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罪を悔やんで子を憎まず

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「じゃあ私との結婚が決まったのは……」
「朱里との結婚が決まったのは紗耶香と別れた後だ。別れてからはずっと会ってなかった」
「じゃあ……紗耶香から妊娠してるって聞かされたのはいつなの?」
「結婚式の10日前かな。もうお腹もかなり大きかったし、俺の子だって言うから……」

壮介が私に別れ話をした日の3日前に彼女の妊娠がわかったという話は嘘ではないらしい。
だったら壮介が紗耶香と入籍したのは、本当はいつなんだろう?

「ねぇ……。私と別れる2か月くらい前には紗耶香と入籍してたんじゃないの?」
「はぁ?そんなわけないよ、第一その頃はまったく会ってなかったのに!入籍したのは朱里と別れて1か月近く経ってから。ちなみに別れ話をした翌日に入籍したっていうのは嘘だ」
「……そうなの?」

志穂から聞いた話と、壮介のついた嘘と本当の話が入り交じって、だんだん頭が混乱してきた。

「あの『みいな』とかいう人は?」
「ああ……。あれ、サクラってやつだよ。さすがに朱里の友達と浮気してたとは言えなかったから……。妊娠してまだ間もないって設定で来てもらった」

なんと、あの人もサクラとして雇われていたのか!
この辺りでそんな商売をしている会社なんて、そうたくさんはないはずだ。

「もしかして……佐倉代行サービス?」
「ああ、それ。知ってんの?」
「うん、ちょっとね。知り合いが……」

やはり佐倉代行サービスのサクラだったか。
別れた二人が同じことを考えていたなんてあまりにも皮肉過ぎる。
元は順平もサクラだったという事は黙っておこう。

「あのさ……ちょっと混乱してきた。一度話をちゃんと整理しよう。私たちが結婚する予定だったのは9月中旬だよね。別れたのはその1週間前。で、今は12月半ばになる」
「うん。朱里と別れてから3か月……まだそんなもんか」
「紗耶香から妊娠したって聞いたのは?」
「9月の初めだったかな」

壮介の話を基準にして考えると、ここまでの話に嘘はないようだ。
3年も一緒にいたから、壮介が嘘や隠し事があまり得意でない事は知っている。

「壮介、紗耶香と一度は別れたって言ったよね?付き合ってたのはいつなの?」
「去年の秋から付き合ってたかな……。今年に入って1月の終わりに別れた」

壮介が紗耶香と付き合っていた期間は、私が思っていたよりずっと短いらしい。
それでもよく隠し通せたものだと思う。
壮介が私に知られまいとしていたからなのか、それとも私が壮介に対してあまり関心がなかったからなのか。
紗耶香が妊娠して壮介の前に現れなければ、あのまま結婚しても私は壮介の浮気には気付かなかっただろう。


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