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男友達の裏の顔
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「……芙佳、目ぇ開けろ」
「え……?」
ゆっくりとまぶたを開くと、應汰が私をじっと見つめていた。
「目ぇ閉じて他の男の事なんか考えてんな。今芙佳に触ってんのは俺だ」
何も言わなくても應汰には見透かされているんだ。
私が迷っていることも、流されようとしても思いきれないことも。
こんな中途半端な気持ちで應汰と抱き合うことなんてできない。
「ごめん……やっぱり私……」
「結婚したいくらい芙佳が好きだって言ってる俺より、どんなに一緒にいても先のない男の方がいいのか?」
「……わかんないよ……。ちゃんと考える時間が欲しいの。應汰とはいい加減な気持ちでしたくない」
應汰は私の顔をじっと見つめたあと、ため息をついて私から手を離した。
私の気持ちをわかってくれたようだと、ホッと胸を撫で下ろす。
「俺はいい加減な気持ちなんかじゃないよ。芙佳が俺と結婚したいって言うなら、今すぐにだってできる」
低い声でそう言ってシャツを羽織った應汰は、ベッドの上にうずくまっている私のそばに座り頬にキスをした。
「芙佳……先のないようなつまんねぇ男なんかやめて、潔く俺の嫁になれ。そうすれば一生芙佳だけ愛してやる」
「だから……いきなり過ぎるでしょ……」
「本心だからしょうがないじゃん。言っとくけど、俺しつこいよ?芙佳がいいって言うまで食い下がるからな」
この真剣な目を見れば、冗談で言っているのではないということはわかる。
それにしても、しつこいとか食い下がるって……一体何をするつもりなんだろう?
「本気で言ってる……?」
「本気だから芙佳が俺の事好きになるまで、全部食うのは待ってやる」
かなり肉食系俺様な気もするけど、寝込みを襲わないとか無理やりしないとか、こういうところはいいやつだ。
「もうただの友達のふりはやめだ。これからは遠慮なくガンガン行くから覚悟してろ」
「うーん……。会社ではわきまえてよ」
「大丈夫だ。なんかあったら俺が責任持って芙佳を嫁にもらうから」
かなりグイグイ来るな……。
ちょっと心配だけど、好きだと言う気持ちを正面からぶつけられるのは、不思議とイヤな気がしない。
「とりあえず明日デートしよう。まずはそこからだ」
「デートって……」
「焦ってがっついて芙佳に嫌われたくないからな。ちゃんと手順踏んでく事にする」
いやいや、既にかなり手順バラバラだと思うんだけどな。
付き合ってもないのにいきなりプロポーズするし、強引にキスして食っちゃおうとするし、その後にデートの申し込みって……。
それでも應汰が私を本気で想ってくれていることと、應汰なりに私の気持ちを考えてくれているんだということだけはわかる。
「俺の事、ちゃんと知りもしないうちに断るなよ」
應汰はなかなか返事をしない私を後ろからギュッと抱きしめて、耳元でボソッと切なげに呟いた。
「……わかった、受けてたつ」
「絶対惚れさせてみせるからな」
「のぞむところだ」
「言ったな、こいつ」
應汰は軽口を叩きながら、じゃれるように私を抱きしめた。
應汰が真剣に私を想ってくれているのなら、私も真剣に考えよう。
いくら好きでも先のない勲との不毛な関係を断ち切るのは、私しかいない。
私だけを一生愛してくれると言った應汰の気持ちに応えられるのも、私しかいない。
私にだって幸せを求める権利くらいはあるはずだ。
「え……?」
ゆっくりとまぶたを開くと、應汰が私をじっと見つめていた。
「目ぇ閉じて他の男の事なんか考えてんな。今芙佳に触ってんのは俺だ」
何も言わなくても應汰には見透かされているんだ。
私が迷っていることも、流されようとしても思いきれないことも。
こんな中途半端な気持ちで應汰と抱き合うことなんてできない。
「ごめん……やっぱり私……」
「結婚したいくらい芙佳が好きだって言ってる俺より、どんなに一緒にいても先のない男の方がいいのか?」
「……わかんないよ……。ちゃんと考える時間が欲しいの。應汰とはいい加減な気持ちでしたくない」
應汰は私の顔をじっと見つめたあと、ため息をついて私から手を離した。
私の気持ちをわかってくれたようだと、ホッと胸を撫で下ろす。
「俺はいい加減な気持ちなんかじゃないよ。芙佳が俺と結婚したいって言うなら、今すぐにだってできる」
低い声でそう言ってシャツを羽織った應汰は、ベッドの上にうずくまっている私のそばに座り頬にキスをした。
「芙佳……先のないようなつまんねぇ男なんかやめて、潔く俺の嫁になれ。そうすれば一生芙佳だけ愛してやる」
「だから……いきなり過ぎるでしょ……」
「本心だからしょうがないじゃん。言っとくけど、俺しつこいよ?芙佳がいいって言うまで食い下がるからな」
この真剣な目を見れば、冗談で言っているのではないということはわかる。
それにしても、しつこいとか食い下がるって……一体何をするつもりなんだろう?
「本気で言ってる……?」
「本気だから芙佳が俺の事好きになるまで、全部食うのは待ってやる」
かなり肉食系俺様な気もするけど、寝込みを襲わないとか無理やりしないとか、こういうところはいいやつだ。
「もうただの友達のふりはやめだ。これからは遠慮なくガンガン行くから覚悟してろ」
「うーん……。会社ではわきまえてよ」
「大丈夫だ。なんかあったら俺が責任持って芙佳を嫁にもらうから」
かなりグイグイ来るな……。
ちょっと心配だけど、好きだと言う気持ちを正面からぶつけられるのは、不思議とイヤな気がしない。
「とりあえず明日デートしよう。まずはそこからだ」
「デートって……」
「焦ってがっついて芙佳に嫌われたくないからな。ちゃんと手順踏んでく事にする」
いやいや、既にかなり手順バラバラだと思うんだけどな。
付き合ってもないのにいきなりプロポーズするし、強引にキスして食っちゃおうとするし、その後にデートの申し込みって……。
それでも應汰が私を本気で想ってくれていることと、應汰なりに私の気持ちを考えてくれているんだということだけはわかる。
「俺の事、ちゃんと知りもしないうちに断るなよ」
應汰はなかなか返事をしない私を後ろからギュッと抱きしめて、耳元でボソッと切なげに呟いた。
「……わかった、受けてたつ」
「絶対惚れさせてみせるからな」
「のぞむところだ」
「言ったな、こいつ」
應汰は軽口を叩きながら、じゃれるように私を抱きしめた。
應汰が真剣に私を想ってくれているのなら、私も真剣に考えよう。
いくら好きでも先のない勲との不毛な関係を断ち切るのは、私しかいない。
私だけを一生愛してくれると言った應汰の気持ちに応えられるのも、私しかいない。
私にだって幸せを求める権利くらいはあるはずだ。
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