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暴かれた真実
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「できれば生きているうちに曾孫の顔を見たいとは言ったが、すぐに子供ができなければ結婚を認めんとは言っておらん」
お祖父様の思いもよらぬ言葉に、杏さんはかなり戸惑っているらしい。
僕もお祖父様の言葉には心底驚いている。
僕が杏さんに頼まれて婚約者のふりをしていた事は話したはずなのに、なぜお祖父様はそんな事を言うんだろう?
杏さんが自分の口から「あれは嘘だったんです」と打ち明けるまで、お祖父様はその嘘に付き合う気なのかな?
「ところで裕喜くん、さっきの話なんだが」
「はい」
「こちらの会社で商品化した鴫野くんのメニューのデータを、ビジネスとして正式に譲ってくれんだろうか。鴫野くん本人も一緒に」
……え?
今なんておっしゃいました?
僕も一緒にってどういう事だ?
「うちの鴫野も……ですか?」
「聞いたところによると、彼の実力がおおいに発揮できるのは、高齢者向けの商品だそうじゃないか」
「そのようですね」
「鴫野くんにはうちの会社でぜひ働いてもらいたい。どうかね?」
お祖父様と裕喜社長が同時に僕の方を見た。
どうかね?って突然言われても……。
これっていわゆる、ヘッドハンティングとか言うやつ?
作る料理も地味だけど、社内でも地味で目立たない僕にそんなことが起こるなんて、もう何がなんだかわけがわからない。
予想外の展開に僕はオロオロするばかりだ。
「突然そうおっしゃられても……」
「そうか。では杏との縁談も含めて前向きに検討してくれ」
「……はい?」
「君は杏の婚約者なんだろう?」
「えっと……それは……」
なんと答えれば良いのやら。
これには杏さんも慌てている様子だ。
「君は杏の事が本当に好きなんだろう?」
自分の口から伝えた事もないのに、まさか杏さん本人の前でお祖父様に暴露されるとは!!
ばあちゃんがしれっとお祖父様に暴露した時とは比べ物にならないくらいの衝撃だ。
「この先もずっと杏といたいと……その気持ちに嘘はないと、君は言ったな?」
「……はい、言いました」
「それでは後は当人同士の問題だ。二人でよく話し合って考えてくれればいい。信幸もそれで良いな?」
ずっと杏さんの隣で黙っていた男の人が、少し嬉しそうに笑ってうなずいた。
「ええ、お父さんがそうおっしゃるのなら」
お祖父様がこの人のお父さん……って事は、この人は杏さんのお父さんか!!
なんかもう、どえらいことになってるよ……!
隣を見ると、ばあちゃんがニコニコして僕と杏さんを見ている。
「良かったわね、章悟」
良かった……のか?
いや、ちょっと待て。
僕は肝心な事を忘れている。
お祖父様やお父さんが許しても、僕がどれだけ杏さんを好きでも、杏さんが僕を好きでなければどうにもならないじゃないか!!
あまりにも気まずくて、僕の胃までキリキリと悲鳴をあげ始めた。
こんな状態ではまともに杏さんの顔を見る事もできない。
「それにしても疲れた。ワシは休む事にする。信幸、弥栄子さんと鴫野くんを家にお連れしなさい」
「わかりました」
お祖父様の思いもよらぬ言葉に、杏さんはかなり戸惑っているらしい。
僕もお祖父様の言葉には心底驚いている。
僕が杏さんに頼まれて婚約者のふりをしていた事は話したはずなのに、なぜお祖父様はそんな事を言うんだろう?
杏さんが自分の口から「あれは嘘だったんです」と打ち明けるまで、お祖父様はその嘘に付き合う気なのかな?
「ところで裕喜くん、さっきの話なんだが」
「はい」
「こちらの会社で商品化した鴫野くんのメニューのデータを、ビジネスとして正式に譲ってくれんだろうか。鴫野くん本人も一緒に」
……え?
今なんておっしゃいました?
僕も一緒にってどういう事だ?
「うちの鴫野も……ですか?」
「聞いたところによると、彼の実力がおおいに発揮できるのは、高齢者向けの商品だそうじゃないか」
「そのようですね」
「鴫野くんにはうちの会社でぜひ働いてもらいたい。どうかね?」
お祖父様と裕喜社長が同時に僕の方を見た。
どうかね?って突然言われても……。
これっていわゆる、ヘッドハンティングとか言うやつ?
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予想外の展開に僕はオロオロするばかりだ。
「突然そうおっしゃられても……」
「そうか。では杏との縁談も含めて前向きに検討してくれ」
「……はい?」
「君は杏の婚約者なんだろう?」
「えっと……それは……」
なんと答えれば良いのやら。
これには杏さんも慌てている様子だ。
「君は杏の事が本当に好きなんだろう?」
自分の口から伝えた事もないのに、まさか杏さん本人の前でお祖父様に暴露されるとは!!
ばあちゃんがしれっとお祖父様に暴露した時とは比べ物にならないくらいの衝撃だ。
「この先もずっと杏といたいと……その気持ちに嘘はないと、君は言ったな?」
「……はい、言いました」
「それでは後は当人同士の問題だ。二人でよく話し合って考えてくれればいい。信幸もそれで良いな?」
ずっと杏さんの隣で黙っていた男の人が、少し嬉しそうに笑ってうなずいた。
「ええ、お父さんがそうおっしゃるのなら」
お祖父様がこの人のお父さん……って事は、この人は杏さんのお父さんか!!
なんかもう、どえらいことになってるよ……!
隣を見ると、ばあちゃんがニコニコして僕と杏さんを見ている。
「良かったわね、章悟」
良かった……のか?
いや、ちょっと待て。
僕は肝心な事を忘れている。
お祖父様やお父さんが許しても、僕がどれだけ杏さんを好きでも、杏さんが僕を好きでなければどうにもならないじゃないか!!
あまりにも気まずくて、僕の胃までキリキリと悲鳴をあげ始めた。
こんな状態ではまともに杏さんの顔を見る事もできない。
「それにしても疲れた。ワシは休む事にする。信幸、弥栄子さんと鴫野くんを家にお連れしなさい」
「わかりました」
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