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「司、テストどうだった?」
「んーまあまかな。」
気だるそうに頬ずえをつく様子も傍から見ると憂いを帯びた美少年、2次元を超えた3次元、のキャッチコピーが囁かれてしまっているのも納得してしまう。
「まあまあでその結果かよ!1年の頃からずっと1位とか…やっぱαはすげーな」
1年の頃から席が前後だったのをきっかけにいつの間にか一緒に行動をするようになって2年と少し。
「αは関係ないだろ。俺はまじめに勉強して1位を守ってんだよ」
「ま、そうなんだけどさ、俺の努力不足をβのせいにしたいわけで~」
バース性で蕪木をいじるのは日常茶飯事だ。からかい半分、本気半分のさじ加減でいじるのがポイントだ!
「っても蓮だって上の方だろ?十分努力してるだろ、軽そうな性格してるけど授業中まじめだし」
「…軽そうなのは余計だ!」
俺が通う高校は偏差値が高めの進学校のせいかαが多い。αを除けばβとしては上々の結果だ。
「俺、最初蓮はαだと思ってたんだよな。皆もαだと思ってたし。見た目良いし、背だって低くないし。頭も良い方だし。」
俺は知らなかったがどうやら自分からβと名乗る前までは周りからαだと思われていたらしい。
βと言った時はとても驚かれた。
検査受ける前まではαかβだと思ってたんだよな…あー懐かし
「これで俺がαだったらもっとモテたのにな~。αでイケメンで秀才な蕪木の方が何倍もモテて羨ましいな~。」
おまけに蕪木の家は昔から続く名のある名家で余計にモテる。けど、どうやら名家の宿命か、中学生時代から許嫁がいるらしい。詳しいことは本人が言わないので噂で耳にした話だが。
「まあ、皆からモテるのは悪い気はしないが…。お前だから言うけどさ、俺…運命の番に会ったことあるから言い寄られてもあまり嬉しく感じられないんだよな。」
少し照れくさそうに、秘密を教えてくれる蕪木は恋する乙女みたいに赤く頬を染めた。
周りに聞かれないように俺にだけ聞こえる声で伝えられた内容に血の気が引く気がした。
「え、鏑木運命の番に会ったことあんの?!絶滅危惧種並みにすげえじゃん!て、て言うか許嫁いるんじゃねえの?!」
大丈夫…友達の反応が出来たはず
だけど…運命の番…思わず顔が固まってしまう
「誰が絶滅危惧種だ…会ったのは5年前でその
時は抑制剤がなかったから出会えたんだろ。てか、なんでお前が許嫁の話知ってんだ」
どうやら珍獣扱いされたことより琴線にふれたのは知られていないと思っていた許嫁の方らしい。
「あ、あ~風の噂で?許嫁の話本当なのか?」
風の噂は嘘。周りのαに蕪木のことを聞くと本人には言うなよと言いながら許嫁の話をネタとしてよく話してくれる。
「親が勝手に仕組んだ口約束でしかない、俺は」
言葉に詰まったのか、これ以上言いたくない事なのか蕪木は黙ってしまった。
でもそこまで言えばわかる。
蕪木は運命の番を求めているんだと
「大丈夫だよ、蕪木。運命の番は無意識に惹かれあって、引き寄せられてしまうから。いつか、いつか会えるよきっと。」
なんならもうそばにいるかもよ?
「会ったことがあるだけだからな?今、運命の番が何処にいるかわからないし、誰かもわからない。」
「え?どゆこと?」
「5年前は抑制剤がなかったけど、Ω保護所があっただろ?αの俺は入れないし、そのΩはその中に入ってそれっきりだ。」
Ω保護所とは外で発情期になったΩを保護するための施設だ。入るにはΩ性だけに渡されるカードキーがないとΩ以外は入ることは出来なくなっている。Ωを保護するため、施設から出る時は地下にある専用の道からしか出ていくことは出来なくなっている。
「何か事情があったのかもな」
「運命の番ならバンバンザイじゃね?うちの親運命の番で今でもイチャイチャしてるぜ?」
「相手のΩは急に発情しだしたから驚いて逃げたのかもしれない…運命の番は諦めようとしても出会ってしまったからか…忘れることができない」
「…どこで会ったんだ?」
「この高校の最寄り駅の近くだったよ。駅にΩ保護所があるから追いつく前に入られたんだ。」
「……まさかここに入学したのは…」
「元々ここを受験しようとは思ってたから全くの偶然だ。運命の番にあった後はもう一度会えるかもと少し思ったけどね。」
「でもそいつも抑制剤使ってるだけで本当はこの高校にいるかもしれないぜ?なんたって運命の番さ、無意識に引き合ってしまうからな」
似たようなことをまた繰り返しているなと頭の片隅でぼんやり思った。
どうやら思ってた以上に頭がバグってるらしい
(そのΩとはもう会うことはないから諦めろ…って言えたら蕪木も無駄な時間を過ごさず誰かと付き合って、幸せに暮らせるかもしれないな)
運命の番に振り回され、踊らされる俺たちは傍からすると滑稽に見られるだろう。
「んーまあまかな。」
気だるそうに頬ずえをつく様子も傍から見ると憂いを帯びた美少年、2次元を超えた3次元、のキャッチコピーが囁かれてしまっているのも納得してしまう。
「まあまあでその結果かよ!1年の頃からずっと1位とか…やっぱαはすげーな」
1年の頃から席が前後だったのをきっかけにいつの間にか一緒に行動をするようになって2年と少し。
「αは関係ないだろ。俺はまじめに勉強して1位を守ってんだよ」
「ま、そうなんだけどさ、俺の努力不足をβのせいにしたいわけで~」
バース性で蕪木をいじるのは日常茶飯事だ。からかい半分、本気半分のさじ加減でいじるのがポイントだ!
「っても蓮だって上の方だろ?十分努力してるだろ、軽そうな性格してるけど授業中まじめだし」
「…軽そうなのは余計だ!」
俺が通う高校は偏差値が高めの進学校のせいかαが多い。αを除けばβとしては上々の結果だ。
「俺、最初蓮はαだと思ってたんだよな。皆もαだと思ってたし。見た目良いし、背だって低くないし。頭も良い方だし。」
俺は知らなかったがどうやら自分からβと名乗る前までは周りからαだと思われていたらしい。
βと言った時はとても驚かれた。
検査受ける前まではαかβだと思ってたんだよな…あー懐かし
「これで俺がαだったらもっとモテたのにな~。αでイケメンで秀才な蕪木の方が何倍もモテて羨ましいな~。」
おまけに蕪木の家は昔から続く名のある名家で余計にモテる。けど、どうやら名家の宿命か、中学生時代から許嫁がいるらしい。詳しいことは本人が言わないので噂で耳にした話だが。
「まあ、皆からモテるのは悪い気はしないが…。お前だから言うけどさ、俺…運命の番に会ったことあるから言い寄られてもあまり嬉しく感じられないんだよな。」
少し照れくさそうに、秘密を教えてくれる蕪木は恋する乙女みたいに赤く頬を染めた。
周りに聞かれないように俺にだけ聞こえる声で伝えられた内容に血の気が引く気がした。
「え、鏑木運命の番に会ったことあんの?!絶滅危惧種並みにすげえじゃん!て、て言うか許嫁いるんじゃねえの?!」
大丈夫…友達の反応が出来たはず
だけど…運命の番…思わず顔が固まってしまう
「誰が絶滅危惧種だ…会ったのは5年前でその
時は抑制剤がなかったから出会えたんだろ。てか、なんでお前が許嫁の話知ってんだ」
どうやら珍獣扱いされたことより琴線にふれたのは知られていないと思っていた許嫁の方らしい。
「あ、あ~風の噂で?許嫁の話本当なのか?」
風の噂は嘘。周りのαに蕪木のことを聞くと本人には言うなよと言いながら許嫁の話をネタとしてよく話してくれる。
「親が勝手に仕組んだ口約束でしかない、俺は」
言葉に詰まったのか、これ以上言いたくない事なのか蕪木は黙ってしまった。
でもそこまで言えばわかる。
蕪木は運命の番を求めているんだと
「大丈夫だよ、蕪木。運命の番は無意識に惹かれあって、引き寄せられてしまうから。いつか、いつか会えるよきっと。」
なんならもうそばにいるかもよ?
「会ったことがあるだけだからな?今、運命の番が何処にいるかわからないし、誰かもわからない。」
「え?どゆこと?」
「5年前は抑制剤がなかったけど、Ω保護所があっただろ?αの俺は入れないし、そのΩはその中に入ってそれっきりだ。」
Ω保護所とは外で発情期になったΩを保護するための施設だ。入るにはΩ性だけに渡されるカードキーがないとΩ以外は入ることは出来なくなっている。Ωを保護するため、施設から出る時は地下にある専用の道からしか出ていくことは出来なくなっている。
「何か事情があったのかもな」
「運命の番ならバンバンザイじゃね?うちの親運命の番で今でもイチャイチャしてるぜ?」
「相手のΩは急に発情しだしたから驚いて逃げたのかもしれない…運命の番は諦めようとしても出会ってしまったからか…忘れることができない」
「…どこで会ったんだ?」
「この高校の最寄り駅の近くだったよ。駅にΩ保護所があるから追いつく前に入られたんだ。」
「……まさかここに入学したのは…」
「元々ここを受験しようとは思ってたから全くの偶然だ。運命の番にあった後はもう一度会えるかもと少し思ったけどね。」
「でもそいつも抑制剤使ってるだけで本当はこの高校にいるかもしれないぜ?なんたって運命の番さ、無意識に引き合ってしまうからな」
似たようなことをまた繰り返しているなと頭の片隅でぼんやり思った。
どうやら思ってた以上に頭がバグってるらしい
(そのΩとはもう会うことはないから諦めろ…って言えたら蕪木も無駄な時間を過ごさず誰かと付き合って、幸せに暮らせるかもしれないな)
運命の番に振り回され、踊らされる俺たちは傍からすると滑稽に見られるだろう。
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