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理想の結婚
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一緒にいるとなんとなく癒やされるのは、もしかしてこの人からマイナスイオンでも出ているからじゃないかなどと考えて、香織は思わず込み上げる笑いをこらえた。
少しうつむき加減で笑いをこらえていると、逸樹が香織の方を見た。
「どうかしました?」
声を掛けられてそちらを向いた香織は、なぜか逸樹に見とれてしまいそうになり、慌てて目をそらした。
「い……いえ、なんでも……」
いつもより鼓動が速い。
頬が火照っているのがわかる。
上司で既婚者の『村岡主任』相手に、何をこんなにドキドキしているのだろう?
池の周りを一周し終わる頃、いよいよ雲行きが怪しくなり始めた。
「ののちゃん、雨が降らないうちに帰ろう」
逸樹が手を差し出すと、希望は首を大きく横に振った。
「やだー。のの、まだりぃちゃんと遊ぶの!」
「でもそろそろ雨が降ってきそうだよ」
「まだ降らないもん!」
逸樹はイヤイヤと駄々をこねる希望を少し困った顔をして見ている。
香織はりぃのマスコットをポケットの中に入れていたことを思い出し、希望の鼻先に差し出した。
「ワンワン、僕りぃだよ。ののちゃんと遊びたいな」
希望はりぃのマスコットを目をキラキラさせて見つめている。
「ちっちゃいりぃちゃんだ!」
マスコットを手渡すと、希望は嬉しそうに笑った。
「ふわふわー!かおちゃんが作ったの?」
「そうだよ。ののちゃんにあげる。ちっちゃいりぃとも仲良くしてくれる?」
「うん、仲良くする!」
希望の嬉しそうな笑顔につられて、香織も笑った。
「近田さんすみません。これ、ホントにいただいてもいいんですか?」
逸樹は申し訳なさそうにしている。
「いいんですよ。私がののちゃんにあげたくて作ったんですから。こんなに喜んでもらえて嬉しいです」
「ありがとうございます。ののちゃんもちゃんとお礼言って」
逸樹がポンポンと頭を優しく叩くと、希望は香織に向かってペコリと頭を下げた。
「かおちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして」
「良かったね、ののちゃん」
希望の頭を撫でる逸樹の優しい表情に、香織の鼓動がまた速くなった。
香織は不可解な胸の高鳴りに焦ってしまう。
その時、ポツリと冷たい水滴が肌に落ちるのを感じた。
「あっ、雨……。本降りになると大変なので、私はこれで……」
「そうですね。僕たちも帰ります。ありがとうございました」
「かおちゃんありがとう!バイバーイ!」
「うん、またね!」
香織は焦っているのを雨のせいにして、その場で二人と別れた。
妻のいる人にときめくなんて、有り得ない。
公園から家に帰りついて間もなくすると、雨足が強くなった。
香織はベッドに寝転んで窓を叩く雨の音を聞きながら、スマホを握りしめてため息をついた。
あの胸の高鳴りはなんだろう?
上司としていい人だとは思うが、逸樹が好きとか、付き合いたいなんて思ったことは一度もない。
ましてや香織は間違いなく大輔が好きだし、現実的に結婚を考えるなら相手は大輔だと思う。
大輔とのことが不安過ぎて、おかしくなってしまったのか?
既婚者を好きになるなんて有り得ないと思っているはずなのに、どうしてこんなに逸樹にドキドキしているのだろう?
会社で毎日顔を会わせるのに、普通に接することができるだろうかと少し不安になる。
何がなんでも会社では平常心を保っていようと香織は思った。
少しうつむき加減で笑いをこらえていると、逸樹が香織の方を見た。
「どうかしました?」
声を掛けられてそちらを向いた香織は、なぜか逸樹に見とれてしまいそうになり、慌てて目をそらした。
「い……いえ、なんでも……」
いつもより鼓動が速い。
頬が火照っているのがわかる。
上司で既婚者の『村岡主任』相手に、何をこんなにドキドキしているのだろう?
池の周りを一周し終わる頃、いよいよ雲行きが怪しくなり始めた。
「ののちゃん、雨が降らないうちに帰ろう」
逸樹が手を差し出すと、希望は首を大きく横に振った。
「やだー。のの、まだりぃちゃんと遊ぶの!」
「でもそろそろ雨が降ってきそうだよ」
「まだ降らないもん!」
逸樹はイヤイヤと駄々をこねる希望を少し困った顔をして見ている。
香織はりぃのマスコットをポケットの中に入れていたことを思い出し、希望の鼻先に差し出した。
「ワンワン、僕りぃだよ。ののちゃんと遊びたいな」
希望はりぃのマスコットを目をキラキラさせて見つめている。
「ちっちゃいりぃちゃんだ!」
マスコットを手渡すと、希望は嬉しそうに笑った。
「ふわふわー!かおちゃんが作ったの?」
「そうだよ。ののちゃんにあげる。ちっちゃいりぃとも仲良くしてくれる?」
「うん、仲良くする!」
希望の嬉しそうな笑顔につられて、香織も笑った。
「近田さんすみません。これ、ホントにいただいてもいいんですか?」
逸樹は申し訳なさそうにしている。
「いいんですよ。私がののちゃんにあげたくて作ったんですから。こんなに喜んでもらえて嬉しいです」
「ありがとうございます。ののちゃんもちゃんとお礼言って」
逸樹がポンポンと頭を優しく叩くと、希望は香織に向かってペコリと頭を下げた。
「かおちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして」
「良かったね、ののちゃん」
希望の頭を撫でる逸樹の優しい表情に、香織の鼓動がまた速くなった。
香織は不可解な胸の高鳴りに焦ってしまう。
その時、ポツリと冷たい水滴が肌に落ちるのを感じた。
「あっ、雨……。本降りになると大変なので、私はこれで……」
「そうですね。僕たちも帰ります。ありがとうございました」
「かおちゃんありがとう!バイバーイ!」
「うん、またね!」
香織は焦っているのを雨のせいにして、その場で二人と別れた。
妻のいる人にときめくなんて、有り得ない。
公園から家に帰りついて間もなくすると、雨足が強くなった。
香織はベッドに寝転んで窓を叩く雨の音を聞きながら、スマホを握りしめてため息をついた。
あの胸の高鳴りはなんだろう?
上司としていい人だとは思うが、逸樹が好きとか、付き合いたいなんて思ったことは一度もない。
ましてや香織は間違いなく大輔が好きだし、現実的に結婚を考えるなら相手は大輔だと思う。
大輔とのことが不安過ぎて、おかしくなってしまったのか?
既婚者を好きになるなんて有り得ないと思っているはずなのに、どうしてこんなに逸樹にドキドキしているのだろう?
会社で毎日顔を会わせるのに、普通に接することができるだろうかと少し不安になる。
何がなんでも会社では平常心を保っていようと香織は思った。
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