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ちゅく、ちゅ、と濡れた音がする。その他には二人の少し弾んだ息遣いの音。冬の冷たい空気は僅かな音の振動も遠くへ響かせ、それが冬哉を熱くさせた。
冬哉は秀の耳に触れる。熱くなったそこは冬哉だけが興奮している訳ではないと分かり、胸がキュンと苦しくなった。それと同時に下半身もズクンと反応して、冬哉は唇を離す。
「誕生日プレゼント、まだもらってない」
「……っ、言うと思った……」
やはりこれが目的だったか、と冬哉はカーッと顔が熱くなった。言い出したのは自分だし、でも怖いし、と迷っていると、秀は頭を撫でる。
「……メシ、先に食べるか?」
秀が気を遣ってくれたのが分かる。冬哉は短く息を吐くと、秀の膝の上に乗った。
「……優しくしてくれる?」
唇を擦り合わせて甘い声を出すと、秀は目を伏せて、うん、と返事をした。そのまま口付けすると、冬哉はある事を思い付いて、秀の長い前髪を両手で掻き上げる。切れ長の目がこちらを見ているけれど、瞳の中の光はいつも通りだった。そして、やっぱり秀はカッコイイな、とおでこにキスをする。
前髪が、というか髪が長いせいでどうももっさりした印象を受ける彼は、こんなにイケメンなのにどうしてモテなかったのだろう? と髪を梳きながら元に戻した。
「秀くん、髪切らないでね?」
秀のかっこよさは、自分だけ知っていれば良い。そう思ってまた唇にキスをする。
「冬哉」
「何? ちょ、……んっ」
いきなりトップスの中に手を入れられ、肌の上を滑らせるようにして服を脱がされた。ひんやりとした空気が肌に触れ、思わず両腕を抱える。しかし、秀はその腕を退かそうとした。
「見せて」
秀の力は決して強くはなかったけれど、冬哉は何故か抗えずに腕を解く。冬哉は恥ずかしさで俯くと、秀の長い指がそっと唇に触れ、僅かに開いた隙間から親指が中に入ってくる。そして他の四本の指で顎を持ち上げられ、秀の視線とぶつかった。
「……ぁ」
ゾクリと背中が微かに震える。秀は満足したのか、顎から手を離し、指先で首筋、鎖骨の間と撫でていった。まるで肌の滑らかさを確かめるようなそれに、冬哉はそっと息を吐く。
「秀くん……手つきがやらしいよ……」
照れ隠しに冬哉がそう言うと、そうか、とだけ返ってくる。そしてその指は胸の上――冬哉の感じる所を掠めた。ハッキリとした快感が腰の辺りに広がり、ひくん、と肩が震える。すると秀は反対側ももう片方の手で擦り、摘み、捏ねてきた。与えられる刺激に素直に反応した冬哉は、それだけで下半身が破裂しそうになってしまう。
「し、秀くん……っ」
ビクビクと背中を反らせて彼の名前を呼ぶと、秀は冬哉のパンツに手を掛けた。
「……慣らさないと」
「……っ、うん……」
冬哉は一度秀の膝から降りる。しかしそこで秀はまだ服を脱いでいないことに気付き、口を尖らせた。
「秀くんも脱いでよ」
僕ばっかりは嫌だ、と言うと、秀は全ての服を脱ぎ去った。昨日は恥ずかしがっていたのに、もう免疫を付けたのか、と冬哉は驚く。そしてやはり、圧倒的な存在感を放つ彼の股間に目が行ってしまう。すると秀はカバンから何かのチューブ容器と、何かが入った箱を出した。それらを何の目的で、何にどうやって使うのか、考えたくなくて、慌てて視線を逸らす。
(何でローションとコンドームまで持って来てるの!?)
「冬哉」
静かに呼ばれて、冬哉は恥ずかしがりながらもパンツを下着ごと脱いだ。そして再び秀の膝の上に戻ってくると抱きしめられる。
温かな体温が直に感じられて、冬哉は安心するのか緊張するのか分からなくなった。秀は宥めるように冬哉の背中を撫でると、チューブ容器からたっぷり中身を取り出し、それを少しずつ冬哉の後ろに塗っていく。
「ん……」
冬哉はそこに触れられる事に慣れていないので、思わず身体に力が入る。すると秀は、力抜いて、といつもの表情で言うのだ。
「……秀くん、本当に初めて?」
絶対慣れてるよね、と言われた通り力を抜くと、蕾を揉むようにして触れていた指の先が入ってくる。
「動物も、同性愛行動を取る種類が沢山ある。もちろん虫にも」
何故繁殖に関係ない行為をするのか、諸説あるけど、と解説を始めたので、冬哉は首を振ってそれを止めた。
「それどころじゃないから!」
何で今それを言うのか、と思っていると、秀は冬哉の半開きで息を乱す唇に吸い付く。
「……俺は冬哉を抱きたい。愛したい」
「……っ!」
冬哉の背中がぴくりと反応した。それは秀の言葉によるものなのか、いつの間にか奥まで入った指が、ある箇所に触れたからかは分からない。しかし何故か身体が熱くなっていき、冬哉の腰はうねる。
「んん……っ、な、何これっ?」
「……前立腺。気持ちいい?」
「わっ、分かんないよぉ……!」
冬哉は顔を顰めて与えられる刺激に耐えていると、秀がいつもの表情でこちらを見ている事に気付いた。見ないでぇ、と顔を腕で隠すと、そっとその腕を退かされる。
「見せて」
相変わらず言葉は少ないけれど、ハッキリと気持ちを言葉にする秀。どうしてこういう時だけ、と冬哉は恥ずかしさで涙が浮かび、フルフルと首を振って秀くんの意地悪、と肩を叩く。しかしそれも力が入らず撫でただけで終わり、覚えのある感覚に戸惑って声を上げた。
「あっ、秀くんっ、だめ……っ、……いっちゃうっ」
勝手に動く腰を止めようと力を入れると、全身に力が入る。同時に脳天を突くような強い快感に襲われて、大きく背中を逸らした。
「ーーッ!」
声も出ない程の出来事に乱れた息を整えていると、ようやく秀は後ろへの刺激を止めて指を抜き、空いた片手で冬哉の頭を撫でる。
「……気持ちいい?」
見ると冬哉は射精していなかった。まだ硬くそそり立ったままで、一体何があったんだ、と秀の肩口に額を当てる。彼の問いに力なく頷くと、入れていい? と聞かれた。冬哉はそれにも頷く。
「そ、そんな大きいの……入るかなぁ?」
改めて秀の股間を見た冬哉は、凶器のようなそこを受け入れられるか心配だった。しかしやると言ったのは自分だ、ごくりと唾を飲み込むと、急に視界がひっくり返る。
「……っ、秀くんっ?」
「……ごめん」
押し倒されたと気付き彼の名を呼んだ。秀はそう呟くと、あの凶暴なものの切っ先を冬哉の後ろにあてがう。そして息つく暇もなくそれを押し込んだ。
「ーーあ……っ! 秀くん、待って……っ!」
圧迫感に冬哉は思わず息を詰める。痛くはないけれど、苦しさにボロボロと涙が零れ落ちると、秀はその目尻をふわりと拭った。そして少し、また少しと熱い凶器を押し込まれ、声を上げて呼吸をするしか術はない。
「冬哉……温かい……ごめん……」
秀は秀で限界だったらしく、乱れた息の中うわ言のように呟く。そして奥に入れたまま揺さぶられ、冬哉の身体は捻って逃げようとした。先程前立腺と言われた所に秀の切っ先が当たり、擦れる度に冬哉は声を上げて、秀を締め付ける。そしてまた、覚えのある感覚があって、冬哉はガクガクと全身を震わせた。
「……っ、冬哉……っ」
秀も息を詰める。表情はやはりあまり変わらないものの、普段の秀からは想像できないほどの色気に、冬哉はまたゾクゾクした。
「秀くん……」
名前を呼ぶと、秀は動きを止めて軽く口付ける。そのまま二人は無言で抱きしめ合い、冬哉は幸せを噛み締めた。
冬哉は秀の耳に触れる。熱くなったそこは冬哉だけが興奮している訳ではないと分かり、胸がキュンと苦しくなった。それと同時に下半身もズクンと反応して、冬哉は唇を離す。
「誕生日プレゼント、まだもらってない」
「……っ、言うと思った……」
やはりこれが目的だったか、と冬哉はカーッと顔が熱くなった。言い出したのは自分だし、でも怖いし、と迷っていると、秀は頭を撫でる。
「……メシ、先に食べるか?」
秀が気を遣ってくれたのが分かる。冬哉は短く息を吐くと、秀の膝の上に乗った。
「……優しくしてくれる?」
唇を擦り合わせて甘い声を出すと、秀は目を伏せて、うん、と返事をした。そのまま口付けすると、冬哉はある事を思い付いて、秀の長い前髪を両手で掻き上げる。切れ長の目がこちらを見ているけれど、瞳の中の光はいつも通りだった。そして、やっぱり秀はカッコイイな、とおでこにキスをする。
前髪が、というか髪が長いせいでどうももっさりした印象を受ける彼は、こんなにイケメンなのにどうしてモテなかったのだろう? と髪を梳きながら元に戻した。
「秀くん、髪切らないでね?」
秀のかっこよさは、自分だけ知っていれば良い。そう思ってまた唇にキスをする。
「冬哉」
「何? ちょ、……んっ」
いきなりトップスの中に手を入れられ、肌の上を滑らせるようにして服を脱がされた。ひんやりとした空気が肌に触れ、思わず両腕を抱える。しかし、秀はその腕を退かそうとした。
「見せて」
秀の力は決して強くはなかったけれど、冬哉は何故か抗えずに腕を解く。冬哉は恥ずかしさで俯くと、秀の長い指がそっと唇に触れ、僅かに開いた隙間から親指が中に入ってくる。そして他の四本の指で顎を持ち上げられ、秀の視線とぶつかった。
「……ぁ」
ゾクリと背中が微かに震える。秀は満足したのか、顎から手を離し、指先で首筋、鎖骨の間と撫でていった。まるで肌の滑らかさを確かめるようなそれに、冬哉はそっと息を吐く。
「秀くん……手つきがやらしいよ……」
照れ隠しに冬哉がそう言うと、そうか、とだけ返ってくる。そしてその指は胸の上――冬哉の感じる所を掠めた。ハッキリとした快感が腰の辺りに広がり、ひくん、と肩が震える。すると秀は反対側ももう片方の手で擦り、摘み、捏ねてきた。与えられる刺激に素直に反応した冬哉は、それだけで下半身が破裂しそうになってしまう。
「し、秀くん……っ」
ビクビクと背中を反らせて彼の名前を呼ぶと、秀は冬哉のパンツに手を掛けた。
「……慣らさないと」
「……っ、うん……」
冬哉は一度秀の膝から降りる。しかしそこで秀はまだ服を脱いでいないことに気付き、口を尖らせた。
「秀くんも脱いでよ」
僕ばっかりは嫌だ、と言うと、秀は全ての服を脱ぎ去った。昨日は恥ずかしがっていたのに、もう免疫を付けたのか、と冬哉は驚く。そしてやはり、圧倒的な存在感を放つ彼の股間に目が行ってしまう。すると秀はカバンから何かのチューブ容器と、何かが入った箱を出した。それらを何の目的で、何にどうやって使うのか、考えたくなくて、慌てて視線を逸らす。
(何でローションとコンドームまで持って来てるの!?)
「冬哉」
静かに呼ばれて、冬哉は恥ずかしがりながらもパンツを下着ごと脱いだ。そして再び秀の膝の上に戻ってくると抱きしめられる。
温かな体温が直に感じられて、冬哉は安心するのか緊張するのか分からなくなった。秀は宥めるように冬哉の背中を撫でると、チューブ容器からたっぷり中身を取り出し、それを少しずつ冬哉の後ろに塗っていく。
「ん……」
冬哉はそこに触れられる事に慣れていないので、思わず身体に力が入る。すると秀は、力抜いて、といつもの表情で言うのだ。
「……秀くん、本当に初めて?」
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「動物も、同性愛行動を取る種類が沢山ある。もちろん虫にも」
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「それどころじゃないから!」
何で今それを言うのか、と思っていると、秀は冬哉の半開きで息を乱す唇に吸い付く。
「……俺は冬哉を抱きたい。愛したい」
「……っ!」
冬哉の背中がぴくりと反応した。それは秀の言葉によるものなのか、いつの間にか奥まで入った指が、ある箇所に触れたからかは分からない。しかし何故か身体が熱くなっていき、冬哉の腰はうねる。
「んん……っ、な、何これっ?」
「……前立腺。気持ちいい?」
「わっ、分かんないよぉ……!」
冬哉は顔を顰めて与えられる刺激に耐えていると、秀がいつもの表情でこちらを見ている事に気付いた。見ないでぇ、と顔を腕で隠すと、そっとその腕を退かされる。
「見せて」
相変わらず言葉は少ないけれど、ハッキリと気持ちを言葉にする秀。どうしてこういう時だけ、と冬哉は恥ずかしさで涙が浮かび、フルフルと首を振って秀くんの意地悪、と肩を叩く。しかしそれも力が入らず撫でただけで終わり、覚えのある感覚に戸惑って声を上げた。
「あっ、秀くんっ、だめ……っ、……いっちゃうっ」
勝手に動く腰を止めようと力を入れると、全身に力が入る。同時に脳天を突くような強い快感に襲われて、大きく背中を逸らした。
「ーーッ!」
声も出ない程の出来事に乱れた息を整えていると、ようやく秀は後ろへの刺激を止めて指を抜き、空いた片手で冬哉の頭を撫でる。
「……気持ちいい?」
見ると冬哉は射精していなかった。まだ硬くそそり立ったままで、一体何があったんだ、と秀の肩口に額を当てる。彼の問いに力なく頷くと、入れていい? と聞かれた。冬哉はそれにも頷く。
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「……っ、秀くんっ?」
「……ごめん」
押し倒されたと気付き彼の名を呼んだ。秀はそう呟くと、あの凶暴なものの切っ先を冬哉の後ろにあてがう。そして息つく暇もなくそれを押し込んだ。
「ーーあ……っ! 秀くん、待って……っ!」
圧迫感に冬哉は思わず息を詰める。痛くはないけれど、苦しさにボロボロと涙が零れ落ちると、秀はその目尻をふわりと拭った。そして少し、また少しと熱い凶器を押し込まれ、声を上げて呼吸をするしか術はない。
「冬哉……温かい……ごめん……」
秀は秀で限界だったらしく、乱れた息の中うわ言のように呟く。そして奥に入れたまま揺さぶられ、冬哉の身体は捻って逃げようとした。先程前立腺と言われた所に秀の切っ先が当たり、擦れる度に冬哉は声を上げて、秀を締め付ける。そしてまた、覚えのある感覚があって、冬哉はガクガクと全身を震わせた。
「……っ、冬哉……っ」
秀も息を詰める。表情はやはりあまり変わらないものの、普段の秀からは想像できないほどの色気に、冬哉はまたゾクゾクした。
「秀くん……」
名前を呼ぶと、秀は動きを止めて軽く口付ける。そのまま二人は無言で抱きしめ合い、冬哉は幸せを噛み締めた。
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