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第1章

162 冬の授業

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父上もオディ兄も色々あって大変そうだ。

しかし私はそれどころではない……
アレックスちゃんに愛の告白をしてしまったのだ。中身はオッさんなのに九歳児に告白ってどうなんだとは思うが、違うんやー、仕方なかったんやー。
私は決してロリコンではない。ただ、彼女の魅力が年齢など関係なしに私を魅了しただけなのだ。

この世界の貴族には彼氏・彼女という概念はない。
家の都合を考えなければ、両思い=結婚、または婚約だ。
私にそんな気はないがアレックスちゃんはきっとそう考えているはずだ!
くっそぉー、婚約なんて嫌だ!
どの面さげて学校に行けばいいんだ!
休みたい!
でも休む訳にはいかない!



「おはよう。何ビクビクしてるの?」

「お、おはようサンドラちゃん。今年も辺境一だね。おめでとう。」

そうなのだ。
サンドラちゃんは今年も秋の大会で優勝したのだ。
エルネスト君とスティード君は惜しくも優勝できなかったらしい。本当にギリギリだったらしい。

「カース君の算数に比べたら問題が簡単過ぎるわ。教えてくれてありがとう。」

「いやいや、そろそろ教えることが無くなりそうなんだよね。」

サンドラちゃんはもう二次方程式も解けるし、二次関数も理解している。
もちろん平方根と言う概念のないローランド王国なので、基礎からじっくり教えたのだ。

「おはよー。朝から難しい話をしてるの?」

「セルジュ君おはよう。サンドラちゃんのレベルが高くて困ってるんだよね。」

「何言ってるのよ。カース君が教えてくれるからじゃない。平方根ってぶっ飛び過ぎよ?」

「サンドラちゃーん、朝から難しい言葉を使わないでよー。頭がおかしくなっちゃうよ。」

よし、話題逸らし成功だ。



冬真っ只中の本日。
今日の授業は何だろう。

一時間目、国語。
「皆さんおはようございます。今日から新しい単元に入りますよ。
古の統一王朝時代から伝わる短い歌、短歌ですね。

『しのぶれど
色に出にけり
我が魔法
ものや思うと
敵の問うまで』

五・七・五・七・七の字数で歌を作るんですね。
さあみんなで声に出して読んでみましょう。」

そして先生は短歌の解説を始めた。
作者は短歌三十六人衆の一人で当時の王の血を引くフラットリー・カーネス。
明日は確認の質問をされることだろう。
しっかり復習をしておかねば。


二時間目、算数。
三桁かける二桁のかけ算、三桁わる二桁のわり算だ。
みんな苦戦してるようだが私とサンドラちゃんとアレックスちゃんは退屈で仕方ない。


三時間目、魔法。
身体強化の魔法を教わった。
この後の体育の授業でも使用するらしい。


昼休み。
アレックスちゃんの弁当が一段と豪華だ。
やはり早まったか……
くやしい……でも食べちゃう。
美味しかった。


四時間目、社会。
天測の続き、冬の天測についてだ。
もうすぐ四季全ての天測が終わる。
これで私も迷うことはない。


五時間目、体育。
さっそく先程習った身体強化の魔法を使う。
これはすごいな、どこまでも速く走れそうだ。

そこに先生が、
「あんまり魔力を込めて動くと後がきついぞー。」

まさか!? 筋肉痛か!?
危ない危ない。筋トレに使えるかも知れないが成長期の今はほどほどにしておかねば。

こうしていつも通りの授業が終わった。
今日は勉強会もないし、さあ帰ろうかな。

「カース君、待ってくれないか。」

おや、私を呼び止めるのは誰かな?
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