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北の列国
帝都陥落
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ガゼン師団と、後詰のアースレイン軍に前後から攻撃されたシュペザ公爵の軍は、かなりの早いペースで崩壊していく。軍も半数以上が打ち減らされたあたりで、シュペザ公爵は、軍を集めて駆けつけてきたことを後悔していた。
すでにシュペザ公爵の周りには、アースレイン軍が多数近づいていた。脱出しようにも、どの方向も敵だらけで逃げ道がない。
「降参だ。白旗を上げよ・・・」
シュペザ公爵は降伏を選んだ。すべての兵に武器を捨てさせて、手を上げてその意思を示した。
裕太はシュペザ公爵の降伏を受け入れて、軍を無力化させた。あとはガゼン兄弟に任せて、自分は軍を率いて、帝都の攻略に参戦した。
帝都の制空権は、竜騎士が完全に掌握していた。頑丈な正門も、アイアンギガーによって破壊された。すでにそこからジュスラン大師団の兵が雪崩れ込んでいる。だが、帝都内にいる敵兵は十万以上である、ジュスラン大師団とシュナイダー師団を合わせた数より多い。城壁を突破されてもまだ優勢とは言えなかった。
そこへ裕太の率いるアースレインの後詰の軍が姿を現した。裕太はすぐに全軍に突撃の指示を出す。
「ヒューちゃん、私らは城壁の上の兵を狙うよ。場内は先鋒の軍と近衛師団に任せよう」
「そうね。それがいいわね。さっさと片付けましょう」
ファシーとヒュレルの軍は、城壁上の軍を制圧し始めた。エイメル近衛師団は、親衛隊と呼ばれている、裕太の護衛の部隊だけを残して、あとは帝都攻撃に参加する。
後詰の軍が決定打となり、圧倒的な勢いで帝都の敵兵は駆逐されていく。すでに帝都の城へとアースレイン軍は迫っていた。
しかし、そんな中、密かに裕太の元へ近づく敵部隊がいた・・
「エイメル様! 敵の強襲です!」
敵軍しか知らない隠し通路を使い、裕太の陣の近くに出た敵部隊は、一気にアースレインの本営へと突撃する。敵の数は三百ほどであったが、エイメルを守る親衛隊は百人しかいなかった。
周りにいる敵が気がついて応援に来るとしても、距離的に早くて10分はかかる。その時間があれば、アースレイン軍の大将の首は取れると、その強襲部隊を率いる将は考えていた。
強襲してきた部隊は、アクザリエル最強の精鋭部隊であった。隊長はジベルディ、副隊長はシフーカが勤めていた。すべての兵が一騎当千の強者ばかりで、並の的であれば数千の部隊も粉砕できる実力を持っていた。だが、これだけの実力があるからこそ勘違いをしてしまっていた。アースレイン王を守る親衛隊の実力を・・
裕太を守る親衛隊は、竜人族から選抜された10人の猛者を中心に構成されていた。さらに武力の優れた者を全ての軍から選抜しており、その中にはリザードマン最強の戦士のガザン、ケンタウルスの英雄と呼ばれているホルツグなど、将軍級の猛者が多く含まれていた。
それを知らない敵の強襲部隊は、襲い掛かった最初の兵に、逆に斬られるなど夢にも思わなかったようだ。
一気に崩して大将首を取るつもりであったが、思わぬ反撃にあい、襲撃部隊は焦る。だが、一人別格の強さの者がいた。
「あれはヤバいな・・もしかしてあれがヒュレルの足を切った武将か?」
竜人族の猛者を3人も相手にして、互角以上に戦う敵を見て裕太は思わずそう言っていた。このまま見ていたら味方の誰かがやられそうだったので、裕太は無意識に動いていた。
急激な加速から、強烈な一撃をジベルディに与える。不意の攻撃に、さすがの黒衣の騎士も、不安定な体勢でそれを受けるのがやっとであった。今まで味わったことのない重い一撃に、体の芯から痺れる。
「貴様何者だ・・・」
黒衣の騎士からの問いに、素直に答える。
「俺はエイメル・アースレイン」
「そうか・・・俺にも多少の運があるようだ・・獲物が態々来てくれるとは・・」
「運がいいかどうかはまだわからないぞ」
俺はそう言って剣を振るう。さすがにそれは軽く弾き返される。
そこから、俺とジベルディの戦いは何十合にも及んだ。さすがの激しい打ち合いに、周りの者も手を出せないようだ。
そして勝負は意外な結果で終わりを迎えた。ジベルディを除く、強襲部隊の最後の一人であったシフーカが、ガザンに斬り倒された。それによって一人となったジベルディは、さすがの窮地に陥っていた。
「お前一人になったぞ、黒衣の騎士・・降伏したらどうだ」
ジベルディは帝都の方角を見る。すでに城の方からも火の手が上がり、長いアクザリエル帝国の終わりを告げているようであった。
ジベルディは剣を捨てると、こう告げる。
「どうやら終わりのようだな・・斬るがいい・・」
それに対して裕太はこう返事をする。
「俺は降伏した人間を斬るつもりはない」
戦いは終わりを迎えたようだ。帝都の城もジュスランによって陥落して、敵将であったドナイデンも討ち取られた。ドゥゲ皇帝は拘束されたが、一部の重鎮は逃亡したと情報が入ってきていた。
すでにシュペザ公爵の周りには、アースレイン軍が多数近づいていた。脱出しようにも、どの方向も敵だらけで逃げ道がない。
「降参だ。白旗を上げよ・・・」
シュペザ公爵は降伏を選んだ。すべての兵に武器を捨てさせて、手を上げてその意思を示した。
裕太はシュペザ公爵の降伏を受け入れて、軍を無力化させた。あとはガゼン兄弟に任せて、自分は軍を率いて、帝都の攻略に参戦した。
帝都の制空権は、竜騎士が完全に掌握していた。頑丈な正門も、アイアンギガーによって破壊された。すでにそこからジュスラン大師団の兵が雪崩れ込んでいる。だが、帝都内にいる敵兵は十万以上である、ジュスラン大師団とシュナイダー師団を合わせた数より多い。城壁を突破されてもまだ優勢とは言えなかった。
そこへ裕太の率いるアースレインの後詰の軍が姿を現した。裕太はすぐに全軍に突撃の指示を出す。
「ヒューちゃん、私らは城壁の上の兵を狙うよ。場内は先鋒の軍と近衛師団に任せよう」
「そうね。それがいいわね。さっさと片付けましょう」
ファシーとヒュレルの軍は、城壁上の軍を制圧し始めた。エイメル近衛師団は、親衛隊と呼ばれている、裕太の護衛の部隊だけを残して、あとは帝都攻撃に参加する。
後詰の軍が決定打となり、圧倒的な勢いで帝都の敵兵は駆逐されていく。すでに帝都の城へとアースレイン軍は迫っていた。
しかし、そんな中、密かに裕太の元へ近づく敵部隊がいた・・
「エイメル様! 敵の強襲です!」
敵軍しか知らない隠し通路を使い、裕太の陣の近くに出た敵部隊は、一気にアースレインの本営へと突撃する。敵の数は三百ほどであったが、エイメルを守る親衛隊は百人しかいなかった。
周りにいる敵が気がついて応援に来るとしても、距離的に早くて10分はかかる。その時間があれば、アースレイン軍の大将の首は取れると、その強襲部隊を率いる将は考えていた。
強襲してきた部隊は、アクザリエル最強の精鋭部隊であった。隊長はジベルディ、副隊長はシフーカが勤めていた。すべての兵が一騎当千の強者ばかりで、並の的であれば数千の部隊も粉砕できる実力を持っていた。だが、これだけの実力があるからこそ勘違いをしてしまっていた。アースレイン王を守る親衛隊の実力を・・
裕太を守る親衛隊は、竜人族から選抜された10人の猛者を中心に構成されていた。さらに武力の優れた者を全ての軍から選抜しており、その中にはリザードマン最強の戦士のガザン、ケンタウルスの英雄と呼ばれているホルツグなど、将軍級の猛者が多く含まれていた。
それを知らない敵の強襲部隊は、襲い掛かった最初の兵に、逆に斬られるなど夢にも思わなかったようだ。
一気に崩して大将首を取るつもりであったが、思わぬ反撃にあい、襲撃部隊は焦る。だが、一人別格の強さの者がいた。
「あれはヤバいな・・もしかしてあれがヒュレルの足を切った武将か?」
竜人族の猛者を3人も相手にして、互角以上に戦う敵を見て裕太は思わずそう言っていた。このまま見ていたら味方の誰かがやられそうだったので、裕太は無意識に動いていた。
急激な加速から、強烈な一撃をジベルディに与える。不意の攻撃に、さすがの黒衣の騎士も、不安定な体勢でそれを受けるのがやっとであった。今まで味わったことのない重い一撃に、体の芯から痺れる。
「貴様何者だ・・・」
黒衣の騎士からの問いに、素直に答える。
「俺はエイメル・アースレイン」
「そうか・・・俺にも多少の運があるようだ・・獲物が態々来てくれるとは・・」
「運がいいかどうかはまだわからないぞ」
俺はそう言って剣を振るう。さすがにそれは軽く弾き返される。
そこから、俺とジベルディの戦いは何十合にも及んだ。さすがの激しい打ち合いに、周りの者も手を出せないようだ。
そして勝負は意外な結果で終わりを迎えた。ジベルディを除く、強襲部隊の最後の一人であったシフーカが、ガザンに斬り倒された。それによって一人となったジベルディは、さすがの窮地に陥っていた。
「お前一人になったぞ、黒衣の騎士・・降伏したらどうだ」
ジベルディは帝都の方角を見る。すでに城の方からも火の手が上がり、長いアクザリエル帝国の終わりを告げているようであった。
ジベルディは剣を捨てると、こう告げる。
「どうやら終わりのようだな・・斬るがいい・・」
それに対して裕太はこう返事をする。
「俺は降伏した人間を斬るつもりはない」
戦いは終わりを迎えたようだ。帝都の城もジュスランによって陥落して、敵将であったドナイデンも討ち取られた。ドゥゲ皇帝は拘束されたが、一部の重鎮は逃亡したと情報が入ってきていた。
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