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後輩は鎹(かすがい)?
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「いい……見せる相手いないから……」
「今はいなくても、勝負下着のひとつくらいは持っとかないと。男と女なんて、いつ何があるかわかりませんよ?」
「私にはそういうのもないからいいの。私、もうレジに行くよ」
薫は強引に話を切り上げて、レジで会計を済ませた。
まだあれこれ悩んで決めかねている梨花の姿を見ながら、薫はため息をついた。
(服だけじゃなく下着まで相手の好みとか……。第一、好みなんて知らないし……)
無意識にそんな事を考えて、薫は顔を真っ赤にして首を横に振った。
(何?なんなの?誰の好みを知らないって?!)
『オレは卯月さんすっげぇかわいいって思ってる』
『酔ったせいにして、同期以上の事、してもいい?』
不意にゆうべの志信の言葉を思い出して、薫の胸はまたドキドキと音をたてた。
(違う……。あんなの、酔った勢いで出たお世辞か、誰にでも言う口説き文句に決まってる……。モテる笠松くんが、私なんかの事をそんな風に思ってるわけない……。勘違いしちゃダメだ……)
薫はシャツの胸元をギュッと掴んで、高鳴る鼓動を落ち着けようと、何度も自分にそう言い聞かせた。
ランジェリーショップを出た後、梨花がよく服を買うと言うショップへ足を運んだ。
薫がいつも服を買う店とは違い、優しく明るい色合いの可愛らしい洋服がところせましと並んでいる。
どれも薫が着た事もないような服ばかりだ。
次から次へといろんな洋服を手に、あれこれ言いながら選ぶ梨花を、薫はどこか感心して見ていた。
(目一杯女の子だなぁ……。それに比べて……)
いつも動きやすくてラクな事を基準にカジュアルな服ばかり選ぶ自分には、女らしさの欠片もないと思う。
(でも、こんなかわいい服、私には似合わないもんなぁ……)
薫がリボンのついた淡いピンク色のチュニックを控えめに手に取って見ていると、梨花が横から手を伸ばし、その服を掴んだ。
「かわいい!!卯月さん、これ絶対似合うと思います!!」
「えぇっ?!」
自分には似合わないと思いながら、なんとなく眺めていただけの可愛らしい服が、絶対に似合うと言われるとは!
思わぬ事を突然言われた薫は、照れてオロオロし始める。
「あっ、これもいいけど、卯月さんにはもう少し大人っぽい雰囲気の方がいいかな。えーっと……これなんかどうです?」
少し肌の露出の多い紺と白のワンピースを体にあてがわれ、薫はまたあたふたした。
「いや……こんなの恥ずかしいから……」
「何でですかぁ?」
「ホラ……肩とか胸元とかすごく開いてるし……丈も短いし……」
「これくらい普通です!!卯月さん、スタイルいいのに隠しちゃうなんてもったいない!!」
「えぇっ……」
(もう勘弁して……)
「梨花、この服着てる卯月さん、すっごく見たいなぁ」
甘えた声でそう言って、目を覗き込むように見つめる梨花に、薫はクラクラした。
どうやら梨花は、可愛い顔に似合わず押しが強いらしい。
同性だというのに、梨花の甘えた眼差しにクラクラきてしまう。
「ね、一度試着してみましょ。絶対似合いますよ!」
梨花に背中を押され、強引に試着室へと連れて行かれた薫は、鏡の前でため息をついた。
(仕方ないなぁ……。とりあえず試着して見せたら気が済むかな……)
薫は恥ずかしそうに、今まで着た事のない大胆な服に袖を通した。
「あれっ?笠松さん?」
薫が試着室で着替えている時、他の服を見ていた梨花が、ショップの前を通り掛かる志信を見つけて声を掛けた。
「あ、長野さん。買い物?」
「ハイ。笠松さんもですか?」
「そう」
「お一人ですか?」
「うん。ホントはこの前、卯月さんに買い物付き合ってもらう約束を一度はしたんだけど……ちょっと話の流れでなかった事にしたから」
「そうなんですか?じゃあ、ちょうど良かったですね!時間あります?」
「え?うん、あるけど……」
志信は何がちょうどいいのかと不思議に思って首をかしげた。
「今はいなくても、勝負下着のひとつくらいは持っとかないと。男と女なんて、いつ何があるかわかりませんよ?」
「私にはそういうのもないからいいの。私、もうレジに行くよ」
薫は強引に話を切り上げて、レジで会計を済ませた。
まだあれこれ悩んで決めかねている梨花の姿を見ながら、薫はため息をついた。
(服だけじゃなく下着まで相手の好みとか……。第一、好みなんて知らないし……)
無意識にそんな事を考えて、薫は顔を真っ赤にして首を横に振った。
(何?なんなの?誰の好みを知らないって?!)
『オレは卯月さんすっげぇかわいいって思ってる』
『酔ったせいにして、同期以上の事、してもいい?』
不意にゆうべの志信の言葉を思い出して、薫の胸はまたドキドキと音をたてた。
(違う……。あんなの、酔った勢いで出たお世辞か、誰にでも言う口説き文句に決まってる……。モテる笠松くんが、私なんかの事をそんな風に思ってるわけない……。勘違いしちゃダメだ……)
薫はシャツの胸元をギュッと掴んで、高鳴る鼓動を落ち着けようと、何度も自分にそう言い聞かせた。
ランジェリーショップを出た後、梨花がよく服を買うと言うショップへ足を運んだ。
薫がいつも服を買う店とは違い、優しく明るい色合いの可愛らしい洋服がところせましと並んでいる。
どれも薫が着た事もないような服ばかりだ。
次から次へといろんな洋服を手に、あれこれ言いながら選ぶ梨花を、薫はどこか感心して見ていた。
(目一杯女の子だなぁ……。それに比べて……)
いつも動きやすくてラクな事を基準にカジュアルな服ばかり選ぶ自分には、女らしさの欠片もないと思う。
(でも、こんなかわいい服、私には似合わないもんなぁ……)
薫がリボンのついた淡いピンク色のチュニックを控えめに手に取って見ていると、梨花が横から手を伸ばし、その服を掴んだ。
「かわいい!!卯月さん、これ絶対似合うと思います!!」
「えぇっ?!」
自分には似合わないと思いながら、なんとなく眺めていただけの可愛らしい服が、絶対に似合うと言われるとは!
思わぬ事を突然言われた薫は、照れてオロオロし始める。
「あっ、これもいいけど、卯月さんにはもう少し大人っぽい雰囲気の方がいいかな。えーっと……これなんかどうです?」
少し肌の露出の多い紺と白のワンピースを体にあてがわれ、薫はまたあたふたした。
「いや……こんなの恥ずかしいから……」
「何でですかぁ?」
「ホラ……肩とか胸元とかすごく開いてるし……丈も短いし……」
「これくらい普通です!!卯月さん、スタイルいいのに隠しちゃうなんてもったいない!!」
「えぇっ……」
(もう勘弁して……)
「梨花、この服着てる卯月さん、すっごく見たいなぁ」
甘えた声でそう言って、目を覗き込むように見つめる梨花に、薫はクラクラした。
どうやら梨花は、可愛い顔に似合わず押しが強いらしい。
同性だというのに、梨花の甘えた眼差しにクラクラきてしまう。
「ね、一度試着してみましょ。絶対似合いますよ!」
梨花に背中を押され、強引に試着室へと連れて行かれた薫は、鏡の前でため息をついた。
(仕方ないなぁ……。とりあえず試着して見せたら気が済むかな……)
薫は恥ずかしそうに、今まで着た事のない大胆な服に袖を通した。
「あれっ?笠松さん?」
薫が試着室で着替えている時、他の服を見ていた梨花が、ショップの前を通り掛かる志信を見つけて声を掛けた。
「あ、長野さん。買い物?」
「ハイ。笠松さんもですか?」
「そう」
「お一人ですか?」
「うん。ホントはこの前、卯月さんに買い物付き合ってもらう約束を一度はしたんだけど……ちょっと話の流れでなかった事にしたから」
「そうなんですか?じゃあ、ちょうど良かったですね!時間あります?」
「え?うん、あるけど……」
志信は何がちょうどいいのかと不思議に思って首をかしげた。
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