上 下
33 / 38
胎動編

第33話 託された物

しおりを挟む
「ふぅ……なんとかなったわね」

「ルークスの旦那!! おい!生きて――ルークスの、だん……な? 子供?」

 どうやら、ジェロウムさんも無事に狼型のシャドウイーターを倒したらしい。
 慌てた様子で、こっちに向かって駆け寄ってきて、少し手前で困惑した表情で足を止めた。

「ジェロウムさん? ああ、ごめんなさい、心配かけたみたいで。中に居た私は無事よ」

 ルークスは大破状態に近いけど。

 まぁ、フレーム部の大半は無事だし、装甲は派手に全壊してるけど、直せない事も無い。

 一番痛いのは、関節部を覆ってた皮素材ね……
 こればっかりは私じゃ直せないし。

「中にって……なんだこりゃ? 鎧じゃ……ないのか……?」

「ゴーレムよ、ゴーレム」

「ゴーレム? これがか?――いや、そんな事より、これの中に居たって、嬢ちゃんは何なんだ?」

「何って? 私は、このルークスを中から操縦してたのよ。名前は――」

「あっ、いや、待ってくれ! それ以上は聞かない方がいいと俺の冒険者としての勘が言っている」

「そう? ならいいけど……ん? 何かしら、これ?」

 壊れたルークスの部品類を回収しようか悩んでいると、足元に黒い靄を内部に閉じ込めた様な結晶体が落ちていた。

「それは魔石だ。先ほど嬢ちゃんが倒した奴のじゃないか?」

「へー、これが魔石……こういうのって、どうすればいいの? 私が、もらっちゃって良いのかしら?」

「まあ、そうだが。魔石を見るのも初めてか?」

「加工前のを見るのは初めてね。ポーチはどこかしら……あったあった」

 ベルト部分が千切れていたけどポーチ部分は無事だったので、拾って、その中に魔石を仕舞いこむ。

 ルークスに関しては、どうしよう?
 収納魔法に入れてしまうか、応急修理だけでもして、乗って移動させるか……

 ああ、でも、ジェロウムさんの目があるのか。
 私に関する厄介事を抱えたくないって感じだし、変な事を見見せるのもアレよね……

 ほんと、どうしたものか。

「ん? なんだ嬢ちゃん? あー……とりあえず確認なんだが、ルークスの旦那は嬢ちゃんだったって事で良いんだよな? ああいや、良いんですか?」

「ええ、そうね」

「て事は、嬢ちゃんの護衛はしなきゃならない訳か……」

 ジェロウムさんも、この状況をどうするべきか悩んでいる様子で頭をガシガシと掻いて呟いている。

 まだ他の所では戦闘が継続中だし、のんびりもしていられないし……

 あら?
 この魔力は……

 広範囲にわたって濃密な魔力が漂い始めているのが見える。

 これはミアの物かしら?

「どうやら、お迎えが来ちゃったみたいね……ジェロウムさん。はい、これ。今の内に渡しておくわ。ここで依頼は達成って事にしときましょ?」

 私はポーチの中に手を入れ、収納魔法から鉛筆と依頼の達成伝票を取り出し、それにサインをしてジェロウムさんに差し出す。

「おいおい、いいのか? こっちとしては助かるが……ん? 雨?」

 ジェロウムさんが達成伝票を受け取ると、その紙面にポタリと雨粒が落ちてきた。

 空を見ても雲などは一切無く、まるで狐の嫁入りみたいな現象だけど、その雨はもっと不思議な物だった。

 体に当たっても濡れる事は無く、沁み込むように消え去り、それと共に体の疲れまで洗い流していくかの様な感じがした。

 それだけではない。

 周辺に居るシャドウイーターが、その雨に打たれると、そこから徐々に凍結していき。
 やがては全身が凍り付き、そのまま崩れ去る様に消え去って行ってしまったのだ。

「おいおい……これは、広域複合水魔法か? 誰がこんな高等魔法を」

「ひーめーさーまーー!」

 ジェロウムさんが雨の魔法に驚いていると、少し遠くから聞きなれた声が聞こえて来た。

 声のした方を見てみると、少し上空を水流に乗って飛んでくるミアの姿が見える。

「探しましたよぉ! 姫様!」

 彼女は近くまで来ると、水流から飛び降り、水の様な青い髪を靡かせて地面に降りると、私の両肩をガシッと掴んできた。

「なんでこんな所に居るんですかぁ!」

「ごめんなさい、ミア。ちょっと散歩してら迷っちゃって」

「さらっと嘘を言わないでください!」

 チッ……さすがに騙されないか。

「もー……ベディさんから緊急信号が来てなかったどうなってたか……。姫様は城門の外にいるし、周囲は魔物でいっぱいだし、気が付いた時には生きた心地がしませんでしたよぉ……」

「そんなに心配しなくても大丈夫だったわよ。中型の魔物までは自力で倒せたわ」

「そう言う事じゃないですぅ! ゴーレムさんも、こんな状態になってるし! ……はあ、もう。ところで――この人は誰ですか? 見た所、ハンター……いえ、冒険者の方でしょうか? なぜ、姫様のおそばに?」

 ミアは私の無事を確認しホッとした表情をしてたが、ジェロウムさんに目を向けると、いきなり冷たい表情と声音に変わった。

「この人は、たまたま近くにいただけよ」

「左様ですか。そこの方、、一応、ギルド証を拝見させていただきます。ご提示を」

「あ、ああ……これだ」

 ジェロウムさんもミアに気圧されるように、あわてて首元から金属プレートのタグみたいな物を取り出す。

「Aランククラン……ジェロウムさんですね。しばらくすれば騎士団が参りますので、それまで、ここで待機していてください。今回の件の聴取や褒賞等のお話もございますので」

「わかった」

 彼女の指示に、ジェロウムさんも神妙な面持ちで頷く。

 うーん……
 ミアって、こういう表情とかもするのね。

 ジェロウムさんも庇ってあげたいけど、変にあれこれ喋ると藪蛇になりそうだし、黙っておいた方がいいか。

 とりあえず、変な事をするわけにもいかないし、後の事はミア達に丸投げした方が良いかな?

「ねえ、ミア。ルークス……じゃなくて、このゴーレムの回収と運搬も騎士団の人に頼んで良い?」

「え? あー、そうですよねぇ……そうした方がいいですよねぇ」

 と、ミアにルークスの回収を相談した時だった。

 急に、胸元のベディが小声で話しかけて来た。

「(ティアル、まだ気を抜くな)」

「(え? 何よ急に?)」

「(神託にしては、魔物の規模が少ない感じがする。それに、まだ周囲のマナには強い魔物の意思が漂っているからだ)」

 まだ何か居るっていうの?

 ミアが来てくれたけど、ルークスはこんな状態だし、どうしたら――

 その時、一瞬、足元が、ぐらりと揺た。

 地震かと思ったが、そうでは無い。

 私達の居る街道の10mほど先の地面が、いきなり裂け、そこから黒い影が噴き出す様に出現したのだ。

 現れた影は巨大だった。

 地面から吹きあがった影は、中空で形を変え、巨大な一塊の影の玉に姿を変える。
 そこから巨大な爪を備えた腕と足と生やし、長い首と尻尾を伸ばす。
 そして、鋭い牙が並ぶ巨大な顎を大きく開けると、空気がビリビリと振動する様な咆哮と共に巨大な羽を広げた。

「なッ!? シャドウイーターなのか? しかも大型種だと!?」

 それを見てジェロウムさんが声を上げて驚く。

「ド、ドラゴン……?」

 巨大なシャドウイーターが模った姿を見たミアが呟いた。

 そう、ドラゴンだ。

 大きさは、軽く見積もっても十数mは超える。
 その大きさとフォルムだけでも、危険度が一目でわかった。

 その姿に圧倒され、私も思考が追い付かない。

 ドラゴンは鎌首をもたげると、顎を大きく開き、その奥にドス黒い魔力を貯め込み始める。

 それを見たジェロウムさんは、私達をかばう様に、前に出ようと飛び出そうとしている。
 ミアも私を抱えて庇おうと、飛びつこうとしている。

 そんな二人の姿がスローモーションの様に見えるが、私は、どうすれば良いのか分からず、立ちすくんだままだ。

 これはアレか?
 事故の時などに、一瞬の出来事が、何秒にも感じるっていう――

「落ち着け、ティアル。ゆっくりと見えるのは、私が君の時間知覚を引き延ばしているからだ」

「――ベディ!? あなたが……?」

「そうだ。だが、あまり時間は無いし、状況的には最悪だ。このまま、あれがブレスを東門に向けて吐いた場合、かなりの死傷者が出ると予測できる」

 ベディの言う通り、私達を挟んで真後ろには、真っ直ぐに街道が東門へと続き、未だ門は大きく開け放たれている。
 そこを、避難する人達と、外に向かおうとする騎士達とが、ひしめき合い、門の向こう側にも野次馬らしき人々が多く居る。
 街道の途中にもハシジェーロのメンバーや、冒険者の人達が居るし、それらの間に障害物なんて一切ない。

「ベディの防御魔法で防げない? 私の魔力とかも使って良いから」

「可能だが、一時しのぎにしかならないだろう。一般の者達が避難し終えるまで持つかは不明だ」

「何か他の方法は?」

「ある。ブレスを吐かれる前に、一撃で奴を倒す事だ。だが、それにはティアルの協力が必要だ」

「私の? わかったわ。何をすればいいの?」

「あのシャドウドラゴンと私達の間に、巨大な剣を作ってくれ」

「巨大な剣……?」

「一太刀振るえれば十分だ。だが、あれを一刀両断できる物を頼む」

「それで、ベディは何をするの?」

「クーゲルからの預かり物を使う」

 預かり物?

 まあいいわ――

「――考えてる時間もなさそうだし……やるわよ! ベディ!!」

 あのシャドウドラゴンを一刀両断できる剣を――全力で!!

 材質は鋼!

 大きさは、残りの魔力で作り出せる最大!

 ありったけの魔力を、この剣に!!

 私達とシャドウドラゴンとの間に、私の魔力の奔流が荒れ狂う。

 それと同時に、上空に巨大な異次元収納魔法の出口が開くのが見えた。

 私のではない。
 だとすると、あれはベディの収納魔法?

 そこから巨大な鉄の塊の様な腕が飛び出し、私が生成途中の剣を掴み取る。

 それに続き、全身が姿を現す。

 それは、鈍く輝く、鉄の鎧に包まれた巨人だった。

 巨人は大地を砕きながら着地をし、その質量で空気を押しのけ、周囲に衝撃波と強風をまき散らした。

 その姿に、そこに居る全ての者が目を見開き息をのむ。

 シャドウドラゴンさえもが、自身を超える大きさの巨人の出現に驚いたのか、一瞬動きが固まった。

「いけ……アイゼンクーゲル」

 胸元のベディが呟き、その命令に従う様に、巨人は私の作った巨剣を重々しく振り上げ、両手で天高く掲げた。
 そして、その巨体の持つ力を叩きつける様に、真っ直ぐに振り下ろす。

 シャドウドラゴンも発射寸前だったブレスを巨人に向けて吐いたが、そんな物は無意味だった。
 巨人はブレスの黒い炎を意にも介さず、巨剣を振り下ろし、そのままシャドウドラゴン諸共に切り裂く。

 正しく、一刀両断だった。

 その瞬間、ベディによる時間知覚の引き延ばしが途切れ、巨人の攻撃による衝撃と音が私達の全身を揺さぶった。

 正中線に真っ二つにされたシャドウドラゴンは、その衝撃と共に爆発する様に弾け、そのまま煙となり消え去る。

 その光景に、辺りが静寂に包まれた後、一拍置いて、大きな歓声が沸き上がった。

「ベディ、これって……」

「ああ、クーゲルから託されていた物だ」

「こんな良い物があったんなら、最初っから出しなさいよ」

「馬鹿をいうな。今の挙動だけで、君も私も、魔力が、ほぼ空だぞ? こんな物、あいつでなければ使っていられん」

「たしかに、へとへとだけど……」

 そびえたつ巨大な人影を、歓声に包まれながら見上げる。



 まあでも、この光景は最高だわ……

 やっぱ、巨大ロボットって、人々のピンチを救ってこそよね!

「とりあえず、大きな魔物の気配は周囲のマナからは感じられなく――」

 ベディの言葉が、段々と小さくなっていく……

 魔力切れで、喋る力も無くなったのだろうか?

 いや、これは、意識が遠のいてるのは私の――


 ―― 第一章 胎動編 完 ――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!? 自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。 果たして雅は独りで生きていけるのか!? 実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。 ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています

追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚  ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。  しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。  なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!  このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。  なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。  自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!  本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。  しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。  本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。  本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。  思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!  ざまぁフラグなんて知りません!  これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。 ・本来の主人公は荷物持ち ・主人公は追放する側の勇者に転生 ・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です ・パーティー追放ものの逆側の話 ※カクヨム、ハーメルンにて掲載

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸
ファンタジー
【あらすじ】  ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。  キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。  しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。  つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。  お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。  この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。  これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

処理中です...