5 / 39
5
しおりを挟む
亮介に連れられて着いたのは、とあるマンションだった。
住宅街に入った時からもしかして、と思っていたけれど、どうやら亮介の自宅らしい。
亮介は玄関ドアの鍵を開けると、櫂斗を中に迎え入れる。
櫂斗は戸惑いながら入ると、中は割と広かった。
「塾から近いだろ?」
亮介はニヤつきながらそう言い、奥のリビングへ案内される。櫂斗はそれが何の関係があるのか、と思って、情事の後眠ってしまう櫂斗の都合を考えたからだと思い至り、顔が熱くなる。
「や、着替えも何もないし……今日は用が済んだら帰るからな」
「ふーん、一応、ナニするかは分かってんだな」
とりあえず座れよ、とソファーを勧められ、カバンを置いて大人しく座った。
亮介は待ってろ、と言って違う部屋へ向かう。手持ち無沙汰になった櫂斗は、リビングを見回した。
(う、堂々とAVが並んでる……)
隠すタイプではないと思ってはいたけれど、こうもオープンにされると戸惑う。しかもゲイ向けの、ハードなものが多い。櫂斗を相手にできることから、どうやら亮介はゲイなのだろう。
櫂斗はそこから視線を外すと、コルクボードに目がいく。友達だろうか、何かのキャラクターにコスプレした人が写真に写っている。
(あれ? これ……)
写真には複数名写っているけれど、同じ人が必ず入っている。童顔で、女性キャラクターのコスプレもしているけれど、櫂斗には同じ人物だと分かった。何故この人が写っているものばかり飾っているのだろう? 櫂斗はそこまで思って、考えるのを止めた。
そして、コルクボードの一角は、何故か人気アーティストの、真洋の写真が貼ってあった。どこかで見た事があるなと考え、それがCDジャケットやポスターの写真だということに気付く。
(え、アイツまさか、真洋と仕事した事があるとか?)
だとしたら亮介は、それなりに名のある人なのだろうか、と櫂斗は写真をよく見ようと、腰を浮かせた時だった。
「先生、どれがいい?」
亮介がいつの間にかリビングに入ってきていて、段ボール箱を雑に床に置いた。何かと思って中を覗くと、そこには大人のおもちゃが詰まっている。
「え? は? まさか……」
亮介は戸惑う櫂斗の隣に座ると、笑顔で遊んでやるって言っただろ? と言う。
「もしかして、使った事ないのか?」
「……」
櫂斗は黙った。使った事はある物もある。けれど彼には言いたくない。
「選んで」
「……嫌だ」
「……なるほど、俺の手がいいって事だな」
何でそうなる、と言いかけた櫂斗は口を塞がれ、押し倒された。そしてまたあっという間にワイシャツを脱がされ、少し乱暴に乳首をいじられる。
「ん……っ」
ビクン、と身体が震えると亮介は体重を乗せてきて口を解放した。その手でさっきの箱を探っているのが分かり、櫂斗はイヤイヤと首を振る。その間も乳首をいじる手は止まらず、また腰が小刻みに震えだした。
「そんな顔すんなよ、もっといじめたくなるだろ?」
楽しそうな亮介の声がする。また乳首だけでイッてしまいそうだ、と思っていると、彼は櫂斗に馬乗りになり、乳首から手を離した。そして、櫂斗の手を頭の上に持っていき、手首に何かを着けられる。
「な、なに……っ?」
「ん? これは初めてか? おもちゃと言うか……拘束具だな」
亮介はもう片方の櫂斗の手も同じように頭へ持っていき、また手首にカチャ、と何かを着けた。それが手錠だと気付いて亮介を見ると、彼は櫂斗の手錠を持って何かをしている。視界に縄が見えて、まさかと思ったらもう両腕は動かせなくなっていた。
「さ、何して欲しい?」
ニヤリと笑った亮介は楽しそうだ。櫂斗はその顔に、これから起こることを想像して身体が熱くなる。そして、その変化を亮介に気付かれてしまうのだ。
「拘束されてるところを見られて感じるとか、本当に変態だな。どういじめて欲しいか言えよ」
櫂斗はひとりでに息が荒くなっていくのを必死で抑えた。命令形の亮介の声と言葉にも反応し、またフルフルと首を振る。
「……じゃあ、昨日はイキまくってたから、今日は我慢大会な」
「え? ちょ、んんっ」
亮介はスラックスの上から櫂斗の股間を撫で、口で乳首を愛撫してきた。ゾクゾクと背中に何かが走り、息が乱れる。
「今日こそ勝手にイクんじゃねーぞ? たくさん我慢できたら、思い切り気持ち良くしてやるから」
「……っ!」
そんな期待させるような事、言わないで欲しい、と櫂斗はまた首を振った。亮介はずっと楽しそうで、スラックスのベルトもあっという間に外し、脱がせてしまう。
「アンタ……慣れてるし楽しそうだな……」
スラックスを投げ捨てた亮介に櫂斗は言うと、彼は一瞬驚いたような顔をした。そしてほんの一瞬、本当に一瞬、目尻を下げて笑ったのだ。櫂斗はその表情にドキリとしてしまった。
「そうだな。人の戸惑う顔とか、悶絶する顔とか、堪んないね」
「……っ、ああっ」
完全に油断していたところで乳首をつねられ、櫂斗は顔を歪ませる。痛いのは嫌だと言ったはずだ、と言うと下着の上から股間を擦られ、息つく暇もなく悶える。
「悪ぃ悪ぃ、先生痛いのは嫌いだったな」
「あ……っ、んんんっ」
痛みの直後にゾクゾクする程の快感を与えられ、櫂斗の感情は忙しく上下した。
「先生、今どんな感じ? 教えろよ」
亮介の手が高速で股間を擦る。ガクガクと腰が震えて、強い刺激に意識が霞み始める。
「あ……っ、は……っ、い、イクっ、イク……っ!」
射精感が増していき下半身に力が入った時だった。亮介は櫂斗の分身の根元を押さえ、刺激を与える事を止めてしまう。
「う……っ、あああっ」
もう少しだったのにというところでイケず、櫂斗は顔を顰めた。太ももの力が行き場を失ってプルプルと震える。
「おー、いい子だな。ちゃんと我慢できるじゃん」
肩で息をする櫂斗の下着を、ご褒美な、と脱がせて、亮介は透明な液体が入った容器を取った。ローションだとすぐに分かった櫂斗は、顔を逸らす。
「先生、これは使った事あるんだ? 気持ち良いの知ってるみたいだし」
何故今の反応で分かるのだろう? と櫂斗は思う。
亮介はその容器から直接、櫂斗の分身にローションを垂らす。わざわざ高い位置から垂らしたのは、櫂斗に見せつけたかったのだろう。少し冷たかったそれは、櫂斗の腰を震わせた。
1回イキそびれてから、快感を増すローションを使うとは、本当に心得てるな、と櫂斗は思う。
亮介の手が動き出した。先程よりも敏感に刺激を拾う櫂斗は、またすぐにイキそうになってしまう。
「ああ、だめ、イクっ、……イクっ」
「もう? 全然しごいてないけど?」
櫂斗は背中を反らすと、亮介は手を止めた。行き場を失った射精感は、櫂斗の腰をうねらせる。
ガクン、と弛緩した櫂斗は呼吸の度に声が出てしまっていた。苦しい代わりに強烈な快感を与えられ、痴漢では味わえなかった快楽を、櫂斗はすんなり受け入れる。
「……っ、すごい……何コレ……っ」
「どんどん敏感になって気持ち良くなってくだろ?」
「ああっ、あっ、後ろもいじったらおかしくなる……っ」
「大丈夫、イカせねぇから」
楽しそうに笑う亮介は櫂斗の後ろを指で撫で、少しだけ指を入れては出すを繰り返す。決定的な刺激を得られない櫂斗はそれだけで悶絶した。
「元々かなり敏感だから、やっぱ先生は素質あるな」
そう言った亮介は、櫂斗の後ろに指を奥まで入れると、昨日もすぐに探り当てられたいい場所を押してくる。
「ああああっ、だめ! だめぇ!」
勝手に跳ねる背中を抑えようと力を入れたら、膝が小刻みに震え、絶頂の前兆を知らせた。すると亮介はそこで前と後ろ、両方の愛撫を止めてしまう。
「うあっ! く……っ!」
身体は硬直しているのに絶頂が来ない苦しさ。櫂斗は歯を食いしばっていると、亮介はクスクスと笑った。
「先生、すっげぇ良い顔してる。……もうイキたい?」
櫂斗は亮介の問いにコクコクと頷く。口で言わないと分からない、と分身をしごかれ櫂斗は素直に叫んだ。
「あっ、ああっ、イかせて! ……お願いします! イかせてくださいっ!」
「良いよイケよ。……ほら」
櫂斗は前と後ろに望んだ通りの刺激を与えられて、ガクガクと身体を震わせ絶叫する。
「あああああっ!!」
全身が硬直し、視界と意識が飛ぶ。少しの間声も出せずに喘ぎ、味わったことの無い快感に櫂斗の身体は悦んだ。
身体の硬直が解けたところで、亮介がたっぷり出たな、とからかってくる。そして両手でまた、櫂斗の分身を撫で始めるのだ。
敏感になったそこは全身を震わせる。強い刺激に腰が引けるけれど、亮介は手を止めなかった。
「やっ、イッた、イッたから……っ」
まだ萎えないそこの先端を、手の腹で擦られる。すると、射精とはまた違う、何かが出そうな感じがしてまた悶えた。
「先生潮吹きした事ない?」
「ちょっと待てっ、い、いやっ、それいやっ!」
亮介の言った単語は知っている。けれどこれがそうなのか、と初めての感覚に櫂斗は戸惑った。
「あっ、ああーっ!」
強烈な快感を伴う排尿感に、櫂斗は声を上げて耐える。先端からは何か分からない液体が勢いよく飛び出し、櫂斗の腹を濡らした。
それが収まると、亮介はまだ出るだろ、と止めていた手を再び動かす。
「もう無理! むりむりむり……っ! ああああ!」
「無理とか言って、しっかり出てんぞ」
また強烈な排尿感に襲われ、櫂斗はすぐに二度目の潮吹きをしてしまう。
「うう……っ、ふ……っ」
力が抜けた身体に音と光が戻ってきた。櫂斗は疲れてぐったりとしていると、亮介は櫂斗の頬を軽く叩いてくる。
「おい、まだ寝るなよ? ……にしても、派手に吹いたなぁ」
おかげでびしょびしょだ、と笑う亮介に、誰のせいだよ、と櫂斗は心の中でつっこむ。
しかし案の定、次の瞬間には櫂斗の意識は勝手に落ちていこうとしていた。その前に手錠を外してもらわないと、と思うけれど少しも身体を動かせなかった。
「マジですぐに動けなくなるのな……」
亮介の呆れた声がして、それを最後に櫂斗は意識を手放した。
住宅街に入った時からもしかして、と思っていたけれど、どうやら亮介の自宅らしい。
亮介は玄関ドアの鍵を開けると、櫂斗を中に迎え入れる。
櫂斗は戸惑いながら入ると、中は割と広かった。
「塾から近いだろ?」
亮介はニヤつきながらそう言い、奥のリビングへ案内される。櫂斗はそれが何の関係があるのか、と思って、情事の後眠ってしまう櫂斗の都合を考えたからだと思い至り、顔が熱くなる。
「や、着替えも何もないし……今日は用が済んだら帰るからな」
「ふーん、一応、ナニするかは分かってんだな」
とりあえず座れよ、とソファーを勧められ、カバンを置いて大人しく座った。
亮介は待ってろ、と言って違う部屋へ向かう。手持ち無沙汰になった櫂斗は、リビングを見回した。
(う、堂々とAVが並んでる……)
隠すタイプではないと思ってはいたけれど、こうもオープンにされると戸惑う。しかもゲイ向けの、ハードなものが多い。櫂斗を相手にできることから、どうやら亮介はゲイなのだろう。
櫂斗はそこから視線を外すと、コルクボードに目がいく。友達だろうか、何かのキャラクターにコスプレした人が写真に写っている。
(あれ? これ……)
写真には複数名写っているけれど、同じ人が必ず入っている。童顔で、女性キャラクターのコスプレもしているけれど、櫂斗には同じ人物だと分かった。何故この人が写っているものばかり飾っているのだろう? 櫂斗はそこまで思って、考えるのを止めた。
そして、コルクボードの一角は、何故か人気アーティストの、真洋の写真が貼ってあった。どこかで見た事があるなと考え、それがCDジャケットやポスターの写真だということに気付く。
(え、アイツまさか、真洋と仕事した事があるとか?)
だとしたら亮介は、それなりに名のある人なのだろうか、と櫂斗は写真をよく見ようと、腰を浮かせた時だった。
「先生、どれがいい?」
亮介がいつの間にかリビングに入ってきていて、段ボール箱を雑に床に置いた。何かと思って中を覗くと、そこには大人のおもちゃが詰まっている。
「え? は? まさか……」
亮介は戸惑う櫂斗の隣に座ると、笑顔で遊んでやるって言っただろ? と言う。
「もしかして、使った事ないのか?」
「……」
櫂斗は黙った。使った事はある物もある。けれど彼には言いたくない。
「選んで」
「……嫌だ」
「……なるほど、俺の手がいいって事だな」
何でそうなる、と言いかけた櫂斗は口を塞がれ、押し倒された。そしてまたあっという間にワイシャツを脱がされ、少し乱暴に乳首をいじられる。
「ん……っ」
ビクン、と身体が震えると亮介は体重を乗せてきて口を解放した。その手でさっきの箱を探っているのが分かり、櫂斗はイヤイヤと首を振る。その間も乳首をいじる手は止まらず、また腰が小刻みに震えだした。
「そんな顔すんなよ、もっといじめたくなるだろ?」
楽しそうな亮介の声がする。また乳首だけでイッてしまいそうだ、と思っていると、彼は櫂斗に馬乗りになり、乳首から手を離した。そして、櫂斗の手を頭の上に持っていき、手首に何かを着けられる。
「な、なに……っ?」
「ん? これは初めてか? おもちゃと言うか……拘束具だな」
亮介はもう片方の櫂斗の手も同じように頭へ持っていき、また手首にカチャ、と何かを着けた。それが手錠だと気付いて亮介を見ると、彼は櫂斗の手錠を持って何かをしている。視界に縄が見えて、まさかと思ったらもう両腕は動かせなくなっていた。
「さ、何して欲しい?」
ニヤリと笑った亮介は楽しそうだ。櫂斗はその顔に、これから起こることを想像して身体が熱くなる。そして、その変化を亮介に気付かれてしまうのだ。
「拘束されてるところを見られて感じるとか、本当に変態だな。どういじめて欲しいか言えよ」
櫂斗はひとりでに息が荒くなっていくのを必死で抑えた。命令形の亮介の声と言葉にも反応し、またフルフルと首を振る。
「……じゃあ、昨日はイキまくってたから、今日は我慢大会な」
「え? ちょ、んんっ」
亮介はスラックスの上から櫂斗の股間を撫で、口で乳首を愛撫してきた。ゾクゾクと背中に何かが走り、息が乱れる。
「今日こそ勝手にイクんじゃねーぞ? たくさん我慢できたら、思い切り気持ち良くしてやるから」
「……っ!」
そんな期待させるような事、言わないで欲しい、と櫂斗はまた首を振った。亮介はずっと楽しそうで、スラックスのベルトもあっという間に外し、脱がせてしまう。
「アンタ……慣れてるし楽しそうだな……」
スラックスを投げ捨てた亮介に櫂斗は言うと、彼は一瞬驚いたような顔をした。そしてほんの一瞬、本当に一瞬、目尻を下げて笑ったのだ。櫂斗はその表情にドキリとしてしまった。
「そうだな。人の戸惑う顔とか、悶絶する顔とか、堪んないね」
「……っ、ああっ」
完全に油断していたところで乳首をつねられ、櫂斗は顔を歪ませる。痛いのは嫌だと言ったはずだ、と言うと下着の上から股間を擦られ、息つく暇もなく悶える。
「悪ぃ悪ぃ、先生痛いのは嫌いだったな」
「あ……っ、んんんっ」
痛みの直後にゾクゾクする程の快感を与えられ、櫂斗の感情は忙しく上下した。
「先生、今どんな感じ? 教えろよ」
亮介の手が高速で股間を擦る。ガクガクと腰が震えて、強い刺激に意識が霞み始める。
「あ……っ、は……っ、い、イクっ、イク……っ!」
射精感が増していき下半身に力が入った時だった。亮介は櫂斗の分身の根元を押さえ、刺激を与える事を止めてしまう。
「う……っ、あああっ」
もう少しだったのにというところでイケず、櫂斗は顔を顰めた。太ももの力が行き場を失ってプルプルと震える。
「おー、いい子だな。ちゃんと我慢できるじゃん」
肩で息をする櫂斗の下着を、ご褒美な、と脱がせて、亮介は透明な液体が入った容器を取った。ローションだとすぐに分かった櫂斗は、顔を逸らす。
「先生、これは使った事あるんだ? 気持ち良いの知ってるみたいだし」
何故今の反応で分かるのだろう? と櫂斗は思う。
亮介はその容器から直接、櫂斗の分身にローションを垂らす。わざわざ高い位置から垂らしたのは、櫂斗に見せつけたかったのだろう。少し冷たかったそれは、櫂斗の腰を震わせた。
1回イキそびれてから、快感を増すローションを使うとは、本当に心得てるな、と櫂斗は思う。
亮介の手が動き出した。先程よりも敏感に刺激を拾う櫂斗は、またすぐにイキそうになってしまう。
「ああ、だめ、イクっ、……イクっ」
「もう? 全然しごいてないけど?」
櫂斗は背中を反らすと、亮介は手を止めた。行き場を失った射精感は、櫂斗の腰をうねらせる。
ガクン、と弛緩した櫂斗は呼吸の度に声が出てしまっていた。苦しい代わりに強烈な快感を与えられ、痴漢では味わえなかった快楽を、櫂斗はすんなり受け入れる。
「……っ、すごい……何コレ……っ」
「どんどん敏感になって気持ち良くなってくだろ?」
「ああっ、あっ、後ろもいじったらおかしくなる……っ」
「大丈夫、イカせねぇから」
楽しそうに笑う亮介は櫂斗の後ろを指で撫で、少しだけ指を入れては出すを繰り返す。決定的な刺激を得られない櫂斗はそれだけで悶絶した。
「元々かなり敏感だから、やっぱ先生は素質あるな」
そう言った亮介は、櫂斗の後ろに指を奥まで入れると、昨日もすぐに探り当てられたいい場所を押してくる。
「ああああっ、だめ! だめぇ!」
勝手に跳ねる背中を抑えようと力を入れたら、膝が小刻みに震え、絶頂の前兆を知らせた。すると亮介はそこで前と後ろ、両方の愛撫を止めてしまう。
「うあっ! く……っ!」
身体は硬直しているのに絶頂が来ない苦しさ。櫂斗は歯を食いしばっていると、亮介はクスクスと笑った。
「先生、すっげぇ良い顔してる。……もうイキたい?」
櫂斗は亮介の問いにコクコクと頷く。口で言わないと分からない、と分身をしごかれ櫂斗は素直に叫んだ。
「あっ、ああっ、イかせて! ……お願いします! イかせてくださいっ!」
「良いよイケよ。……ほら」
櫂斗は前と後ろに望んだ通りの刺激を与えられて、ガクガクと身体を震わせ絶叫する。
「あああああっ!!」
全身が硬直し、視界と意識が飛ぶ。少しの間声も出せずに喘ぎ、味わったことの無い快感に櫂斗の身体は悦んだ。
身体の硬直が解けたところで、亮介がたっぷり出たな、とからかってくる。そして両手でまた、櫂斗の分身を撫で始めるのだ。
敏感になったそこは全身を震わせる。強い刺激に腰が引けるけれど、亮介は手を止めなかった。
「やっ、イッた、イッたから……っ」
まだ萎えないそこの先端を、手の腹で擦られる。すると、射精とはまた違う、何かが出そうな感じがしてまた悶えた。
「先生潮吹きした事ない?」
「ちょっと待てっ、い、いやっ、それいやっ!」
亮介の言った単語は知っている。けれどこれがそうなのか、と初めての感覚に櫂斗は戸惑った。
「あっ、ああーっ!」
強烈な快感を伴う排尿感に、櫂斗は声を上げて耐える。先端からは何か分からない液体が勢いよく飛び出し、櫂斗の腹を濡らした。
それが収まると、亮介はまだ出るだろ、と止めていた手を再び動かす。
「もう無理! むりむりむり……っ! ああああ!」
「無理とか言って、しっかり出てんぞ」
また強烈な排尿感に襲われ、櫂斗はすぐに二度目の潮吹きをしてしまう。
「うう……っ、ふ……っ」
力が抜けた身体に音と光が戻ってきた。櫂斗は疲れてぐったりとしていると、亮介は櫂斗の頬を軽く叩いてくる。
「おい、まだ寝るなよ? ……にしても、派手に吹いたなぁ」
おかげでびしょびしょだ、と笑う亮介に、誰のせいだよ、と櫂斗は心の中でつっこむ。
しかし案の定、次の瞬間には櫂斗の意識は勝手に落ちていこうとしていた。その前に手錠を外してもらわないと、と思うけれど少しも身体を動かせなかった。
「マジですぐに動けなくなるのな……」
亮介の呆れた声がして、それを最後に櫂斗は意識を手放した。
0
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる