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滅多に人を、苦手だと思ったことはない。
だって、その人のことを知らなかったら聞けばいいし、知ったらそこから話が広がる。相手に興味を持ち知りたいという態度を示せば、大抵の人は気持ちよく話してくれる。加えて、持ち前の愛嬌とノリの良さで絡めば、仲良くなるのは簡単だ。
「ごめんね、篠崎くんのこと、友達以上に見られなくって……」
ただ、それは『友達』までの関係に限る。篠崎洋は今回もまた、その真理を突きつけられた。
大学二年生の春。正門通りの桜並木から飛んできたのか、ピンクの花びらがアスファルトを滑っていく。俺の恋は満開になる前に散ってしまったか、と内心泣いていると、目の前にいた女の子が慌てたように洋を呼んだ。
「あっ、ごめんねこっちこそ。いきなり呼び出して……」
洋は相手に罪悪感を持たせないように笑う。じゃあ研究室に戻るよ、とその子と別れて歩き出した。
同じゼミの、友達繋がりで知り合った同学年の子だった。会えば話すし、ちょっと踏み込んだ――恋愛観の話もした。グループで遊びにいったり、勉強会などもしたりしていて、いつも笑顔で、穏やかな子だった。そんな彼女に、洋は惹かれていたのに。
「……いい感じだと思ったのにな……」
呟いた声が妙に寂しく聞こえる。
これで何度目だろう、と肩を落とす。大体振られる理由はいつも一緒だ、「友達以上には思えない」と。おかげで恋人いない歴イコール年齢。そろそろ俺に春がきても良いじゃないか、と独りごちる。
洋は近い裏口から構内に入った。表側と違って薄暗い雰囲気は、今の自分にピッタリだな、と自嘲する。
「好きなんだけど。付き合ってよ」
「おわっ?」
廊下を曲がったところで二人きりの男女に出くわし、洋は思わず変な声を上げてしまった。二人の視線がこちらを向いて、気まずくなったので早足で通り過ぎることにする。
まったく、こっちは今しがた振られたのに、と思う。しかも男の方は見覚えのある奴だった。たしか同学年の白川恵士だ。なぜフルネームで覚えているかというと、あまり良い噂を聞かないからである。
一八〇を超えているであろう長身、サラサラの茶髪に優しげな目。容姿ですでに目立つ白川は、そのイケメンからは想像できないほどの悪評が流れていた。
――女は入れ食い状態で、飽きたら捨てる。
――一時期三股をかけていた。
――女の子に手をあげて怪我をさせた。
どれも噂だけれど、それが本当なら最低すぎる。けれど、洋にはどうしてもそれが本当だとは思えなかった。なぜそう思ったのか、明確な根拠はない。――勘ってやつだ。
(まあ、顔はいいからモテるのはわかる。やっかみもあるだろうし大変だな)
そんなことを思いつつ二人の横を通り過ぎる。白川はどんな返事をするのかな、なんて軽く考えつつ歩いていると、彼の返事が聞こえた。
「ごめん、多分好きになれないだろうから」
「は? じゃあ、二人で遊びに行ったりしたのはなんだったの? 少しは良いなって思ってくれてたんじゃないの!?」
(……おいおいおい)
洋は足を速めた。これは完璧に修羅場コースだ。早く二人の会話が聞こえないところまで逃げなくては。
「……ごめん」
白川の声が小さく聞こえる。洋はその声音に、なぜか彼なりの誠実さを感じてドキリとした。
白川は、噂とは違ってまともな人なのだと感じたのだ。
ではなぜ、あんな噂が流れているのだろう?
そう思いながら洋は研究室の扉を開けると、中にいた友人二人が揃ってこちらを見る。
「おー洋、振られてきたか?」
「なんで振られる前提なんだよムカつくなその通りだよ」
口を尖らせて席に着くと、ニヤニヤ笑って肩に腕を回してきたのは哲也だ。さすが俺たちの洋だ、と笑いながら失礼なことを言われ、洋は回された腕を振り払う。
「なんだよー俺たち中学からの仲じゃん?」
「うっせー、人の不幸を喜ぶな」
「……理由は? いつもと同じ?」
「傷口に塩を塗らないでくれないか直樹」
洋は直樹をジト目で見た。こちらはいつも通り平静な顔をしているので、洋は肩を落とす。
どうしてだよ、と机に突っ伏すと、直樹がペットボトルのお茶を目の前に置いた。慰められていると嬉しくなりつつ、ありがたく受け取る。
「友達以上に見れないって。何がいけないのかなー?」
「まあ、その人の好みとタイミングもあるしね」
直樹の言葉に哲也も頷いた。
「理想高すぎなんじゃないか? かわいい子ばっかりと仲良くなって……羨ましい死ねばいいのに」
「ひでぇ!」
確かに哲也の言う通り、つるんでいる仲でも目立つ、かわいい子に目がいくのは自覚している。でも、話しているうちに打ち解けて、相手も楽しそうに接してくれるなら、チャンスがあるんじゃないか、と思うのは普通ではないのか。
直樹が肩を叩いた。
「次行こ」
「……そだなー」
慣れたくないけれど、振られるのはいつものことだ。それに、直樹と哲也と一緒にいるのも楽しい。
「あ」
洋は再び突っ伏しかけた身体を起こし、二人に伝えてみる。
「そういえば、白川が告白されてるところに出くわした」
「え、マジか。アイツどれだけモテたら気が済むんだよ」
白川の名前が出た途端、哲也の顔が歪む。どうやら彼は白川が嫌いらしい。
しかし洋は、うーん、と首を捻る。
先程見た白川は、告白されて喜んでいる訳でも、相手を馬鹿にしている訳でもなかった。むしろ相手を気遣って、ちゃんと返事をしようとしていたように見える。
「そんなに悪い奴じゃないと思うんだよなー」
「は? だって、三股とかありえないだろ」
「……哲也のそれは、僻みだよね」
洋の言葉に、嫌そうに吐き捨てる哲也。けれど直樹が言うように、僻みが大部分を占めているようだ。その証拠に「所詮女は顔だろー」と哲也は口を尖らせている。
「その前に哲也は、その熱しやすく冷めやすいのをなんとかしないと」
直樹が真顔で言った。彼のすごいところは、いつも冷静に人のことを見ているところだ。自分が指摘されると痛い部分もあるけれど、時々ハッとする意見が出てくる。そういうところは尊敬するな、と洋は思う。大人しいけれど、新しい視点をくれる直樹は、賑やかしの哲也の主な宥め役だ。
「しょうがないだろー? 頭も顔も良くない奴は、数打つしかないんですー」
「……どっちもそんなことないと思うけどなぁ」
洋はそう呟いた。実際、冷めやすいと本人は言うけれど洋とは中学からの仲だし、気が合えば長続きするのだと思う。そして、洋たちと同じ大学に行きたい、と相当頑張って勉強していた哲也だから、「やればできる子」なのだと思う。
「……洋、落ち着いたならそろそろ行こうか」
「……だな。二人共付き合ってくれてサンキュー」
告白が終わるまで待っていてくれた二人に礼を言うと、二人はそれぞれ軽く返事をして立ち上がる。振られても、この二人がいると思えば心が軽い。感謝だな、と洋も立ち上がった。
だって、その人のことを知らなかったら聞けばいいし、知ったらそこから話が広がる。相手に興味を持ち知りたいという態度を示せば、大抵の人は気持ちよく話してくれる。加えて、持ち前の愛嬌とノリの良さで絡めば、仲良くなるのは簡単だ。
「ごめんね、篠崎くんのこと、友達以上に見られなくって……」
ただ、それは『友達』までの関係に限る。篠崎洋は今回もまた、その真理を突きつけられた。
大学二年生の春。正門通りの桜並木から飛んできたのか、ピンクの花びらがアスファルトを滑っていく。俺の恋は満開になる前に散ってしまったか、と内心泣いていると、目の前にいた女の子が慌てたように洋を呼んだ。
「あっ、ごめんねこっちこそ。いきなり呼び出して……」
洋は相手に罪悪感を持たせないように笑う。じゃあ研究室に戻るよ、とその子と別れて歩き出した。
同じゼミの、友達繋がりで知り合った同学年の子だった。会えば話すし、ちょっと踏み込んだ――恋愛観の話もした。グループで遊びにいったり、勉強会などもしたりしていて、いつも笑顔で、穏やかな子だった。そんな彼女に、洋は惹かれていたのに。
「……いい感じだと思ったのにな……」
呟いた声が妙に寂しく聞こえる。
これで何度目だろう、と肩を落とす。大体振られる理由はいつも一緒だ、「友達以上には思えない」と。おかげで恋人いない歴イコール年齢。そろそろ俺に春がきても良いじゃないか、と独りごちる。
洋は近い裏口から構内に入った。表側と違って薄暗い雰囲気は、今の自分にピッタリだな、と自嘲する。
「好きなんだけど。付き合ってよ」
「おわっ?」
廊下を曲がったところで二人きりの男女に出くわし、洋は思わず変な声を上げてしまった。二人の視線がこちらを向いて、気まずくなったので早足で通り過ぎることにする。
まったく、こっちは今しがた振られたのに、と思う。しかも男の方は見覚えのある奴だった。たしか同学年の白川恵士だ。なぜフルネームで覚えているかというと、あまり良い噂を聞かないからである。
一八〇を超えているであろう長身、サラサラの茶髪に優しげな目。容姿ですでに目立つ白川は、そのイケメンからは想像できないほどの悪評が流れていた。
――女は入れ食い状態で、飽きたら捨てる。
――一時期三股をかけていた。
――女の子に手をあげて怪我をさせた。
どれも噂だけれど、それが本当なら最低すぎる。けれど、洋にはどうしてもそれが本当だとは思えなかった。なぜそう思ったのか、明確な根拠はない。――勘ってやつだ。
(まあ、顔はいいからモテるのはわかる。やっかみもあるだろうし大変だな)
そんなことを思いつつ二人の横を通り過ぎる。白川はどんな返事をするのかな、なんて軽く考えつつ歩いていると、彼の返事が聞こえた。
「ごめん、多分好きになれないだろうから」
「は? じゃあ、二人で遊びに行ったりしたのはなんだったの? 少しは良いなって思ってくれてたんじゃないの!?」
(……おいおいおい)
洋は足を速めた。これは完璧に修羅場コースだ。早く二人の会話が聞こえないところまで逃げなくては。
「……ごめん」
白川の声が小さく聞こえる。洋はその声音に、なぜか彼なりの誠実さを感じてドキリとした。
白川は、噂とは違ってまともな人なのだと感じたのだ。
ではなぜ、あんな噂が流れているのだろう?
そう思いながら洋は研究室の扉を開けると、中にいた友人二人が揃ってこちらを見る。
「おー洋、振られてきたか?」
「なんで振られる前提なんだよムカつくなその通りだよ」
口を尖らせて席に着くと、ニヤニヤ笑って肩に腕を回してきたのは哲也だ。さすが俺たちの洋だ、と笑いながら失礼なことを言われ、洋は回された腕を振り払う。
「なんだよー俺たち中学からの仲じゃん?」
「うっせー、人の不幸を喜ぶな」
「……理由は? いつもと同じ?」
「傷口に塩を塗らないでくれないか直樹」
洋は直樹をジト目で見た。こちらはいつも通り平静な顔をしているので、洋は肩を落とす。
どうしてだよ、と机に突っ伏すと、直樹がペットボトルのお茶を目の前に置いた。慰められていると嬉しくなりつつ、ありがたく受け取る。
「友達以上に見れないって。何がいけないのかなー?」
「まあ、その人の好みとタイミングもあるしね」
直樹の言葉に哲也も頷いた。
「理想高すぎなんじゃないか? かわいい子ばっかりと仲良くなって……羨ましい死ねばいいのに」
「ひでぇ!」
確かに哲也の言う通り、つるんでいる仲でも目立つ、かわいい子に目がいくのは自覚している。でも、話しているうちに打ち解けて、相手も楽しそうに接してくれるなら、チャンスがあるんじゃないか、と思うのは普通ではないのか。
直樹が肩を叩いた。
「次行こ」
「……そだなー」
慣れたくないけれど、振られるのはいつものことだ。それに、直樹と哲也と一緒にいるのも楽しい。
「あ」
洋は再び突っ伏しかけた身体を起こし、二人に伝えてみる。
「そういえば、白川が告白されてるところに出くわした」
「え、マジか。アイツどれだけモテたら気が済むんだよ」
白川の名前が出た途端、哲也の顔が歪む。どうやら彼は白川が嫌いらしい。
しかし洋は、うーん、と首を捻る。
先程見た白川は、告白されて喜んでいる訳でも、相手を馬鹿にしている訳でもなかった。むしろ相手を気遣って、ちゃんと返事をしようとしていたように見える。
「そんなに悪い奴じゃないと思うんだよなー」
「は? だって、三股とかありえないだろ」
「……哲也のそれは、僻みだよね」
洋の言葉に、嫌そうに吐き捨てる哲也。けれど直樹が言うように、僻みが大部分を占めているようだ。その証拠に「所詮女は顔だろー」と哲也は口を尖らせている。
「その前に哲也は、その熱しやすく冷めやすいのをなんとかしないと」
直樹が真顔で言った。彼のすごいところは、いつも冷静に人のことを見ているところだ。自分が指摘されると痛い部分もあるけれど、時々ハッとする意見が出てくる。そういうところは尊敬するな、と洋は思う。大人しいけれど、新しい視点をくれる直樹は、賑やかしの哲也の主な宥め役だ。
「しょうがないだろー? 頭も顔も良くない奴は、数打つしかないんですー」
「……どっちもそんなことないと思うけどなぁ」
洋はそう呟いた。実際、冷めやすいと本人は言うけれど洋とは中学からの仲だし、気が合えば長続きするのだと思う。そして、洋たちと同じ大学に行きたい、と相当頑張って勉強していた哲也だから、「やればできる子」なのだと思う。
「……洋、落ち着いたならそろそろ行こうか」
「……だな。二人共付き合ってくれてサンキュー」
告白が終わるまで待っていてくれた二人に礼を言うと、二人はそれぞれ軽く返事をして立ち上がる。振られても、この二人がいると思えば心が軽い。感謝だな、と洋も立ち上がった。
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