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ギャップ萌は至高だと思う

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「おお…。」
案内されたメローの屋敷に思わず感嘆の声が出る。
鉄製の格子の門。
上のアーチには花は咲かせていないが蔓バラが絡み付いている。
よく手入れされた広い庭。
落ち着いた、それでいて作りの良さを感じさせる2階建ての屋敷。
敷地の限られた城塞都市に、これだけの屋敷を構えるって相当なことなんじゃないだろうか。
門の前で待っていたメイドに案内され、メローの待つ応接室へと向かう。

あれから、微妙な形で2人から送り出された俺は、昨日と同じ南門へ向かった。
すると、そこで昨日のロリ巨乳ことマリルにメローは屋敷で待っていることを教えられ案内されたのだ。
なぜか馬車で。
メローの屋敷はフィーオウの西側の住宅地にあるらしく馬車でも少し時間がかかった。
その間、俺はマリルにさんざん釘を刺されることになる。
「メロー隊長は、ずっと理想の人が現れるのを待ち続けるような、恋愛に関してはとても夢見勝ちな方です。」
「そこにクロウさん。メロー隊長の理想像のど真ん中の貴方が現れてしまいました。」
「ある意味では、正規兵329名、全員がメロー隊長に振られたようなものです。」
「どうか、手をつけるにしても隊長にむごいことをしないでください。」
「もし、隊長を傷つけるようなことがあれば、正規兵329名、いえ、このフィーオウそのものが貴方の敵になると思ってください。」
「必ず殺します。」
「跡形も残しません。」
「ただ、私個人としては応援してますので、頑張ってくださいね。」
と、最後に昨日と同じ笑顔を見せてくれた。

すげえ怖い。
もっとおっとりした娘だと思ってた。
流石はスーパーエリートの正規兵か。
あと、メロー愛されすぎ。
「こちらでアグリッサ様がお待ちです。」
目的の部屋へついたのか、メイドがそう言ってドアをノックし扉を開ける。
「クロウ君。よく来てくれました。」
部屋に入ると、ソファーから立ち上がったメローが出迎えてくれる。
あの胸元が弾けそうな軍服じゃない。
淡い緑のロングワンピース。
オールバックのように後に流していた髪も降ろして、長い前髪が邪魔にならないよう、こめかみのあたりで髪留めで止めている。
笑っているようにも見える目のせいで、やさしいお姉さんって感じだ。
ぜんっぜん雰囲気ちがう!
「クロウ君?」
やばっ、固まってた。
「いや、昨日の軍服姿と印象が違うから驚いてた。」
どうにか言葉を搾り出す。
俺ってこんなに不意打ちに弱かったっけ。
「ああ、ふふ…。私も普段はこんな格好はしないんですよ?久しぶりの個人的な来客で、使用人達に気合が入ったみたいで。」
そう言って、その場でクルリと回る。
あああああ!ギャップウウウ!
その体つきで昨日の威厳溢れた隊長がそんな女の子みたいなことすんの!?
「どうです?似合いますか?」
「ああ…、とても…。」
素直に返してしまう
「えっ!?あ、ああ、ク、クロウ君にそう言って貰えるのは嬉しいですね…。」
向こうも、昨日の俺との印象の違いに戸惑ってるのかもしれない。
2人して突っ立ったままモジモジしだしてしまう。
「あの、アグリッサ様。そろそろお掛けいただいては?」
「ああ!そうでした!さ、座りましょう、クロウ君。」
見かねたメイドが口を出してくれて、ようやく空気がもとに戻る。
ただ、高いんだろうなぁ、このソファー。
俺からするとアンティーク調だけど、この世界だとメジャーなデザインなのかな。
部屋の丁度品も派手なものはないけど、ひとつひとつが高そうなものばかりだ。
いま泊まってる宿でも驚いたけど、やっぱりこっちはもっと凄い。
「どうかしましたか?」
先にソファーに腰掛けたメローが不思議そうに問いかけてくる。
「いや、このソファーの値段を考えて気後れしてたんだ。」
「クロウ君でもそんなことを気にするんですね。」
ころころと笑うメロー。
この時々でてくる女の子っぽさと言うか少女っぽさはなんなんだよ。
俺そういうギャップに弱いんだよ。
「高くても座るために作られたものですよ?どうぞ、掛けてください。それとも、今日も座ってはくれませんか?」
昨日のことを引き合いに出されてしまった。
別に今日は断るつもりも、理由もない。
素直にソファーに腰掛ける。
それを見計らったメイドが、お茶をお持ちしますと部屋を出ていった。
うん、座り心地は元の世界の安物のほうがいいな。
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