クラス群雄伝 異世界でクラスメートと覇権を争うことになりました──

RYOMA

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辺境の王

巨人族の国

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執務室で、裕太に呼び出されて、オリハルコン硬貨を渡されたリュジャナは、このお金の出どこを問い詰めていた。
「これはどこから湧いて出たの? いくら急激にアースレインが大きくなったと言っても、オリハルコン硬貨が300枚も、理由もなく出てくるわけないでしょ」

転生云々は別として、入手した経緯は、別に隠すことでもないので、正直に話してみることにした。
「友達に借りたんだ」

そう俺が言うとリュジャナは、頭をかしげて聞き返す。
「どこにオリハルコン硬貨なんか貸してくれる友達がいるのよ」
「アルフレッカ法皇国って国のサビューネて名前の人物だけど知ってる?」
「・・・・中央七大国・・法皇女サビューネ・・・嘘でしょ」
「マジ」
「嘘つきなさい! アースレイン見たいなちっこい国の王族が、どこでそんな大物と知り合う機会があるのよ!」
「ま・・それは色々と・・・」

まだ、リュジャナは、かなり不審がっているけど、どうにかオリハルコン硬貨を受け取って国庫に入れた。

「もう一つ、質問があるんだけど・・・」
リュジャナがそう切り出してくる。
「え・・と、何かな」
「あなたの横にいる、その露出度の高い女性は誰ですか」
先日召喚した、リリスを見てそう聞いてきた。まあ、こちらもいきなり沸いて出た類《たぐい》なので、疑問に思うのはもっともである。

「彼女はリリスだよ、先日、登用したんだ」
そう紹介すると、リリスは怪しく微笑みながら、リュジャナにこう言う。
「リリスじゃ、良きにはからえ人間よ」

そう言われて、リュジャナの頭は一気に沸騰する。
「何様よあんた! 私はアルビオン家の当主にて、アースレインの財務大臣よ! 上から言ってんじゃないわよ!」

それに対してリリスは、冷静に言い返す。
「私は夜の女神じゃ、神が上から物を言って何が悪い」
「何が神よ、頭沸いてんじゃないの」
「小うるさい人間じゃの、要はエイメルの隣に、このような美貌の者がいるのが気に入らんのじゃろ、焼いてるのなら焼いてるとそう言えば良い」

リュジャナは、自分の気持ちを見透かされて、さらに頭に血がのぼる。もはや言い返す言葉が見つからずに、こんな捨て台詞を吐いて、執務室から外に出る。
「バカじゃないの!」

強く締められた執務室のドアを見つめて、呆然とする俺に、リリスが声をかける。
「エイメル。あの女《おなご》のことを好いとるのか」
突然そんなことを言われて、裕太は戸惑う。リュジャナのことは嫌いじゃないけど、そういう意味での感情はどうなんだろうか・・自分でもよくわからなかった。

そこへ執務室のドアが勢いよくドアが開かれた、ドアを開けたのは、赤い軽装鎧に身を包んだアズキと、その妹のラスキーだった。
「おうエイメル。仕事終わったかー。終わったよな、それじゃ、狩り行こうぜ」

最近、よくアズキが狩りに誘ってくる。新鮮な肉が食べれることもあり、狩りは嫌いではないので、その誘いを了承した。


ケイネン法国のファノン法王は、家臣を集めて会議をしていた。議題は、最近、台頭してきたアースレイン王国のことであった。

「一月ほどで、あれほど勢力を広げるとは油断なりませぬぞ」
「確かに、軍も精強と聞き及んでおります。このまま我が国に侵攻してくれば、苦戦は必至かと・・」

家臣の話を聞いて頷くと、ファノン法王は口を開いた。
「わしもそれはわかっておる。ただ、戦いは避けられんだろ。アースレイン王は相当な野心家のようだ、旧デイラン共和国のファミニアをその統治下に置いた今、我が国のザルーフルを欲しがるのは必然だろ」

法王の話に、言葉を失う家臣一同であったが、家臣の部下の一人が恐縮しながら発言する。
「恐れ多いことですが、アースレインなど恐れることはありません。なぜなら我が国には、東の巨人族がいるではありませんか、彼らの力を借りれば、必ず勝てましょう」

ケイネン法国の統治する土地の東、そこには巨人族が住んでいた。実は元々ケイネン法国は巨人族の国であった。基本的には平和主義者である彼らは、辺境へと入植してきた人間により、住む場所を奪われ、東の森林地帯へと追いやられていった。今でも数千の巨人族がその場所で住んでいて、統治者であるケイネン法国へ税の支払いもしていた。

「ただでさえ平和主義者の、あの者たちが、ワシら人間に力を貸すかの・・・」
「それでは人質を取ってはどうでしょうか」
「なんだと・・・」
「巨人族には幼い長の子がいると聞きます。それを捉えて、人質にすれば、巨人族も言うことを聞くでしょう」

「だが・・それで巨人族の怒りを買ってしまっては・・・」
「法王、そんなことは問題になりません。アースレインを打ち破った後は、巨人族も根絶やしにすればいいのですよ。どのみちいつかは滅ぶ種族です、我々の手でその引導を渡せば良いだけです」

確かにこのままではこの国の存亡も危うい・・巨人族を使い捨てでも使って、アースレインを打ち負かす必要があるが・・

「法王、ご決断を!」

少し悩んだが、ファノン法王は、巨人族の長の子を拘束してくるように命令した。それは、ケイネン法国を滅亡に追いやる選択であった。
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