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本編
04:羊が仕組んだ謎解きを狼は解き……
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「やぎうちって、八つの木で内って書くのか?」
「違う、山の羊……動物の方の山羊の内。」
朧は七歩の苗字は漢字ではどう書くのか聞かれ、七歩はちゃんと教えた。
「七歩か……変わった名前だな、人の事言えねえけどな」
「よく言われる」
自分の名前も大概人の事言えないが七歩の名前を聞いて朧は変わった名前と評した、七歩もそれは自覚していたのでそう答えた。
「――ところで、お前さん番の成立の仕方は分かるか……?」
朧はどうやれば番として成立するのか七歩に一応知っているのか聞いた。
「えっと……」
「攫われちまったせいでそこらへんの知識も飛んでいるか? 大抵、小中の保健体育で習うんだがな……αがΩの項を噛めば番成立だ。お前らのしている首輪はその為だ」
七歩の為に朧は番の成立の仕方について丁寧に教える。そして、七歩の嵌めている首輪は館の主が七歩を拘束する以外に、おそらく自分以外の人間と番を成立させないために着けさせたものだと教える。
「――後、Ωには俺達αを引き寄せる発情期がある。発情期は周期性だが突発的になるからΩのフェロモンにあてられたαと番成立しないために首輪をつけるんだ。」
朧はΩには発情期があり、本来ならお互いの同意なしで番が成立しないために大抵のΩは首輪をつけていることを教える。
「……」
七歩はたちの悪い首輪をつけさせた館の主にも、まんまと館の主の口車に乗せられた自分にも腹が立って反射して映ってる窓の自分の首元に着けてある首輪を恨めしく睨む。
「だが、その首輪の作りは普通じゃない……。お前にもそれは分かるよな?」
普通の首輪とは違って今七歩が嵌めている首輪の作りは市販のものと違って普通ではないことは七歩には分かっていると思うが、朧は敢えて聞いた。
「……うん」
「一応聞くと、……発情期の経験あるか?」
「――?」
七歩も言われなくてもそれは分かっていると答える、朧は七歩に発情期は来ていた経験があったか今だ来てないのか聞いてくる。
「発情期……」
――ドクンッ
七歩は発情期の事を考えてみると、記憶の断片を思い出した。
来ていないはずなのにいやらしいにおいだ、においで分かると言われ、誘っているとあの連中に言われた。そして自分はあの連中に……、
「……―っ」
「――おい、大丈夫かよ?」
あの記憶の断片を思い出してしまい、七歩は思わず吐き気を催す。
朧は七歩に気遣って声を掛けてくれる。
「~~っ」
――気持ち悪い、震えが止まらない……。
トラウマを思い出してしまい、七歩は体の震えが止まらなかった。
生理的な涙がボロボロと自然に出てくる。
「――ちっ」
朧は七歩の様子を見てみていられず……、
――ぎゅっ
「落ち着け、何があったのか知らんが俺はてめえを無理矢理抱いたりしねえ。」
「……?」
「俺ぁヤクザだが、そういうの嫌いな性分なんだ……だからΩだからってお前を無理矢理抱くような真似しねえから安心しろ。」
朧は震える七歩に胸の方に寄せて抱きつき、自分はΩを平気で凌辱するような連中とは違ってそういうことは大嫌いな性分だと話す。
「だから安心して教えろ、来ているか来ていないかだけ……」
そして朧は改めて発情期の経験はあるかないか、改まって聞いた。
「多分……来てない、でも、怖い……」
(せめて発情期なんて来ないで欲しい……)
過去を思い出したことで七歩は記憶に間違いがなければまだ来ていないことや、発情期が来ることが怖いと七歩は言う。
「そうかい、……だったら万一に供えてΩ専用の発情期の抑制剤も探さなきゃな。お前さんを攫うくらいなら多分あるだろう、この屋敷に」
朧はもう一つ目的が出来たことを七歩に告げ、朧の見解ではΩである七歩を攫うくらいなら屋敷の主はどこかに発情期抑制剤を持っていることや、万が一のためにそれも奪っていつでも使えるようにした方がいいと言った。
「抑制剤効くか効かないかは個人差だが……ないよりはましだとは思う、見つけた時はそれもぱくっとけ。」
朧は、七歩は抑制剤が効く体質かは置いといて無いよりはずっと良いと言い、万が一に備えて見つけた時は何個か盗んでおいた方がいいと朧は忠告する。
「――わっ、分かった」
(俺も……、抑制剤見つけたらぱくっとかなきゃな。この子のフェロモンに耐えられないとヒートを起こす可能性がある。)
朧の忠告を了承する七歩を見て、朧は自分も七歩と同じく発情期のフェロモンにあてられた興奮を抑制させる薬を見つけてフェロモンに耐えられるように奪っておかなければならないと思っていた。
「さて……取りあえずこの屋敷に出る方法とか探そうや、屋敷をうろうろしてたら手掛かり位は掴めるだろ」
朧は立ち上がって取りあえずこの屋敷を探索することを提案する。
「――後、あんまり俺から離れすぎるな……Ωはただでさえ非力なんだ。もし襲われて手遅れにでもなったら困るからな」
「あっ、はい……」
朧は七歩に自分からあまり離れるような行動をしない様に命令し、襲われて番にでもされれば取り返しがつかないからだと理由も教え、七歩はそれに慌てて答える。
――この時二人はまだ知る由もなかった、お互い運命の番だと言うことを。
長い廊下を警戒して歩みを進めていると七歩は気になった事を聞いた……。
「えっと、狼谷さんはどうしてこんなところにいたの?」
七歩はなぜヤクザである朧がこんな山奥の屋敷で捕まっていたのか聞いてみる。
委縮しながら聞いてくる七歩に朧はため息をつき……、
「……“朧”でいい。」
下の名前で呼んでいいと許可する。
「あっ、はい……朧さんはどうしてこんな場所に?」
七歩は改めて朧を下の名前で呼び、朧がどうしてこんな屋敷にいたのか聞いた。
「……ここの近くに今使われていないキャンプ場があってよ、そこでちょっと話し合いがあったんだがな。相手が交渉を飲む気なく俺の命狙ってきたもんだからよ……バックれてこの場所に逃げたんだよ」
朧はヤクザ同士の話し合いでこの屋敷に近いキャンプ場があってそこで話をしようとしたのだが、相手の組の者たちは交渉に乗る気など全くなく自分を殺そうとしたため、この屋敷に逃げ込んだことを話した。
「銃とかあんま供えてなかったからよ、組の奴全員相手してたら絶対弾尽きると思って一旦逃げたんだ。そしたらよ……ネズミの死骸を集めてた白衣の来た男がいてよ。そいつに見つかっちまったんだよ」
「――うっ」
相手の組の追手から逃れるために、あの屋敷に勝手ながら潜り込むとネズミの死骸を集めていた白い白衣を着た男に遭遇してしまったと朧が話す。七歩はネズミの死骸と聞いて思わず想像してしまい、吐き気を催した。
「不味いと思って逃げようとしたらよ、あのハザミ野郎に行く手を阻まれてよ……。逃げようとしてあのハサミ野郎の隙を突いて殴ったら、あのマッドサイエンティストに変な薬撃たれて気を失った。」
白衣の着た男に侵入したことがバレて逃げようとしたが森田に行く手を阻まれ、隙を突いて森田を殴ったまではよかったが白衣の男も黙っておらず、変な薬を打たれて気を失ったとのことだった。
「あのハサミ野郎もお返しのように鞭打ってきやがって……」
思い出して腹を立てているのか不機嫌そうな表情を浮かべ、朧は仕返しも兼ねて森田に鞭を打たれたことも話す。七歩はここで最初に会った時に朧が傷だらけだった理由を漸く悟った。
「そういえば、その持っていた銃は……?」
「取られた……、あって損はないと思うからまだスクラップにされてないと良いけどよ」
朧が所持していた銃はどこに行ったのか聞くと白衣の男に没収されて、今その銃は健在かどうかはわからないが今の状況から見ると護身にはなるので白衣の男がまだ所持していることを祈ると朧は言う。
「――あの扉なんだ? ……行ってみようか」
まっすぐ歩いていると大きな扉にたどり着き、何があるか分からないが行ってみようと朧は告げる。
――ギィ!
大きな扉を押して開けてみるとかなり広い部屋になっており、床には不思議な模様が大きく刻まれているのとピアノと小さい本棚がある以外何もなかった。
「――何だぁ? ここレッスン室かぁ?」
シンプルすぎる作りに朧は拍子抜けし、見たところピアノを練習するためだけに作られた部屋だということ以外特徴がなさそうだった。
「ほら、あそこ……次の部屋に進む扉があるよ?」
七歩が次の部屋へと続いている扉があることに気付き、扉を開けようとするがびくともしなかった。
「――だめだ、開きそうもない。……あれ?」
七歩は扉のドアノブに掛けてある表札にようやく気が付いた。
「〈君はキラキラでいてふわふわ、さぁ君の姿をピアノの音で奏でておくれ〉」
「――はぁっ!? ケンカ売ってんのか、この屋敷の主……。」
表札に書いてある文字を声に出して七歩は読み上げると、意味の分からない文章に朧も顔を顰める。
「でも何かのヒントかも……」
おそらくこの表札は屋敷の主のただの挑発ではなく、扉を開けるヒントも兼ねているのではないかと七歩は意見する。
「――と言ってもよぉ……俺、ピアノ弾けねえぞ?」
朧は例え表札がヒントであっても、自分はピアノを弾けないと言った。
しかし何か仕掛けがあることは間違いないと睨んだ二人は、取りあえず辺りを探してみる。
「――あれ? ……これ変だな?」
「――あっ、何がだよ?」
七歩が何かの異変に気が付き、朧は何に気が付いたのか聞いた。
「これ……星座の本だよね。なんでピアノの部屋に有るの?」
楽譜が置いてある小さい本棚の中に一冊だけ星座関連の本があることに気付き、何故音楽関連の本棚に紛れ込んでいるのか不思議に思って手に取る。
「知るかよ、誰かが適当に……いや、待てよ?」
朧はどうせお手伝いの誰かが間違っておいたのだろうと思ったが、ある物を見つけて何かしらの違和感に気付いた。
「――待て、その本に星座記号表か何かないか?」
「……あるけど、どうしたの?」
朧が七歩が今読んでいる星座関連の本に星座記号が書かれていないか聞いて来るので、七歩は星座記号が書かれているページを見せる。すると朧は取り上げ、変な模様の床を見て……、
「やっぱり……」
一人この部屋のトリックに気付いたような笑みを浮かべた。
「おい、坊ちゃん……ピアノ弾けるかい?」
「――えっ!? 弾けるけど……」
すると朧は七突然歩にピアノが弾けるか尋ねた、七歩はいきなり聞かれて驚いたがピアノは弾けると答える。そして朧は本棚の本を漁るように探して“ある楽譜”を見つける。
「これをピアノで弾いてみてくれ。」
朧はある楽譜を見つけるとこの曲を弾いてくれるように頼む。
「これって“メリーさんの羊”? これ、何の関係があるの?」
「――いいから弾いてみろ。」
楽譜のタイトルは“メリーさんの羊”だった、これがこの部屋のトリックの何の関係があるのか七歩は聞き出そうとするが先に確信したかった朧は七歩に早くピアノを弾くように急かす。
「わっ、分かった……」
七歩はピアノの席に着き、楽譜を置いて呼吸を整えた後……
♪~~♪~~♪~♩~♫~♪♪~♪~
ピアノを弾き始める、そしてピアノが弾き終わる。
――カチッ
突然、鍵の開く音がこの部屋に響いた。
「――開いた!?」
「やっぱりな……、あの表札は遠回しにこの曲を指定してたんだ」
七歩にも鍵の開く音が聞こえ、思わず立ち上がる。朧は部屋のトリックの仕掛けの解き方が自分が睨んでいたものとまったく同じだったことに笑みを浮かべる。
「違う、山の羊……動物の方の山羊の内。」
朧は七歩の苗字は漢字ではどう書くのか聞かれ、七歩はちゃんと教えた。
「七歩か……変わった名前だな、人の事言えねえけどな」
「よく言われる」
自分の名前も大概人の事言えないが七歩の名前を聞いて朧は変わった名前と評した、七歩もそれは自覚していたのでそう答えた。
「――ところで、お前さん番の成立の仕方は分かるか……?」
朧はどうやれば番として成立するのか七歩に一応知っているのか聞いた。
「えっと……」
「攫われちまったせいでそこらへんの知識も飛んでいるか? 大抵、小中の保健体育で習うんだがな……αがΩの項を噛めば番成立だ。お前らのしている首輪はその為だ」
七歩の為に朧は番の成立の仕方について丁寧に教える。そして、七歩の嵌めている首輪は館の主が七歩を拘束する以外に、おそらく自分以外の人間と番を成立させないために着けさせたものだと教える。
「――後、Ωには俺達αを引き寄せる発情期がある。発情期は周期性だが突発的になるからΩのフェロモンにあてられたαと番成立しないために首輪をつけるんだ。」
朧はΩには発情期があり、本来ならお互いの同意なしで番が成立しないために大抵のΩは首輪をつけていることを教える。
「……」
七歩はたちの悪い首輪をつけさせた館の主にも、まんまと館の主の口車に乗せられた自分にも腹が立って反射して映ってる窓の自分の首元に着けてある首輪を恨めしく睨む。
「だが、その首輪の作りは普通じゃない……。お前にもそれは分かるよな?」
普通の首輪とは違って今七歩が嵌めている首輪の作りは市販のものと違って普通ではないことは七歩には分かっていると思うが、朧は敢えて聞いた。
「……うん」
「一応聞くと、……発情期の経験あるか?」
「――?」
七歩も言われなくてもそれは分かっていると答える、朧は七歩に発情期は来ていた経験があったか今だ来てないのか聞いてくる。
「発情期……」
――ドクンッ
七歩は発情期の事を考えてみると、記憶の断片を思い出した。
来ていないはずなのにいやらしいにおいだ、においで分かると言われ、誘っているとあの連中に言われた。そして自分はあの連中に……、
「……―っ」
「――おい、大丈夫かよ?」
あの記憶の断片を思い出してしまい、七歩は思わず吐き気を催す。
朧は七歩に気遣って声を掛けてくれる。
「~~っ」
――気持ち悪い、震えが止まらない……。
トラウマを思い出してしまい、七歩は体の震えが止まらなかった。
生理的な涙がボロボロと自然に出てくる。
「――ちっ」
朧は七歩の様子を見てみていられず……、
――ぎゅっ
「落ち着け、何があったのか知らんが俺はてめえを無理矢理抱いたりしねえ。」
「……?」
「俺ぁヤクザだが、そういうの嫌いな性分なんだ……だからΩだからってお前を無理矢理抱くような真似しねえから安心しろ。」
朧は震える七歩に胸の方に寄せて抱きつき、自分はΩを平気で凌辱するような連中とは違ってそういうことは大嫌いな性分だと話す。
「だから安心して教えろ、来ているか来ていないかだけ……」
そして朧は改めて発情期の経験はあるかないか、改まって聞いた。
「多分……来てない、でも、怖い……」
(せめて発情期なんて来ないで欲しい……)
過去を思い出したことで七歩は記憶に間違いがなければまだ来ていないことや、発情期が来ることが怖いと七歩は言う。
「そうかい、……だったら万一に供えてΩ専用の発情期の抑制剤も探さなきゃな。お前さんを攫うくらいなら多分あるだろう、この屋敷に」
朧はもう一つ目的が出来たことを七歩に告げ、朧の見解ではΩである七歩を攫うくらいなら屋敷の主はどこかに発情期抑制剤を持っていることや、万が一のためにそれも奪っていつでも使えるようにした方がいいと言った。
「抑制剤効くか効かないかは個人差だが……ないよりはましだとは思う、見つけた時はそれもぱくっとけ。」
朧は、七歩は抑制剤が効く体質かは置いといて無いよりはずっと良いと言い、万が一に備えて見つけた時は何個か盗んでおいた方がいいと朧は忠告する。
「――わっ、分かった」
(俺も……、抑制剤見つけたらぱくっとかなきゃな。この子のフェロモンに耐えられないとヒートを起こす可能性がある。)
朧の忠告を了承する七歩を見て、朧は自分も七歩と同じく発情期のフェロモンにあてられた興奮を抑制させる薬を見つけてフェロモンに耐えられるように奪っておかなければならないと思っていた。
「さて……取りあえずこの屋敷に出る方法とか探そうや、屋敷をうろうろしてたら手掛かり位は掴めるだろ」
朧は立ち上がって取りあえずこの屋敷を探索することを提案する。
「――後、あんまり俺から離れすぎるな……Ωはただでさえ非力なんだ。もし襲われて手遅れにでもなったら困るからな」
「あっ、はい……」
朧は七歩に自分からあまり離れるような行動をしない様に命令し、襲われて番にでもされれば取り返しがつかないからだと理由も教え、七歩はそれに慌てて答える。
――この時二人はまだ知る由もなかった、お互い運命の番だと言うことを。
長い廊下を警戒して歩みを進めていると七歩は気になった事を聞いた……。
「えっと、狼谷さんはどうしてこんなところにいたの?」
七歩はなぜヤクザである朧がこんな山奥の屋敷で捕まっていたのか聞いてみる。
委縮しながら聞いてくる七歩に朧はため息をつき……、
「……“朧”でいい。」
下の名前で呼んでいいと許可する。
「あっ、はい……朧さんはどうしてこんな場所に?」
七歩は改めて朧を下の名前で呼び、朧がどうしてこんな屋敷にいたのか聞いた。
「……ここの近くに今使われていないキャンプ場があってよ、そこでちょっと話し合いがあったんだがな。相手が交渉を飲む気なく俺の命狙ってきたもんだからよ……バックれてこの場所に逃げたんだよ」
朧はヤクザ同士の話し合いでこの屋敷に近いキャンプ場があってそこで話をしようとしたのだが、相手の組の者たちは交渉に乗る気など全くなく自分を殺そうとしたため、この屋敷に逃げ込んだことを話した。
「銃とかあんま供えてなかったからよ、組の奴全員相手してたら絶対弾尽きると思って一旦逃げたんだ。そしたらよ……ネズミの死骸を集めてた白衣の来た男がいてよ。そいつに見つかっちまったんだよ」
「――うっ」
相手の組の追手から逃れるために、あの屋敷に勝手ながら潜り込むとネズミの死骸を集めていた白い白衣を着た男に遭遇してしまったと朧が話す。七歩はネズミの死骸と聞いて思わず想像してしまい、吐き気を催した。
「不味いと思って逃げようとしたらよ、あのハザミ野郎に行く手を阻まれてよ……。逃げようとしてあのハサミ野郎の隙を突いて殴ったら、あのマッドサイエンティストに変な薬撃たれて気を失った。」
白衣の着た男に侵入したことがバレて逃げようとしたが森田に行く手を阻まれ、隙を突いて森田を殴ったまではよかったが白衣の男も黙っておらず、変な薬を打たれて気を失ったとのことだった。
「あのハサミ野郎もお返しのように鞭打ってきやがって……」
思い出して腹を立てているのか不機嫌そうな表情を浮かべ、朧は仕返しも兼ねて森田に鞭を打たれたことも話す。七歩はここで最初に会った時に朧が傷だらけだった理由を漸く悟った。
「そういえば、その持っていた銃は……?」
「取られた……、あって損はないと思うからまだスクラップにされてないと良いけどよ」
朧が所持していた銃はどこに行ったのか聞くと白衣の男に没収されて、今その銃は健在かどうかはわからないが今の状況から見ると護身にはなるので白衣の男がまだ所持していることを祈ると朧は言う。
「――あの扉なんだ? ……行ってみようか」
まっすぐ歩いていると大きな扉にたどり着き、何があるか分からないが行ってみようと朧は告げる。
――ギィ!
大きな扉を押して開けてみるとかなり広い部屋になっており、床には不思議な模様が大きく刻まれているのとピアノと小さい本棚がある以外何もなかった。
「――何だぁ? ここレッスン室かぁ?」
シンプルすぎる作りに朧は拍子抜けし、見たところピアノを練習するためだけに作られた部屋だということ以外特徴がなさそうだった。
「ほら、あそこ……次の部屋に進む扉があるよ?」
七歩が次の部屋へと続いている扉があることに気付き、扉を開けようとするがびくともしなかった。
「――だめだ、開きそうもない。……あれ?」
七歩は扉のドアノブに掛けてある表札にようやく気が付いた。
「〈君はキラキラでいてふわふわ、さぁ君の姿をピアノの音で奏でておくれ〉」
「――はぁっ!? ケンカ売ってんのか、この屋敷の主……。」
表札に書いてある文字を声に出して七歩は読み上げると、意味の分からない文章に朧も顔を顰める。
「でも何かのヒントかも……」
おそらくこの表札は屋敷の主のただの挑発ではなく、扉を開けるヒントも兼ねているのではないかと七歩は意見する。
「――と言ってもよぉ……俺、ピアノ弾けねえぞ?」
朧は例え表札がヒントであっても、自分はピアノを弾けないと言った。
しかし何か仕掛けがあることは間違いないと睨んだ二人は、取りあえず辺りを探してみる。
「――あれ? ……これ変だな?」
「――あっ、何がだよ?」
七歩が何かの異変に気が付き、朧は何に気が付いたのか聞いた。
「これ……星座の本だよね。なんでピアノの部屋に有るの?」
楽譜が置いてある小さい本棚の中に一冊だけ星座関連の本があることに気付き、何故音楽関連の本棚に紛れ込んでいるのか不思議に思って手に取る。
「知るかよ、誰かが適当に……いや、待てよ?」
朧はどうせお手伝いの誰かが間違っておいたのだろうと思ったが、ある物を見つけて何かしらの違和感に気付いた。
「――待て、その本に星座記号表か何かないか?」
「……あるけど、どうしたの?」
朧が七歩が今読んでいる星座関連の本に星座記号が書かれていないか聞いて来るので、七歩は星座記号が書かれているページを見せる。すると朧は取り上げ、変な模様の床を見て……、
「やっぱり……」
一人この部屋のトリックに気付いたような笑みを浮かべた。
「おい、坊ちゃん……ピアノ弾けるかい?」
「――えっ!? 弾けるけど……」
すると朧は七突然歩にピアノが弾けるか尋ねた、七歩はいきなり聞かれて驚いたがピアノは弾けると答える。そして朧は本棚の本を漁るように探して“ある楽譜”を見つける。
「これをピアノで弾いてみてくれ。」
朧はある楽譜を見つけるとこの曲を弾いてくれるように頼む。
「これって“メリーさんの羊”? これ、何の関係があるの?」
「――いいから弾いてみろ。」
楽譜のタイトルは“メリーさんの羊”だった、これがこの部屋のトリックの何の関係があるのか七歩は聞き出そうとするが先に確信したかった朧は七歩に早くピアノを弾くように急かす。
「わっ、分かった……」
七歩はピアノの席に着き、楽譜を置いて呼吸を整えた後……
♪~~♪~~♪~♩~♫~♪♪~♪~
ピアノを弾き始める、そしてピアノが弾き終わる。
――カチッ
突然、鍵の開く音がこの部屋に響いた。
「――開いた!?」
「やっぱりな……、あの表札は遠回しにこの曲を指定してたんだ」
七歩にも鍵の開く音が聞こえ、思わず立ち上がる。朧は部屋のトリックの仕掛けの解き方が自分が睨んでいたものとまったく同じだったことに笑みを浮かべる。
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最新はTwitterに掲載しています。
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