天から二物も三物も与えられ過ぎた俺がダンジョンで青春を取り戻す

黒丸

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強化魔法

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「秋月くん!腕を引き抜け!」
僅かに残った視界。くるくると宙を舞う人狼の頭が見える。
「うっああああああああっ!」
働かない頭で、全身を使って腕を引き抜いていく。ぶちぶちと癒着した魔石が千切れる感触。突然腕を掴む力が弱まり、そのまま後ろに倒れこむ。
「おっごぼっ」
吐いた。
「ソウスケ!ソウスケ!」
あんまり酸っぱくない。
あ、血だ。これ。
「この傷…、違う、頭か!?レン!秋月くんはなにをしたんだ!?」
脇腹かすめたときにどっか破れてたかな。
なんか凄く痛い気がするけどよくわからない。
「強化…、魔導具を使ったら血を流し始めて…。ああ…、回復薬!回復薬を!」
ああ、まっ暗だ。
こえだけが聞こえてくる。
「高位をあるだけ出して!」
すごいな高位回ふくやくかいくらするんだろう。
「秋月くんは魔導具なんて持ってないよ。これは、たぶん強化魔法だ」
せいかいきょうかまほうだよ。おれにしかつかえないとっておき。
「頭の中で出血してる。高位じゃ血までは取り除けない」
やっぱだめか。
「そんな…」
れんよかった。
「高位を使ってすぐに運ぼう。間に合ってくれ…!」
いいよもうがんばったから。
だしつくしたよ




だから







もう



















…嫌だ。










嫌だ。


やっぱり嫌だ!まだ死ねない!まだ死にたくない!まだ何もできていない!まだ何も成し遂げてない!やっと見つけたんだ!やっと手に入ったんだ!やっと認めてもらえたんだ!これから!これからなんだよ!ダンジョンで!この世界で!俺は!俺は…。




…嫌だ。









死にたくないよ。













「シュウイチさん!これ…、これが!」
「うそだろ…。ああ、秋月くん。やっぱり君は…」
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