【完結】もてあそびながら愛してくれ

大竹あやめ

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「さて……と」

亮介は軽く息を吐き出し、意識を切り替える。リビングでふにゃふにゃになっている櫂斗を、どうするべきか、と彼を眺めた。

「なーんで帰しちゃうのさぁ……」

楽しかったのに、と口を尖らせる櫂斗は、そばに来た亮介の首に腕を回す。亮介はその唇に軽くキスをして、キスしてたら我慢できなくなるだろ、と言う。しかし櫂斗は、でもしたいんだもん、と不満顔だ。

「お前、この状態になった事、覚えてたりするのか?」

「んー? この状態ってなーに?」

酔ってる時の事だよ、と亮介はまたキスをする。櫂斗は、オレ酔ってるの? と笑っている。自覚は無いらしい。とはいえ、この状態の櫂斗はそうお目にかかれないだろうから、もう少し楽しみたい。

「もう少し飲むか?」

「のむー」

亮介はお酒を勧めると、櫂斗は素直にそれを受け取り飲んだ。肇が残した焼酎だ。しかし、口に合わなかったのか、顰め面してそれを机に置く。

「これじゃないのがいい」

「なんだ、嫌いか?」

好きじゃない、と口を尖らせる櫂斗が可愛くて、亮介はまた櫂斗の唇に吸い付いた。ウーロンハイは飲めるのに、焼酎はダメなのか、と笑う。

「じゃあ、キスは?」

「……すき」

そう言って、櫂斗は笑う。亮介は、そのしまりのない顔を快感で歪ませたい、という欲望が出てきて、頬を撫でた。

「俺のどこが好き?」

「ん? 声とか顔?」

くすぐったそうに身をよじる櫂斗は、何故か疑問形で答えてくれる。どうして疑問形なんだ、と問うと、顔というか、目? とまたもや疑問形で答えた。

「亮介の目で見つめられると、ゾクゾクする」

その言葉に合わせて、亮介は櫂斗の耳を撫でると、うっとりとして甘い吐息が出てきた。じゃあこっち見て、と言うと、素直に視線を合わせてくる。

「ん……亮介、えっちしたい……」

明らかに息が荒くなって、興奮しだした櫂斗は、どうやら本当に視線だけでゾクゾクしているようだ。

「俺はもう少し飲みたいんだけど?」

すぐに手を出しては楽しくない。亮介は櫂斗を焦らすと、案の定櫂斗はフルフルと首を横に振った。

「触って欲しいっ……キスでもいいからっ」

「ん、じゃあキスしてやる」

亮介はこんな素直な櫂斗は初めてだな、と内心ニヤニヤしながら、櫂斗の唇に吸い付いた。何度か彼の唇を吸い上げ、舐めると、櫂斗の身体がヒクヒクと震え、次第にモゾモゾと落ち着きが無くなる。

(イキたいのか……)

そう勘づいていながらも、敢えて亮介はキスだけを繰り返し、櫂斗の性感を高めていった。

すると櫂斗は我慢ができなくなったらしい、キスをしながら自分の下半身に手を伸ばし、ジーパンの前を開ける。

「おい、何勝手に触ってんだ」

「……っ、んんっ」

亮介は敢えて低い声で言うと、櫂斗はビクッと身体を震わせた。唇が付きそうな距離で、キスしてやるって言っただろ? と言うと、櫂斗は、だってイキたい、と泣きそうな声で亮介の身体に縋る。

「もうイキたいのか? キスしかしてないのに」

どれだけ堪え性が無いんだ、と咎める口調で亮介は言うと、櫂斗はまただって、と続ける。

「亮介に触られたら、オレすぐイキそうになっちゃう……っ」

「本当にだらしないな。俺以外でもそうなるんじゃないのか?」

また敢えての言葉を口にする亮介。そう言うことで、櫂斗に自分しかいないと言わせるのだ。そう、これはプレイの一環なのだ。

「ちがう……違うっ、亮介だけっ」

櫂斗も思惑通りの言葉を返してくれる。満足して笑うと、じゃあもっとキスしてやる、と更に焦らし宣言をした。

「やだ……やだっ、触ってっ」

「我慢しろよ櫂斗」

触ってとねだる櫂斗に、強い口調で言うと、櫂斗の身体が小刻みに震え出す。ドライでイク前兆だと分かると、もう一押しだ。

「ほら、舌出せ」

櫂斗は震えながら舌を出す。その舌を亮介は咥えて吸い上げると、櫂斗は悲鳴のような声を上げてイッた。

「……キスしかしてないのにイッたのか?」

正確にはキスと焦らしと言葉責めだが、プレイ上他は省略する。それでイケる櫂斗の変態性に亮介も喜びつつも、表では呆れた顔をした。

「り、亮介がキス上手いから……っ」

「……俺のせいにするのか」

違う、と慌てる櫂斗。そんな彼を亮介は自分の膝の上に後ろ向きで座らせると、お仕置きだ、とシャツの中に手を潜り込ませ乳首を摘む。

「んっ、んんん……っ」

敏感な櫂斗はそれでも身体を震わせ、上を向く。柔らかですべすべした肌はしっとりと汗をかいていて、その反応の良さに亮介は思わず口の端を上げる。

「なんだ、本当に限界そうだな、櫂斗」

先走りで濡れた下着を見れば一目瞭然だが、亮介はまだそこを触ってやる気はない。

「だめ……だめ亮介……」

櫂斗の声が震える。また身体も震え出し、意味も無く彼の膝が動く。またイク前兆だ。

「……ダメじゃないだろ。お仕置きなんだから勝手にイクんじゃないぞ」

そう言って、亮介は櫂斗の耳を甘噛みした。その瞬間、櫂斗はガクガクと身体を震わせイッてしまう。

「……っ、う……っ」

短く呻いて息を詰めた櫂斗は、硬直した身体を解くと泣きそうな声で、ごめんイッちゃった、と謝る。

「勝手にイクなって言ったのに……乳首でイッたのか?」

「ごめんって……お願いだから焦らさないで……っ」

櫂斗は振り返ってキスをすると、自分のジーパンを下着ごと脱ぎさり、亮介の足を跨ぐように座った。そして亮介の手を取ると、自分のお尻へ持っていく。

前ならともかく、後ろの方が良いとか、本当に櫂斗はネコになるために生まれたような身体だ。

「ここ、いじって……もう我慢できない……っ」

男性の身体でも比較的柔らかな部分を掴まされ、亮介はピクリと反応する。酒が入っているからか、いつもより堪え性が無い櫂斗は、積極的に愛撫をせがみ、亮介を楽しませた。

しかし櫂斗の表情から、これ以上焦らすと本当に泣いてしまいそうだ。それはそれで楽しいけれど、酔った櫂斗が可愛くて、亮介としてもある程度、彼の望みを聞いてやりたいと思ったのだ。

「仕方がないな櫂斗。でも勝手にイクなよ?」

亮介は櫂斗のお尻の狭間を軽く撫でると、櫂斗は肩を震わせ首に腕を回してきた。

「ん、んん……っ、あ、亮介……っ」

指を奥まで入れたとたん、櫂斗の腰がガクガク震え出す。またイキそうなのだと分かり、指を抜いた。

「ああっ、やだ、抜かないで……っ」

「今イキそうだったろ。イクなって言ってんだよ」

「だ、だって、亮介の指、気持ちいいっ」

お願い、と言った櫂斗の目から涙がこぼれる。亮介はその泣き顔の可愛さに、少し見惚れた。そして、そんなにも良いのか、と再び指を入れる。

「ああっ、いいっ、イクっ……イクイクいく……っ!」

亮介は、櫂斗の中のいい所をグリグリしてやると、ビクンビクンと身体を跳ねさせイッていた。粘膜が複雑に動き、これに包まれたら気持ちいいだろうな、と亮介も我慢ができなくなってしまう。

亮介はまた指を抜いた。はぁはぁと肩で息をする櫂斗の背中をさすると、彼は情熱的なキスをくれる。

「……やらしいな櫂斗は。あ、いつもか」

亮介は笑った。しかしいつもより素直で従順なので、たまにならサシで飲もう、と心に決める。

「可愛いよ……素直な櫂斗も、素直じゃない櫂斗も」

全部好きだ、と亮介は櫂斗を押し倒した。そして自分のズボンと下着を下ろすと、硬くなった亮介の性器を櫂斗の後ろにあてがう。

「あ……」

櫂斗がこちらを見た。赤くしっとりした頬と、潤んだ瞳で見られ、それが亮介を更に硬くする。

「……期待に満ちた顔をしやがって……そんなに欲しかったのか?」

「うん……うん、欲しい……っ」

亮介はその言葉に応えて、腰を押し進めた。温かい粘膜に包まれ、キュッと締め付けられ、亮介はゾクゾクする。

「……あー……全部入ったぞ……分かるか?」

「うん……う、ん……っ」

櫂斗が目を閉じてコクコクと頷いた。身体が震えているから、またイキそうなのだろう。

どうして欲しい、と聞くと、櫂斗は奥をいっぱいグリグリしてと言うので、言う通りに腰を動かした。するとすぐに櫂斗は悲鳴のような声を上げて、ガクガクとイッてしまう。それと同時に、櫂斗の中も複雑に動いて、亮介は思わず息を詰めた。

「ああ……櫂斗の中はすごいな……」

動きを止めて櫂斗が落ち着くまで待っていると、櫂斗は多分、中のいい所に当たっているだけでも感じるのだろう、ひとりでにまたイクと言って、身体を震わせる。

「り、亮介……っ」

「なんだ?」

はぁはぁと、櫂斗は目から涙を零しながらこちらをみつめた。可愛い、とその唇に吸い付くと、櫂斗は震えながら両手で亮介の頬を包んだ。

「亮介も、気持ちいい、の……?」

不覚にも、亮介はその櫂斗の表情、声に肩を震わせ声を上げそうになる。くそ、と心の中で悪態をつき、腰を動かした。

「あ! ああ! 亮介っ、またイッちゃう……っ!」

「いいよ……櫂斗の気が済むまで奥を突いてやる」

「んんんやぁ……っ! 亮介っ、……亮介も気持ちよくなって!」

この状態でどうして気持ち良くないと思うんだ、と耳元で言うと、櫂斗はまた射精しながらイク。そして櫂斗は、回らなくなり始めた舌で一生懸命伝えてくれるのだ。

「いつも、オレで遊んでばっかで! ……亮介の好きなようにした事、ないからぁ……っ!」

なるほど、と亮介は納得する。確かに、櫂斗を愛撫する事は多いが、自分が愛撫してもらう事は少ないな、と思う。櫂斗はそれを言っているのだろう。

亮介は笑った。

「馬鹿だなぁ……櫂斗が良いのが、俺も気持ちいいんだよ」

「あっ! あっ、ああああっ!!」

櫂斗の性器から、亮介が奥を突く度白い液体と得体の知れない液体が出てきた。櫂斗はガクガクと身体を震わせ身を捩り、もっともっとと亮介を咥え込む。

亮介はもう少し楽しみたかったものの、あまりの櫂斗の乱れようと刺激にイッてしまった。顔を顰めて息を詰めると、その余韻に肩を震わせる。

「ん、んんっ、ん……っ」

亮介は息を吐き出すと、櫂斗は身体をヒクヒクさせながら口元を押さえて、まだ止まない快感の波に耐えていた。そして少ししてようやく話せるようになったらしい、櫂斗は汗と涙でぐしょぐしょになった顔で、亮介を見つめて微笑む。

「やっと……亮介のイク顔、見れた……」

すごく色っぽい、好き、と言われて、亮介はまた腰の辺りがゾクゾクした。

「こら櫂斗、あんま煽るな……」

亮介は櫂斗の唇にキスを一つ落とすと、ふにゃりとした顔で、なんのこと? とか言っている。

「……相手のイクところ、見れるようなえっち、して、こなかった……から」

案の定櫂斗はそのまま意識を手放そうとしていた。そして、目を閉じた彼は動かなくなる。

亮介はため息をついた。結局こうなるのか、と櫂斗の中から出ると、彼の身体を綺麗に拭いてやる。

櫂斗には面倒だと言ったけれど、亮介は結構この時間が好きだ。櫂斗と自分の身支度を済ませ、そのまま彼を寝室のベッドに運ぶと、軽くシャワーを浴びリビングとキッチンを片付けた。

ソファーカバーも替え、ドラム式洗濯機に突っ込むと、亮介はようやく恋人が寝るベッドに潜り込む。こういう事でもない限り、家事をしようと思わないので、ある意味櫂斗が来てくれて良かったとも思った。

「……可愛い」

亮介は、すやすや眠る櫂斗の寝顔を見つめて呟く。

「……くそ、一回しかできないってのが難点だな……」

櫂斗の唇を見ていたらムラムラしてしまい、彼の腰に腕を回した。いっそ、先程櫂斗が言った言葉に甘えて、次回は亮介の好きなようにさせてもらおうかな、とか考える。

「……」

亮介は櫂斗の髪を手で梳いた。櫂斗は高校生の時、性欲を持て余していたという。そして亮介もまた、歳を誤魔化して遊んでいた時期、性欲を持て余していた。

「ソコに関しては、似たもの同士だな」

そんな事を考えていたら、ますます我慢ができなくなってしまう。亮介は起きたら覚えてろよ、と呟き眠りについた。
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