28 / 39
28
しおりを挟む
次の日の朝、目が覚めると、顔を真っ赤にした恋人の顔が目の前にあった。
「どうした?」
亮介が尋ねると、櫂斗は口をパクパクさせながらしどろもどろに話し出す。
「えっと、その……昨日お前の友達来てなかったか?」
「ああ、来てたな」
静かに答えると、櫂斗はますます慌てたように目が泳ぎ出した。どうやら、酔っている間の記憶は無いらしい。
「お、お、オレ……何か変な事してなかったか?」
「変な事? ……ああ、お前酔うとキス魔になるのな」
亮介がそう言うと、ああああ、と櫂斗は両手で顔を覆った。そんな反応も可愛いな、と亮介は思っていると、櫂斗はお前わざと飲ませただろ、と指の間から睨んでくる。
「わざと? 飲んだのは櫂斗の意思だよな?」
「……っ、人前で飲みたくないって言ったのに……」
櫂斗のその反応に、やはりな、と亮介はため息をついた。
「お前、酒飲んでやらかした失敗って、誰彼構わずキスしたんだろ」
「……そーだよ。合コンに誘われて飲んで、見事男だけに迫ってドン引きされたよ!」
櫂斗が言うには、ゲイだということを隠していたし、酒を飲んだら女性もいけるかなと思ったらしい。しかし結果は惨敗。しかも記憶は飛んでるわで、二度と酒なんか飲むかと思ったそうだ。
「酔ってる櫂斗、可愛かったけどなぁ」
「……」
亮介はそう言うけれど、櫂斗は顔を覆ったまま何も言わない。
「……また今度、櫂斗は酒無しでやり直そうって二人は言ってたぞ」
どうせ櫂斗の事だ、亮介の友達に引かれたんじゃと気にしてるかと思いそう言うと、案の定バッと手を外した。
「本当? 怒ってなかったか?」
「怒る? 櫂斗のあまりの色気に、二人ともタジタジだったけど、怒ってはいなかった」
「う……」
あ、そうか、と亮介はピンとくる。
「怜也は耐性はあまり無いけど、遊んでた時期の俺を知ってる唯一の友達だし、肇は彼氏がいる」
つまりは、亮介がゲイでSっ気があるのを知った上で付き合ってくれているのだ、その恋人がお酒で粗相したくらいでは怒らない。
「記憶が飛んでるからその辺の情報も忘れてるよな。大丈夫、言いふらしたりする奴らじゃないし」
そこまで言うと、櫂斗はようやく安心したらしい、肇さんも彼氏いるんだ、とか呟いている。昨日の態度といい、どうやら肇の事が気に入ったようだ。
「やたら肇と話が弾んでたぞ。気に入ったみたいだな」
それより、と亮介は櫂斗の上に移動した。それだけで動揺する櫂斗を可愛いと思いながら、両手を指を絡めて握る。
「俺の好きなようにしていいって言ったよな?」
記憶が飛んでいるので敢えての言葉だったが、櫂斗はそれで顔を真っ赤にした。
『いつもオレで遊んでばっかりで、亮介の好きなようにした事なかったから』って言ってたぞ、と言うと櫂斗は慌てる。
「い、いや……オレ覚えてねーしっ」
「酷いなぁ、櫂斗は」
逃げようとする櫂斗の身体に体重をかけると、櫂斗は何かに気付いて更に慌てる。
「おま、朝から……っ、てか、なんでたってるんだよっ?」
「ん? 昨日消化不良で終わったからじゃねーの? 好きなようにした事無いとか言って、誰かさんは寝ちゃったし」
「だ、から……覚えてないって……っ」
櫂斗の首筋に舌を這わせると、息を詰めて身体を震わせた彼は、涙目で亮介を見た。
「ホントに……覚えてないから……」
「じゃあ、今度二人で飲もうな」
二人きりなら良いだろ、と亮介が言うと、櫂斗は小さく頷いて、亮介の口付けを受け入れた。
今日一日、可愛がってやる。
亮介はそう言うと、櫂斗は素直にうん、と顔を赤らめたのだった。
「どうした?」
亮介が尋ねると、櫂斗は口をパクパクさせながらしどろもどろに話し出す。
「えっと、その……昨日お前の友達来てなかったか?」
「ああ、来てたな」
静かに答えると、櫂斗はますます慌てたように目が泳ぎ出した。どうやら、酔っている間の記憶は無いらしい。
「お、お、オレ……何か変な事してなかったか?」
「変な事? ……ああ、お前酔うとキス魔になるのな」
亮介がそう言うと、ああああ、と櫂斗は両手で顔を覆った。そんな反応も可愛いな、と亮介は思っていると、櫂斗はお前わざと飲ませただろ、と指の間から睨んでくる。
「わざと? 飲んだのは櫂斗の意思だよな?」
「……っ、人前で飲みたくないって言ったのに……」
櫂斗のその反応に、やはりな、と亮介はため息をついた。
「お前、酒飲んでやらかした失敗って、誰彼構わずキスしたんだろ」
「……そーだよ。合コンに誘われて飲んで、見事男だけに迫ってドン引きされたよ!」
櫂斗が言うには、ゲイだということを隠していたし、酒を飲んだら女性もいけるかなと思ったらしい。しかし結果は惨敗。しかも記憶は飛んでるわで、二度と酒なんか飲むかと思ったそうだ。
「酔ってる櫂斗、可愛かったけどなぁ」
「……」
亮介はそう言うけれど、櫂斗は顔を覆ったまま何も言わない。
「……また今度、櫂斗は酒無しでやり直そうって二人は言ってたぞ」
どうせ櫂斗の事だ、亮介の友達に引かれたんじゃと気にしてるかと思いそう言うと、案の定バッと手を外した。
「本当? 怒ってなかったか?」
「怒る? 櫂斗のあまりの色気に、二人ともタジタジだったけど、怒ってはいなかった」
「う……」
あ、そうか、と亮介はピンとくる。
「怜也は耐性はあまり無いけど、遊んでた時期の俺を知ってる唯一の友達だし、肇は彼氏がいる」
つまりは、亮介がゲイでSっ気があるのを知った上で付き合ってくれているのだ、その恋人がお酒で粗相したくらいでは怒らない。
「記憶が飛んでるからその辺の情報も忘れてるよな。大丈夫、言いふらしたりする奴らじゃないし」
そこまで言うと、櫂斗はようやく安心したらしい、肇さんも彼氏いるんだ、とか呟いている。昨日の態度といい、どうやら肇の事が気に入ったようだ。
「やたら肇と話が弾んでたぞ。気に入ったみたいだな」
それより、と亮介は櫂斗の上に移動した。それだけで動揺する櫂斗を可愛いと思いながら、両手を指を絡めて握る。
「俺の好きなようにしていいって言ったよな?」
記憶が飛んでいるので敢えての言葉だったが、櫂斗はそれで顔を真っ赤にした。
『いつもオレで遊んでばっかりで、亮介の好きなようにした事なかったから』って言ってたぞ、と言うと櫂斗は慌てる。
「い、いや……オレ覚えてねーしっ」
「酷いなぁ、櫂斗は」
逃げようとする櫂斗の身体に体重をかけると、櫂斗は何かに気付いて更に慌てる。
「おま、朝から……っ、てか、なんでたってるんだよっ?」
「ん? 昨日消化不良で終わったからじゃねーの? 好きなようにした事無いとか言って、誰かさんは寝ちゃったし」
「だ、から……覚えてないって……っ」
櫂斗の首筋に舌を這わせると、息を詰めて身体を震わせた彼は、涙目で亮介を見た。
「ホントに……覚えてないから……」
「じゃあ、今度二人で飲もうな」
二人きりなら良いだろ、と亮介が言うと、櫂斗は小さく頷いて、亮介の口付けを受け入れた。
今日一日、可愛がってやる。
亮介はそう言うと、櫂斗は素直にうん、と顔を赤らめたのだった。
1
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる