2 / 2
彼女は世界に愛されていた
2
しおりを挟む
ともかく、蓮以外に聞いている人がいなかった事が幸いだ。
その晩蓮は、ベッドの上で今日の事について熟考していた。
彼女はどこから自分の能力を知ったのか?
この事を知って彼女は何をするつもりなのか?
いや、前者は取るに足らない
能力持ちはそれが運命のようにバレてしまう。
だから蓮もいつかはこんな事があるだろうと薄々思っていた。
なにより、彼女は人望が厚く、いろいろな情報が集まる 。
そう考えれば能力持ちがバレるのも自然な事だ。
、、、彼女のあの笑顔。
あの笑顔が気になる。
何故あそこで笑ったのか。
理解が出来ない。能力持ちに出会えたことがそんなにうれしいのか。それともお世辞の笑いだろうか。
お世辞で笑う程度で能力を教えるつもりが無いのも彼女は解っているはずだ。
、、、とにかく、今は彼女が何故能力を知りたがっているかの方が考える方がいい。
彼女は気持ち悪い。何を考えているのかが解らない。
「こうなったのもあの月のせいだ。」
蓮は自分に言い聞かせるようにそう呟いた。
あの日、蓮は実の両親の葬式に行っていた。
*******
中学二年の夏。
「両親が無くなった。」
そう叔父、叔母に告げれた日。
よく晴れた日で空がが憎たらしいほどに青かった。
死因は飲酒運転による事故。
蓮は叔父叔母が本当の両親では無いことを12になった時に聞いていた。
蓮の両親は育児放棄をしていたらしい。
自身は覚えていないが。
だから蓮はその話を聞いても胸を痛めることは無かった。哀れな人たちだと思うと同時にやるせない怒りが沸いてきた。
『それ』はその時には解らなかったが葬式で両親の遺体を見てはっきりと解った。
『死んでたまるか』
目の前に倒れている遺体。
年齢は40代らしいがパッと見老けているためか50代に見える。
顔を見るとどうやら蓮は母親似らしい。
そんな顔を見ていると気持ち悪くなった。
親戚達からの悪評。
蓮に注がれる哀れみの目。
それら全てが気持ち悪かった。
元々両親は飲酒運転を何回もしており天罰だったという人もいた。
その通りだ。
人から疎まれるような事をするからだ。
酒なんて物に興味を示すからだ。
全てに無関心でいればいい。
そうすれば天罰もくだらない。
嫌われない。
そうすれば死なない。
これは蓮なりの復讐だ。
僕はお前達のように死なないと。
蓮はあの月の下で誓っていた。
その晩蓮は、ベッドの上で今日の事について熟考していた。
彼女はどこから自分の能力を知ったのか?
この事を知って彼女は何をするつもりなのか?
いや、前者は取るに足らない
能力持ちはそれが運命のようにバレてしまう。
だから蓮もいつかはこんな事があるだろうと薄々思っていた。
なにより、彼女は人望が厚く、いろいろな情報が集まる 。
そう考えれば能力持ちがバレるのも自然な事だ。
、、、彼女のあの笑顔。
あの笑顔が気になる。
何故あそこで笑ったのか。
理解が出来ない。能力持ちに出会えたことがそんなにうれしいのか。それともお世辞の笑いだろうか。
お世辞で笑う程度で能力を教えるつもりが無いのも彼女は解っているはずだ。
、、、とにかく、今は彼女が何故能力を知りたがっているかの方が考える方がいい。
彼女は気持ち悪い。何を考えているのかが解らない。
「こうなったのもあの月のせいだ。」
蓮は自分に言い聞かせるようにそう呟いた。
あの日、蓮は実の両親の葬式に行っていた。
*******
中学二年の夏。
「両親が無くなった。」
そう叔父、叔母に告げれた日。
よく晴れた日で空がが憎たらしいほどに青かった。
死因は飲酒運転による事故。
蓮は叔父叔母が本当の両親では無いことを12になった時に聞いていた。
蓮の両親は育児放棄をしていたらしい。
自身は覚えていないが。
だから蓮はその話を聞いても胸を痛めることは無かった。哀れな人たちだと思うと同時にやるせない怒りが沸いてきた。
『それ』はその時には解らなかったが葬式で両親の遺体を見てはっきりと解った。
『死んでたまるか』
目の前に倒れている遺体。
年齢は40代らしいがパッと見老けているためか50代に見える。
顔を見るとどうやら蓮は母親似らしい。
そんな顔を見ていると気持ち悪くなった。
親戚達からの悪評。
蓮に注がれる哀れみの目。
それら全てが気持ち悪かった。
元々両親は飲酒運転を何回もしており天罰だったという人もいた。
その通りだ。
人から疎まれるような事をするからだ。
酒なんて物に興味を示すからだ。
全てに無関心でいればいい。
そうすれば天罰もくだらない。
嫌われない。
そうすれば死なない。
これは蓮なりの復讐だ。
僕はお前達のように死なないと。
蓮はあの月の下で誓っていた。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる