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これも修羅場なんだろうか

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3人でギルドのある中央広場へ向かって歩く。
「シンシア"さん"?」
結局、あれからすぐに出掛けることになった。
「おかしいか?」
ギルドの場所は受付にいたシンシアさんに聞いた。
2人も知ってたみたいだけど。
「あの人には"さん"ってつけるの?」
2人の服の補修は、宿で使っている職人に頼んでくれるそうなのでお願いすることにした。
「昨日お世話になったからな。」
シンシアさん、丁寧に頭を下げて2人に自己紹介をしてたな。
「お世話ってなに?」
2人もそれに答えてたけど、少し雰囲気がピリピリと…。
「さっき、服の補修の手配をしてもらっただろ。」
シンシアさん、エルダのキスマークガン見してたな。
「うん。昨日は?」
………。
「昨日は?」
「湯女についてもらった。」
「やった?」
もうやめてよお!
「メル、そのくらいにしとけって。」
「エルダ、黙って。」
「うぐぅ。」
ありがとうエルダ。
役に立たないけど。
「くろーさん?」
「…やりました。」
ふぅーっと、メルが溜息をつく。
「くろーさん。くろーさんが誰としたとしてもそれはいいの。」
あ、それはいいんだ。
「でも、くろーさんは、相手に情を移しすぎ。」
否定できない。
「わたし達にもそう、あの騎士も、シンシアも。たぶんメローにもそうなる。」
…いや、確かにメローは狙ってるけどさ。
こういうところ、ものすごく冷静だよな。こいつ。
「そんなことしてたら収集がつかなくなる。」
そうだな、自分でも想像がつくよ。
「だからくろーさん。少し考えて?そのお陰でわたしとエルダは助かった。けど、なにもかも抱え込んでたらくろーさんが潰れてしまう。」
足を止めてメルを見る。
メルの目は真剣だった。
「ごめん、確かにメルの言うとおりだ。気をつける。」
「うん。今は心に留めておいてくれたらいい。」
メルの頭を撫でる。
こいつは本当に大事にしよう。
ん、あれ?
「なあ、メル。髪の色、薄くなってないか?」
栗色だった髪色が心なしか薄くなっている気がする。
「あ、そっか。石鹸で洗ったから。色が落ちてきた。」
「染めてたのか?」
「うん、そう。本当は赤くしたかった。」
あまり長くない髪をいじりながら答える。
赤か。
あの女騎士も赤い髪だったな。
陰毛も。
「メルの髪は目立つんだよ。古い貴族家にしか出ねぇ色だからさ…。」
そういうことか。
「赤い髪に意味はあるのか?」
「うん。赤い髪は貴族には出ない。」
メルの髪を一房手に取ると、くすぐったそうに首をすくめる。
「なるほどな。それであの騎士が平民だってわかったのか。」
「うん。そんなことよく覚えてたね。くろーさん。」
「あ?なんのことだ?」
エルダは覚えてないみたいだ。
エルダだしな。
「また染めるのか?」
「ううん、染めない。目立つけど、いい。」
ふるふると頭を振って髪をゆらす。
「くろーさんが守ってくれるから、いい。」
俺の手を両手で取ると、胸元できゅっと握った。
「そうだな。」
頭を撫でる。
今度は気持ちよさそうに首をすくめた。
「うん。じゃあくろーさん、なにか食べよう?食べたいものある?」
「いや、ないな。2人は?」
2人が嬉しそうに笑う。
「わたしと姉さんはある。行こう。くろーさん。」
そう言うと、俺の手を引いて進み始める。
「姉さん、場所、覚えてる?」
「おう!でも同じ場所にあっかな。」
「その時は探す。絶対みつける。」
まるで子供のようにはしゃぐ2人。
そんな2人を素直に可愛いと思う。
情が移っただけかもしれないけどさ。
移ったものは仕方ないだろ。
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