【完結】もてあそびながら愛してくれ

大竹あやめ

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亮介に連れられて着いたのは、とあるマンションだった。

住宅街に入った時からもしかして、と思っていたけれど、どうやら亮介の自宅らしい。

亮介は玄関ドアの鍵を開けると、櫂斗を中に迎え入れる。

櫂斗は戸惑いながら入ると、中は割と広かった。

「塾から近いだろ?」

亮介はニヤつきながらそう言い、奥のリビングへ案内される。櫂斗はそれが何の関係があるのか、と思って、情事の後眠ってしまう櫂斗の都合を考えたからだと思い至り、顔が熱くなる。

「や、着替えも何もないし……今日は用が済んだら帰るからな」

「ふーん、一応、ナニするかは分かってんだな」

とりあえず座れよ、とソファーを勧められ、カバンを置いて大人しく座った。

亮介は待ってろ、と言って違う部屋へ向かう。手持ち無沙汰になった櫂斗は、リビングを見回した。

(う、堂々とAVが並んでる……)

隠すタイプではないと思ってはいたけれど、こうもオープンにされると戸惑う。しかもゲイ向けの、ハードなものが多い。櫂斗を相手にできることから、どうやら亮介はゲイなのだろう。

櫂斗はそこから視線を外すと、コルクボードに目がいく。友達だろうか、何かのキャラクターにコスプレした人が写真に写っている。

(あれ? これ……)

写真には複数名写っているけれど、同じ人が必ず入っている。童顔で、女性キャラクターのコスプレもしているけれど、櫂斗には同じ人物だと分かった。何故この人が写っているものばかり飾っているのだろう? 櫂斗はそこまで思って、考えるのを止めた。

そして、コルクボードの一角は、何故か人気アーティストの、真洋まひろの写真が貼ってあった。どこかで見た事があるなと考え、それがCDジャケットやポスターの写真だということに気付く。

(え、アイツまさか、真洋と仕事した事があるとか?)

だとしたら亮介は、それなりに名のある人なのだろうか、と櫂斗は写真をよく見ようと、腰を浮かせた時だった。

「先生、どれがいい?」

亮介がいつの間にかリビングに入ってきていて、段ボール箱を雑に床に置いた。何かと思って中を覗くと、そこには大人のおもちゃが詰まっている。

「え? は? まさか……」

亮介は戸惑う櫂斗の隣に座ると、笑顔で遊んでやるって言っただろ? と言う。

「もしかして、使った事ないのか?」

「……」

櫂斗は黙った。使った事はある物もある。けれど彼には言いたくない。

「選んで」

「……嫌だ」

「……なるほど、俺の手がいいって事だな」

何でそうなる、と言いかけた櫂斗は口を塞がれ、押し倒された。そしてまたあっという間にワイシャツを脱がされ、少し乱暴に乳首をいじられる。

「ん……っ」

ビクン、と身体が震えると亮介は体重を乗せてきて口を解放した。その手でさっきの箱を探っているのが分かり、櫂斗はイヤイヤと首を振る。その間も乳首をいじる手は止まらず、また腰が小刻みに震えだした。

「そんな顔すんなよ、もっといじめたくなるだろ?」

楽しそうな亮介の声がする。また乳首だけでイッてしまいそうだ、と思っていると、彼は櫂斗に馬乗りになり、乳首から手を離した。そして、櫂斗の手を頭の上に持っていき、手首に何かを着けられる。

「な、なに……っ?」

「ん? これは初めてか? おもちゃと言うか……拘束具だな」

亮介はもう片方の櫂斗の手も同じように頭へ持っていき、また手首にカチャ、と何かを着けた。それが手錠だと気付いて亮介を見ると、彼は櫂斗の手錠を持って何かをしている。視界に縄が見えて、まさかと思ったらもう両腕は動かせなくなっていた。

「さ、何して欲しい?」

ニヤリと笑った亮介は楽しそうだ。櫂斗はその顔に、これから起こることを想像して身体が熱くなる。そして、その変化を亮介に気付かれてしまうのだ。

「拘束されてるところを見られて感じるとか、本当に変態だな。どういじめて欲しいか言えよ」

櫂斗はひとりでに息が荒くなっていくのを必死で抑えた。命令形の亮介の声と言葉にも反応し、またフルフルと首を振る。

「……じゃあ、昨日はイキまくってたから、今日は我慢大会な」

「え? ちょ、んんっ」

亮介はスラックスの上から櫂斗の股間を撫で、口で乳首を愛撫してきた。ゾクゾクと背中に何かが走り、息が乱れる。

「今日こそ勝手にイクんじゃねーぞ? たくさん我慢できたら、思い切り気持ち良くしてやるから」

「……っ!」

そんな期待させるような事、言わないで欲しい、と櫂斗はまた首を振った。亮介はずっと楽しそうで、スラックスのベルトもあっという間に外し、脱がせてしまう。

「アンタ……慣れてるし楽しそうだな……」

スラックスを投げ捨てた亮介に櫂斗は言うと、彼は一瞬驚いたような顔をした。そしてほんの一瞬、本当に一瞬、目尻を下げて笑ったのだ。櫂斗はその表情にドキリとしてしまった。

「そうだな。人の戸惑う顔とか、悶絶する顔とか、堪んないね」

「……っ、ああっ」

完全に油断していたところで乳首をつねられ、櫂斗は顔を歪ませる。痛いのは嫌だと言ったはずだ、と言うと下着の上から股間を擦られ、息つく暇もなく悶える。

「悪ぃ悪ぃ、先生痛いのは嫌いだったな」

「あ……っ、んんんっ」

痛みの直後にゾクゾクする程の快感を与えられ、櫂斗の感情は忙しく上下した。

「先生、今どんな感じ? 教えろよ」

亮介の手が高速で股間を擦る。ガクガクと腰が震えて、強い刺激に意識が霞み始める。

「あ……っ、は……っ、い、イクっ、イク……っ!」

射精感が増していき下半身に力が入った時だった。亮介は櫂斗の分身の根元を押さえ、刺激を与える事を止めてしまう。

「う……っ、あああっ」

もう少しだったのにというところでイケず、櫂斗は顔を顰めた。太ももの力が行き場を失ってプルプルと震える。

「おー、いい子だな。ちゃんと我慢できるじゃん」

肩で息をする櫂斗の下着を、ご褒美な、と脱がせて、亮介は透明な液体が入った容器を取った。ローションだとすぐに分かった櫂斗は、顔を逸らす。

「先生、これは使った事あるんだ? 気持ち良いの知ってるみたいだし」

何故今の反応で分かるのだろう? と櫂斗は思う。

亮介はその容器から直接、櫂斗の分身にローションを垂らす。わざわざ高い位置から垂らしたのは、櫂斗に見せつけたかったのだろう。少し冷たかったそれは、櫂斗の腰を震わせた。

1回イキそびれてから、快感を増すローションを使うとは、本当に心得てるな、と櫂斗は思う。

亮介の手が動き出した。先程よりも敏感に刺激を拾う櫂斗は、またすぐにイキそうになってしまう。

「ああ、だめ、イクっ、……イクっ」

「もう? 全然しごいてないけど?」

櫂斗は背中を反らすと、亮介は手を止めた。行き場を失った射精感は、櫂斗の腰をうねらせる。

ガクン、と弛緩した櫂斗は呼吸の度に声が出てしまっていた。苦しい代わりに強烈な快感を与えられ、痴漢では味わえなかった快楽を、櫂斗はすんなり受け入れる。

「……っ、すごい……何コレ……っ」

「どんどん敏感になって気持ち良くなってくだろ?」

「ああっ、あっ、後ろもいじったらおかしくなる……っ」

「大丈夫、イカせねぇから」

楽しそうに笑う亮介は櫂斗の後ろを指で撫で、少しだけ指を入れては出すを繰り返す。決定的な刺激を得られない櫂斗はそれだけで悶絶した。

「元々かなり敏感だから、やっぱ先生は素質あるな」

そう言った亮介は、櫂斗の後ろに指を奥まで入れると、昨日もすぐに探り当てられたいい場所を押してくる。

「ああああっ、だめ! だめぇ!」

勝手に跳ねる背中を抑えようと力を入れたら、膝が小刻みに震え、絶頂の前兆を知らせた。すると亮介はそこで前と後ろ、両方の愛撫を止めてしまう。

「うあっ! く……っ!」

身体は硬直しているのに絶頂が来ない苦しさ。櫂斗は歯を食いしばっていると、亮介はクスクスと笑った。

「先生、すっげぇ良い顔してる。……もうイキたい?」

櫂斗は亮介の問いにコクコクと頷く。口で言わないと分からない、と分身をしごかれ櫂斗は素直に叫んだ。

「あっ、ああっ、イかせて! ……お願いします! イかせてくださいっ!」

「良いよイケよ。……ほら」

櫂斗は前と後ろに望んだ通りの刺激を与えられて、ガクガクと身体を震わせ絶叫する。

「あああああっ!!」

全身が硬直し、視界と意識が飛ぶ。少しの間声も出せずに喘ぎ、味わったことの無い快感に櫂斗の身体は悦んだ。

身体の硬直が解けたところで、亮介がたっぷり出たな、とからかってくる。そして両手でまた、櫂斗の分身を撫で始めるのだ。

敏感になったそこは全身を震わせる。強い刺激に腰が引けるけれど、亮介は手を止めなかった。

「やっ、イッた、イッたから……っ」

まだ萎えないそこの先端を、手の腹で擦られる。すると、射精とはまた違う、何かが出そうな感じがしてまた悶えた。

「先生潮吹きした事ない?」

「ちょっと待てっ、い、いやっ、それいやっ!」

亮介の言った単語は知っている。けれどこれがそうなのか、と初めての感覚に櫂斗は戸惑った。

「あっ、ああーっ!」

強烈な快感を伴う排尿感に、櫂斗は声を上げて耐える。先端からは何か分からない液体が勢いよく飛び出し、櫂斗の腹を濡らした。

それが収まると、亮介はまだ出るだろ、と止めていた手を再び動かす。

「もう無理! むりむりむり……っ! ああああ!」

「無理とか言って、しっかり出てんぞ」

また強烈な排尿感に襲われ、櫂斗はすぐに二度目の潮吹きをしてしまう。

「うう……っ、ふ……っ」

力が抜けた身体に音と光が戻ってきた。櫂斗は疲れてぐったりとしていると、亮介は櫂斗の頬を軽く叩いてくる。

「おい、まだ寝るなよ? ……にしても、派手に吹いたなぁ」

おかげでびしょびしょだ、と笑う亮介に、誰のせいだよ、と櫂斗は心の中でつっこむ。

しかし案の定、次の瞬間には櫂斗の意識は勝手に落ちていこうとしていた。その前に手錠を外してもらわないと、と思うけれど少しも身体を動かせなかった。

「マジですぐに動けなくなるのな……」

亮介の呆れた声がして、それを最後に櫂斗は意識を手放した。
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