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初めてのデート
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「おうちデート……?家の中でデートをするのか?一体どうやって過ごすんだ?」
「二人きりで家でのんびり過ごすんです」
「のんびり?二人で何もせずにボーッとしていることを『おうちデート』というのか?」
いやいや、何もしないわけないでしょ。
仕事人間の杏さんらしい発言に思わず吹き出しそうになったけれど、ここは笑うと失礼かと思って必死でこらえた。
『のんびり』イコール『ボーッとする』だと思っているのか、どうやら杏さんは『のんびり』の意味を履き違えているようだ。
「過ごし方はそれぞれですよ。おしゃべりとかゲームとか……ごはんを食べたり映画のDVD見たりもしますけど……」
確かにそんなこともする。
だけどそんなことの半分くらいは『おうちデート』のおまけみたいなものだ。
付き合ってる男女が密室で二人きりでする事なんて決まってるだろ?
そのための『おうちデート』なんだから。
だけどまったく恋愛経験のない杏さんには刺激が強すぎるかも知れないし、ハッキリと言っていいものだろうか?
ぼやかして言うかハッキリ言うか迷っていると、杏さんは眉間にシワを寄せて思いきり首をかしげた。
「けど、なんだ?」
ああもう……ホントに無知だな。
ハッキリ言わなきゃ杏さんにはわからないか。
仮にも婚約者がいることになっている杏さんが、その婚約者との過ごし方を知らないなんて、どう考えてもおかしいだろう。
ここはひとつ世間のカップルの常識と言うものを少し教えてあげた方が良さそうだ。
「そうですね。いろいろしますけど、たいていはイチャイチャしてます」
「イチャイチャ……?」
「何度もキスしたり抱きしめ合ったり、お互いの体に触れ合ったり……。わかりやすく言うと、飽きもせずセックスしてます」
僕がハッキリそう言うと、杏さんは真っ赤な顔をして言葉を失ってしまった。
一応その意味はわかっているらしい。
杏さんのこういうところが面白いんだよな。
それになんと言ってもかわいいし。
もっとからかって恥ずかしがらせてやろうか。
「人の多い場所が苦手なら『おうちデート』でもしてみます?二人っきりで一日中イチャイチャして過ごしましょうか」
「しっ……しない!絶対!断じて!しない!!」
……だろうな。
一緒に暮らしているとは言っても、僕らは恋人同士ではないんだから。
よく覚えてはいないけど、酒に酔った勢いで犯してしまったたった一度の過ちを除いては、僕たちは男女の仲ではない。
杏さんと僕の関係は、会社では『仕事のできる若き超エリート上司』と『見た目もスペックも極普通の部下』だ。
そして同じ家に帰ると僕は『杏さんに選ばれた婚約者』と言う名の皮を被った『料理だけが取り柄のただの同居人』になる。
杏さんがそんな僕に惚れるなんてことは有り得ないし、僕も杏さんとの甘い関係なんて期待していない。
だけど言うだけはタダなんだから、僕の強いられている禁欲生活に免じて、ちょっとくらいのおふざけは許してもらいたい。
杏さんは湯飲みに残っていたお茶を一気に飲み干して息を整えると、いつも会社で見せるようなクールな表情を取り戻した。
そしてテーブルを人差し指でトントンと叩きながら僕を睨み付けた。
「二人きりで家でのんびり過ごすんです」
「のんびり?二人で何もせずにボーッとしていることを『おうちデート』というのか?」
いやいや、何もしないわけないでしょ。
仕事人間の杏さんらしい発言に思わず吹き出しそうになったけれど、ここは笑うと失礼かと思って必死でこらえた。
『のんびり』イコール『ボーッとする』だと思っているのか、どうやら杏さんは『のんびり』の意味を履き違えているようだ。
「過ごし方はそれぞれですよ。おしゃべりとかゲームとか……ごはんを食べたり映画のDVD見たりもしますけど……」
確かにそんなこともする。
だけどそんなことの半分くらいは『おうちデート』のおまけみたいなものだ。
付き合ってる男女が密室で二人きりでする事なんて決まってるだろ?
そのための『おうちデート』なんだから。
だけどまったく恋愛経験のない杏さんには刺激が強すぎるかも知れないし、ハッキリと言っていいものだろうか?
ぼやかして言うかハッキリ言うか迷っていると、杏さんは眉間にシワを寄せて思いきり首をかしげた。
「けど、なんだ?」
ああもう……ホントに無知だな。
ハッキリ言わなきゃ杏さんにはわからないか。
仮にも婚約者がいることになっている杏さんが、その婚約者との過ごし方を知らないなんて、どう考えてもおかしいだろう。
ここはひとつ世間のカップルの常識と言うものを少し教えてあげた方が良さそうだ。
「そうですね。いろいろしますけど、たいていはイチャイチャしてます」
「イチャイチャ……?」
「何度もキスしたり抱きしめ合ったり、お互いの体に触れ合ったり……。わかりやすく言うと、飽きもせずセックスしてます」
僕がハッキリそう言うと、杏さんは真っ赤な顔をして言葉を失ってしまった。
一応その意味はわかっているらしい。
杏さんのこういうところが面白いんだよな。
それになんと言ってもかわいいし。
もっとからかって恥ずかしがらせてやろうか。
「人の多い場所が苦手なら『おうちデート』でもしてみます?二人っきりで一日中イチャイチャして過ごしましょうか」
「しっ……しない!絶対!断じて!しない!!」
……だろうな。
一緒に暮らしているとは言っても、僕らは恋人同士ではないんだから。
よく覚えてはいないけど、酒に酔った勢いで犯してしまったたった一度の過ちを除いては、僕たちは男女の仲ではない。
杏さんと僕の関係は、会社では『仕事のできる若き超エリート上司』と『見た目もスペックも極普通の部下』だ。
そして同じ家に帰ると僕は『杏さんに選ばれた婚約者』と言う名の皮を被った『料理だけが取り柄のただの同居人』になる。
杏さんがそんな僕に惚れるなんてことは有り得ないし、僕も杏さんとの甘い関係なんて期待していない。
だけど言うだけはタダなんだから、僕の強いられている禁欲生活に免じて、ちょっとくらいのおふざけは許してもらいたい。
杏さんは湯飲みに残っていたお茶を一気に飲み干して息を整えると、いつも会社で見せるようなクールな表情を取り戻した。
そしてテーブルを人差し指でトントンと叩きながら僕を睨み付けた。
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