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全力で愛してくれ9
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次の日、携帯のアラームで目が覚めた櫂斗は、ベッドから降りて歩こうとして、盛大に転んだ。
(やべ、昨日の記憶が途中で切れてるけど……そして足に力が入らないっ)
櫂斗は床に手を付いたまま、冷や汗をかく。今日は平日だ、仕事があるのに、と慌てて立ち上がろうとしていると、亮介が廊下からドアを開けて覗いてきた。
「おはよう櫂斗」
「おはよう、じゃねぇ! 立てないだろどうしてくれるんだっ」
目くじらを立てる櫂斗に対して、亮介は上機嫌でニコニコしている。その顔のまま彼は寝室に入ってきて、そばにしゃがんだ。
「昨日の櫂斗すげぇ可愛かった。思い出すだけでほら」
そう言って櫂斗の片手を亮介の股間に持っていかれ、櫂斗は思わず手を引く。そこは宣言通り熱くなっていて、櫂斗の顔も熱くなる。
「という訳で、朝飯前に一回……で済むかは微妙だけど、するぞ」
「え、いや、だから今日は出勤しなきゃ……っ」
「一日くらい病欠したって何ともないだろ」
実際歩けないわけだし、と言われ、櫂斗は恥ずかしさと怒りで震えた。
しかし身体に力が入らない櫂斗の抵抗は虚しく、そのまま押し倒されてしまう。首筋を舐められシャツの下に入った手で乳首を触られると、ビクビクと震えて亮介にしがみついた。
「櫂斗、お前小井出がどんな奴か調べたんだろ?」
耳元でそう言われ、話の内容にビクッとする。
「な、何で……っ」
「だから、履歴くらい消せって」
亮介は笑う。可愛い奴だな、と耳たぶを噛まれ、このまま流されても良いか、と思いかける。けれど、いやいや、と亮介を押して抵抗した。
「退院した時は結構我慢してたからなぁ」
何だかんだ言って楽しそうな亮介。昨日は激しかったから、本当に余裕が無かったようだ。
「ってか、お前どんだけ性欲有り余ってんだよっ」
昨日だって散々しただろうに、亮介はまだ足りないらしい。
「ん? そんなの、お前限定なら無限にあるっつーの」
「うー……俺の先生としてのイメージが……社会人としてこんな理由で休むなんて……」
櫂斗は唸る。ダメな大人だ、と呟いたらその唇にキスをされた。
逆に完璧な大人なんているのか? と亮介は笑う。人間誰しも欠点はあるだろ、と言われるけれど、それとこれとは違う気がする。するとバカ言え、と亮介はキスをした。
「人間欠点が無きゃ何も面白くないぞ? お前の母親が望んでいたのは、そんな人間だ」
「うーん?」
何だろう、何か丸め込まれてる気がする。でも、嫌じゃないから困るのだ。
櫂斗はそう思いながら、彼のキスと愛撫を受け入れた。彼の温かな体温に身震いすると、亮介の目尻が下がる。
「愛してる」
唇が付きそうになる寸前、亮介はそう囁いてキスをくれた。
蕩けそうな程の甘い声と言葉に、櫂斗はまたグズグズに溶かされていくのだった。
(やべ、昨日の記憶が途中で切れてるけど……そして足に力が入らないっ)
櫂斗は床に手を付いたまま、冷や汗をかく。今日は平日だ、仕事があるのに、と慌てて立ち上がろうとしていると、亮介が廊下からドアを開けて覗いてきた。
「おはよう櫂斗」
「おはよう、じゃねぇ! 立てないだろどうしてくれるんだっ」
目くじらを立てる櫂斗に対して、亮介は上機嫌でニコニコしている。その顔のまま彼は寝室に入ってきて、そばにしゃがんだ。
「昨日の櫂斗すげぇ可愛かった。思い出すだけでほら」
そう言って櫂斗の片手を亮介の股間に持っていかれ、櫂斗は思わず手を引く。そこは宣言通り熱くなっていて、櫂斗の顔も熱くなる。
「という訳で、朝飯前に一回……で済むかは微妙だけど、するぞ」
「え、いや、だから今日は出勤しなきゃ……っ」
「一日くらい病欠したって何ともないだろ」
実際歩けないわけだし、と言われ、櫂斗は恥ずかしさと怒りで震えた。
しかし身体に力が入らない櫂斗の抵抗は虚しく、そのまま押し倒されてしまう。首筋を舐められシャツの下に入った手で乳首を触られると、ビクビクと震えて亮介にしがみついた。
「櫂斗、お前小井出がどんな奴か調べたんだろ?」
耳元でそう言われ、話の内容にビクッとする。
「な、何で……っ」
「だから、履歴くらい消せって」
亮介は笑う。可愛い奴だな、と耳たぶを噛まれ、このまま流されても良いか、と思いかける。けれど、いやいや、と亮介を押して抵抗した。
「退院した時は結構我慢してたからなぁ」
何だかんだ言って楽しそうな亮介。昨日は激しかったから、本当に余裕が無かったようだ。
「ってか、お前どんだけ性欲有り余ってんだよっ」
昨日だって散々しただろうに、亮介はまだ足りないらしい。
「ん? そんなの、お前限定なら無限にあるっつーの」
「うー……俺の先生としてのイメージが……社会人としてこんな理由で休むなんて……」
櫂斗は唸る。ダメな大人だ、と呟いたらその唇にキスをされた。
逆に完璧な大人なんているのか? と亮介は笑う。人間誰しも欠点はあるだろ、と言われるけれど、それとこれとは違う気がする。するとバカ言え、と亮介はキスをした。
「人間欠点が無きゃ何も面白くないぞ? お前の母親が望んでいたのは、そんな人間だ」
「うーん?」
何だろう、何か丸め込まれてる気がする。でも、嫌じゃないから困るのだ。
櫂斗はそう思いながら、彼のキスと愛撫を受け入れた。彼の温かな体温に身震いすると、亮介の目尻が下がる。
「愛してる」
唇が付きそうになる寸前、亮介はそう囁いてキスをくれた。
蕩けそうな程の甘い声と言葉に、櫂斗はまたグズグズに溶かされていくのだった。
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