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第1章

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ああー、春である。
起きたくない。
いつまでも寝ていたい。
しかし我が家では朝食は全員揃って食べるという不文律があるようで、必ず起こされる。
オディロン兄も眠そうだ。

そんな春の日の朝、父上からお知らせが。

「お前達、しばらくイザベルの修行はお休みだからな。
カースもオディロンも気になることがあったらマリーに聞くといい。
イザベルには及ばないが、魔法学校の非常勤講師はできるレベルだからな。」

「えっ!いいの!
いっぱい聞きたい!」

やはりオディロン兄はこうだよな。
私も次に行きたいし、あれこれ聞こう。

「じゃあ水滴みなしずくの次は何をやるのー?
もう水滴はバッチリだと思うんだー。」

「さすがカースちゃん!
次は風よ。『微風ほのかぜ』ね。暑い時に便利なのよ。
初めての魔法を使う時は必ず私かマリーと一緒でないとだめよ。
オディロンは下級魔法は全部できるわよね?
マリーに習ったら中級もできちゃうんじゃないかしら。」

「ぜ、絶対できるよ! 中級だって使ってみせるよ!」

オディロン兄は学校だとどれぐらいのレベルなのだろうか。
まあ来年になれば分かるだろう。

「僕も頑張るよ。涼しいのすきー。」

ところで母上はどうかしたのかな?
体調が悪いわけでもないようだし。



母上によると呪文を唱えて魔法を使うのは五年生までらしい。
いち早く無詠唱で使えるようになっておかないと魔境や実戦では役に立たないとか。もっとも、どかんとぶちかます時は別らしいが。
それでも初めての魔法を使う時は、正しい呪文を唱えて発動させないと、変な癖がついてしまうらしい。
だから初めての魔法指導は上級者に直接習うことが望ましい。
ここでも家庭の差が出るのか……
異世界も中々に世知辛い。
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