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あの匂いだ。俺の、運命の番の匂い。
随分前に一度だけ嗅いだことのある匂いなのに一瞬であの時の匂いだと分かった。
急いで匂いがしてきた方向に走り出す。
「あっ!司どこ行くんだよ!もう授業始まるぞ!」
謙太郎が何か言っていたがそんなことは今はどうでもいい。
はやく、早く、速く俺の番に会いたい。抱きしめたい、項に噛みついて俺だけの人にしたい。
頭がフェロモンで満たされてそれ以外の思考が欠如していく。
匂いが一段と強く漂ってきた。
運命の番まではもう少しだ。
あまり使われていない準備室の扉を開ける。
狭い部屋の中を見渡すが人の姿が見当たらない。
けれど入った瞬間に匂いが部屋の隅から漂い出てるのが分かった。
そこには上着を頭から覆いかぶさって震えている運命の番がいた
「いた…。俺の運命。」
番は何も答えないまま小刻みに震え続けている
「君は誰なんだ…?俺は…会いたくて会いたくてたまらなかったのに。」
あの日君が逃げ切った時、俺がどれだけ辛かったと思う?苦しかったと思う?
運命の番に逃げられて、糸を断ち切られてどれほど落ち込んだかわかる?
でももういいんだ。もう逃がさない、さあ、君の顔を見せて?
上着をはがそうとすると抵抗してきたけど所詮は発情中のΩだ。力はどうってことなくて段々と姿が露わになっていく。
「...お前だったのか、蓮」
そこにいたのは、運命の番は、、、βだと偽っていた親友だった長谷川蓮だった。
[視点変更]side蓮(受け)
…おかしい。確かに抑制剤を飲んだはずなのにじわじわと体の芯が熱くなるというか、風邪を引いたときみたいに頭が、意識がはっきりしない。
体調はさっきまで悪くなかった。なんならさっきの体育で思いっきり走り回ったぐらいだ
走り回った後の疲労が一気に押し寄せたのか...?
いや、違う。これは発情期の…
一度発情したことを自覚したら余計に身体の熱が高まった気がした
保健室はダメだ、本格的に発情しだしたらβだと偽っていことがバレてしまう
とにかく、人のいないところに…
幸い、今は休み時間がもうすぐ終わる時間で周りに人がいない
クソっ…!
ここまで抑制剤が効かなかったことなんてなかったのにどうして!?
敏感になった体は制服が擦りあうだけで息を高ぶらせるが、我慢しながら小走りで移動する
行きついたのは校舎の端にある準備室
フラフラしながら部屋の隅に上着を頭から被ってへたり込む
予備の抑制剤は教室だし…これからどうしよ…?
発情期は人によるが長ければ一週間続く人もいるって言うし
これ以上フェロモンが強くなれば皆絶対気づくだろうなぁ
そしたら俺どうしよう、このままαに犯されるかもしれないな
Ωとして生きるのが嫌で生きてきたのに…?
これからのことを考えると不安で不安で仕方なかった
思考もまとまらずただただ狂うような熱に犯されるままうずくまっていた
どれくらい時間が過ぎただろうか熱のせいか時間の感覚もよく分からなくなっていた
「いた…。俺の運命。」
その声は、いつも聞いてたなじみの声で、
「君は誰なんだ…?俺は…会いたくて会いたくてたまらなかったのに。」
いつもとは違う熱を孕んでいて、
「…お前だったのか、蓮」
俺は、どうにかなってしまいそうだった。
随分前に一度だけ嗅いだことのある匂いなのに一瞬であの時の匂いだと分かった。
急いで匂いがしてきた方向に走り出す。
「あっ!司どこ行くんだよ!もう授業始まるぞ!」
謙太郎が何か言っていたがそんなことは今はどうでもいい。
はやく、早く、速く俺の番に会いたい。抱きしめたい、項に噛みついて俺だけの人にしたい。
頭がフェロモンで満たされてそれ以外の思考が欠如していく。
匂いが一段と強く漂ってきた。
運命の番まではもう少しだ。
あまり使われていない準備室の扉を開ける。
狭い部屋の中を見渡すが人の姿が見当たらない。
けれど入った瞬間に匂いが部屋の隅から漂い出てるのが分かった。
そこには上着を頭から覆いかぶさって震えている運命の番がいた
「いた…。俺の運命。」
番は何も答えないまま小刻みに震え続けている
「君は誰なんだ…?俺は…会いたくて会いたくてたまらなかったのに。」
あの日君が逃げ切った時、俺がどれだけ辛かったと思う?苦しかったと思う?
運命の番に逃げられて、糸を断ち切られてどれほど落ち込んだかわかる?
でももういいんだ。もう逃がさない、さあ、君の顔を見せて?
上着をはがそうとすると抵抗してきたけど所詮は発情中のΩだ。力はどうってことなくて段々と姿が露わになっていく。
「...お前だったのか、蓮」
そこにいたのは、運命の番は、、、βだと偽っていた親友だった長谷川蓮だった。
[視点変更]side蓮(受け)
…おかしい。確かに抑制剤を飲んだはずなのにじわじわと体の芯が熱くなるというか、風邪を引いたときみたいに頭が、意識がはっきりしない。
体調はさっきまで悪くなかった。なんならさっきの体育で思いっきり走り回ったぐらいだ
走り回った後の疲労が一気に押し寄せたのか...?
いや、違う。これは発情期の…
一度発情したことを自覚したら余計に身体の熱が高まった気がした
保健室はダメだ、本格的に発情しだしたらβだと偽っていことがバレてしまう
とにかく、人のいないところに…
幸い、今は休み時間がもうすぐ終わる時間で周りに人がいない
クソっ…!
ここまで抑制剤が効かなかったことなんてなかったのにどうして!?
敏感になった体は制服が擦りあうだけで息を高ぶらせるが、我慢しながら小走りで移動する
行きついたのは校舎の端にある準備室
フラフラしながら部屋の隅に上着を頭から被ってへたり込む
予備の抑制剤は教室だし…これからどうしよ…?
発情期は人によるが長ければ一週間続く人もいるって言うし
これ以上フェロモンが強くなれば皆絶対気づくだろうなぁ
そしたら俺どうしよう、このままαに犯されるかもしれないな
Ωとして生きるのが嫌で生きてきたのに…?
これからのことを考えると不安で不安で仕方なかった
思考もまとまらずただただ狂うような熱に犯されるままうずくまっていた
どれくらい時間が過ぎただろうか熱のせいか時間の感覚もよく分からなくなっていた
「いた…。俺の運命。」
その声は、いつも聞いてたなじみの声で、
「君は誰なんだ…?俺は…会いたくて会いたくてたまらなかったのに。」
いつもとは違う熱を孕んでいて、
「…お前だったのか、蓮」
俺は、どうにかなってしまいそうだった。
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