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社員食堂で昼食を
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券売機で食券を買い、トレイを持って二人で列の最後尾に並んだ。
「一番高いのって……男がガッツリ食べる定食って感じだけど、食べきれるの?」
「うん。これくらいは軽い」
「それでも太らないから不思議だなぁ……」
志信は不思議そうに薫の体を見る。
(この制服着てると、スタイルがいいのがよくわかる……。ただ細いだけってわけじゃなくて、足なんか引き締まってすごくキレイだし……。実は意外と胸大きかったりなんかして……)
志信の視線を感じた薫は、少し恥ずかしそうに志信の背中をグーで殴った。
「セクハラ。ジロジロ見んな」
「ジロジロって……」
バツが悪そうに志信が目をそらすと、薫はぶっきらぼうに答える。
「普段、SSで体動かして仕事してるから」
「なるほどな。SS勤務ダイエット」
「ダイエットは、したことない。食べなきゃ体がもたないから」
「ふーん……。めちゃめちゃ働いてんだ」
「当然。それで給料もらってんだから」
さらりとそう言う薫に、志信は妙に感心してしまう。
(それを当然って言えるところがスゴイ……)
料理をトレイに乗せて、二人は向かい合わせに席に座った。
「ホントにすごい量だよ」
志信は薫のトレイの上の料理を、驚いた様子で見ている。
「社食久し振りだから、おばちゃんが唐揚げおまけしてくれた」
「やっぱり有名人なんだなぁ……。たまにしか来ないのにおまけしてもらえるなんて。オレなんかしょっちゅう来てるのに、おまけしてもらった事ないよ……」
薫は箸立てから箸を取り、唐揚げをつまんで少し得意気に笑った。
「羨ましい?分けてあげようか?」
「ホント?」
「ウソ」
「なんだよもう……」
少しふてくされたように呟く志信を見て、薫は笑いながら唐揚げをひとつ、志信のお皿に乗せる。
「すねないでよ。ハイ、お裾分け」
「あ……ありがと……」
(やっべぇ……。マジでかわいいんだけど……)
今まで見た事のなかった薫の表情にドキドキしながら、志信はそれをごまかそうと、慌てて箸立てに手を伸ばした。
その手に薫が箸を手渡す。
「ハイ」
「ありがと……」
(なんかもう……ドキドキ通り越して心臓いてぇよ!)
「さ、食べよ。お腹空いた。いただきます」
薫は手を合わせて食事の挨拶をすると、美味しそうに皿の上に乗った料理を食べ始めた。
志信がチラリと様子を窺うと、薫は何食わぬ顔で黙々と箸を進めている。
(こういうさりげなく気遣い出来るところがいいんだよな……。女らしくないとか自分で言ってたけど……実はかなり女の子らしいって、無自覚なのかな……?)
自覚がないと言う事は、それは薫の元々持って生まれた性格なのだろうと、志信はなんとなく嬉しくなった。
「笠松くん、何食べてる?」
「豚肉のしょうが焼き定食」
「美味しそうだね」
志信は豚肉のしょうが焼きを箸でつまんで、薫に見せた。
「欲しいの?あげようか?」
「ホント?」
嬉しそうに目を輝かせる薫に、志信は少し意地悪く笑って、それを自分の口に運んだ。
「ウソ」
「もう……」
ガッカリして膨れっ面になる薫を見て、志信はおかしそうに笑っている。
(面白い……!!めっちゃかわいい!!)
「冗談だよ。ハイ、さっきの唐揚げのお礼にあげる」
志信が豚肉のしょうが焼きをお皿の上に乗せると、薫は小さく志信を睨み付けて、素早くそれを口に入れた。
「もう返せないからね」
「いいよ。うまい?」
「うん」
ニコニコ笑いながら食べる薫を、志信は微笑ましく見つめた。
(意外と子供っぽいと言うか……食いしん坊?食べ物を美味しそうに食べる女の子って、見てて気持ちいいもんだなぁ……)
「一番高いのって……男がガッツリ食べる定食って感じだけど、食べきれるの?」
「うん。これくらいは軽い」
「それでも太らないから不思議だなぁ……」
志信は不思議そうに薫の体を見る。
(この制服着てると、スタイルがいいのがよくわかる……。ただ細いだけってわけじゃなくて、足なんか引き締まってすごくキレイだし……。実は意外と胸大きかったりなんかして……)
志信の視線を感じた薫は、少し恥ずかしそうに志信の背中をグーで殴った。
「セクハラ。ジロジロ見んな」
「ジロジロって……」
バツが悪そうに志信が目をそらすと、薫はぶっきらぼうに答える。
「普段、SSで体動かして仕事してるから」
「なるほどな。SS勤務ダイエット」
「ダイエットは、したことない。食べなきゃ体がもたないから」
「ふーん……。めちゃめちゃ働いてんだ」
「当然。それで給料もらってんだから」
さらりとそう言う薫に、志信は妙に感心してしまう。
(それを当然って言えるところがスゴイ……)
料理をトレイに乗せて、二人は向かい合わせに席に座った。
「ホントにすごい量だよ」
志信は薫のトレイの上の料理を、驚いた様子で見ている。
「社食久し振りだから、おばちゃんが唐揚げおまけしてくれた」
「やっぱり有名人なんだなぁ……。たまにしか来ないのにおまけしてもらえるなんて。オレなんかしょっちゅう来てるのに、おまけしてもらった事ないよ……」
薫は箸立てから箸を取り、唐揚げをつまんで少し得意気に笑った。
「羨ましい?分けてあげようか?」
「ホント?」
「ウソ」
「なんだよもう……」
少しふてくされたように呟く志信を見て、薫は笑いながら唐揚げをひとつ、志信のお皿に乗せる。
「すねないでよ。ハイ、お裾分け」
「あ……ありがと……」
(やっべぇ……。マジでかわいいんだけど……)
今まで見た事のなかった薫の表情にドキドキしながら、志信はそれをごまかそうと、慌てて箸立てに手を伸ばした。
その手に薫が箸を手渡す。
「ハイ」
「ありがと……」
(なんかもう……ドキドキ通り越して心臓いてぇよ!)
「さ、食べよ。お腹空いた。いただきます」
薫は手を合わせて食事の挨拶をすると、美味しそうに皿の上に乗った料理を食べ始めた。
志信がチラリと様子を窺うと、薫は何食わぬ顔で黙々と箸を進めている。
(こういうさりげなく気遣い出来るところがいいんだよな……。女らしくないとか自分で言ってたけど……実はかなり女の子らしいって、無自覚なのかな……?)
自覚がないと言う事は、それは薫の元々持って生まれた性格なのだろうと、志信はなんとなく嬉しくなった。
「笠松くん、何食べてる?」
「豚肉のしょうが焼き定食」
「美味しそうだね」
志信は豚肉のしょうが焼きを箸でつまんで、薫に見せた。
「欲しいの?あげようか?」
「ホント?」
嬉しそうに目を輝かせる薫に、志信は少し意地悪く笑って、それを自分の口に運んだ。
「ウソ」
「もう……」
ガッカリして膨れっ面になる薫を見て、志信はおかしそうに笑っている。
(面白い……!!めっちゃかわいい!!)
「冗談だよ。ハイ、さっきの唐揚げのお礼にあげる」
志信が豚肉のしょうが焼きをお皿の上に乗せると、薫は小さく志信を睨み付けて、素早くそれを口に入れた。
「もう返せないからね」
「いいよ。うまい?」
「うん」
ニコニコ笑いながら食べる薫を、志信は微笑ましく見つめた。
(意外と子供っぽいと言うか……食いしん坊?食べ物を美味しそうに食べる女の子って、見てて気持ちいいもんだなぁ……)
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