34 / 44
壊すべきものは
34
しおりを挟む
「鷹使……」
緋嶺は引き寄せられるまま、彼の薄い唇にキスをした。何度か吸い上げ、角度を変えてはまた吸い付くと、唇にチリリとした感触がする。
「緋嶺、俺はまだ動けそうにないから、お前がやってくれ」
綺麗な髪を撫でているとそんな事を言われ、緋嶺は素直に頷いた。鷹使に口付けしながら彼の服を脱がせ、自らも脱ぐ。二人とも下着一枚になったところで、緋嶺は鷹使の身体を跨ぐように座り、口付けをしながらその滑らかな肌を撫でた。鷹使から微かな甘い吐息が出てきて、緋嶺はそれだけで下半身にズクン、と響く。
緋嶺は唇にしていたキスを、首、鎖骨、胸へと移していった。本当に滑らかな肌だな、と上下する胸の、桜色の部分に舌を這わせると、鷹使は僅かに息を詰める。しばらくその周辺を舐めたり吸ったりしていると、柔らかかったそこはぷっくりとして硬く尖ってきた。
「……気持ちいい?」
「ああ……」
小さな返事に緋嶺は、感じてくれてるんだ、と気分が良くなり、反対側も舌で愛撫しながら、下着で覆われた部分を撫でる。そこは僅かに硬さを保っていて、その様子に自分の熱も上がった。更にそこを形を確かめるように撫でると、少しずつ硬さを増していくのが嬉しくて、思わず笑う。
「どうした?」
「……いや」
緋嶺は答えず誤魔化して、鷹使の下着を脱がせた。ついでに自分のも脱ぐと、再び鷹使を跨いで座る。
「アンタを上から見下ろすの、気分良いな」
冗談っぽくそう言うと、鷹使はふっと笑った。それがバカにされたようだと思って、何だよ、と彼を睨む。
「お察しの通りだ。お前は俺の中では、ずっと乳飲み子のままだからな」
「なーにー? アンタ、今動けない事を忘れてないか?」
予想通りバカにされて、緋嶺は腹いせに、鷹使のまだ勃ちきっていないそれを握ると、軽く扱いた。するとそこはみるみるうちに硬くなり、アンタもここは正直だよな、とからかう。
「どれだけ言われても、それがお前なら腹は立たないな」
鷹使はそう言って、緋嶺の腕を掴んで引き寄せ、口付けをした。少し甘い味がしたそれに、緋嶺は狼狽えると、彼は笑う。
「なぜなら、何を言ってもお前は可愛いからだ」
「……っ」
そう言われて緋嶺は不覚にも息を詰める。少しずつ動けるようになっていたらしい鷹使は、緋嶺の尻を掴んで、それを自身の怒張に誘う。
「え、ちょっと待て……っ、もうちょっと俺を楽しませろよっ」
「お前の焦れったい愛撫など、黙ってされるままだと眠ってしまいそうだからな」
鷹使は遠慮なく、力ずくで緋嶺の後ろに楔を埋め込んでいく。慣らさないまま咥えこまされ、緋嶺は思わず声を上げた。
「や……っ、きっつい、……鷹使……っ」
それでも奥のいい場所に鷹使の先が当たり、緋嶺の太ももが震え出す。すると何かが吸い付くように、ピタリとくっつく感触がした。けれどそれが何か考える余裕はなく、みっちり埋められた穴のせいで緋嶺は上手く呼吸ができない。
「感じたか? 繋がった……」
「あ、ぅ……、ンンン──ッ!!」
鷹使の熱と吐息で、緋嶺は全身を震わせる。動いてもいないのに与えられる快感は、緋嶺の意識を何度も飛ばし、その様子を見た鷹使は口の端を上げる。
「……気持ちよさそうだな?」
「ああッ、い、嫌だ……ッ! 鷹使ッ、助けて!」
止まらない絶頂に、緋嶺はなぜか鷹使に助けを求めた。鷹使は緋嶺の両手を指を絡めてキツく握り、緋嶺の奥を軽く一突きする。緋嶺はその刺激でこれ以上無いくらいガクガクと身体を震わせ射精し、パタリと鷹使の上に倒れ込んだ。
「──ッ!!」
はあはあと鷹使の胸の上でぐったりしていると、急に性感を高めた彼を恨めしく思う。しかし怒る気力はもはや無く、自分の息を整えるのに精一杯だ。
「おま……ちょっとは手加減しろよ……」
切れ切れの息でそう言うと、鷹使はクスクスと笑った。その振動がまた後ろを刺激するので、笑うな、と顔を上げて鷹使を睨む。
「悪い。ついお前が可愛くてな」
イカせたくて調子に乗ってしまうんだ、と悪びれもなく言う鷹使。もう、と身体を起こすと、軽く腰を揺すられ、緋嶺は顔を顰める。
「もう繋がったから良いんだが……緋嶺、付き合ってくれるか?」
「そう言って、もう、腰動かしてんじゃん!」
あっ、あっ、と突かれる度に声が出てしまい、緋嶺は唇を噛んでそれに耐える。それに気付いた鷹使は、打ち付ける腰を強くし、緋嶺の胸の先を摘む。
「んっ、ああっ、……止めろ……っ」
緋嶺は一際高い声を上げて、鷹使を太ももで締め付けてしまった。そうすると覚えのある感覚が迫ってきて、思わず待って、待ってと鷹使の胸をいじる手を掴む。
「……止まって良いのか緋嶺?」
これが良くてイキそうなんだろ、と一向に止めない鷹使の声が掠れた。緋嶺はそれにも敏感に反応してしまい、訳が分からないまま、また視界が一瞬ブラックアウトする。
「……ッ、あッ──鷹使っ!」
緋嶺は思わず鷹使のお腹に手を付いて、苦しい程の快感に耐えると、鷹使は緋嶺の手を引いて、彼の身体の上に寝かせる。呼吸をするので精一杯な緋嶺は、再び動き出した鷹使の脇から腕を回し、力一杯しがみつくしかなかった。
緋嶺はもう泣きそうな声で喘ぐしかなく、けれども五感はどんどん冴えて、些細な刺激も拾って快感に変換してしまう。鷹使の荒い息遣い、肉がぶつかる音、シャンプーの匂い、熱く湿っていく肌──。
「緋嶺……っ」
鷹使が緋嶺を抱きしめた。緋嶺は思わず彼の肩に噛みつき、もう何度目か分からない絶頂を迎える。
「──ッ!!」
二人同時に息を詰めると、緋嶺の口の中にじわりと鉄の味が広がった。思わずそこを舐めて啜ると、鷹使の手が緋嶺の頭を撫でる。
「……アンタの血が一番美味しい……」
まだ息が整わないままそう言うと、鷹使は軽く笑った。その声はどことなく嬉しそうだ。
「……そうか」
二人は気が済むまで、そのまま抱き合った。
緋嶺は引き寄せられるまま、彼の薄い唇にキスをした。何度か吸い上げ、角度を変えてはまた吸い付くと、唇にチリリとした感触がする。
「緋嶺、俺はまだ動けそうにないから、お前がやってくれ」
綺麗な髪を撫でているとそんな事を言われ、緋嶺は素直に頷いた。鷹使に口付けしながら彼の服を脱がせ、自らも脱ぐ。二人とも下着一枚になったところで、緋嶺は鷹使の身体を跨ぐように座り、口付けをしながらその滑らかな肌を撫でた。鷹使から微かな甘い吐息が出てきて、緋嶺はそれだけで下半身にズクン、と響く。
緋嶺は唇にしていたキスを、首、鎖骨、胸へと移していった。本当に滑らかな肌だな、と上下する胸の、桜色の部分に舌を這わせると、鷹使は僅かに息を詰める。しばらくその周辺を舐めたり吸ったりしていると、柔らかかったそこはぷっくりとして硬く尖ってきた。
「……気持ちいい?」
「ああ……」
小さな返事に緋嶺は、感じてくれてるんだ、と気分が良くなり、反対側も舌で愛撫しながら、下着で覆われた部分を撫でる。そこは僅かに硬さを保っていて、その様子に自分の熱も上がった。更にそこを形を確かめるように撫でると、少しずつ硬さを増していくのが嬉しくて、思わず笑う。
「どうした?」
「……いや」
緋嶺は答えず誤魔化して、鷹使の下着を脱がせた。ついでに自分のも脱ぐと、再び鷹使を跨いで座る。
「アンタを上から見下ろすの、気分良いな」
冗談っぽくそう言うと、鷹使はふっと笑った。それがバカにされたようだと思って、何だよ、と彼を睨む。
「お察しの通りだ。お前は俺の中では、ずっと乳飲み子のままだからな」
「なーにー? アンタ、今動けない事を忘れてないか?」
予想通りバカにされて、緋嶺は腹いせに、鷹使のまだ勃ちきっていないそれを握ると、軽く扱いた。するとそこはみるみるうちに硬くなり、アンタもここは正直だよな、とからかう。
「どれだけ言われても、それがお前なら腹は立たないな」
鷹使はそう言って、緋嶺の腕を掴んで引き寄せ、口付けをした。少し甘い味がしたそれに、緋嶺は狼狽えると、彼は笑う。
「なぜなら、何を言ってもお前は可愛いからだ」
「……っ」
そう言われて緋嶺は不覚にも息を詰める。少しずつ動けるようになっていたらしい鷹使は、緋嶺の尻を掴んで、それを自身の怒張に誘う。
「え、ちょっと待て……っ、もうちょっと俺を楽しませろよっ」
「お前の焦れったい愛撫など、黙ってされるままだと眠ってしまいそうだからな」
鷹使は遠慮なく、力ずくで緋嶺の後ろに楔を埋め込んでいく。慣らさないまま咥えこまされ、緋嶺は思わず声を上げた。
「や……っ、きっつい、……鷹使……っ」
それでも奥のいい場所に鷹使の先が当たり、緋嶺の太ももが震え出す。すると何かが吸い付くように、ピタリとくっつく感触がした。けれどそれが何か考える余裕はなく、みっちり埋められた穴のせいで緋嶺は上手く呼吸ができない。
「感じたか? 繋がった……」
「あ、ぅ……、ンンン──ッ!!」
鷹使の熱と吐息で、緋嶺は全身を震わせる。動いてもいないのに与えられる快感は、緋嶺の意識を何度も飛ばし、その様子を見た鷹使は口の端を上げる。
「……気持ちよさそうだな?」
「ああッ、い、嫌だ……ッ! 鷹使ッ、助けて!」
止まらない絶頂に、緋嶺はなぜか鷹使に助けを求めた。鷹使は緋嶺の両手を指を絡めてキツく握り、緋嶺の奥を軽く一突きする。緋嶺はその刺激でこれ以上無いくらいガクガクと身体を震わせ射精し、パタリと鷹使の上に倒れ込んだ。
「──ッ!!」
はあはあと鷹使の胸の上でぐったりしていると、急に性感を高めた彼を恨めしく思う。しかし怒る気力はもはや無く、自分の息を整えるのに精一杯だ。
「おま……ちょっとは手加減しろよ……」
切れ切れの息でそう言うと、鷹使はクスクスと笑った。その振動がまた後ろを刺激するので、笑うな、と顔を上げて鷹使を睨む。
「悪い。ついお前が可愛くてな」
イカせたくて調子に乗ってしまうんだ、と悪びれもなく言う鷹使。もう、と身体を起こすと、軽く腰を揺すられ、緋嶺は顔を顰める。
「もう繋がったから良いんだが……緋嶺、付き合ってくれるか?」
「そう言って、もう、腰動かしてんじゃん!」
あっ、あっ、と突かれる度に声が出てしまい、緋嶺は唇を噛んでそれに耐える。それに気付いた鷹使は、打ち付ける腰を強くし、緋嶺の胸の先を摘む。
「んっ、ああっ、……止めろ……っ」
緋嶺は一際高い声を上げて、鷹使を太ももで締め付けてしまった。そうすると覚えのある感覚が迫ってきて、思わず待って、待ってと鷹使の胸をいじる手を掴む。
「……止まって良いのか緋嶺?」
これが良くてイキそうなんだろ、と一向に止めない鷹使の声が掠れた。緋嶺はそれにも敏感に反応してしまい、訳が分からないまま、また視界が一瞬ブラックアウトする。
「……ッ、あッ──鷹使っ!」
緋嶺は思わず鷹使のお腹に手を付いて、苦しい程の快感に耐えると、鷹使は緋嶺の手を引いて、彼の身体の上に寝かせる。呼吸をするので精一杯な緋嶺は、再び動き出した鷹使の脇から腕を回し、力一杯しがみつくしかなかった。
緋嶺はもう泣きそうな声で喘ぐしかなく、けれども五感はどんどん冴えて、些細な刺激も拾って快感に変換してしまう。鷹使の荒い息遣い、肉がぶつかる音、シャンプーの匂い、熱く湿っていく肌──。
「緋嶺……っ」
鷹使が緋嶺を抱きしめた。緋嶺は思わず彼の肩に噛みつき、もう何度目か分からない絶頂を迎える。
「──ッ!!」
二人同時に息を詰めると、緋嶺の口の中にじわりと鉄の味が広がった。思わずそこを舐めて啜ると、鷹使の手が緋嶺の頭を撫でる。
「……アンタの血が一番美味しい……」
まだ息が整わないままそう言うと、鷹使は軽く笑った。その声はどことなく嬉しそうだ。
「……そうか」
二人は気が済むまで、そのまま抱き合った。
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
幸せな復讐
志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。
明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。
だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。
でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。
君に捨てられた僕の恋の行方は……
それぞれの新生活を意識して書きました。
よろしくお願いします。
fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる