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15話 竜戦の英雄
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何が起きたのかと何度か瞬きを繰り返す。
後ろにいる佐々木さんは無事。
そして、俺達を喰らおうとしていた望月もちづき 朝日あさひは壁にめり込んでいた。
その衝撃で身にまとっているジェルも吹き飛ばされたのだろう。明らかに量が減り、周囲に飛び散っている。
「久しぶりだね、おじいちゃん・・・・・・」
望月 朝日へと攻撃を繰り出したであろう男は、両足に青い炎を纏って浮いていた。
眼前で浮かぶ男。
その姿は【ダンジョン防衛隊】なら――否。世界中の人間が知っていると言っても信じられるほどの存在だった。
死んだような目でありながら鋭さを要し、金色の髪を無造作に肩まで伸ばした男。
表情の読めない視線に、佐々木さんはバツを悪そうに言う。
「なんで――お前がここに……? アメリカの救援要請に応じてるのでは無かったのかの?」
男の名は――宗源そうげん カナメ。
現【ダンジョン防衛隊】の中で最強と称される男だった。
竜と戦い、竜を殺した英雄。
故に人々は彼を【竜戦りゅうせんの英雄えいゆう】と呼ぶ。
今では倒した竜の素材を用いた武装で世界各地を周り、より強い【魔物モンスター】を倒すことを任務としているはず。
そんな彼が何故、この場所にいるのだろうか。
「……近くに来たから寄っただけだ。別におじいちゃんの基地に怪しげな気配を感じたから直ぐに戻って来たわけじゃない。勘違いしないでくれ」
宗源そうげん カナメは言いながら、壁から抜き出て身体を復元させた【回復涅リペアスライム】を望月 朝日もろとも蹴り飛ばす。
再び壁にへとめり込む。
復元したばかりの身体もまた、部屋全体に飛散する。
だが、どれだけ打撃を繰り返そうと、【回復涅リペアスライム】は倒せない。そして望月 朝日に取り付くことで能力を底上げしているがために、その強さは普通の【涅スライム】とは比較できない。
「油断するな、カナメ。やつは普通の【回復涅リペアスライム】じゃないんじゃぞ。未知の【魔物モンスター】と考えた方が――」
「何を言ってるのおじいちゃん? こいつはただの【魔物モンスター】だよ」
宗源 カナメは背中に掛けた鞘から剣を抜くと、その柄を望月 朝日の腹部目掛けて打ち付けた。何度も、何度も、望月 朝日の首を掴み殴り続ける。
身体に纏わり付いた【回復涅リペアスライム】を吹き飛ばすように。
只の剣だったとはいえ、弾かれた俺が空しくなる光景だ。
これが【竜戦りゅうせんの英雄えいゆう】との力の差か。
淡々と作業をこなす姿は、恐怖すら覚える。
ただただ、敵を滅ぼすための作業。
決められた手順を踏むルーティンのようだ。
「こんなもんか」
掴んでいた首を離す。
常人ならば立てないだろうが、【魔物モンスター】のタフさは別格で、手や足を残った僅かなジェルで動かし立ち上がる。
だが、そんな状態で立ったところで、誰が宗源 カナメを倒せるというのか。
柄を握りなおし剣を構え、詰まらなそうに剣を振るった。
その軌道上にある【回復涅リペアスライム】の身体は剣の軌跡を追う様に青い炎に包まれて燃え始める。
「遊び相手としては物足りないか」
炎が燃え尽きると同時に地面に突っ伏す望月 朝日には目をくれず振り向いた。
「じゃあね、おじいちゃん。くれぐれも身体には気を付けるように」
そう言うと宗源 カナメは青い炎を全身に纏うと空に舞って消えていく。
【魔物《モンスター》】を燃やす炎が揺らめく部屋で――俺と佐々木さんは互いに顔を見合わせた。
それはまるで夢でも見てるような――空想上の生物でも見たかのような気分だった。
後ろにいる佐々木さんは無事。
そして、俺達を喰らおうとしていた望月もちづき 朝日あさひは壁にめり込んでいた。
その衝撃で身にまとっているジェルも吹き飛ばされたのだろう。明らかに量が減り、周囲に飛び散っている。
「久しぶりだね、おじいちゃん・・・・・・」
望月 朝日へと攻撃を繰り出したであろう男は、両足に青い炎を纏って浮いていた。
眼前で浮かぶ男。
その姿は【ダンジョン防衛隊】なら――否。世界中の人間が知っていると言っても信じられるほどの存在だった。
死んだような目でありながら鋭さを要し、金色の髪を無造作に肩まで伸ばした男。
表情の読めない視線に、佐々木さんはバツを悪そうに言う。
「なんで――お前がここに……? アメリカの救援要請に応じてるのでは無かったのかの?」
男の名は――宗源そうげん カナメ。
現【ダンジョン防衛隊】の中で最強と称される男だった。
竜と戦い、竜を殺した英雄。
故に人々は彼を【竜戦りゅうせんの英雄えいゆう】と呼ぶ。
今では倒した竜の素材を用いた武装で世界各地を周り、より強い【魔物モンスター】を倒すことを任務としているはず。
そんな彼が何故、この場所にいるのだろうか。
「……近くに来たから寄っただけだ。別におじいちゃんの基地に怪しげな気配を感じたから直ぐに戻って来たわけじゃない。勘違いしないでくれ」
宗源そうげん カナメは言いながら、壁から抜き出て身体を復元させた【回復涅リペアスライム】を望月 朝日もろとも蹴り飛ばす。
再び壁にへとめり込む。
復元したばかりの身体もまた、部屋全体に飛散する。
だが、どれだけ打撃を繰り返そうと、【回復涅リペアスライム】は倒せない。そして望月 朝日に取り付くことで能力を底上げしているがために、その強さは普通の【涅スライム】とは比較できない。
「油断するな、カナメ。やつは普通の【回復涅リペアスライム】じゃないんじゃぞ。未知の【魔物モンスター】と考えた方が――」
「何を言ってるのおじいちゃん? こいつはただの【魔物モンスター】だよ」
宗源 カナメは背中に掛けた鞘から剣を抜くと、その柄を望月 朝日の腹部目掛けて打ち付けた。何度も、何度も、望月 朝日の首を掴み殴り続ける。
身体に纏わり付いた【回復涅リペアスライム】を吹き飛ばすように。
只の剣だったとはいえ、弾かれた俺が空しくなる光景だ。
これが【竜戦りゅうせんの英雄えいゆう】との力の差か。
淡々と作業をこなす姿は、恐怖すら覚える。
ただただ、敵を滅ぼすための作業。
決められた手順を踏むルーティンのようだ。
「こんなもんか」
掴んでいた首を離す。
常人ならば立てないだろうが、【魔物モンスター】のタフさは別格で、手や足を残った僅かなジェルで動かし立ち上がる。
だが、そんな状態で立ったところで、誰が宗源 カナメを倒せるというのか。
柄を握りなおし剣を構え、詰まらなそうに剣を振るった。
その軌道上にある【回復涅リペアスライム】の身体は剣の軌跡を追う様に青い炎に包まれて燃え始める。
「遊び相手としては物足りないか」
炎が燃え尽きると同時に地面に突っ伏す望月 朝日には目をくれず振り向いた。
「じゃあね、おじいちゃん。くれぐれも身体には気を付けるように」
そう言うと宗源 カナメは青い炎を全身に纏うと空に舞って消えていく。
【魔物《モンスター》】を燃やす炎が揺らめく部屋で――俺と佐々木さんは互いに顔を見合わせた。
それはまるで夢でも見てるような――空想上の生物でも見たかのような気分だった。
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