ、死鬼のルチャダ、聖華ルイーナ・・英雄級が五人だぞ・・普通じゃないだろうこれは」
「ダンジョンウォーの傭兵って話だったけど、なんか裏があるのかもな、まあ、俺は金さえ貰えればいいんだけどな」
この後、聖華ルイーナから、集まった冒険者たちに、編成や攻略手順なのどの説明がされて、さらにその裏とやらの存在に確信を持ってきた。
「5パーティー編成ってのはいいんだが、攻略するダンジョンは6つあるんだろう、これだけの戦力だ、どうせなら6パーティーに編成して、一気に攻略すればいいと思うが・・」
「最後に全パーティーで攻略する予定のダンジョンの難易度が、異常に高いってことだろう」
「この面子、全ての冒険者で挑まないといけない場所にしては聞いたこともないダンジョンだがな・・」
「そうだな・・確かに何かあるとしか思えんが・・」
中級攻略レベルのダンジョン6つに対して、英雄級冒険者5名を含む150名にも及ぶ大冒険者団・・尋常ではないその体制に、参加している冒険者の中には、不審な感情を持つものも少なくなかった。
★
「テスト、テスト、みんな僕の声が聞こえるかい?」
「こちら紋次郎、聞こえるよニャン太」
「アルティも聞こえています、どうぞ」
「はいはい、ポーズだ、こっちも聞こえてるよ」
「デナトスです。聞こえてるわよ」
戦いの開始の前日、俺たちは敵のダンジョン攻略に向けて、すでに持ち場のダンジョン近くで待機していた。ランティークさんに借りた魔道具、4組ある言霊宝玉の組みの一つを、各パーティー一個ずつ持って、組みのもう一つを事務所に置いていた。今回戦いには参加できないニャン太が、その言霊宝玉4つを目の前に置き、事務所で全パーティーの取りまとめをしている。事務所には他にランティークさんの秘書のルアッカさんも待機していて、ランティークとの連絡もできるようになっていた。
「ルアッカ、ランティークとも連絡取れているのかい?」
「はい、ニャン太さん、こちらも問題ありません」
「それじゃー紋次郎、明日の10時から開始だからね、それまでは敵のダンジョンに入場しちゃあダメだよ」
「わかってるよニャン太、ちゃんと時計を見て動くから」
「今日はみんなゆっくり休むんだよ。体を冷やさないようにね」
「意外に心配性だなあ、ニャンころ」
「ポーズ、僕はニャン太であって、ニャンころではないぞ」
「そんなのどっちでもいいじゃねえか」
「よくないよ、ニャン太は紋次郎がつけてくれた大事な名前だから」
「・・・ふん、まあ、いいわ」
ニャン太がその名前を気に入ってくれているのは意外ではあるけど、それを大事に思ってくれてるのがすごく嬉しかった。
紋次郎のパーティーは、最初に攻略する予定のダンジョンの、すぐ近くの河原でキャンプをしていた。ここはランティークのパーティーの一つとの待ち合わせ場所でもあった。
「リンス、その鍋を取って」
火に鍋をかけて、あらかじめ切っていた食材をその鍋に放り込む。リンスは先ほど取ってきた野ウサギを丁寧に捌いた。それを木の枝に刺し、火の近くに置いてじっくり焼いていく。香ばしい肉の焼けるいい匂いがしてくる。その肉が絶妙な食べごろになった時に、ランティークのパーティーがその場所へと到着した。
「どうも、紋次郎さんのパーティーの方ですか」
「ああ、どうも、俺が紋次郎です」
「おお、初めまして、自分はランティークダンジョン会のクロノスと言います」
「どうもよろしくです。まあ、肉が食べごろになりましたので、これでも食べながら話をしましょう」
「これはこれは・・丁度空腹で倒れる寸前でしたので、遠慮なくいただきます」
クロノスさんは、爽やかな笑顔の似合う好青年といった感じの人物で、パルチザンと呼ばれる槍を武器に戦う戦士であった。彼の率いているパーティーはクロノスさんを入れて五人、みんな上級冒険者以上の実力者であった。
話を聞くと、ランティークさんの用意した冒険者はみんな上級冒険者以上のようで、他のパーティーでも攻略に期待が持てる。中でもクロノスさんを含めたリーダー格の冒険者五人はレベル110オーバーの最上級冒険者で、戦力としてかなり頼りになりそうであった。
俺たちは食事を終えると、戦いに備えて休むことにした。明日からは激しい戦いが予想される。今はしばしの休息を堪能するだけであった。
「信じられんよ、レベル140の俺がパーティーリーダーにもなれんとは・・・何なんだこの面子は」
「あの千風のエルロイが下っ端扱いだからな、これは何かの笑い話か」
「炎手のガズンもだろう。見ろよ・・あそこに集まっている連中、雷王ベリヒト、風切りのルダナ、天眼のアゾルテ、死鬼のルチャダ、聖華ルイーナ・・英雄級が五人だぞ・・普通じゃないだろうこれは」
「ダンジョンウォーの傭兵って話だったけど、なんか裏があるのかもな、まあ、俺は金さえ貰えればいいんだけどな」
この後、聖華ルイーナから、集まった冒険者たちに、編成や攻略手順なのどの説明がされて、さらにその裏とやらの存在に確信を持ってきた。
「5パーティー編成ってのはいいんだが、攻略するダンジョンは6つあるんだろう、これだけの戦力だ、どうせなら6パーティーに編成して、一気に攻略すればいいと思うが・・」
「最後に全パーティーで攻略する予定のダンジョンの難易度が、異常に高いってことだろう」
「この面子、全ての冒険者で挑まないといけない場所にしては聞いたこともないダンジョンだがな・・」
「そうだな・・確かに何かあるとしか思えんが・・」
中級攻略レベルのダンジョン6つに対して、英雄級冒険者5名を含む150名にも及ぶ大冒険者団・・尋常ではないその体制に、参加している冒険者の中には、不審な感情を持つものも少なくなかった。
★
「テスト、テスト、みんな僕の声が聞こえるかい?」
「こちら紋次郎、聞こえるよニャン太」
「アルティも聞こえています、どうぞ」
「はいはい、ポーズだ、こっちも聞こえてるよ」
「デナトスです。聞こえてるわよ」
戦いの開始の前日、俺たちは敵のダンジョン攻略に向けて、すでに持ち場のダンジョン近くで待機していた。ランティークさんに借りた魔道具、4組ある言霊宝玉の組みの一つを、各パーティー一個ずつ持って、組みのもう一つを事務所に置いていた。今回戦いには参加できないニャン太が、その言霊宝玉4つを目の前に置き、事務所で全パーティーの取りまとめをしている。事務所には他にランティークさんの秘書のルアッカさんも待機していて、ランティークとの連絡もできるようになっていた。
「ルアッカ、ランティークとも連絡取れているのかい?」
「はい、ニャン太さん、こちらも問題ありません」
「それじゃー紋次郎、明日の10時から開始だからね、それまでは敵のダンジョンに入場しちゃあダメだよ」
「わかってるよニャン太、ちゃんと時計を見て動くから」
「今日はみんなゆっくり休むんだよ。体を冷やさないようにね」
「意外に心配性だなあ、ニャンころ」
「ポーズ、僕はニャン太であって、ニャンころではないぞ」
「そんなのどっちでもいいじゃねえか」
「よくないよ、ニャン太は紋次郎がつけてくれた大事な名前だから」
「・・・ふん、まあ、いいわ」
ニャン太がその名前を気に入ってくれているのは意外ではあるけど、それを大事に思ってくれてるのがすごく嬉しかった。
紋次郎のパーティーは、最初に攻略する予定のダンジョンの、すぐ近くの河原でキャンプをしていた。ここはランティークのパーティーの一つとの待ち合わせ場所でもあった。
「リンス、その鍋を取って」
火に鍋をかけて、あらかじめ切っていた食材をその鍋に放り込む。リンスは先ほど取ってきた野ウサギを丁寧に捌いた。それを木の枝に刺し、火の近くに置いてじっくり焼いていく。香ばしい肉の焼けるいい匂いがしてくる。その肉が絶妙な食べごろになった時に、ランティークのパーティーがその場所へと到着した。
「どうも、紋次郎さんのパーティーの方ですか」
「ああ、どうも、俺が紋次郎です」
「おお、初めまして、自分はランティークダンジョン会のクロノスと言います」
「どうもよろしくです。まあ、肉が食べごろになりましたので、これでも食べながら話をしましょう」
「これはこれは・・丁度空腹で倒れる寸前でしたので、遠慮なくいただきます」
クロノスさんは、爽やかな笑顔の似合う好青年といった感じの人物で、パルチザンと呼ばれる槍を武器に戦う戦士であった。彼の率いているパーティーはクロノスさんを入れて五人、みんな上級冒険者以上の実力者であった。
話を聞くと、ランティークさんの用意した冒険者はみんな上級冒険者以上のようで、他のパーティーでも攻略に期待が持てる。中でもクロノスさんを含めたリーダー格の冒険者五人はレベル110オーバーの最上級冒険者で、戦力としてかなり頼りになりそうであった。
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