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ロールキャベツな狼とツンデレな猫
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愛美は頬を撫でる優しい手の感触に目を覚ました。
いつの間にか眠っていたようだ。
緒川支部長に膝枕をされている事に気付くと、愛美は慌てて起き上がった。
「あ……起こしちゃったかな」
「ごめんなさい、いつの間にか寝ちゃってた……」
「もっと寝てても良かったんだよ?愛美の寝顔かわいいから、いくらでも見てられる」
「寝顔見られるのは恥ずかしいです……」
愛美が恥ずかしそうにそう言うと、緒川支部長は愛しそうに愛美を抱き寄せて頭を撫でた。
「お腹すいた?」
「少し……」
「何か美味しいものでも食べに行く?」
壁時計の針は6時を指そうとしていた。
「あ……もうこんな時間……」
せっかく早く仕事を終わらせて会いに来てくれたのに、あんな事があったせいで楽しみにしていたデートもできなかった。
「ごめんなさい……。せっかく早く仕事終わらせて来てくれたのに、結局どこにも行けなかった……」
愛美が肩を落としてそう言うと、緒川支部長は愛美の頭をポンと軽く叩いて立ち上がった。
「だから、これから行こ。まだ6時だよ?」
緒川支部長は愛美の手を引いて立ち上がらせた。
「昨日の美味しいシチューのお礼にご馳走するよ。何が食べたい?」
「えーっと……なんだろう……?」
「じゃあ、ドライブでもしながら一緒に考えようか」
それからしばらく、車を走らせながら何を食べようかと二人で考えた。
普段あまり食べた事のないものが食べてみたいと愛美が言い出し、偶然見つけた沖縄料理の店に入った。
「せっかく沖縄料理の店に来たけど、車だから泡盛は飲めないな。愛美だけでも飲む?」
「今日は私も我慢します。今度は歩いて行ける店を探して一緒に飲みましょう」
たくさんあるメニューの中から、タコライスやソーキソバ、フーチャンプルーやテビチなど、聞いた事はあってもあまり口にした事のないものを注文して、分け合って食べた。
緒川支部長は、美味しそうに料理を食べている愛美を見ながら、少しは気も紛れたかなと安堵した。
美味しい沖縄料理でお腹いっぱいになった後は、夜景の綺麗に見える高台に向かった。
秋の冷たい夜風に愛美が少し寒そうにしていると、緒川支部長は自分の着ていた上着で包むようにして、愛美を背中から抱きしめた。
そうしてしばらく夜景を眺めた後、緒川支部長は愛美の冷えた唇にそっとキスをした。
「そろそろ車に戻ろうか」
「はい……」
車に乗って、この後はどうしようかと言いながら、しばらくあてもなくドライブしたあと、車は愛美のマンションの前に戻ってきた。
もしかしたらこのまま帰ってしまうのかもと思った愛美は、もう少し一緒にいたくて緒川支部長より先に口を開いた。
「少し冷えちゃいましたね。一緒に温かいコーヒーでもどうですか?」
「ああ……うん、ありがとう。そうしようかな」
緒川支部長と一緒に部屋に戻り、愛美はキッチンでコーヒーを淹れた。
「沖縄料理、美味しかったですね。また行きたいです」
「俺は泡盛飲みたいな」
「次は飲みましょうね」
コーヒーを飲みながら、他愛ない話をした。
緒川支部長はコーヒーを飲みながら、愛美が必死で話題を探しているように感じた。
明らかにいつもより愛美の口数が多い。
それは必死で引き留めようとしているようにも見えるし、何かをごまかしているようにも、無理をしているようにも見える。
緒川支部長はコーヒーカップを置いて椅子から立ち上がり、ラグの上に座って愛美を手招きした。
「愛美、こっちにおいで」
緒川支部長が自分の隣をポンポンと叩くと、愛美は何も言わずゆっくりと緒川支部長の隣に座った。
緒川支部長は愛美の肩を抱き寄せて、背中をトントンと優しく叩く。
「不安なの?それとも俺が怖い?」
愛美は黙ったままで緒川支部長のシャツをギュッと握りしめた。
(違う……政弘さんの事は怖くなんかない……。私が怖いのは……)
「俺は愛美が嫌がるような事はしないから安心して。簡単に忘れる事はできないかも知れないけど……これからは何があっても、俺が愛美を守るから」
愛美は緒川支部長の胸に顔をうずめた。
「私の事、嫌いにならないで……」
「嫌いになんかならないよ」
「ホントに……?」
胸に顔をうずめて小さな声でためらいがちに尋ねる愛美の髪を、緒川支部長は愛しそうに撫でた。
「ホント。俺は愛美が好き。大好きだよ」
愛美は緒川支部長の背中に腕を回して、ギュッと抱きしめた。
その広い胸の温かさと優しさに泣きたくなるほど、この人が好きだと愛美は思う。
「私も……政弘さんが好きです……。大好きです……」
恥ずかしそうに呟いた愛美の言葉に、緒川支部長は一瞬目を見開き、それから愛美を抱きしめて嬉しそうに笑った。
「ありがとう、めちゃくちゃ嬉しい……」
緒川支部長は愛美の頬を両手で包んで上を向かせ、覗き込むようにして顔を見つめた。
「やっと名前呼んで、好きって言ってくれた」
「あの……あんまりじっと見られると、恥ずかしいです……」
恥ずかしそうに目をそらす愛美を見て、緒川支部長は微笑みながら指先でそっと頬を撫でた。
いつの間にか眠っていたようだ。
緒川支部長に膝枕をされている事に気付くと、愛美は慌てて起き上がった。
「あ……起こしちゃったかな」
「ごめんなさい、いつの間にか寝ちゃってた……」
「もっと寝てても良かったんだよ?愛美の寝顔かわいいから、いくらでも見てられる」
「寝顔見られるのは恥ずかしいです……」
愛美が恥ずかしそうにそう言うと、緒川支部長は愛しそうに愛美を抱き寄せて頭を撫でた。
「お腹すいた?」
「少し……」
「何か美味しいものでも食べに行く?」
壁時計の針は6時を指そうとしていた。
「あ……もうこんな時間……」
せっかく早く仕事を終わらせて会いに来てくれたのに、あんな事があったせいで楽しみにしていたデートもできなかった。
「ごめんなさい……。せっかく早く仕事終わらせて来てくれたのに、結局どこにも行けなかった……」
愛美が肩を落としてそう言うと、緒川支部長は愛美の頭をポンと軽く叩いて立ち上がった。
「だから、これから行こ。まだ6時だよ?」
緒川支部長は愛美の手を引いて立ち上がらせた。
「昨日の美味しいシチューのお礼にご馳走するよ。何が食べたい?」
「えーっと……なんだろう……?」
「じゃあ、ドライブでもしながら一緒に考えようか」
それからしばらく、車を走らせながら何を食べようかと二人で考えた。
普段あまり食べた事のないものが食べてみたいと愛美が言い出し、偶然見つけた沖縄料理の店に入った。
「せっかく沖縄料理の店に来たけど、車だから泡盛は飲めないな。愛美だけでも飲む?」
「今日は私も我慢します。今度は歩いて行ける店を探して一緒に飲みましょう」
たくさんあるメニューの中から、タコライスやソーキソバ、フーチャンプルーやテビチなど、聞いた事はあってもあまり口にした事のないものを注文して、分け合って食べた。
緒川支部長は、美味しそうに料理を食べている愛美を見ながら、少しは気も紛れたかなと安堵した。
美味しい沖縄料理でお腹いっぱいになった後は、夜景の綺麗に見える高台に向かった。
秋の冷たい夜風に愛美が少し寒そうにしていると、緒川支部長は自分の着ていた上着で包むようにして、愛美を背中から抱きしめた。
そうしてしばらく夜景を眺めた後、緒川支部長は愛美の冷えた唇にそっとキスをした。
「そろそろ車に戻ろうか」
「はい……」
車に乗って、この後はどうしようかと言いながら、しばらくあてもなくドライブしたあと、車は愛美のマンションの前に戻ってきた。
もしかしたらこのまま帰ってしまうのかもと思った愛美は、もう少し一緒にいたくて緒川支部長より先に口を開いた。
「少し冷えちゃいましたね。一緒に温かいコーヒーでもどうですか?」
「ああ……うん、ありがとう。そうしようかな」
緒川支部長と一緒に部屋に戻り、愛美はキッチンでコーヒーを淹れた。
「沖縄料理、美味しかったですね。また行きたいです」
「俺は泡盛飲みたいな」
「次は飲みましょうね」
コーヒーを飲みながら、他愛ない話をした。
緒川支部長はコーヒーを飲みながら、愛美が必死で話題を探しているように感じた。
明らかにいつもより愛美の口数が多い。
それは必死で引き留めようとしているようにも見えるし、何かをごまかしているようにも、無理をしているようにも見える。
緒川支部長はコーヒーカップを置いて椅子から立ち上がり、ラグの上に座って愛美を手招きした。
「愛美、こっちにおいで」
緒川支部長が自分の隣をポンポンと叩くと、愛美は何も言わずゆっくりと緒川支部長の隣に座った。
緒川支部長は愛美の肩を抱き寄せて、背中をトントンと優しく叩く。
「不安なの?それとも俺が怖い?」
愛美は黙ったままで緒川支部長のシャツをギュッと握りしめた。
(違う……政弘さんの事は怖くなんかない……。私が怖いのは……)
「俺は愛美が嫌がるような事はしないから安心して。簡単に忘れる事はできないかも知れないけど……これからは何があっても、俺が愛美を守るから」
愛美は緒川支部長の胸に顔をうずめた。
「私の事、嫌いにならないで……」
「嫌いになんかならないよ」
「ホントに……?」
胸に顔をうずめて小さな声でためらいがちに尋ねる愛美の髪を、緒川支部長は愛しそうに撫でた。
「ホント。俺は愛美が好き。大好きだよ」
愛美は緒川支部長の背中に腕を回して、ギュッと抱きしめた。
その広い胸の温かさと優しさに泣きたくなるほど、この人が好きだと愛美は思う。
「私も……政弘さんが好きです……。大好きです……」
恥ずかしそうに呟いた愛美の言葉に、緒川支部長は一瞬目を見開き、それから愛美を抱きしめて嬉しそうに笑った。
「ありがとう、めちゃくちゃ嬉しい……」
緒川支部長は愛美の頬を両手で包んで上を向かせ、覗き込むようにして顔を見つめた。
「やっと名前呼んで、好きって言ってくれた」
「あの……あんまりじっと見られると、恥ずかしいです……」
恥ずかしそうに目をそらす愛美を見て、緒川支部長は微笑みながら指先でそっと頬を撫でた。
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