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貸しはいずれ身体で返します

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「はいはーい、ベッドだよぉ」

 と、2人が戻ってくる。運び出してきたベッドは俺が知ってるベビーベッドより、ずいぶんと小さい。

 自分の席へ戻るコレットちゃんは、できるだけ気にしないようにする。

「エルちゃん、赤ちゃん、もらっていいかなぁ?」

「おぉ、頼む」

 手際よく肩掛けにしていた布をほどいて、そのまま赤ん坊を渡すエル。

 受け取ったクロエのほうは少しぎこちない。

「うひゃあ、久しぶりだからちょっと怖い」

 そう言いながらもベッドに赤ん坊を寝せて、隣に胎盤を並べる。ちょっとグロいな。

「なあ、ベッドの布団は大丈夫なのか? 痒くなったりとか」

「ちゃんと浄化してるよぉ。くろくんってけっこう心配性?」

「かもな」

 仰るとおり心配性だよ。いまも心配してるしな、色々と。

「じゃ、支払いもやっとこうかぁ。認識票だしてねぃ」

「そうだな。あと頼みがあるんだが……」

「んん?」

 認識票を手渡しながら、小首をかしげるクロエに言葉を続ける。

「リサは庁舎にいるんだよな?」

「うわ、ほんとにリサって呼んでる。うん、いるよぉ。会議中」

「少し呼び出せないか?」

「え、無理」

「即答かよ」

「そりゃそうだよぉ。ギルドの部門長会議だもん。でも、なんで?」

 なんでと聞かれると困るんだよな。どこまで話していいのか、信じてもらえるのか。

「ちょっと説明しづらいんだけど、そうだな。神殿の揺り籠より上、少なくとも会話が成り立つくらいのが、俺に接触してくる可能性がある」

「は?」

 クロエのぽかんとした顔。コレットちゃんも唖然としてる。

「俺に友好的か、俺の周囲にどんな行動をとるのか。これが読めない。最悪の可能性を考えれば、俺は街を離れるべきだと思うんだが、念のためリサに相談しておきたかったんだ」

 俺達の顔を見比べているのか、クリクリと視線を動かしながら黙り込むクロエ。

 俺の話について考えてるんだろうけど、まあ、荒唐無稽だよな、こんな話。

「クロくん、あと一押しほしいよぉ。なんかない?」

 結構、真面目に考えてくれてたのか。そうだな。

「俺達が発見した揺り籠。俺達の姿を見ても、一切、攻撃行動を取らなかった。リーゼ…ロッテからも報告を頼まれてる」

「うん、異常だぁ、それ。おっけぇ。エリエリ、たいちょーにクロくんから緊急の報告があったことを伝えてくれる?」

「いいの? そんな奴の言うこと鵜呑みにして」

 うわ、コレットちゃん喋った。あ、エリエリってコレットちゃんのことか。声かわいいな!

「うん、ボクが責任もつよ。くろくん達は応接室に通しとくからねぃ」

 その答えに、ひとつ溜息をついて、どこかへと歩いていくコレットちゃん。まあ、リサのところなんだろうけど。

「大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫。悪くても、ちょっと怒られるくらいかなぁ」

 やっぱ怒られるのか。少し申し訳なく思っていると奥の突き当たりの扉が開く。

「ただいまもどりました~! あっ、クロウさん達、戻ったんですね」

 カミラだ。てか、そこ出入口だったのかよ。

「カミカミ、丁度良かった。少し外すから赤ちゃんみててねぃ」

「へ? あ、同郷さん? なんでギルドに連れてきてるんですか?」

 なるほど、同郷か。確かにこうしてみると、髪色がまったく同じだな。

「後で説明するよぉ。あと、くろくん達の報酬も用意しといてぇ」

「ええ~、なんなんですか?」

 混乱するカミラをよそに、またも俺の手を取って指を絡めてくるクロエ。なんで指を組むだけなのに、こんなエロいんだろうな。

「じゃ、行こっか。んふふ、いっこ貸しだから。ちゃあんと返してよねぃ」



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