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迷宮主誕生
孤高の剣士
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裏の塔の中は、部屋の構造はそれほど表との違いがない。しかし、一階のフロアーには大量の鎧の置物が置かれていた。それは不気味に俺たちを迎え入れていた。
「いかにもって感じで動き出しそうだな」
「そりゃ~動き出すでしょうね」
「そうなの? 動くのあの鎧?」
期待を裏切らず、鎧は一斉にカシャカシャと動き出した。それを見て、すぐにデナトスが攻撃魔法の詠唱に入る。
「アイシクル・ストリーム!」
それは氷結乱舞の攻撃魔法、大量の氷の礫が高速で渦巻き、敵に襲いかかる・・・・はずであった。しかし、何も起こらない、魔法が発動しなかったのである。
「嘘・・・どうして・・」
「もしかしたら特殊フィールドかもしれね~」
「魔法封印フィールド・・・」
デナトスはリンスと違い、接近戦スキルが皆無である。全く使えないと言っていいレベルであった。魔法が使えない自分は、役に立たないどころかおそらく足手まといになるとデナトスは思っていた。
「おい主! デナトスを守れ! 接近戦ならお前の方がマジだ。ソォード! お前は天才剣士なんだろう~多少は当てにして大丈夫か~」
「多少どころか全て任せてもいただいても問題ありません」
そう言うと、ソォードは静かに腰の長剣を抜き放つ。そういえば、この天才剣士の戦いを見るのはこれが初めてだ。料理だけじゃなく、剣も天才だと本人は言っているけど、どうだろうか。
大口とはどこ吹くかぜか、ソォードはまごうことなき剣の天才だった。一歩一剣、一度の踏み込みで一振りすると、敵が一体両断される。流れるような動きでその動作を繰り返し、次々と敵を討ち捨てていく。
「やるじゃねーかソォード」
「もちろん私はやる男ですよ」
何体かはポーズがダガーで仕留めたが、そのほとんどをソォードが倒した。料理以外ではあれだけ空気な存在のソォードがこれだけ強いとは正直驚いた。
「みんなすまないね、ここでは私は役に立ちそうにない」
「大丈夫。デナトスはいるだけで心強いよ」
「紋次郎・・」
2階、3階と同じように動く鎧に襲われるが、ソォードの活躍で問題なく突破できた。しかし、次の4階は鬼門となった。そこのフロアーでは、動く鎧に加えて幽体のモンスターであるエルダーファントムが出現したからである。完全幽体であるエルダーファントムには物理攻撃が効かない。魔法が使えないこの空間ではどんなモンスターより厄介であった。
ソォードの剣は虚しくも、エルダーファントムの体をすり抜ける。
「まいったな・・攻撃が効きません」
「ソォードは鎧を狙え~ファントムは俺がなんとかする!」
そう言うとポーズは腰の袋から何から取り出す。それは火玉と呼ばれる攻撃アイテムで、中に可燃性の粉が入ったものであった。それをエルダーファントムに投げつける。火玉はエルダーファントムの前で炸裂して、その体の一部を分解する。しかしダメージは与えているようだが、それは致命傷にはならなかった。
「ダメだこりゃ~・・あ・・そうだ主! お前いい短剣持ってたな~」
そう言われて、自分の腰につけている閃光丸を取り出した。確かにこれだったら物理攻撃の効かない敵にも有効かもしれない。
「よし! 任せて~」
俺は閃光丸をエルダーファントムに向かって振りかざした。光の閃光が幽体の体を貫き粉砕する。
「主ナイスだ!」
そして、デナトスが、その俺の攻撃を見て、あることに気がつく。それはこの特殊フィールドの仕組みを読み解いた。
「わかったわ。この魔法封印フィールドは魔力を制御しているものじゃないようね。おそらく詠唱の妨害系フィールド・・ならばやりようがあるわ」
閃光丸の攻撃に、確かな魔力を感じた。それはこの空間での魔力が存在できることを示していた。ならばどうやって魔法を封じ込めているか、それは魔法の詠唱を阻害して無効化しているとデナトスは考えた。ならば詠唱の必要でない魔法なら使えるはず、それは無詠唱魔法と呼ばれる特殊魔法であった。体の動作や念じるだけで発動する魔法で、デナトスにはこの無詠唱魔法のストックを幾つか持っていた。
「フリーズ・レイザー!」
簡単な手の動作だけで魔法を発動させる、それは冷気の魔力の塊を敵に照射させる氷結系魔法であった。氷結の魔力を受けたエルダーファントムは凍結して、粉砕する。
「なかなかやるじゃねーかデナトス!」
「あんたが上から言うんじゃないわよポーズ!」
動く鎧はソォードが一人で片付け、エルダーファントムも残りのメンバーで殲滅させた。そのまま上の階へと進んで行く。途中、動く鎧にレイス、ファントムなどのモンスターが襲いかかってきたが、デナトスが魔法を使えるようになったのもあり、問題なく突破する。
そして俺たちはいよいよ最上階へとやってきた。そこには想像を上回るものが待ち構えていた。
「いかにもって感じで動き出しそうだな」
「そりゃ~動き出すでしょうね」
「そうなの? 動くのあの鎧?」
期待を裏切らず、鎧は一斉にカシャカシャと動き出した。それを見て、すぐにデナトスが攻撃魔法の詠唱に入る。
「アイシクル・ストリーム!」
それは氷結乱舞の攻撃魔法、大量の氷の礫が高速で渦巻き、敵に襲いかかる・・・・はずであった。しかし、何も起こらない、魔法が発動しなかったのである。
「嘘・・・どうして・・」
「もしかしたら特殊フィールドかもしれね~」
「魔法封印フィールド・・・」
デナトスはリンスと違い、接近戦スキルが皆無である。全く使えないと言っていいレベルであった。魔法が使えない自分は、役に立たないどころかおそらく足手まといになるとデナトスは思っていた。
「おい主! デナトスを守れ! 接近戦ならお前の方がマジだ。ソォード! お前は天才剣士なんだろう~多少は当てにして大丈夫か~」
「多少どころか全て任せてもいただいても問題ありません」
そう言うと、ソォードは静かに腰の長剣を抜き放つ。そういえば、この天才剣士の戦いを見るのはこれが初めてだ。料理だけじゃなく、剣も天才だと本人は言っているけど、どうだろうか。
大口とはどこ吹くかぜか、ソォードはまごうことなき剣の天才だった。一歩一剣、一度の踏み込みで一振りすると、敵が一体両断される。流れるような動きでその動作を繰り返し、次々と敵を討ち捨てていく。
「やるじゃねーかソォード」
「もちろん私はやる男ですよ」
何体かはポーズがダガーで仕留めたが、そのほとんどをソォードが倒した。料理以外ではあれだけ空気な存在のソォードがこれだけ強いとは正直驚いた。
「みんなすまないね、ここでは私は役に立ちそうにない」
「大丈夫。デナトスはいるだけで心強いよ」
「紋次郎・・」
2階、3階と同じように動く鎧に襲われるが、ソォードの活躍で問題なく突破できた。しかし、次の4階は鬼門となった。そこのフロアーでは、動く鎧に加えて幽体のモンスターであるエルダーファントムが出現したからである。完全幽体であるエルダーファントムには物理攻撃が効かない。魔法が使えないこの空間ではどんなモンスターより厄介であった。
ソォードの剣は虚しくも、エルダーファントムの体をすり抜ける。
「まいったな・・攻撃が効きません」
「ソォードは鎧を狙え~ファントムは俺がなんとかする!」
そう言うとポーズは腰の袋から何から取り出す。それは火玉と呼ばれる攻撃アイテムで、中に可燃性の粉が入ったものであった。それをエルダーファントムに投げつける。火玉はエルダーファントムの前で炸裂して、その体の一部を分解する。しかしダメージは与えているようだが、それは致命傷にはならなかった。
「ダメだこりゃ~・・あ・・そうだ主! お前いい短剣持ってたな~」
そう言われて、自分の腰につけている閃光丸を取り出した。確かにこれだったら物理攻撃の効かない敵にも有効かもしれない。
「よし! 任せて~」
俺は閃光丸をエルダーファントムに向かって振りかざした。光の閃光が幽体の体を貫き粉砕する。
「主ナイスだ!」
そして、デナトスが、その俺の攻撃を見て、あることに気がつく。それはこの特殊フィールドの仕組みを読み解いた。
「わかったわ。この魔法封印フィールドは魔力を制御しているものじゃないようね。おそらく詠唱の妨害系フィールド・・ならばやりようがあるわ」
閃光丸の攻撃に、確かな魔力を感じた。それはこの空間での魔力が存在できることを示していた。ならばどうやって魔法を封じ込めているか、それは魔法の詠唱を阻害して無効化しているとデナトスは考えた。ならば詠唱の必要でない魔法なら使えるはず、それは無詠唱魔法と呼ばれる特殊魔法であった。体の動作や念じるだけで発動する魔法で、デナトスにはこの無詠唱魔法のストックを幾つか持っていた。
「フリーズ・レイザー!」
簡単な手の動作だけで魔法を発動させる、それは冷気の魔力の塊を敵に照射させる氷結系魔法であった。氷結の魔力を受けたエルダーファントムは凍結して、粉砕する。
「なかなかやるじゃねーかデナトス!」
「あんたが上から言うんじゃないわよポーズ!」
動く鎧はソォードが一人で片付け、エルダーファントムも残りのメンバーで殲滅させた。そのまま上の階へと進んで行く。途中、動く鎧にレイス、ファントムなどのモンスターが襲いかかってきたが、デナトスが魔法を使えるようになったのもあり、問題なく突破する。
そして俺たちはいよいよ最上階へとやってきた。そこには想像を上回るものが待ち構えていた。
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