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第2章
ご本人登場。
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状況を見るに、ピンク頭はすっ転んで膝を擦りむいたらしい。そんなケガはつば付けときゃ治るが、外で転んだことがないらしい殿下は、驚いたようだった。
「君、大丈夫?」
慌てて手を貸して、起こしている。
おっと、私も傍観している場合じゃない。確かヴィクターは、ここでピンク頭に自分の名前が書かれたハンカチを渡すはずだ。それを阻止した方が良いだろう。
「大丈夫?」
「ありがとぉございますぅ。」
いや、私も声はかけたんだが。
何故、ヴィクターの方しか向いていない。ヴィクターも困惑しているぞ。まあ、その隙に私はちゃっちゃとピンク頭の膝に真っ白なハンカチを巻いてやった。
ピンク頭が殺しそうな目で睨みつけてくるが、気にしない。
「あの、お名前だけでもぉ~」
吐く。その猫なで声に。
私はヴィクターを引っ張って、無理やり立たせた。
「あ、えっとそれは...」
うん、ヴィクターにさらっと名前を教えちゃう度胸がなくて良かった。皇室の一員として当然だね。
「ほら、行こう。」
さっと、人混みの中に混じる。なんか、後ろから声が聞こえる気がするが無視。
「なあ、ジル。」
「どうした?」
「平民は、みんな気持ち悪い話し方を」
「する訳ないじゃん。周りの声を聞いてみなよ。」
「確かに。うん。あいつが可笑しいだけで良かった。」
喰い気味に返答をしてしまった。
それにしても、そこまで嫌悪感を感じたのか。よしよし。私の目標は、みんなに認められながらピンク頭を苛めることだ。コレは大きな一歩だろう。
「ま、気を取り直してなんか食べようよ。もうあまり時間はないはず。」
「お!そうだったな。」
2人で大通りを歩き、屋台で串に刺さった肉を食べる。ここまで美味しいのは、前世のBBQ以来かもしれない。ヴィクターも、はしたないとか言わずにガツガツ食べている。流石男子。
「随分、シンプルな味付けなんだな。」
「ヴィクターの食べてる食事が濃すぎるだけだよ。」
「む、そうだったな。」
「はは、お嬢ちゃんたちは良いお育ちなんだんねぇ。」
一瞬、嫌味かと思ったが相手の表情を見るにそう言うわけでもないらしい。
「でも私はこういう味の方が好きです。」
「お、私らの気持ちが分かっているようだね。まあ、濃い味付けは体にも良くないしさ。」
「?!そうなのか?知らなかった...。」
「ははは、良いのさ。小さいうちに色々学んどけ。」
うーん。いいおばさんだな。よし、この人に聞いてみよう。
「ねぇ、お姉さん。城の使用人用の出入り口の場所を知らない?そこの近くに用があるんだけど。」
「ああ、それならこの通りを真っ直ぐ行って、ちょいと右に曲がればすぐ見つかるよ。」
「ありがとう!」
「なあに、礼には及ばないよ。ああ、串のゴミはそこの木箱に入れといてくれな。」
ヴィクターと2人、言われた通りに進んで行く。すぐにそれは見つかった。
「ジル、また来ような!」
「しばらく経ったらね。バレたくないでしょ。」
サッと、出入りする人々に紛れ中に入る。中庭まで入り込めば、もう終了だ。
「君、大丈夫?」
慌てて手を貸して、起こしている。
おっと、私も傍観している場合じゃない。確かヴィクターは、ここでピンク頭に自分の名前が書かれたハンカチを渡すはずだ。それを阻止した方が良いだろう。
「大丈夫?」
「ありがとぉございますぅ。」
いや、私も声はかけたんだが。
何故、ヴィクターの方しか向いていない。ヴィクターも困惑しているぞ。まあ、その隙に私はちゃっちゃとピンク頭の膝に真っ白なハンカチを巻いてやった。
ピンク頭が殺しそうな目で睨みつけてくるが、気にしない。
「あの、お名前だけでもぉ~」
吐く。その猫なで声に。
私はヴィクターを引っ張って、無理やり立たせた。
「あ、えっとそれは...」
うん、ヴィクターにさらっと名前を教えちゃう度胸がなくて良かった。皇室の一員として当然だね。
「ほら、行こう。」
さっと、人混みの中に混じる。なんか、後ろから声が聞こえる気がするが無視。
「なあ、ジル。」
「どうした?」
「平民は、みんな気持ち悪い話し方を」
「する訳ないじゃん。周りの声を聞いてみなよ。」
「確かに。うん。あいつが可笑しいだけで良かった。」
喰い気味に返答をしてしまった。
それにしても、そこまで嫌悪感を感じたのか。よしよし。私の目標は、みんなに認められながらピンク頭を苛めることだ。コレは大きな一歩だろう。
「ま、気を取り直してなんか食べようよ。もうあまり時間はないはず。」
「お!そうだったな。」
2人で大通りを歩き、屋台で串に刺さった肉を食べる。ここまで美味しいのは、前世のBBQ以来かもしれない。ヴィクターも、はしたないとか言わずにガツガツ食べている。流石男子。
「随分、シンプルな味付けなんだな。」
「ヴィクターの食べてる食事が濃すぎるだけだよ。」
「む、そうだったな。」
「はは、お嬢ちゃんたちは良いお育ちなんだんねぇ。」
一瞬、嫌味かと思ったが相手の表情を見るにそう言うわけでもないらしい。
「でも私はこういう味の方が好きです。」
「お、私らの気持ちが分かっているようだね。まあ、濃い味付けは体にも良くないしさ。」
「?!そうなのか?知らなかった...。」
「ははは、良いのさ。小さいうちに色々学んどけ。」
うーん。いいおばさんだな。よし、この人に聞いてみよう。
「ねぇ、お姉さん。城の使用人用の出入り口の場所を知らない?そこの近くに用があるんだけど。」
「ああ、それならこの通りを真っ直ぐ行って、ちょいと右に曲がればすぐ見つかるよ。」
「ありがとう!」
「なあに、礼には及ばないよ。ああ、串のゴミはそこの木箱に入れといてくれな。」
ヴィクターと2人、言われた通りに進んで行く。すぐにそれは見つかった。
「ジル、また来ような!」
「しばらく経ったらね。バレたくないでしょ。」
サッと、出入りする人々に紛れ中に入る。中庭まで入り込めば、もう終了だ。
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