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第一章 初依頼、初仕事 一話六千文字
山道にて 六百文字ほど(無視しても構いません)
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これは元アーブラハム・バイヤー領地へ来訪する、約十分ほど前の出来事である。
十分ほど前の時間帯と言えば、王都付近に位置する三大山の山道を駆けているころだ。
美しい木々が整列をしているように立ち並ぶ、自然の産物とは思えない風景を眺めながら、良き色をした土を踏みしめて走ったころ。
確かに美味しい空気を堪能できる自然好きなら、感慨に浸って自然観光を楽しむことができただろう。例え自然に興味関心がなき者でも、これをきっかけに虜になる可能性だってある。
しかし小汚い茶色いローブを身に纏う二人が、はたしてそのような感慨に浸る感性をもっているのか、と訊かれれば答えは否。ただ髪の毛が美しく艶やかなだけで、心中はある意味汚れに汚れているのだ。尤もそれ以前なことに、二人の会話が自然観光を台無しにしているのだが。
「アレクアレク~!」
「耳元で叫ぶなうっせぇ! 普通に話せ! 普通に!」
ご覧の通り――いや、台詞の通りである。
「あ、すいません。私、今から向かう村から、悪寒が走るほどの気味悪いものを察知したんですが……」
「……気味悪いもの?」
アレクは訝し気に眉根を寄せ、彼女の発言を脳内で咀嚼して思考する。
「邪気みたいなもんか?」
「はい、それに近いです。所謂悪い予感というものです」
「悪い予感ねぇ……あと顔がちけぇよ、邪魔だから離れろ」
「いいじゃないですかぁ~~」
十分ほど前の時間帯と言えば、王都付近に位置する三大山の山道を駆けているころだ。
美しい木々が整列をしているように立ち並ぶ、自然の産物とは思えない風景を眺めながら、良き色をした土を踏みしめて走ったころ。
確かに美味しい空気を堪能できる自然好きなら、感慨に浸って自然観光を楽しむことができただろう。例え自然に興味関心がなき者でも、これをきっかけに虜になる可能性だってある。
しかし小汚い茶色いローブを身に纏う二人が、はたしてそのような感慨に浸る感性をもっているのか、と訊かれれば答えは否。ただ髪の毛が美しく艶やかなだけで、心中はある意味汚れに汚れているのだ。尤もそれ以前なことに、二人の会話が自然観光を台無しにしているのだが。
「アレクアレク~!」
「耳元で叫ぶなうっせぇ! 普通に話せ! 普通に!」
ご覧の通り――いや、台詞の通りである。
「あ、すいません。私、今から向かう村から、悪寒が走るほどの気味悪いものを察知したんですが……」
「……気味悪いもの?」
アレクは訝し気に眉根を寄せ、彼女の発言を脳内で咀嚼して思考する。
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