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別れを告げた恋、始まった二人の恋
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薫は観念したように小さく息をついて、ゆっくりと口を開く。
「あのね……言ってなかったけど……志信に見られる前にも、一度キスされたんだ」
「……うん」
志信の眉間に微かにシワが寄ったのを見て、薫はまた少し言いにくそうに口ごもる。
「……タバコがね……同じなの、志信とあの人」
「そうなの?」
「うん。だから、キスされるとあのタバコの匂いがしてね……。それは昔と同じだったのに、あの時は志信の事思い出して……違う、この人じゃないって、思ったの」
「えっ……」
「それで、帰ってって言ったら、振り返ってまた不意打ちでキスされた……。志信が見たのはそれだったんだけど……。志信に誤解されるし、好きな人がいるとか、もう誘わないとか言われるし……」
薫がシュンと肩を落とすのを見て、志信は慌てて言い訳する。
「誤解って……。あんなとこ見たら、誰だってそう思うよ」
「そうかもね。でもあの時はそれで自分の気持ちもわからなくなって、なんかもうどうでも良くなって来て、一人で寂しく歳取って死んでくくらいなら、好きだって言ってくれてるし、もう一度信じてみようかなぁ……とかね」
伝えたくても伝えられない薫への想いをせめて聞いてもらいたくて口にした。
だけどまさか、自分の言った言葉が薫を迷わせていたなんて、思ってもみなかった。
志信は自分の不甲斐なさが情けなくてため息をつく。
「そっか……そんなこと思ってたんだ」
「うん……。でもやっぱり……志信の事ばっかり考えてた。志信の事を遠ざけてたのは自分だったし……そもそも志信とは何も始まってもいなかったんだから、他に誰か好きな人がいても仕方ないかって思った……」
志信は薫の腕を引き寄せ、強く抱きしめた。
「あんなとこ見たら、好きだなんて言えないじゃん……。あの時のオレには、あれが精一杯の告白だったんだよ……。気付けよバカ……」
耳元で切なげに話す志信の声に、薫の胸がしめつけられ、キュンと甘い音を立てた。
(今……胸がキュンって……。こんな事初めて……)
薫は腕を伸ばして志信の背中を抱きしめ、頬にそっとキスをした。
「今頃になって志信が好きだって気付くなんてバカだなぁって、自分でも思った」
「オレの気持ちには気付かなかったの?」
「あんな言い方されたって気付けないよ。志信だって私が好きだって言うまで、私の気持ちには全然気付かなかったでしょ?」
志信は少し考えて、同じように薫の頬にキスをする。
「確かに……。他に好きな人がいるのに、なんでオレの家に来たんだろうって思ってた」
「ネックレスしてたのに?」
「薫が『好きな人にもらった』とか言うから……あっ……」
志信はハッとして薫の顔を見た。
「でしょ?」
「うん。お互い様だな」
二人は顔を見合わせて笑った。
「遠回りしたね」
「その分、今から取り返す。今夜も明日も、ずっと一緒にいたい」
「うん……。私も……」
二人は見つめ合って、ゆっくりと唇を重ねた。
長いキスの後、唇を離した志信は少し考えるそぶりを見せた。
「とりあえず、タバコ変えようかな……。キスするたびに薫があの人とのキス思い出したらイヤだ。酔って間違えてあの人の名前呼んだりとか……」
「意外とヤキモチ妬きなんだね。もうそんな事ないと思うけど、志信がどうしても気になるならそうして」
今まで知らなかった志信の意外な一面を見て、薫はおかしそうに笑った。
そして、志信の傍らに置かれたバッグを指さして尋ねる。
「ところで、さっきから気になってたんだけど……やけに荷物多くない?」
「薫がなんて言っても、今夜は絶対離さないって決めて来たから」
「泊まるつもりで用意して来たの?」
「うん。オレが帰したくないって言っても、薫は着替え用意してないの理由に帰っちゃったから。薫スマホ忘れてるし、どうせ持ってくならオレが薫の部屋に泊まろうと思って」
薫は志信の用意周到さに驚き目を丸くした。
だけど正直に下心を打ち明ける志信がおかしくて、でも堪らなく愛しくて、声をあげて笑った。
「もう……バカ……。でもそういうとこ、志信らしくて好き」
志信は笑いながら薫を抱き寄せ、頬に優しくキスをした。
「一緒にいられて嬉しい?」
「たまには忘れ物もしてみるもんだね」
「わざと?」
「違うよ。ついいつもの癖で、ポケットにスマホを入れたつもりだったの」
「慣れない事はするもんじゃないな。でもそのおかげでこうして一緒にいられるし……。やっぱりたまにはいいか」
「たまにはね。今日は久し振りに志信とゆっくり飲める」
(そっちか!!)
志信は心の中で思わずツッコミを入れた。
「あのね……言ってなかったけど……志信に見られる前にも、一度キスされたんだ」
「……うん」
志信の眉間に微かにシワが寄ったのを見て、薫はまた少し言いにくそうに口ごもる。
「……タバコがね……同じなの、志信とあの人」
「そうなの?」
「うん。だから、キスされるとあのタバコの匂いがしてね……。それは昔と同じだったのに、あの時は志信の事思い出して……違う、この人じゃないって、思ったの」
「えっ……」
「それで、帰ってって言ったら、振り返ってまた不意打ちでキスされた……。志信が見たのはそれだったんだけど……。志信に誤解されるし、好きな人がいるとか、もう誘わないとか言われるし……」
薫がシュンと肩を落とすのを見て、志信は慌てて言い訳する。
「誤解って……。あんなとこ見たら、誰だってそう思うよ」
「そうかもね。でもあの時はそれで自分の気持ちもわからなくなって、なんかもうどうでも良くなって来て、一人で寂しく歳取って死んでくくらいなら、好きだって言ってくれてるし、もう一度信じてみようかなぁ……とかね」
伝えたくても伝えられない薫への想いをせめて聞いてもらいたくて口にした。
だけどまさか、自分の言った言葉が薫を迷わせていたなんて、思ってもみなかった。
志信は自分の不甲斐なさが情けなくてため息をつく。
「そっか……そんなこと思ってたんだ」
「うん……。でもやっぱり……志信の事ばっかり考えてた。志信の事を遠ざけてたのは自分だったし……そもそも志信とは何も始まってもいなかったんだから、他に誰か好きな人がいても仕方ないかって思った……」
志信は薫の腕を引き寄せ、強く抱きしめた。
「あんなとこ見たら、好きだなんて言えないじゃん……。あの時のオレには、あれが精一杯の告白だったんだよ……。気付けよバカ……」
耳元で切なげに話す志信の声に、薫の胸がしめつけられ、キュンと甘い音を立てた。
(今……胸がキュンって……。こんな事初めて……)
薫は腕を伸ばして志信の背中を抱きしめ、頬にそっとキスをした。
「今頃になって志信が好きだって気付くなんてバカだなぁって、自分でも思った」
「オレの気持ちには気付かなかったの?」
「あんな言い方されたって気付けないよ。志信だって私が好きだって言うまで、私の気持ちには全然気付かなかったでしょ?」
志信は少し考えて、同じように薫の頬にキスをする。
「確かに……。他に好きな人がいるのに、なんでオレの家に来たんだろうって思ってた」
「ネックレスしてたのに?」
「薫が『好きな人にもらった』とか言うから……あっ……」
志信はハッとして薫の顔を見た。
「でしょ?」
「うん。お互い様だな」
二人は顔を見合わせて笑った。
「遠回りしたね」
「その分、今から取り返す。今夜も明日も、ずっと一緒にいたい」
「うん……。私も……」
二人は見つめ合って、ゆっくりと唇を重ねた。
長いキスの後、唇を離した志信は少し考えるそぶりを見せた。
「とりあえず、タバコ変えようかな……。キスするたびに薫があの人とのキス思い出したらイヤだ。酔って間違えてあの人の名前呼んだりとか……」
「意外とヤキモチ妬きなんだね。もうそんな事ないと思うけど、志信がどうしても気になるならそうして」
今まで知らなかった志信の意外な一面を見て、薫はおかしそうに笑った。
そして、志信の傍らに置かれたバッグを指さして尋ねる。
「ところで、さっきから気になってたんだけど……やけに荷物多くない?」
「薫がなんて言っても、今夜は絶対離さないって決めて来たから」
「泊まるつもりで用意して来たの?」
「うん。オレが帰したくないって言っても、薫は着替え用意してないの理由に帰っちゃったから。薫スマホ忘れてるし、どうせ持ってくならオレが薫の部屋に泊まろうと思って」
薫は志信の用意周到さに驚き目を丸くした。
だけど正直に下心を打ち明ける志信がおかしくて、でも堪らなく愛しくて、声をあげて笑った。
「もう……バカ……。でもそういうとこ、志信らしくて好き」
志信は笑いながら薫を抱き寄せ、頬に優しくキスをした。
「一緒にいられて嬉しい?」
「たまには忘れ物もしてみるもんだね」
「わざと?」
「違うよ。ついいつもの癖で、ポケットにスマホを入れたつもりだったの」
「慣れない事はするもんじゃないな。でもそのおかげでこうして一緒にいられるし……。やっぱりたまにはいいか」
「たまにはね。今日は久し振りに志信とゆっくり飲める」
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志信は心の中で思わずツッコミを入れた。
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