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ついに魔力とかでてきたのに変なことになりました

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「はい、そうしてください…。この窓口に来ていただければ、訓練参加の申請も仕事の斡旋も出来ますから。」
と、そこでアーシェラとクロエが入っていった部屋の扉が開く。
けれど、出てきたのは何故かアーシェラだけ。
「はぁい、登録票ができましたよぉ。」
「あの、シェラ先輩、クロエ先輩は…。」
にっこりと笑うアーシェラ。
「椅子に縛り付けてきたの。安心してね。」
なにを安心するんだよ。
「じゃあ皆さん、これを手に握ってくださいねぇ。」
そういって、ドッグタグのようなものを両手にひとつずつ握らせてくる。
手、柔らかいなぁ。
まだこういうのドキドキする。
「右手に握ったのが携帯用、左手に握ったのがギルド保管用です。ふたつとも振動するまで魔力を流してくださいねぇ。」
魔力?
まって、それわかんない。
「くろーさん、大丈夫?」
相変わらず察しがいいな、メル。
「いや、大丈夫じゃないな。」
「血の流れが掌に集中するようなイメージをしてみて。くろーさんならできるはず。」
なるほど。
呼吸法の基礎で似たようなことをやったな。
目を瞑って、丹田を意識して全身の血流を感じる。
ゆっくりと、丹田に流し込むように息を吸い込む。
息を吐きながら、丹田から掌への流れをイメージして意識を移していく。
ブルリと両手に握ったドッグタグが震えた。
「お、できた!ありがとう、メル。」
目を開けてメルを見ると、唖然とした表情で固まっていた。
「…どうした?」
周囲を見回すと、専任職員の面々、コレットちゃんまで同じ表情で俺を見つめていた。
いや、それどころか別の窓口の人達までこっち見てるし。
なにこれ。
何かやっちゃいました?とか言えばいいんだっけ。
「なになに!?いまの気持ち悪い魔力のうごべぇっ!」
椅子に縛られて、よちよちと部屋から出てきたクロエが顔面から地面に突っ伏す。
そのお陰で空気が変わったのか、周りも少しずつお各々の作業に戻っていった。
「…くろーさん、いまのなに?」
恐る恐るといった感じで問いかけてくるメル。
「いや、なにと言われてもな。メルが教えてくれたことをやってみただけなんだけど。」
「それであんな事にはならない。くろーさん、いま何が起こったかわかってる?」
わからないから困ってるんだよ、俺も。
「なにが起こったんだ?」
「くろーさんが目を閉じてすぐ、くろーさんの中の魔力が膨れ上がったの。爆発しそうなくらい。」
「それで注目されてたのか。」
「うん。みんな驚いたんだと思う。わたしも怖かった。でも、そこまで膨らんだ魔力が一瞬で消えたの。最初から無かったみたいに。くろーさん、何をしたの?」
呼吸法のせいだよな、たぶん。
俺には魔力なんて感じられなかったけど。
ここは黙っておいたほうがいいか…。
「…特別なことをしたつもりはないんだけどな。」
困ったふりをして呟く。
そそくさとコレットちゃんが、どこかへと早足で歩いていくのが目に入った。
報告されるかな、これ。
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