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すべてを明かす時が来た!
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少し落ち着いてきてやっと気付いたけど……大旦那様ってもしかして、杏さんのお祖父様のこと?
僕は不意に、杏さんに婚約者として紹介された時のお祖父様の眼光の鋭さを思い出して青ざめた。
お祖父様は僕の事、偽物の婚約者だって気付いてたんだよね?
お祖父様を騙した僕が、今更ノコノコ会いに行ってもいいものだろうか?
……怖すぎる……。
首を斬られる覚悟くらいはしておいた方が良さそうだ。
病院に着いて車を降りると、ばあちゃんは冷や汗を流す僕の事などお構いなしで、お祖父様の病室に向かってすごい速さでどんどん進む。
一般の入院患者はそうそう入れないような特別室の重厚なドアの前で、僕は辞世の句を考えていた。
このドアが地獄への扉に見える。
それなのにばあちゃんは、当たり前のようにその病室のインターホンのボタンを押した。
「昔お屋敷に仕えていたメイドの高野でございます。大旦那様のお見舞いに伺いました」
ばあちゃんがそう言うと、カメラ付きのインターホンのスピーカーから「どうぞ」と男の人の低い声が聞こえた。
僕の鼓動が速くなる。
「失礼します」
ばあちゃんはドアを開けて頭を下げた。
僕も慌てて頭を下げる。
「大旦那様、お久しゅうございます」
お祖父様がベッドの上で目を見開いた。
その顔を見て、ばあちゃんはにっこり笑った。
「修蔵ちゃんって呼んだ方がいいかしら?」
「おお……弥栄ちゃんか!!」
『修蔵ちゃん』に『弥栄ちゃん』ってなんだ?!
ますます僕にはわけがわからない。
ばあちゃんとお祖父様は子供みたいに嬉しそうに笑っている。
お祖父様、あの鬼気迫るオーラはどこに行ったんだよ?
一体どうなってんだ?
僕がポカンとして2人を眺めていると、お祖父様はばあちゃんの隣に立ちすくんでいる僕に視線を向けた。
「おや……君は確か……」
ここまで来てしまったのだから、今更ジタバタしても仕方がない。
僕も男だ、潔く覚悟を決めよう。
「お久しぶりです……。鴫野 章悟です」
「なぜここに?」
お祖父様は怪訝な顔をして尋ねた。
……その眼力、やっぱりこえぇー!
ばあちゃんは怯む僕の背中に手を添えて笑った。
「章悟は私の孫なの」
「鴫野くんが弥栄ちゃんの孫……とな?」
それからばあちゃんは、僕が娘の子供である事や、娘が離婚して新しい相手と再婚する時に僕を引き取った事、僕が父親の姓を名乗っているので苗字が違う事などをお祖父様に話した。
「有澤家を辞めてから一人でこの子を育てたのよ。二度目の子育てね。章悟は大学を出てから会社勤めをしているの」
ばあちゃんは誇らしげにそう言った。
「杏の勤めていた会社だな。たしか管理栄養士だったか」
「ハイ」
お祖父様は静かに息をついて、少し首をかしげた。
「あれだけ強情を張っていた杏が、突然会社を辞めて帰って来た。君以外との結婚は考えられないと言っていたのに、新社長就任後に仕事が落ち着いたら穂高と結婚すると言ってな。どうにも腑に落ちん」
あれ……?
もしかしてお祖父様、あれが芝居だったって気付いてないの?
まさか杏さんが会社を辞めざるを得なかった理由も知らないなんて事は……。
僕は不意に、杏さんに婚約者として紹介された時のお祖父様の眼光の鋭さを思い出して青ざめた。
お祖父様は僕の事、偽物の婚約者だって気付いてたんだよね?
お祖父様を騙した僕が、今更ノコノコ会いに行ってもいいものだろうか?
……怖すぎる……。
首を斬られる覚悟くらいはしておいた方が良さそうだ。
病院に着いて車を降りると、ばあちゃんは冷や汗を流す僕の事などお構いなしで、お祖父様の病室に向かってすごい速さでどんどん進む。
一般の入院患者はそうそう入れないような特別室の重厚なドアの前で、僕は辞世の句を考えていた。
このドアが地獄への扉に見える。
それなのにばあちゃんは、当たり前のようにその病室のインターホンのボタンを押した。
「昔お屋敷に仕えていたメイドの高野でございます。大旦那様のお見舞いに伺いました」
ばあちゃんがそう言うと、カメラ付きのインターホンのスピーカーから「どうぞ」と男の人の低い声が聞こえた。
僕の鼓動が速くなる。
「失礼します」
ばあちゃんはドアを開けて頭を下げた。
僕も慌てて頭を下げる。
「大旦那様、お久しゅうございます」
お祖父様がベッドの上で目を見開いた。
その顔を見て、ばあちゃんはにっこり笑った。
「修蔵ちゃんって呼んだ方がいいかしら?」
「おお……弥栄ちゃんか!!」
『修蔵ちゃん』に『弥栄ちゃん』ってなんだ?!
ますます僕にはわけがわからない。
ばあちゃんとお祖父様は子供みたいに嬉しそうに笑っている。
お祖父様、あの鬼気迫るオーラはどこに行ったんだよ?
一体どうなってんだ?
僕がポカンとして2人を眺めていると、お祖父様はばあちゃんの隣に立ちすくんでいる僕に視線を向けた。
「おや……君は確か……」
ここまで来てしまったのだから、今更ジタバタしても仕方がない。
僕も男だ、潔く覚悟を決めよう。
「お久しぶりです……。鴫野 章悟です」
「なぜここに?」
お祖父様は怪訝な顔をして尋ねた。
……その眼力、やっぱりこえぇー!
ばあちゃんは怯む僕の背中に手を添えて笑った。
「章悟は私の孫なの」
「鴫野くんが弥栄ちゃんの孫……とな?」
それからばあちゃんは、僕が娘の子供である事や、娘が離婚して新しい相手と再婚する時に僕を引き取った事、僕が父親の姓を名乗っているので苗字が違う事などをお祖父様に話した。
「有澤家を辞めてから一人でこの子を育てたのよ。二度目の子育てね。章悟は大学を出てから会社勤めをしているの」
ばあちゃんは誇らしげにそう言った。
「杏の勤めていた会社だな。たしか管理栄養士だったか」
「ハイ」
お祖父様は静かに息をついて、少し首をかしげた。
「あれだけ強情を張っていた杏が、突然会社を辞めて帰って来た。君以外との結婚は考えられないと言っていたのに、新社長就任後に仕事が落ち着いたら穂高と結婚すると言ってな。どうにも腑に落ちん」
あれ……?
もしかしてお祖父様、あれが芝居だったって気付いてないの?
まさか杏さんが会社を辞めざるを得なかった理由も知らないなんて事は……。
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