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社内恋愛終了のお知らせ
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「サイズはどう?」
「少しゆるいけど……潤さんに指輪のサイズなんて教えたことないもんね。前に友達の付き合いでアクセサリー見に行ったら左手の薬指にちょうどいいサイズがなくて、お店には奇数の号数しか売ってないから、サイズ直しするしかないって言われたの」
そのお店で指のサイズをはからせてもらったら、私の薬指のサイズは左が8号で、右が9号だった。
「ああ……じつはサイズ聞かれてもわからなくて、あとでサイズ直しもできるから、とりあえず9号にしておくかって店員に言われてどうしようかと思ってたら、ゆうこさんが……」
ゆうこさんはハンドルを握り前を向いたまま口を開く。
「わたくしの目に狂いがなければ、志織さんの薬指のサイズは左が8号、右が9号です。今は左手の薬指につけられているのでゆるいと思いますが、左手の薬指には結婚指輪をつけることになりますので、そうすると婚約指輪は右手の薬指につけるのがよろしいかと」
潤さんは私の左手の薬指から指輪を抜き取り、右手の薬指につけ直した。
あつらえたようにピッタリだ。
普通の状態でも見ただけではわかりづらいだろうに、私の左手はギプスをして三角巾で吊った状態だから、指なんて見えにくいと思う。
それでもわかってしまうのはなぜなんだ?
ゆうこさんの目にはカウンター的な、精密なセンサーか何かが搭載されているんじゃなかろうか?
「ピッタリ……。なんでわかったんだろう……」
「ビックリしただろ?ゆうこさんはジュエリータキウチの社長の娘なんだ」
「えっ、ジュエリータキウチ?!」
ジュエリータキウチと言ったら、国内最大手のジュエリーショップチェーンだ。
おそらく良家のお嬢様だとは思っていたけれど、私の想像を遥かに超えている。
と言うことは、瀧内くんはジュエリータキウチの社長の孫でもあるわけだ。
「ゆうこさん、若い頃は社会勉強のために社長の娘って言う素性は隠して、店頭で販売員をしてたんだって。売り上げ全国トップだったらしいよ。玲司はゆうこさんに似たんだな」
「大学時代にアルバイトをしてみたいと父に言ったら、うちの会社の店ならいいと言われましたので。大学時代の4年間はアルバイトとして働いて、卒業してから玲司の父親と結婚するまでの2年間は店長を務めました。その経験上、指輪のサイズは手を見ればわかります」
「……と言うわけで、志織にピッタリの指輪を選ぶことができた」
ジュエリーショップに数年勤めたからと言って、手を見ただけで指輪のサイズをピッタリ言い当てるなんてことは、常人には無理だと思う。
やはりゆうこさんは常人を超越した底知れぬ能力を秘めているに違いない。
「感服いたしました……」
ゆうこさんと言う人があまりにも不可思議すぎて、指輪を見つめながら何度も首をかしげていると、潤さんはまた指輪を私の左手の薬指につけ直した。
「とりあえず……少しゆるいかも知れないけど、結婚指輪を買うまでは左手につけといて。俺の奥さんになるって印みたいなものだから」
「うん、わかった。抜けてなくさないように気を付けないとね」
こんな大事なものをなくしてしまったら大変だ。
絶対に落とさないように気を付けなければ。
本音を言うと、潤さんから初めてもらった指輪はきっと特別だと思うから、ずっと左手の薬指につけておきたい。
だけど結婚指輪をするまでとなると、左手の薬指にこの指輪をつけていられる期間は短そうだ。
「ちなみに結婚してもその指輪をどうしても左手の薬指につけておきたいのでしたら、結婚指輪の上に重ねづけすると、指から抜けるのを防ぐことができます」
「なるほど……そんなつけ方もあるんですね……。参考にします……」
もしかしてゆうこさんには、私の考えていることもお見通しなんだろうか?
やっぱりゆうこさんは間違いなく瀧内くんのお母さんだと、妙に納得してしまった。
「ところで……そろそろお昼ですけど、お二人ともお腹が空いてませんか?」
そう言われてみるとお腹が空いたなと思いながら車の時計を見ると、時刻はちょうど12時だった。
こんなところまで正確だと思わず笑いそうになる。
「空いてます。どこかで昼食にしますか?」
潤さんがお腹を軽くさすりながらそう言うと、ゆうこさんは目の前にあったコンビニの駐車場に入って車を停めた。
コンビニで昼食を調達するのかと思っていると、ゆうこさんは助手席に置いていた大きなバッグから風呂敷に包まれたものを取り出した。
そして風呂敷をほどき、漆塗りの立派な二段重を潤さんに差し出す。
「時間短縮のため、昼食は車の中で召し上がっていただけるようにお弁当をお持ちしました。わたくし、飲み物を買って参ります」
そう言ってゆうこさんは車を降り、コンビニの中へと入っていく。
どこまでも用意周到で完璧な秘書だ……!
「少しゆるいけど……潤さんに指輪のサイズなんて教えたことないもんね。前に友達の付き合いでアクセサリー見に行ったら左手の薬指にちょうどいいサイズがなくて、お店には奇数の号数しか売ってないから、サイズ直しするしかないって言われたの」
そのお店で指のサイズをはからせてもらったら、私の薬指のサイズは左が8号で、右が9号だった。
「ああ……じつはサイズ聞かれてもわからなくて、あとでサイズ直しもできるから、とりあえず9号にしておくかって店員に言われてどうしようかと思ってたら、ゆうこさんが……」
ゆうこさんはハンドルを握り前を向いたまま口を開く。
「わたくしの目に狂いがなければ、志織さんの薬指のサイズは左が8号、右が9号です。今は左手の薬指につけられているのでゆるいと思いますが、左手の薬指には結婚指輪をつけることになりますので、そうすると婚約指輪は右手の薬指につけるのがよろしいかと」
潤さんは私の左手の薬指から指輪を抜き取り、右手の薬指につけ直した。
あつらえたようにピッタリだ。
普通の状態でも見ただけではわかりづらいだろうに、私の左手はギプスをして三角巾で吊った状態だから、指なんて見えにくいと思う。
それでもわかってしまうのはなぜなんだ?
ゆうこさんの目にはカウンター的な、精密なセンサーか何かが搭載されているんじゃなかろうか?
「ピッタリ……。なんでわかったんだろう……」
「ビックリしただろ?ゆうこさんはジュエリータキウチの社長の娘なんだ」
「えっ、ジュエリータキウチ?!」
ジュエリータキウチと言ったら、国内最大手のジュエリーショップチェーンだ。
おそらく良家のお嬢様だとは思っていたけれど、私の想像を遥かに超えている。
と言うことは、瀧内くんはジュエリータキウチの社長の孫でもあるわけだ。
「ゆうこさん、若い頃は社会勉強のために社長の娘って言う素性は隠して、店頭で販売員をしてたんだって。売り上げ全国トップだったらしいよ。玲司はゆうこさんに似たんだな」
「大学時代にアルバイトをしてみたいと父に言ったら、うちの会社の店ならいいと言われましたので。大学時代の4年間はアルバイトとして働いて、卒業してから玲司の父親と結婚するまでの2年間は店長を務めました。その経験上、指輪のサイズは手を見ればわかります」
「……と言うわけで、志織にピッタリの指輪を選ぶことができた」
ジュエリーショップに数年勤めたからと言って、手を見ただけで指輪のサイズをピッタリ言い当てるなんてことは、常人には無理だと思う。
やはりゆうこさんは常人を超越した底知れぬ能力を秘めているに違いない。
「感服いたしました……」
ゆうこさんと言う人があまりにも不可思議すぎて、指輪を見つめながら何度も首をかしげていると、潤さんはまた指輪を私の左手の薬指につけ直した。
「とりあえず……少しゆるいかも知れないけど、結婚指輪を買うまでは左手につけといて。俺の奥さんになるって印みたいなものだから」
「うん、わかった。抜けてなくさないように気を付けないとね」
こんな大事なものをなくしてしまったら大変だ。
絶対に落とさないように気を付けなければ。
本音を言うと、潤さんから初めてもらった指輪はきっと特別だと思うから、ずっと左手の薬指につけておきたい。
だけど結婚指輪をするまでとなると、左手の薬指にこの指輪をつけていられる期間は短そうだ。
「ちなみに結婚してもその指輪をどうしても左手の薬指につけておきたいのでしたら、結婚指輪の上に重ねづけすると、指から抜けるのを防ぐことができます」
「なるほど……そんなつけ方もあるんですね……。参考にします……」
もしかしてゆうこさんには、私の考えていることもお見通しなんだろうか?
やっぱりゆうこさんは間違いなく瀧内くんのお母さんだと、妙に納得してしまった。
「ところで……そろそろお昼ですけど、お二人ともお腹が空いてませんか?」
そう言われてみるとお腹が空いたなと思いながら車の時計を見ると、時刻はちょうど12時だった。
こんなところまで正確だと思わず笑いそうになる。
「空いてます。どこかで昼食にしますか?」
潤さんがお腹を軽くさすりながらそう言うと、ゆうこさんは目の前にあったコンビニの駐車場に入って車を停めた。
コンビニで昼食を調達するのかと思っていると、ゆうこさんは助手席に置いていた大きなバッグから風呂敷に包まれたものを取り出した。
そして風呂敷をほどき、漆塗りの立派な二段重を潤さんに差し出す。
「時間短縮のため、昼食は車の中で召し上がっていただけるようにお弁当をお持ちしました。わたくし、飲み物を買って参ります」
そう言ってゆうこさんは車を降り、コンビニの中へと入っていく。
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