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オムライス 2
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俺たちはその料理番組が終わるまで、15分ほど黙ったまま画面に見入っていた。
番組が終わると、玲司がまたすがるような目で俺を見つめる。
下手にテレビでオムライスを見せてしまったから、余計に食べたくなってしまったんだろう。
「玲司……その目やめろよ……」
必死で玲司から目をそらすと、今度は志岐が期待に満ちた目をして俺を見ていた。
「オムライスってあんな風に作るんだね。潤くんなら作れるんじゃないの?もう高3だし」
「料理に歳は関係ないと思うぞ?それに作ったことないし、作り方も覚えてないし……」
なんとか逃れようとすると、玲司が手を挙げた。
「作り方と分量なら僕が覚えてる」
そうだった……。
こいつは母親に似て、無駄に記憶力がいいんだ。
「僕が隣で作り方を言うから、材料があればできる?」
弟同然の歳下のいとこたちに、ここまで食べたいアピールをされたら、年長者としていやだとは言えない。
俺は観念して、しかたなく立ち上がる。
「わかった、やってみるよ……。でも材料がなかったらあきらめるんだぞ。いいな?」
「はい!」
こういうときだけは素直だな。
冷蔵庫を覗くと米以外の必要な材料はすべてそろっていた。
問題は御飯をどうやって炊くかだ。
「志岐、御飯の炊き方知ってるか?」
「えーっと、まずは米を研ぐんだろ?」
「僕、学校のキャンプでやったから知ってる。米と同じ分量の水を入れて炊くんだよね」
男三人であーだこーだと言いながら、なんとか米を研いで炊飯器にセットして、玲司に指示されながらタマネギの皮を剥いて細かく刻み、鶏肉を小さく切る。
それから材料を炒めたり、卵を割ったり、初めてのことだらけで時間はかかったけれど、なんとかオムライスが完成した。
英梨さんが作ってくれたオムライスよりずっと不格好だったけど、味は悪くなかった。
玲司も志岐も、俺が初めて作った料理を美味しいと言って喜んで食べてくれた。
やってみると料理もなかなか面白かったし、誰かのためにしたことを喜んでもらえるのは嬉しいのだと、そのとき初めて知った気がする。
二人の嬉しそうな笑顔を見ると俺も嬉しくて、もっといろんな料理をうまく作って食べさせてやりたいと思った。
味をしめた俺は、翌日には初心者向けの料理本と必要な食材を買い、慣れないながらもキッチンに立って料理に挑戦した。
本に載っている写真のようにうまくはいかなかったけど、玲司も志岐も喜んで残さず食べてくれたから、それだけですさんでいた心があたたかいものでゆっくりと満たされていくのを感じた。
そして俺は今まで好きだと言ってくれた相手を思って、自分から何かをしたことがなかったと気付いた。
英梨さんを悦ばせようと思ったのだって、自分が愛されたいと思ったからだ。
俺は愛されたいという自分の欲求を満たすために、英梨さんの体に快楽を与えることしか考えなかったし、英梨さんが何を求めていたのかなんて知ろうともしなかった。
結局、すべては俺の自己満足だったということだ。
そんなことより、もっと心の奥の深いところで繋がれる誰かを、いつかは見つけられるといいなと思った。
番組が終わると、玲司がまたすがるような目で俺を見つめる。
下手にテレビでオムライスを見せてしまったから、余計に食べたくなってしまったんだろう。
「玲司……その目やめろよ……」
必死で玲司から目をそらすと、今度は志岐が期待に満ちた目をして俺を見ていた。
「オムライスってあんな風に作るんだね。潤くんなら作れるんじゃないの?もう高3だし」
「料理に歳は関係ないと思うぞ?それに作ったことないし、作り方も覚えてないし……」
なんとか逃れようとすると、玲司が手を挙げた。
「作り方と分量なら僕が覚えてる」
そうだった……。
こいつは母親に似て、無駄に記憶力がいいんだ。
「僕が隣で作り方を言うから、材料があればできる?」
弟同然の歳下のいとこたちに、ここまで食べたいアピールをされたら、年長者としていやだとは言えない。
俺は観念して、しかたなく立ち上がる。
「わかった、やってみるよ……。でも材料がなかったらあきらめるんだぞ。いいな?」
「はい!」
こういうときだけは素直だな。
冷蔵庫を覗くと米以外の必要な材料はすべてそろっていた。
問題は御飯をどうやって炊くかだ。
「志岐、御飯の炊き方知ってるか?」
「えーっと、まずは米を研ぐんだろ?」
「僕、学校のキャンプでやったから知ってる。米と同じ分量の水を入れて炊くんだよね」
男三人であーだこーだと言いながら、なんとか米を研いで炊飯器にセットして、玲司に指示されながらタマネギの皮を剥いて細かく刻み、鶏肉を小さく切る。
それから材料を炒めたり、卵を割ったり、初めてのことだらけで時間はかかったけれど、なんとかオムライスが完成した。
英梨さんが作ってくれたオムライスよりずっと不格好だったけど、味は悪くなかった。
玲司も志岐も、俺が初めて作った料理を美味しいと言って喜んで食べてくれた。
やってみると料理もなかなか面白かったし、誰かのためにしたことを喜んでもらえるのは嬉しいのだと、そのとき初めて知った気がする。
二人の嬉しそうな笑顔を見ると俺も嬉しくて、もっといろんな料理をうまく作って食べさせてやりたいと思った。
味をしめた俺は、翌日には初心者向けの料理本と必要な食材を買い、慣れないながらもキッチンに立って料理に挑戦した。
本に載っている写真のようにうまくはいかなかったけど、玲司も志岐も喜んで残さず食べてくれたから、それだけですさんでいた心があたたかいものでゆっくりと満たされていくのを感じた。
そして俺は今まで好きだと言ってくれた相手を思って、自分から何かをしたことがなかったと気付いた。
英梨さんを悦ばせようと思ったのだって、自分が愛されたいと思ったからだ。
俺は愛されたいという自分の欲求を満たすために、英梨さんの体に快楽を与えることしか考えなかったし、英梨さんが何を求めていたのかなんて知ろうともしなかった。
結局、すべては俺の自己満足だったということだ。
そんなことより、もっと心の奥の深いところで繋がれる誰かを、いつかは見つけられるといいなと思った。
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