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(男女問わず、か……)
洋もおにぎりのパッケージを開けた。直樹らしい答えだなと思ったのだ。冷静に自分を見つめて得た答えなら、それを否定するつもりはない。
(まあ、最近は同性愛も受け入れられつつあるからな)
だから直樹もその可能性を考えてみたのだろう。それならもし将来、直樹が恋愛をし、恋人を紹介されたならどんな人であれ洋は祝福するつもりだ。
各々昼食を食べ始める中、洋もおにぎりにかぶりつこうと口を開ける。すると、なぜか白川と目が合った。
「……」
洋は何もなかったように視線を逸らす。なんとなく気まずくて、無言で咀嚼していると、ステージや観客の声が妙に大きく聞こえた。
なんだろう、どうしてこんなに気にしてしまうのだろう? 白川に、特別視して欲しいと思っていることは認めよう。けれど、それがなぜなのかわからない。わからないから気になるし、こんな自分勝手な気持ちを持っているから後ろめたくなる。
四人は無言で食事を進めた。自分が黙るとこんなに静かなんだな、と思いつつ、やはり何か話さないと落ち着かない。
「直樹、いつもサラダ食ってるけど、さすがにここにはなかったな」
「そうだね。でもほら、こういうところはそんなものだから」
直樹が答えてくれるけれど、洋はそれ以降話題を見つけられなかった。ぽつりぽつりと会話をするものの、話が広がらず、いつもの調子が出なくて焦る。結局たいして盛り上がらないまま、昼食を食べ終わってしまった。
「さ、お目当てのステージまでまだ時間あるし、トイレに行ってくるよ」
「あ、じゃあ俺も行っとく」
ひと息ついたところで白川と直樹が立ち上がる。今回のお目当てはメインステージではなく、レジャーシートを敷いてゆったり聞けるアコースティックステージなので、この場所でも十分だ。二人ずつ交代で行くことになり、哲也と洋は二人が戻ってきてから御手洗に行く。
「洋、俺食べ足りないから何か買ってく。先戻ってて」
「おー」
戻る途中でそう言われ、哲也と別れた。自分もおにぎり二つで足りるかなと思ったけれど、胸が重たくてこれ以上は食べられそうにない。
やがて、二人の姿が見えてくる。直樹の表情はわからないけれど、白川はリラックスした様子で笑っていた。
(なんで……)
どうして頑なに洋にはリラックスした笑顔を見せないのだろう。いくら緊張するとはいえ、そろそろ打ち解けてきてもいいころではないのか。
「……」
洋は大股で歩きだす。ズンズンと歩いていき、そばまで来ると、白川の顔がサッと強ばったのが見えた。
――そんな顔をしなくてもいいじゃないか。今のいままで、直樹と楽しそうに話していたのに。
ズキン、と胸が痛む。
「……直樹、ちょっと来い」
「ん? あれ? 哲也は?」
「いいから来い」
洋は白川ではなく、直樹の腕を引っ張る。ちょっと! と直樹は声を上げたが、すぐに諦めたのか大人しく付いてきた。洋はそのまま腕を掴んで歩いていく。
少し離れたところで洋は腕を離した。痛かったのか掴まれたところをさする直樹に、洋は不機嫌を隠さず「何話してた」と詰め寄る。
「何って……世間話だけど?」
けれど直樹はいつもの冷静さだ。それでも洋は直樹をじっと見つめてると、諦めたのか彼はため息をつく。
「何に怒ってるのか知らないけど。俺と白川が話して、なんで洋が怒るの」
「……」
言われてみればそうだ。けれど今は衝動的に白川と直樹を離したいと思った。自分にだけ壁を作る白川と、大事な友人である直樹が仲良く話していることが、耐えられなかったのだ。
「白川、俺にだけ壁作ってる」
そう呟いた声は、自分でも驚くほど弱々しかった。だからこそ、その事実が自分にとって大きなことだったのだと、改めて自覚する。
直樹はまたため息をついた。
「じゃあ、そのことについて白川と話しなよ。俺は関係ないじゃないか」
「直樹には打ち解けてるだろ? なんで俺だけとか聞いてないのか?」
「聞いてたとしても、それは白川の口から聞くべきじゃないの?」
「聞けたらこんなふうに直樹を連れ出してない」
洋は口を尖らせて言うと、今度こそ直樹はハッキリと呆れた顔をする。ここでこんな話をしても意味がないことはわかっていた。けれど、原因不明のこのモヤモヤを、どうやって解消すれば良いのかわからない。
「……もう。ほら、戻るよ」
「えっ、ちょっ、……まだ話が……!」
「話をするのは俺じゃないって言ったでしょ。話さなきゃわからないよそんなもの」
洋は腕を掴まれ、先程とは逆にグイグイと引っ張られていく。話すと言っても、何を話したらいいのかわからないのに、と内心叫ぶ。
「直樹、俺に隠してることないのか? 俺だけ壁作られて、その原因も俺だけ知らないとかじゃないよなっ?」
「踏み込むのは怖がるくせに被害妄想はしっかりあるんだね」
ほんと、中学の時のままだよ、と言われ、仕方がないじゃないか、と半泣きで喚いた。
「本当は、寂しがり屋で話してないと落ち着かなくて、あえて明るく振舞ってるって知ってる」
白川にもそれを伝えたらいいじゃないか、と言われ、洋は直樹の腕を振りほどく。
「だ、だって! あいつ俺に憧れてるって……!」
実は見せかけの明るさで、一生懸命築いた交友関係。偽りの姿だからこそ、いつも洋のそばにいるのは直樹と哲也だけだし、深い関係にもなれないから恋人もできない。
「それなのに視線は合わないし俺の前では困ったように笑うばっかだし、話す度にオドオドされたらこっちだって……!」
そう言って、洋は言葉が出なくなる。
――今自分は、何を言おうとしていたのか。
(こっちだって? 俺だってってなんだ?)
はてなマークを浮かべる洋の腕を、直樹は再び掴んで引っ張った。そこがわからないようなら、なおさら白川と話せと言われる。
(仲良くしたいのは俺だってそう。なのに白川が変な態度取るからこっちまで意識し……)
そう思った瞬間、洋の思考は完全に止まってしまった。
洋もおにぎりのパッケージを開けた。直樹らしい答えだなと思ったのだ。冷静に自分を見つめて得た答えなら、それを否定するつもりはない。
(まあ、最近は同性愛も受け入れられつつあるからな)
だから直樹もその可能性を考えてみたのだろう。それならもし将来、直樹が恋愛をし、恋人を紹介されたならどんな人であれ洋は祝福するつもりだ。
各々昼食を食べ始める中、洋もおにぎりにかぶりつこうと口を開ける。すると、なぜか白川と目が合った。
「……」
洋は何もなかったように視線を逸らす。なんとなく気まずくて、無言で咀嚼していると、ステージや観客の声が妙に大きく聞こえた。
なんだろう、どうしてこんなに気にしてしまうのだろう? 白川に、特別視して欲しいと思っていることは認めよう。けれど、それがなぜなのかわからない。わからないから気になるし、こんな自分勝手な気持ちを持っているから後ろめたくなる。
四人は無言で食事を進めた。自分が黙るとこんなに静かなんだな、と思いつつ、やはり何か話さないと落ち着かない。
「直樹、いつもサラダ食ってるけど、さすがにここにはなかったな」
「そうだね。でもほら、こういうところはそんなものだから」
直樹が答えてくれるけれど、洋はそれ以降話題を見つけられなかった。ぽつりぽつりと会話をするものの、話が広がらず、いつもの調子が出なくて焦る。結局たいして盛り上がらないまま、昼食を食べ終わってしまった。
「さ、お目当てのステージまでまだ時間あるし、トイレに行ってくるよ」
「あ、じゃあ俺も行っとく」
ひと息ついたところで白川と直樹が立ち上がる。今回のお目当てはメインステージではなく、レジャーシートを敷いてゆったり聞けるアコースティックステージなので、この場所でも十分だ。二人ずつ交代で行くことになり、哲也と洋は二人が戻ってきてから御手洗に行く。
「洋、俺食べ足りないから何か買ってく。先戻ってて」
「おー」
戻る途中でそう言われ、哲也と別れた。自分もおにぎり二つで足りるかなと思ったけれど、胸が重たくてこれ以上は食べられそうにない。
やがて、二人の姿が見えてくる。直樹の表情はわからないけれど、白川はリラックスした様子で笑っていた。
(なんで……)
どうして頑なに洋にはリラックスした笑顔を見せないのだろう。いくら緊張するとはいえ、そろそろ打ち解けてきてもいいころではないのか。
「……」
洋は大股で歩きだす。ズンズンと歩いていき、そばまで来ると、白川の顔がサッと強ばったのが見えた。
――そんな顔をしなくてもいいじゃないか。今のいままで、直樹と楽しそうに話していたのに。
ズキン、と胸が痛む。
「……直樹、ちょっと来い」
「ん? あれ? 哲也は?」
「いいから来い」
洋は白川ではなく、直樹の腕を引っ張る。ちょっと! と直樹は声を上げたが、すぐに諦めたのか大人しく付いてきた。洋はそのまま腕を掴んで歩いていく。
少し離れたところで洋は腕を離した。痛かったのか掴まれたところをさする直樹に、洋は不機嫌を隠さず「何話してた」と詰め寄る。
「何って……世間話だけど?」
けれど直樹はいつもの冷静さだ。それでも洋は直樹をじっと見つめてると、諦めたのか彼はため息をつく。
「何に怒ってるのか知らないけど。俺と白川が話して、なんで洋が怒るの」
「……」
言われてみればそうだ。けれど今は衝動的に白川と直樹を離したいと思った。自分にだけ壁を作る白川と、大事な友人である直樹が仲良く話していることが、耐えられなかったのだ。
「白川、俺にだけ壁作ってる」
そう呟いた声は、自分でも驚くほど弱々しかった。だからこそ、その事実が自分にとって大きなことだったのだと、改めて自覚する。
直樹はまたため息をついた。
「じゃあ、そのことについて白川と話しなよ。俺は関係ないじゃないか」
「直樹には打ち解けてるだろ? なんで俺だけとか聞いてないのか?」
「聞いてたとしても、それは白川の口から聞くべきじゃないの?」
「聞けたらこんなふうに直樹を連れ出してない」
洋は口を尖らせて言うと、今度こそ直樹はハッキリと呆れた顔をする。ここでこんな話をしても意味がないことはわかっていた。けれど、原因不明のこのモヤモヤを、どうやって解消すれば良いのかわからない。
「……もう。ほら、戻るよ」
「えっ、ちょっ、……まだ話が……!」
「話をするのは俺じゃないって言ったでしょ。話さなきゃわからないよそんなもの」
洋は腕を掴まれ、先程とは逆にグイグイと引っ張られていく。話すと言っても、何を話したらいいのかわからないのに、と内心叫ぶ。
「直樹、俺に隠してることないのか? 俺だけ壁作られて、その原因も俺だけ知らないとかじゃないよなっ?」
「踏み込むのは怖がるくせに被害妄想はしっかりあるんだね」
ほんと、中学の時のままだよ、と言われ、仕方がないじゃないか、と半泣きで喚いた。
「本当は、寂しがり屋で話してないと落ち着かなくて、あえて明るく振舞ってるって知ってる」
白川にもそれを伝えたらいいじゃないか、と言われ、洋は直樹の腕を振りほどく。
「だ、だって! あいつ俺に憧れてるって……!」
実は見せかけの明るさで、一生懸命築いた交友関係。偽りの姿だからこそ、いつも洋のそばにいるのは直樹と哲也だけだし、深い関係にもなれないから恋人もできない。
「それなのに視線は合わないし俺の前では困ったように笑うばっかだし、話す度にオドオドされたらこっちだって……!」
そう言って、洋は言葉が出なくなる。
――今自分は、何を言おうとしていたのか。
(こっちだって? 俺だってってなんだ?)
はてなマークを浮かべる洋の腕を、直樹は再び掴んで引っ張った。そこがわからないようなら、なおさら白川と話せと言われる。
(仲良くしたいのは俺だってそう。なのに白川が変な態度取るからこっちまで意識し……)
そう思った瞬間、洋の思考は完全に止まってしまった。
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