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10 後日談2
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「……びっくりした。本当のことを言うつもりはなかったんじゃないの?」
耳元でそんなことを言われ、朔夜の肩が震える。
大学から槙人の家に直行し、中に入るなり朔夜は槙人に抱きついた。槙人は嬉しそうに抱きしめ返してくれて、朔夜は甘えるように擦り寄る。
「……だって、一誠には伝えておきたかったし、何より……」
温かい腕の中で、朔夜は恋人を見上げた。
「槙人に、……不安な思いさせたくなかったから」
一誠に伝えたかった理由はそれが大きい。初めて身体を繋げたとき、槙人は「つけ込んでごめん」と何度も言っていた。一誠が好きだと知っていた彼だからこそ、もう後ろめたさを感じて欲しくなかった。
――ちゃんと槙人が好きなんだと伝えたかったのだ。
「……朔夜は本当に……、かわいいこと言ってくれるね」
「……っ、ん……っ」
また耳元で囁かれ、そのまま耳朶を噛まれる。すっかり槙人と身体を繋ぐことに慣れてしまった朔夜は、それだけで身体が期待してしまうようになった。
「……ふふ、感じた?」
言葉と同時に腰を押し付けられ、互いの身体の変化に恥ずかしくなる。けれど素直にもっと、と呟けば、ベッドに行こう、と誘われた。
促されるままベッドに座ると、立ったままの槙人はキスをくれる。優しく啄まれ、同時に太ももをするりと撫でられて、ますます身体が高まった。
朔夜も手を伸ばして彼の頬を撫でる。すると、なぜかその手を取られた。細められた槙人の目が優しくて、本当に愛されているなあ、と笑う。
「……ここのところ、笑顔が増えてホッとしてる」
「え? そうか?」
自覚がなかったことを言われ、朔夜は聞き返す。その間に自然に押し倒され、取られた手に指を絡められた。
そういえば、一誠のことを想っていたときは、苦しいばかりだったことに気付く。それなら、今笑顔でいられるのは槙人のおかげだし、彼が安心しているのなら、嬉しい。
「……っ、ん……」
「ただ、誰にでも笑顔を向けるから、朔夜が取られないか心配」
「ははっ、なんだそれ、んん……っ」
笑顔なんて、よっぽど変な人じゃない限り、誰にでも向けるだろう。同じことは槙人にも言えるのに、どうしてそんなところで心配しているのか。
首筋に舌を這わされ、仰け反った腰を撫でられた。スルスルと服の下に入ってくる手にゾクゾクして、絡めた指に力が入る。
「……大丈夫だよ? オレ、ちゃんと槙人が好き……、っあ……!」
いつでも自分を見守ってくれる存在は、安心するものだ。もし、万が一、一誠と付き合えたとしても、彼相手ではその安心感が得られたかどうか。
「あっ、そこ……っ、気持ちいい……」
ゾクゾクと背中に何かが這い上がる。服の中で器用に動く槙人の手は、朔夜の胸の先を軽く弾いているようだ。
「今朝もいっぱい触ってあげたのに、まだ足りない?」
「ん、んーっ」
首筋と胸を刺激され、朔夜は悶える。
お互い一人暮らしなのを良いことに、最近はどちらかの家に泊まっていた。そうなると、必然的にそういう雰囲気になることが多くて、朔夜は戸惑っていた。
槙人といると、触れたい、触れられたいという欲望が、どんどん溢れてくるようになったからだ。
「あっ、……はあ……っ」
朔夜の吐息がさらに甘くなる。そんな朔夜に、かわいい、と槙人はキスをたくさん落としてきた。その間も胸をいじめる指は止まらず、朔夜は槙人にしがみつく。
「ん? ここ好きなの?」
「んっ、すき……っ」
上擦った声で答えると、俺もここいじるの好き、と槙人は言う。
いつか、彼は朔夜が好きなグミが好きと言っていた。そして付き合いだしてからも、朔夜が好きなものが好き、と言う場面がしばしばあったように思う。
「……なんだっていいんだ。朔夜が気持ちよくて楽しければ」
「――あぁ……っ!」
どうしてだろう、と思った答えが槙人から聞けて、同時に服を捲られ胸を吸われた。熱く濡れた舌で胸の先を捏ね回され身を捩ると、そのままでと言うように足を押さえられる。
「かわいい。勃ってる……気持ちいいね」
「……っ!」
そのままジーパンの上から撫でられ、朔夜は堪らず呻いた。早く欲しいとねだれば、槙人は笑ってちょっと待ってね、と服を脱がせてくる。朔夜は素直にそのまま待っていると、全裸になった槙人が、ゴムを着けて再び覆いかぶさってきた。
「は、早く……」
「待ってて。……ああ、やっぱ少し柔らかいけど、解さないと……」
「いいから……!」
焦れったくて涙がじわりと浮かんだ。
いつもこういう雰囲気の時は、大事に大事に朔夜を抱く槙人。好みも、セックスの仕方も全部朔夜に合わせる彼の、本心を曝きたかった。いつでも朔夜優先の付き合い方をしなくても、本当に大丈夫だと伝えたい。
「好きに抱けよ! オレのこと好きなんだろ!?」
「……っ」
槙人が息を詰める。
「もう、オレは槙人が好きだって……一誠に宣言もしたじゃないか!」
もっと、激しい感情を自分にぶつけて欲しい。それを受け止めるのが、深く付き合うための一歩だと思っているから。
「……」
ふーっと、槙人は深く深呼吸をした。そして視線を上げた彼と目が合った瞬間、槙人の目に鈍い光が宿って、朔夜はゾワッと総毛立つ。
「ああ、ほんと……朔夜はかわいくて……。……悪い子」
「……っ! ああああ……っ!!」
いきなり最奥を穿たれて、視界に星が散った。それでも身体の絶頂は収まらず、首を反らして全身をガタガタ震わせる。
――俺、多分朔夜が引くほど独占欲と執着心強いから。
(これが……)
いつか彼が言った言葉を思い出した。
これが槙人の本心なのか、と。
独占欲と執着心が強いとは言っていたけれど、常識の範囲内だと思っていた。それをわざわざ言うなんて、おかしいと思っていたのだ。やっぱり彼は、猫を被っていたに過ぎなかったのだ、と。
槙人はそのまま、強く腰を打ち付けてくる。
「ああっ! はげ、はげし……っ!」
「煽っといてそれはないよね朔夜、かわいいけど。……どこで覚えたの?」
上擦った声で、それでも低く唸るように問いただしてくる槙人にゾクゾクした。途端にまた星が散って、腹と胸に体液が落ちてくる。
「……っ、ふふっ、もしかして、こういうの好き?」
槙人はそう言うと、グッと体勢を低くした。
耳元でそんなことを言われ、朔夜の肩が震える。
大学から槙人の家に直行し、中に入るなり朔夜は槙人に抱きついた。槙人は嬉しそうに抱きしめ返してくれて、朔夜は甘えるように擦り寄る。
「……だって、一誠には伝えておきたかったし、何より……」
温かい腕の中で、朔夜は恋人を見上げた。
「槙人に、……不安な思いさせたくなかったから」
一誠に伝えたかった理由はそれが大きい。初めて身体を繋げたとき、槙人は「つけ込んでごめん」と何度も言っていた。一誠が好きだと知っていた彼だからこそ、もう後ろめたさを感じて欲しくなかった。
――ちゃんと槙人が好きなんだと伝えたかったのだ。
「……朔夜は本当に……、かわいいこと言ってくれるね」
「……っ、ん……っ」
また耳元で囁かれ、そのまま耳朶を噛まれる。すっかり槙人と身体を繋ぐことに慣れてしまった朔夜は、それだけで身体が期待してしまうようになった。
「……ふふ、感じた?」
言葉と同時に腰を押し付けられ、互いの身体の変化に恥ずかしくなる。けれど素直にもっと、と呟けば、ベッドに行こう、と誘われた。
促されるままベッドに座ると、立ったままの槙人はキスをくれる。優しく啄まれ、同時に太ももをするりと撫でられて、ますます身体が高まった。
朔夜も手を伸ばして彼の頬を撫でる。すると、なぜかその手を取られた。細められた槙人の目が優しくて、本当に愛されているなあ、と笑う。
「……ここのところ、笑顔が増えてホッとしてる」
「え? そうか?」
自覚がなかったことを言われ、朔夜は聞き返す。その間に自然に押し倒され、取られた手に指を絡められた。
そういえば、一誠のことを想っていたときは、苦しいばかりだったことに気付く。それなら、今笑顔でいられるのは槙人のおかげだし、彼が安心しているのなら、嬉しい。
「……っ、ん……」
「ただ、誰にでも笑顔を向けるから、朔夜が取られないか心配」
「ははっ、なんだそれ、んん……っ」
笑顔なんて、よっぽど変な人じゃない限り、誰にでも向けるだろう。同じことは槙人にも言えるのに、どうしてそんなところで心配しているのか。
首筋に舌を這わされ、仰け反った腰を撫でられた。スルスルと服の下に入ってくる手にゾクゾクして、絡めた指に力が入る。
「……大丈夫だよ? オレ、ちゃんと槙人が好き……、っあ……!」
いつでも自分を見守ってくれる存在は、安心するものだ。もし、万が一、一誠と付き合えたとしても、彼相手ではその安心感が得られたかどうか。
「あっ、そこ……っ、気持ちいい……」
ゾクゾクと背中に何かが這い上がる。服の中で器用に動く槙人の手は、朔夜の胸の先を軽く弾いているようだ。
「今朝もいっぱい触ってあげたのに、まだ足りない?」
「ん、んーっ」
首筋と胸を刺激され、朔夜は悶える。
お互い一人暮らしなのを良いことに、最近はどちらかの家に泊まっていた。そうなると、必然的にそういう雰囲気になることが多くて、朔夜は戸惑っていた。
槙人といると、触れたい、触れられたいという欲望が、どんどん溢れてくるようになったからだ。
「あっ、……はあ……っ」
朔夜の吐息がさらに甘くなる。そんな朔夜に、かわいい、と槙人はキスをたくさん落としてきた。その間も胸をいじめる指は止まらず、朔夜は槙人にしがみつく。
「ん? ここ好きなの?」
「んっ、すき……っ」
上擦った声で答えると、俺もここいじるの好き、と槙人は言う。
いつか、彼は朔夜が好きなグミが好きと言っていた。そして付き合いだしてからも、朔夜が好きなものが好き、と言う場面がしばしばあったように思う。
「……なんだっていいんだ。朔夜が気持ちよくて楽しければ」
「――あぁ……っ!」
どうしてだろう、と思った答えが槙人から聞けて、同時に服を捲られ胸を吸われた。熱く濡れた舌で胸の先を捏ね回され身を捩ると、そのままでと言うように足を押さえられる。
「かわいい。勃ってる……気持ちいいね」
「……っ!」
そのままジーパンの上から撫でられ、朔夜は堪らず呻いた。早く欲しいとねだれば、槙人は笑ってちょっと待ってね、と服を脱がせてくる。朔夜は素直にそのまま待っていると、全裸になった槙人が、ゴムを着けて再び覆いかぶさってきた。
「は、早く……」
「待ってて。……ああ、やっぱ少し柔らかいけど、解さないと……」
「いいから……!」
焦れったくて涙がじわりと浮かんだ。
いつもこういう雰囲気の時は、大事に大事に朔夜を抱く槙人。好みも、セックスの仕方も全部朔夜に合わせる彼の、本心を曝きたかった。いつでも朔夜優先の付き合い方をしなくても、本当に大丈夫だと伝えたい。
「好きに抱けよ! オレのこと好きなんだろ!?」
「……っ」
槙人が息を詰める。
「もう、オレは槙人が好きだって……一誠に宣言もしたじゃないか!」
もっと、激しい感情を自分にぶつけて欲しい。それを受け止めるのが、深く付き合うための一歩だと思っているから。
「……」
ふーっと、槙人は深く深呼吸をした。そして視線を上げた彼と目が合った瞬間、槙人の目に鈍い光が宿って、朔夜はゾワッと総毛立つ。
「ああ、ほんと……朔夜はかわいくて……。……悪い子」
「……っ! ああああ……っ!!」
いきなり最奥を穿たれて、視界に星が散った。それでも身体の絶頂は収まらず、首を反らして全身をガタガタ震わせる。
――俺、多分朔夜が引くほど独占欲と執着心強いから。
(これが……)
いつか彼が言った言葉を思い出した。
これが槙人の本心なのか、と。
独占欲と執着心が強いとは言っていたけれど、常識の範囲内だと思っていた。それをわざわざ言うなんて、おかしいと思っていたのだ。やっぱり彼は、猫を被っていたに過ぎなかったのだ、と。
槙人はそのまま、強く腰を打ち付けてくる。
「ああっ! はげ、はげし……っ!」
「煽っといてそれはないよね朔夜、かわいいけど。……どこで覚えたの?」
上擦った声で、それでも低く唸るように問いただしてくる槙人にゾクゾクした。途端にまた星が散って、腹と胸に体液が落ちてくる。
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槙人はそう言うと、グッと体勢を低くした。
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