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辺境大戦

偏屈者

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グラマザ山に到着した俺たちは、大賢者オーウェンの住む場所を探す。リリスが空を飛んで探してくれたので、その場所はすぐに見つかった。

オーウェンの屋敷は、いや屋敷というより小屋かな。それはこじんまりとした山小屋といった感じの建物で、大賢者が住むには質素に見えた。

扉を叩こうとすると、その扉が勢いよく開いた。俺が驚いていると、中からローブに身を包んだおじいさんがすごい形相で飛び出してきた。
「どこじゃ! どこいった!」
おじいちゃんは、俺を掴んで勢いよく振る。そしてこう聞いてくる。
「ち・・小さいのはどこいった! あやつワシの飯を食いよって、今日という今日はとっちめてやるわい!」
そのおじいちゃんが探している小さいのかどうかわからないけど、手のひらくらいの小動物が、おじいちゃんの頭の上に乗っている。

「あの、大賢者オーウェンに会いに来たんだけど、こちらであってる?」
そう言うと、おじいちゃんが怒りを収めつつこう返事する。
「ワシがオーウェンじゃ。なんじゃお前らは、ワシに用があるのか」
俺がアースレインの王だと伝えると、中に入るように言ってきた。

遠慮なく中にお邪魔させてもらう。山小屋の中は、大量の書物や、何かの実験道具に埋め尽くされていた。辛うじて、スペースのある囲炉裏の周りに座ると、オーウェンが得体の知れないお茶を出してきた。
「まあ、これでも飲むがいい」

周りが少し心配するけど、俺は何の躊躇もなくそれを飲み干す。すごい苦いけど、旨味のある美味しいお茶であった。
「お主、命が惜しくはないのか、そんな得体の知れない飲み物を一気に飲み干して・・」
「出されたものは美味しくいただく主義なので」
まあ、もし毒が入っていても、神の加護がある俺には効かないけどね。
「ほっほほほ。面白い奴じゃな。まあ良い。それで用件は何じゃのだ。先に言っておくがアースレインに従属しろなんて願いは聞かぬぞ。他の国の王もそうだが、皆、ワシの強大な魔法を欲しがる。王が力を欲しがるのは理解するが、ワシはそんな駒になるのは嫌なのでな」
「いえ。従属なんてしなくてもいいので、うちの娘の家庭教師になって欲しいんだけど」

俺がそう言うと、一瞬動きを止めて、その内容を考える。
「なんじゃと、家庭教師だと・・いやいや、それを口実にワシの魔法を戦争に利用しようと考えてるのじゃな」
「いえ、一切の戦闘行為はしなくていいです。娘に魔法を教えてくれればそれでいいので」
「・・・どうしてじゃ! ワシの魔法をどの国も欲しがっておるのじゃぞ、どうして家庭教師なのじゃ」
「まあ、強力な攻撃魔法を使うだけなら、もう、うちにいるので・・」
「なんじゃと! 大賢者のワシ並みの攻撃魔法が使えると、そんな奴がいるじゃと!」
「ええ、ここに」
そう言ってリリスを示す。
「・・・・・嘘をつけ、こんな露出度の高い女に、そんな魔法が使えるわけがないわ」

そう疑うので、外でリリスに一発ぶっ放してもらった。それを見たオーウェンは言葉を失う。
「・・・・ワシより威力あるんじゃないのか・・・」
「どうでしょうか、家庭教師、引き受けてもらえますか」
「・・・条件がある。ワシをアースレインの魔道指南にすること、それとワシの実験に予算を出すことじゃ」
「え、魔道指南ってことは、アースレインに従属するってことになるけど・・それは嫌なんじゃ・・」
「気が変わったのじゃ、ワシを正式に雇え、アースレイン王よ」
「オーウェンがそれで良いなら問題ないよ。あなたをアースレイン魔道指南に任命する」

ちょっと変わったおじいちゃんだけど、大賢者のオーウェンを、リエナの家庭教師に迎え入れることができた。しかも魔道指南のおまけつきである。しかし、その大賢者の実験に予算を出すってのが少し引っかかるけど、なんの実験だろうか・・

とにかく用事も終わったので、俺たちは大賢者オーウェンと一緒にジュレンゼ城へと戻ることになった。オーウェンはすごい量の荷物を持って行こうとしたけど、さすがに持っていけないと説得する。後で、部下をよこして荷物を運ばせるように手配すると話をしてやっと納得してくれた。
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