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女性はいくつになっても可愛い女の子なのだと考えると一気にストライクゾーンが広がった気がする
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ガチャリとドアの閉まる音。
二人を残して部屋を出て、思わず大きく息を吐き出す。
しんどかった。戻ってこれたら、ちゃんと慰めてやろう。
リサはというと、色々と我慢できなかったのか、地面に座り込んでしまった。
扉の前で待機してた正規兵の子の気遣わしげな視線.
この子にも聞こえてたのかな、中のやりとり。いや、結界はってあるか。どうなんだろ。
「あの、隊長……」
「大丈夫です。見苦しいところを見せましたね。」
すっくと立ち上がって、表情を引き締めるリサ。流石の切り替えの早さだ。
「今から少しこの場を離れます。戻るまで部屋には誰もいれないように」
「はいっ!」
リサからの指示に、元気よく返事を返す正規兵の娘。綺麗に切りそろえられた水色の髪も相まって初々しい感じがする。
けど、見た目で年齢わかんないんだよなあ。俺より年上かもしれないんだよなあ。
「クロウくん」
そんな俺の前にリサが立つ。視線を塞ぐようにするのは、他の女を見るなってことだろうか。
「いまから砦へ向かいます。戻ったばかりなのにごめんなさい。」
「いや、それはいいんだけど。その言い方だとリサも来るのか」
「ええ。クロウくんを送って、現地で指示を出す必要がありますから」
なるほど。リーゼ達に話をしてもらえるのは助かる。けど。
「時間は大丈夫なのか? 会議中って聞いてたけど」
「それはですね……。やって見せた方が早いですね。手を握ってくれますか? クロウくん」
手? 不思議に思いながらもリサの手を握ると、すぐに恋人つなぎに握り替えられる。
正規兵の娘の視線が痛い。
「すぐに戻ります」
そう正規兵の娘に声をかけて、リサが目を閉じる。
その瞬間、リサ以外の全てがグニャリと歪んだ。
「うぐっ」
例えようのない不快感に思わず声が漏れる。が、それも一瞬。
不快感は消え、俺とリサの周囲の景色は一変していた。
今日行って帰ってきた扉の前。ちょうどリーゼを地面に叩きつけたあたり。
「すごい……」
転移魔法ってやつか。
「そんな素直な感想は少してれますね」
少し自慢げだ。かわいい。
「こんなことまでできるとは思わなかったよ。本当にリサはすごいんだな」
あ、壁の上で、えっと名前なんだっけ。緑が歩哨についてる。なんでこっちに気づいてないんだろ、あいつ。
「クロウくん」
「うわっ、と」
いきなり抱きつかれた。というより縋りつかれた感じか。
「私は、すごくなんてありません」
ぎゅっとリサを抱き返す。
「一回り以上も年下の娘に、あんな酷いことを言ってしまうなんて……」
俺の肩に額を当てて表情は見えない。けど、声が弱弱しい。
「図星をつかれて、わがままを言ってクロウくんに甘える姿を見て、感情が抑えられませんでした」
こういう時って、なんて言ってあげたらいいんだろうなあ。
頭を撫でてやるくらいしかできない自分が情けない。
「ごめん、リサ。嫌な役目をやらせて」
「いいんです。私の仕事ですから。あの子の、メルの言うとおりです。私はクロウくんを切り捨てたんです」
そういう言い方しないでくれよ。
「俺は感謝してるよ。本当は俺が2人に言わないといけないことだったんだから」
頬に手を添えて、顔を上げさせる。潤んだ瞳。そのまぶたにキスを落とす。
そのまま、さっきメルにしたように、頭を撫でて、額にも口付ける。
「もし、万一のことが現実になれば、私はフィーオウを選びます。必ずクロウくんを切り捨てます」
うん。それでいいんだよ。
「それでも、私のことを、嫌いにならないでくれますか?」
「なるわけがないよ。そんなリサはかっこいいよ。俺が思い描いた通りの人だ。大好きだよ」
「くろうくん……、ふぇぇ」
泣いちゃった。また、ぎゅっと抱きしめる。泣き顔見られたくないだろうし。
それにしても、なんて可愛い32歳なんだろう。老化しないから気も若いままなのか。
でも、元の世界でも30過ぎた女の人が自分を女子って言ってたよな。
不思議に思ってたけど、案外、本当にいくつになっても可愛い女の子なのかもしれないなあ。
「もし……」
ん?
「もし、本当にそうなってしまったら、全てが落ち着いた後に、私も後を追いますから」
重い重い重い重い重い! 重いよ!
え、なんて答えるのこれ、否定? 肯定?
「俺は、リサには生きててほしいけどな」
「私は、クロウくんのいない世界には、もう耐えられません」
うおお……。
「じゃあ、その時は来るのを待ってるよ。あの二人には頼めないし」
「ふふっ、はい」
これが正解? 本当にこれが正解でいいの?
俺の背中に回されたリサの腕に力が入る。ちょっと怖い。
「それでは、砦に入りましょうか。結界をときますね」
あ、やっぱり結界つかってたんだ。魔法って便利だなぁ。
二人を残して部屋を出て、思わず大きく息を吐き出す。
しんどかった。戻ってこれたら、ちゃんと慰めてやろう。
リサはというと、色々と我慢できなかったのか、地面に座り込んでしまった。
扉の前で待機してた正規兵の子の気遣わしげな視線.
この子にも聞こえてたのかな、中のやりとり。いや、結界はってあるか。どうなんだろ。
「あの、隊長……」
「大丈夫です。見苦しいところを見せましたね。」
すっくと立ち上がって、表情を引き締めるリサ。流石の切り替えの早さだ。
「今から少しこの場を離れます。戻るまで部屋には誰もいれないように」
「はいっ!」
リサからの指示に、元気よく返事を返す正規兵の娘。綺麗に切りそろえられた水色の髪も相まって初々しい感じがする。
けど、見た目で年齢わかんないんだよなあ。俺より年上かもしれないんだよなあ。
「クロウくん」
そんな俺の前にリサが立つ。視線を塞ぐようにするのは、他の女を見るなってことだろうか。
「いまから砦へ向かいます。戻ったばかりなのにごめんなさい。」
「いや、それはいいんだけど。その言い方だとリサも来るのか」
「ええ。クロウくんを送って、現地で指示を出す必要がありますから」
なるほど。リーゼ達に話をしてもらえるのは助かる。けど。
「時間は大丈夫なのか? 会議中って聞いてたけど」
「それはですね……。やって見せた方が早いですね。手を握ってくれますか? クロウくん」
手? 不思議に思いながらもリサの手を握ると、すぐに恋人つなぎに握り替えられる。
正規兵の娘の視線が痛い。
「すぐに戻ります」
そう正規兵の娘に声をかけて、リサが目を閉じる。
その瞬間、リサ以外の全てがグニャリと歪んだ。
「うぐっ」
例えようのない不快感に思わず声が漏れる。が、それも一瞬。
不快感は消え、俺とリサの周囲の景色は一変していた。
今日行って帰ってきた扉の前。ちょうどリーゼを地面に叩きつけたあたり。
「すごい……」
転移魔法ってやつか。
「そんな素直な感想は少してれますね」
少し自慢げだ。かわいい。
「こんなことまでできるとは思わなかったよ。本当にリサはすごいんだな」
あ、壁の上で、えっと名前なんだっけ。緑が歩哨についてる。なんでこっちに気づいてないんだろ、あいつ。
「クロウくん」
「うわっ、と」
いきなり抱きつかれた。というより縋りつかれた感じか。
「私は、すごくなんてありません」
ぎゅっとリサを抱き返す。
「一回り以上も年下の娘に、あんな酷いことを言ってしまうなんて……」
俺の肩に額を当てて表情は見えない。けど、声が弱弱しい。
「図星をつかれて、わがままを言ってクロウくんに甘える姿を見て、感情が抑えられませんでした」
こういう時って、なんて言ってあげたらいいんだろうなあ。
頭を撫でてやるくらいしかできない自分が情けない。
「ごめん、リサ。嫌な役目をやらせて」
「いいんです。私の仕事ですから。あの子の、メルの言うとおりです。私はクロウくんを切り捨てたんです」
そういう言い方しないでくれよ。
「俺は感謝してるよ。本当は俺が2人に言わないといけないことだったんだから」
頬に手を添えて、顔を上げさせる。潤んだ瞳。そのまぶたにキスを落とす。
そのまま、さっきメルにしたように、頭を撫でて、額にも口付ける。
「もし、万一のことが現実になれば、私はフィーオウを選びます。必ずクロウくんを切り捨てます」
うん。それでいいんだよ。
「それでも、私のことを、嫌いにならないでくれますか?」
「なるわけがないよ。そんなリサはかっこいいよ。俺が思い描いた通りの人だ。大好きだよ」
「くろうくん……、ふぇぇ」
泣いちゃった。また、ぎゅっと抱きしめる。泣き顔見られたくないだろうし。
それにしても、なんて可愛い32歳なんだろう。老化しないから気も若いままなのか。
でも、元の世界でも30過ぎた女の人が自分を女子って言ってたよな。
不思議に思ってたけど、案外、本当にいくつになっても可愛い女の子なのかもしれないなあ。
「もし……」
ん?
「もし、本当にそうなってしまったら、全てが落ち着いた後に、私も後を追いますから」
重い重い重い重い重い! 重いよ!
え、なんて答えるのこれ、否定? 肯定?
「俺は、リサには生きててほしいけどな」
「私は、クロウくんのいない世界には、もう耐えられません」
うおお……。
「じゃあ、その時は来るのを待ってるよ。あの二人には頼めないし」
「ふふっ、はい」
これが正解? 本当にこれが正解でいいの?
俺の背中に回されたリサの腕に力が入る。ちょっと怖い。
「それでは、砦に入りましょうか。結界をときますね」
あ、やっぱり結界つかってたんだ。魔法って便利だなぁ。
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